カテゴリー別アーカイブ: 新宿校

多摩美入試説明会と私事

こんにちは 油絵科 松田です。

先日行われた多摩美実技コンクールに続き、11月30日には多摩美の日高理恵子教授を新美にお迎えし、入試説明会が行われました。

多摩美を受験するにあたり、どの様な勉強をしていけばいいのか、受験生は具体的なイメージが沸いたのではないでしょうか。
大学の説明とともに、生徒の作品を一枚一枚丁寧に講評して頂き、ありがとうございました。

多摩美説明会201311302

 

さて油絵科としてはこれで今期最後のブログとなるようです、なので最後に私事など書いてお茶を濁してみようかな。

小さい頃から絵を描くのが好きで、絵描きになる事しか考えなかった典型的な思い込みの激しい子の話。
小学一年生から絵画教室に通うのですが、典型的な思い込みの激しい子笑なので、自分のやりたい事しかやりません。
田舎の絵画教室です、しかも小学生、多少なりとも主張のある絵を描くと忽ち褒められるわけです。
そして益々絵を描く事が楽しくなり、思い込みの激しい子が出来上がります。

高校に入学しますが普通科。  地元には美術コースのある高校がありませんでした。
自分の進学した高校があまりにも美術とかけ離れていたため、入学早々辞めたくてしかたありませんでした。     男子校特有の悪友は沢山でき、結果楽しんじゃいましたが、、。

高校二年生の頃から地元の美術研究所に通い始め、本格的に大学受験を意識し始めます。
高校にはいってから唯一絵を描ける環境だったので、楽しくてしょうがありませんでしたが、この時にはまだ東京芸術大学の存在など全く知りませんでした。
田舎では武蔵美や多摩美のほうがネームバリューがありましたね。

ほどなく浪人する事になるんですが、家の事情などもあり、4~5浪目に新美にお世話になりました。
もう25年ほど前の話です。
浪人という世間的には不安定な立場でしたが、本人はいたってのびのび!  色々な事情から開放され絵のことと〇〇の事だけを考える事ができる至高の時間でした。
親元から離れてる事を良いことに、将来の不安を全て棚上げ、絵にも〇〇にも没頭。
受かったから良いものの、落ちていたらとんでもないヤツです。

当時の予備校は面談など殆ど無く、講評会が指導の中心でした。
個人的な指導はあまりありませんでしたが、私にとってはそれがとても居心地の良い環境でした。
当時の先生のあるお言葉   【教えないことも教えてる事】  という教え。
これは私の感覚にピッタリくるものでした。
講評会で客観的な意見を聴き、後は自分で答えを出していく。
人の出した答えを鵜呑みにする事ほどつまんないことは無いですからね。
間違っていても構うものかと、ここでも典型的な思い込みの激しい子が顔を出したりださなかったり

創作の世界は特殊ですね、人の数ほど答えがあっていい
入試の時期が近づいてくると不安を抱く生徒さんも多いのではないかと思いますが、やりたいことを思い存分やってください。    そして絵を描くことを楽しんでください。

今期最後のブログになりますが、受験まで残りの三ヶ月が生徒さん達にとって有意義な時間になるといいですね。

こんにちは。通信教育です。

もうすぐ12月ですね。

今年1年を振り返りつつ、来年に向け決意を新たに、気合いをいれていきましょう!
気持ちよく新年をスタートさせるためにも、12月を充実させていきましょうね。

 

新宿のイルミネーションを見ながら帰る道も、毎年「冬が来たなあ」と感じます。わたし自身、新宿のイルミネーションをみるといまだに入試を思い出して、そわそわどきどきしちゃいます。寒い日に食べるラーメンって、いいですよね。

 

12月タームは12月2日に発送します!今年最後の課題です。

しっかりと取り組んでいきましょう!

 

センター試験も刻一刻と近づいてきています。各志望校の願書も実際に提出する時期になると、気持ちもピリッとしてきますね。実技の課題だけでなく、学科の勉強も本気でしないといけませんよ!頭の中もONとOFFを切り替えて、頑張りましょう。とはいっても、なぜか英文が目に飛び込んでくると眠くなってきてしまう不思議…ときには運動したり、リフレッシュする時間も必要です。家じゃなかなか集中できない!って人は、自習室を利用したり、カフェで勉強するのもオススメです。自分なりの勉強法を見つけて、最後まで諦めずに頑張りましょう!

通信教育では、実技のみの添削となりますが、学科も大事ですよ、とお伝えしておきたいと思います。

 

11.29

二学期もあと少し。

受験生の皆さん、頑張っておいでですか?

油絵科昼間部 箱岩です。おはようございます。

朝からしっかり挨拶をして清々しい1日を心がけていく。その昔小学校の校長先生がよく言っていました。この歳になるまでそれが習慣になっているのですから、なんてバカ素直な少年だったのか。。。と自分で言ってちゃダメですが。

もう一つ、小学校からずっと心がけていて最近まで常識と思っていたことに、「来た時よりも、美しく」というのが有ります。どんな場所でも人がいれば汚れ、散らかります。そのままにすれば、世界はゴミにあふれてしまう。そんなことを本気で信じて今もその習慣は続いています。

道具の手入れや、アトリエの片付けなどもその一つ。綺麗の感覚は人それぞれですが、ほんの少し、自分が使う前より綺麗にすれば快適な空間になると思うのですがね。

2学期もあとすこし、気合を入れて皆が頑張っていこうという時期、進路のことや、自分の絵のことで、頭の中も散らかっていくようでしたらいけません。

落ち着いて、足元からしっかり固めていきましょう!!

まずは一つ一つの心がけから。。。

さて、先日、そんなもやもやを具体的にして一発解消しようと、多摩美術大学受験者向けに第58回公開コンクールを開催しました。当日は、多摩美術大学の 室越 健美 教授による特別講演を同時開催し、採点後の作品が並ぶアトリエでご自身の受験時代の苦労話や、今の多摩美術大学の状況や学生の様子。また、コンクール作品の印象など丁寧に熱く公演していただきました。

IMG_3045 のコピー

IMG_5907 のコピー

大変有意義なお話が聞けたようで、当日不参加だった私は参加者のテンションの高さに、充実した内容だったのだと想像するばかりでした。

ご参加いただいた皆さん、ご苦労様でした。結果を参考に頑張って行って下さい。

さて、11月30日には、同じく多摩美術大学の 日高 理恵子 教授による大学説明会を開催することとなりました。日高先生が新美に来校されるのは初めてのことですし、日本画家にして油絵科で教えていらっしゃるので、油絵科をどうお考えか?また、油絵科の学生をどう感じているか?と、どんなお話が聞けるか大変興味が有ります。是非皆さんも、ご参加下さい。

映像科・文章表現特訓のレポート

こんにちは、映像科講師の森田です。

映像科の実技試験対策で他の専攻と一番違うのは、やはり文章を書くことでしょう。もちろん小論文の対策は他の専攻でも行っていますが、映像科の場合はどちらかというと「物語や詩を書くこと」に近い、文章による「表現力」が求められるという特徴があります。そんなわけで一年間のカリキュラムの中では「文章で表現するとは何ぞや?」と考えたり、実験したりできるような課題やワークショップを行っていますが、今回はそんな課題の中でも最も映像科らしい?課題を紹介します。

□課題:目の前に置かれたモチーフ(水の入ったコップ)から得られた感覚、想起した事柄を元に、文章表現しなさい。(2時間/目標10,000字)

普段文章を書くときには限られた文字数でなるべく端的に「説明する」ことを意識していると思いますが、この課題に関してはとにかく文字数をたくさん書く!ということだけを目指して2時間ひたすら文字を書き続けてもらいます。ある意味(というか正真正銘の)苦行とも言えるプログラムですが…、でも「絵を描く」ことにもデッサンがある一方でスケッチやクロッキーもあるように、文章だって言葉を表現のための材料と考えてみれば、こんな試行錯誤からも思わぬ発想が生まれるかもしれません。

ちなみに美術の用語で「シュルレアリスム」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。日常の感覚や個人の意識にとらわれない表現上の様々な実験は美術だけでなく、その後の映画や写真の展開にも大きな影響を与えたとされています。そしてそんな時代にも「自動書記(オートマティスム)」という、今回の課題のような詩の実験がなされたそうですよ。興味がある人は調べてみよう。

IMG_9198

IMG_9205

IMG_9211

IMG_9195

IMG_9209

講評ではみんなの感想を聞きながら、文章で表現することについての意見交換をしました。一番多く書いた人で約5,000字(!)、意識が朦朧としつつ途中で睡眠を挟んでみる人もあり、気がついたら物語を創作していた人もいたりして、実験としてはなかなか面白かったです。人生の中で2時間くらいは「コップを見つめながら原稿用紙に文字を書き続ける」という時間があっても良いのではないでしょうか。

さてこの試みが今後の課題制作に活かされることを期待しつつ。いよいよ来週からは二学期末コンクールに突入します。

木炭について

こんにちは。油絵科の関口です。

※?今回はかなり長いので、早く木炭について知りたい人は、下の方の画像がある辺り迄スクロールして読んで下さい。

 

さて、もうそろそろ平成26年度芸大の募集要項が出る頃ですね。募集要項には受験の時に必要な持参用具が書いてありますが、果たして今年も木炭及び鉛筆による素描でしょうか?
新美のパンフにも載っていますが、芸大の入試は毎年の様に変化し続けていますので、来年の入試が前年度と同じとは必ずしも言えないんです。まあでも普通に考えれば、今年も上野校舎で木炭デッサンだと思いますので、今日は木炭について書こうと思います。

木炭デッサンは一次試験が国技館から上野校舎に移ってから再開されました。(1993年?2009年まで17年間に渡って一次試験が国技館で行われていました)国技館という場所を借りての試験だった為、会場を汚さない様に鉛筆による素描が始まった、と認識しています。絵を描く為に作られた会場ではありませんので、照明や座席など色んな事を考えると、当時の受験生は大変だったと思います。

 

木炭という素材は、日本ではあまり馴染みがありませんが、世界中で古くから使われている描画材の一つです。古代の壁画や古典絵画におけるデッサンでも目にする事ができます。
今日の日本では、美大受験で勉強をしようと、本格的にやり始めてから初めて触ったという人がほとんどだと思います。かく言う筆者もその一人。小さい時から木炭に慣れ親しんでいる人などは殆どいないのではないでしょうか?僕自身も最初に描いた時、全然上手く使えなかった記憶があります。

あと、木炭紙というのもフランス産でMBMという透かしの入っているのがポピュラーですよね。しかし、ヨーロッパでは画用紙や羊皮紙、水彩紙みたいな目が均一ではない紙に描かれる事も多い様です。僕が学生の頃、スペインのマドリッドにある、小さなアカデミーに体験授業でデッサンをさせてもらった事がありますが、紙はツルツルの画用紙で、擦筆で擦って描くというのが向こうの流儀でした。そう言えば、世界素描体系という画集を見ても木炭紙に描かれた素描というのは、殆ど見掛けませんね。今度時間がある時に詳しく調べてみたいと思います。擦筆
↑擦筆(この写真はコットン製で柔らかめですが、紙巻きで硬いものも市販されています)

 

さて、前置きが長くなってしまいましたが木炭の話に戻します。品質で言えば、やはり伊研というメーカーが一番のオススメです。番号によって木の種類や太さ、硬さ、色味などが結構違います。
一般的にはヤナギの木炭が柔らかくて使いやすい、とされています。他にもクワ、トチ、クリ、ハン、シナ、ミズキなど色んな種類の木炭がありますが、僕が使った事があるのはヤナギの他にはクワとミズキくらいでしょうか。ヨーロッパではブドウの木炭もあるそうですが、日本では手に入りませんよね。

 

では僕がお勧めの木炭の紹介をします。個人的な意見も多いので、悪しからず。

200No.200(ヤナギ)
この木炭は一本入りで、お尻に赤い紙の帯が付いているのが目印です。太くて柔らかい木炭です。黒もハッキリとしていて力強く、乾いたカラッとした調子が他の木炭では中々出せない様な気がします。そのまま乗せるとザラザラした調子が付くので、擦らなければ稜線を描くのに向いています。一本入りなので、当たり外れがあるのが玉に瑕(キズ)です。苦労せずに黒くカラッとした調子が綺麗についたら、それはレアものです。ここぞ、というところに大事に使いましょう。画材屋さんから聞いた話では、伊研はこの木炭を作る為に専用のヤナギを育てているそうです。この木炭専用のヤナギの木があるなんてスゴイですよね。ただ昔に比べると、少し細くなった気がします。
油絵科の先生方には一番人気で、一部の先生を除き、浪人の頃に愛用していたようです。

 

360No.360(ヤナギ)
中位の太さで、柔らかい木炭です。しっとりした調子が出しやすく、ガーゼで押さえた調子がとても綺麗に出せます。淡く繊細な調子も出せますが、黒さもしっかりと付くので、暗い画面を作っていくのに向いていると思います。取ったりつけたり、画面上でやり取りをするのにも向いている、オールマイティーな木炭です。
3本入りで途中から銀紙が巻いてありますが、描くのには邪魔なので最初に剥いてから使用します。人によってはこの銀紙に付いている糊がイヤだという意見もチラホラ聞きますが、気になる人はカッターで削りましょう。
油絵科の先生方には二番人気でした。因みに海老澤先生は「これ一本でデッサンを描いていた」と言う程です。

 

830No.830(ヤナギ)
かなり細く柔らかい木炭です。360番以上にしっとりした調子が出しやすく、細いので繊細な調子が出せます。触ると少し取れやすいという印象があります。なので、反射光部分に使いやすい気がします。この木炭の作る繊細な調子は、鉛筆との併用にも向いていると思います。この木炭も油絵科の先生方には人気が高かったです。
830番はかなり細いので、シン抜きの金色は太すぎて使えません。ワイヤータイプのブラシ部分も入れない方が良いと思います。入れたら最後、まず抜けなくなります(笑)。ワイヤー部分のみでゴシゴシ擦って中味を出して下さい。
芯抜き

 

ここまでが油絵科の講師に人気の上位3つですね。ここから先紹介する木炭は、どちらかと言うと少数派ですが、用途によってはオススメできます。

980No.980(ミズキ)
この木炭は細く、かなり硬い木炭です。芯もありませんので、そのまま削って使用します。
細くて硬いので、明るさや白っぽい部分を繊細に描きたい時や、描き込みに向いています。反対に描き出しには向いていません。他の木炭と比べると鉛筆の発色にも似ています。

 

361No.361(クワ)
意外と知られていませんが、クワは木炭の中では一番黒く濃い調子が出せます。ヤナギの木炭より硬いという事を知っていたので、今まであまり使った事はなかったのですが、先日試しに使ってみたところ、かなり黒い色が出せました。暗い画面で更に黒さが欲しい時には良いかもしれません。聞くところによると、彫刻科の先生の中にはこの木炭をオススメしている方がいるそうです。

 

1800~1500No.1800、1600、1500(ヤナギ高熱処理)
これらの木炭は普通のヤナギの木炭より少し硬く、押さえた調子が出しやすいのですが、360番や830番とはあきらかに違う色味が出せます。若干色味が薄いので明るめのハーフトーンを使いたい人にはお勧めです。
No.の違いは太さです。1800は太、1600は中、1500は細と考えて下さい。

 

220No.220(ヤナギ)
この木炭はちょっとマイナーですが、隠れた名品だと思っています。200番と360番の中間みたいな木炭で、時々200番よりカラッとした発色をする木炭が混ざっている事があります。2本入りなので、当たりの確率が高い気がします。200番でハズレが続いた人は一度買ってみては如何でしょうか?

 

木炭という素材についてちょっとだけ書こうかな…と思ったのですが、こんなに長くなってしまいました。最後まで読んで頂いた方、ありがとうございました。木炭を買う時のお役に立てれば幸いです。