カテゴリー別アーカイブ: 新宿校

梅雨らしい、しとしと雨。

おはようございます。先週からようやく梅雨らしい天気になりましたね。

油絵科昼間部の箱岩です。

新校舎での授業も少しずつ慣れて、やっと周囲の環境にも目を向ける余裕が出来てきました。

新美までは新宿駅から歩く事も出来る距離ではありますが、個人的には新京王線初台駅を利用するのが雰囲気も良く好きです。初台駅はオペラシティの地下に接続していて改札を抜けて地上に出ると、すり鉢状の円形広場に出ます。

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この居心地のよさそうな広場も、天気の日には休憩にぴったり。新美まで徒歩5分程なので、生徒の姿を見かけることもあります。

ランチをとれるお店も多く、昼間は結構人がいます。

さて、この広場の一番の注目は、なんと言っても目の前にそびえたつ不自然な動きの「この人」。

凄く気になります。「なに、これ?」と思う人も多い事でしょうね。

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この人体を模した巨大な彫刻は、ジョナサン・ボロフスキーの作品

タイトルは「シンギング マン」

軽やかに空を見上げているのか?はたまた都会の喧騒に喘いでいるのか?

そして、晴れの日も雨の日も「ウオー、オアー、フム―…」というような言葉か念仏か、はたまたイスラムのモスクのお祈りの様な、歌らしきものを低く歌っているようす。
正直、普通の感覚なら不気味でちょっとドン引きしそうですが、私は何回も見ているうちにすっかり「有りだな」って思っています…。たぶん。

 

続いて先日、このオペラシティの上の階にも面白いものを見つけました。

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何だかわかりますか?

 

これも、目にしたときのインパクトはかなり凄いです。

パブリックアートで台座が無い彫刻というのも新しいし、ビジネスマンやOLさんが歩くフロアの中央に男性の裸体の彫刻・・・もはやドッキリの番組収録かと思うほど(笑)。

人体と認識するその形状を、同時に単なる金属の塊として意識しない日常。その違和感。

本来アートを鑑賞する前提の無いパブリックなスペースに、唐突に設置するこのハイセンス。

各地の駅前に佇む裸体彫刻の不自然さとは明らかに違うレベルの自然な不自然。

見たらきっと笑いますよー。

 

この作品はアントニー・ゴームリーの彫刻

この人の作品は、私達の知覚が理解していること、理解していないことを、試し、問いかけ、示してくれるようであり、まぁ、単純に見ていて本当に楽しい。

興味のある人は油絵科の図書でその他の作品も見る事が出来ます。

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西新宿の超高層ビル群の一帯(新美から徒歩15分圏内)には、バブル期に設置されたパブリックアートがいくつも点在しているようなので、お散歩のついでに見て回ってみようと思う今日この頃です。

受験生の皆さんも勉強の合間に、ほんのちょっと周りの景色に目を向けて見てください。面白いものや思いがけない現代美術との出会いがそこかしこにあるかもしれません。そうやって審美眼を身につけるのも、とーってもたいせつですよ。

次回は、この人の作品かなぁ…。

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新宿校 基礎科 のご紹介

新宿美術学院 新宿校 基礎科の岡田です。
まずは、基礎科のコースについて説明しようと思います。

基礎科コースは中学生、高校1?2年生を対象としています。学校の授業や部活動、自分の予定にあわせて、「月火水木金」「月火水」「木金土」「土曜」「日曜」「日曜中学生」とコースを選べます。
クラスはデッサンクラス、彫刻クラス、油絵クラス、デザイン・工芸クラス、日本画クラスに分かれています。どの専攻に進むか決まっていな皆さんは、先ずデッサンクラスからスタートすることをおすすめします。

基礎科のどのクラスに所属していても、他の専門クラスを体験することができます。自分にあう専攻を見つけるために、専門の課題を体験し、各専門の講師と話してみることができます。クラス変更はいつでも可能です。

基礎/アトリエ風景

みんな、それぞれのクラスの課題に取り組んでいます。

基礎/油

↑ 油絵の制作。

基礎/彫刻制作風景

↑ 彫刻lクラスの制作。

基礎科/講評

↑ こちらはデッサンの講評の様子です。

映像科の紹介

こんにちは。映像科講師の森田です。

他の専攻と比べるとちょっとわかりづらいところもある映像系の学科。今回はそんな映像科で勉強できる映像のジャンルを紹介したいと思います。一般的に美術大学は「ファインアート/デザイン」というカテゴリーに分かれていますが、映像の場合はまた少し違ってきます。映画やアニメーションなどで作品としての映像を作りたいという人もいれば(ファイン)、CMやPVを作る会社に入りたいっていう人もいます(デザイン)。そんなわけで、パンフレットなどでは下のような図を見てもらって、イメージしてもらっています。

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○実写…主にビデオカメラで「写す映像」です。やはり「映像」と聞くと映画やテレビドラマをイメージする人も多いと思います。CMやPVも実写映像をベースにしたものが多いですね。あとは写真もカメラで撮るという意味では映像のいちジャンルと考えられます。

○アニメーション…絵を描いたりCGを作って「動かす映像」です。元々は絵を描くのが好きで、そこから派生してアニメを作りたいという人も新美にはよく来ます。3DCGのような専門的な技術は大学に入ってから習得することができますよ。

○空間…映像を映す空間を重視した「映し出す映像」です。美術館やギャラリーで展示される作品から街中の広告まで、考えてみると映像って色々なところにあります。あと最近(でもないかも?)は建物に投影する「プロジェクションマッピング」なんていう映像もありますね。

こういった様々な映像のジャンルに対応するように受験生の志望する大学も、武蔵野美大の映像学科をはじめ、東京造形大の映画やアニメーション専攻、日芸の映画学科や放送学科などなど幅広いです。またデザイン系の学科や、意外にも(?)ファイン系の学科と併願するという人が案外多いという点も映像科の特徴ですね。今挙げた大学以外でも映像系の学科で気になっているところがある方は、内部性外部生問わずどうぞ気軽にご相談を。

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ちなみに金土日コースの授業ですが、先週の日曜日は梅雨の中休みに課外授業として武蔵野美術大学のオープンキャンパス見学に行ってきました! テレビ局のようなスタジオでドラマ実習の演出をさせてもらったり、教室全体を使ったインスタレーション作品の展示に圧倒されたりと、全体的に楽しい一日でしたが、個人的に面白かったのは一年生の授業の作品で、映像の原理がわかるような装置を工作したものが展示されていたこと。

回転させて遊ぶフェナキストスコープ(驚き盤)やゾートロープやプラクシノスコープ、写真を立体的に見せるビープショーやステレオ写真など…、結構マニアックな装置がずらっと並んでました。実写であれアニメであれ、こうやって映像が動いて見える仕組みを勉強するのは楽しそうですね。興味がある人は調べてみよう!

そうそう、ちょうど新美でも今週末にこのフェナキストスコープ(驚き盤)を作る実習授業がありますよ。

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何度でも楽しめる、アントニオ・ロペスという画家

油絵科昼間部の関口です。

皆さんはBunkamuraでやっているアントニオ・ロペス展をもうご覧になりましたか?もうすぐ会期も終わってしまいますので、まだ見に行っていないという人は、是非見に行って下さい。アントニオ・ロペス展チラシ

さて、油絵科の教官室では、いつも色んな話が飛び交っていますが、今日はスペインレアリズムを代表する画家、アントニオ・ロペス・ガルシア(以下ロペスと表記)で盛り上がったお話をしようと思います。

僕はロペス展を5月の連休前に見に行ったのですが、午前中に見た事もあり、かなり近付いて本物を見る事が出来ました。そこで思った疑問を教官室で話してみました。

筆者「この前ロペス展かなり間近で見たんだけど、実は…じゃないかな?」

一同「本当に?」

筆者「だってね、この絵のここを…」

E先生「ほう…」

筆者「それに、この絵もよく見ると…でしょ?」

M先生「そういえばこの絵も…」

一同「確かに…」

筆者「そう考えると…は、まず間違いないよね?」

E先生「これは本物を見るのが楽しみになってきたな?」講師室の一コマ

このテの話になると、結構盛り上がるんです。今回の展覧会をキッカケにロペスは既に何回も話題に登っていますが、毎回違うネタも出てきて、中々興味深い議論が交わされます。

※あまり詳しく書くと美術界から抹殺されそうなので(笑)書けませんが、内容が気になって個人的に聞きたい人は、2号館の講師室までどうぞ。油絵科の先生方はそれぞれ自分の意見を持っていますので、面白い話が聞けると思います。

ところで、新美にあるロペスの画集、もうかなりボロボロで、大変な事になっています。ページがボロボロになる程見られて、ここまで見られたら画集としてもさぞかし本望なのではないでしょうか?
しかもこの画集、実は二代目なんだそうです。二代目でもこの痛み方、かなりヤバイですね。ロペス画集