カテゴリー別アーカイブ: 新宿校

木炭紙の耳と透かしのお話

こんにちは。油絵科の関口です。
油絵科の皆さんも、芸大一次試験がいよいよ迫ってきましたね。
さて今日は普段よく使っている木炭紙について、お話しようと思います。

普段皆さんが使っている木炭紙は、MBM木炭紙です。この木炭紙はフランスのキャンソン社、又はアルジョマリー社のもので、MBMや☆印の透かしが入っています。この☆印は3スターといって、最高級品質のもので、なんと日本向けに作られているのだそうです。日本向けとは言っても、この紙を使っているプロの絵描きさんなんか殆どいないので、ほぼ「日本の受験生の為に作られている」と言っても過言ではありません。FullSizeRender
木炭紙の耳と透かし。☆印も3つちゃんと入ってます。耳は完全な直線ではなく、手漉きの風合いがありますね。

ところで今年に入ってから、一部出回っていたこの木炭紙で、透かしが入っている場所が、長辺から短辺に変更されたのをご存知でしょうか?それと同時に紙の耳が機械による裁断により、完全な直線になってしまいました。紙が直線になると普通の画用紙みたいで、とたんに高級感が無くなってしまいますね。?Ø?Y??

少し前に海老澤先生と「近年の木炭紙は形に歪みがある」という話をしていました。僕も生徒の作品を撮影している時にその歪みに気付いていたので、二人で「紙漉きをして乾かす時、スペースを確保する為に立て掛けて乾燥しているに違いない」という結論に至りました。?Ø?Y??
今回一部で出回っていた機械裁断の木炭紙は、そんな歪み解消の為にやむを得ず導入されたのかもしれません。トゥールズの店員さんのお話だと、現在はまだ耳があるタイプが残っていますが、いずれ全てが新しいタイプに変更されてしまうそうです。
生産効率を上げる事と、コスト削減はどこの企業でも命題なのでしょうが、こういう木炭紙を見ていると世知辛い世の中になってしまったと、悲しい気持ちになってしまいますね。
今のところ、まだ以前の木炭紙が出回っている様ですが、四辺にちゃんと耳が残っている木炭紙で制作出来るのも、あと僅かかもしれません。そんな事も思い出しながら、一枚一枚制作してみて下さい。

最後に…芸大油画専攻で出される木炭紙は例年「特厚」です。普段皆さんが使っている(と思われる)「厚口」とは木炭の乗りや描き味が違うので、試験前に一度は試してみることをお勧めします。では試験まであと僅かですので、是非頑張って下さい。

2/12 ★1日体験講習 ~導入編~

美大の入試も真っ只中。
頑張る受験生たちの背中を見て、「来年・再来年はいよいよ自分も…!」と意気込んだり、ドキドキしたり、ちょっぴりそわそわしたり、そんな方も多いと思います。

本日新宿校では、春のスタートイベント第一弾♪…1日体験講習がありましたので様子をご紹介!
まだまだ続く厳しい寒さの中、ご参加いただきありがとうございました!

「美大ってどんなところ?」「美術ってどう勉強すればいいの?」「そもそも””””””デッサン”””””””って何……??!?」「パースってどんな味がするんだろう?」などなど、あらゆる疑問を解決できる楽しいデッサン講座です!無料で手ぶらで気軽~に参加できちゃいます。

まず初めての人たちにはデッサンの基本アイテム、鉛筆の削り方、持ち方、線の引き方からていねいにレクチャーしていきます。

 

 

これは、鉛筆のユニ。

けずり

 

 

こっちは新美のシンB君

Bくん
カッターで削るって、慣れないうちはなかなか難しい!
自分はしょっちゅうバキバキのボキボキに芯を折っていました。不器用ですから。
みなさん慎重に丁寧に削れていましたね◎

こうしていろんな線が引けて、描きやすくなった鉛筆をデッサンに使用します!

 

こうだよ。

もちかた

持ち方も、文字を書く時とはちょっと違います。かっこいー!

ストローク

大きく動かして勢いをつけると、まっすぐな線が引きやすくなります。
消しゴムやはかり棒などももちろん、一緒に使い方を勉強します。

さて、あとは実践あるのみ!ということで早速描いてみましょう。

指導1

デッサン中はどんどん個人指導!!
わからないことがあっても一緒に解決して、絵を完成に導きます。
先生もデモストでデッサンをしました。
人が絵を描く様子は勉強になりますね~!どんどん技術を吸収しちゃいましょう。

でもすと

 

はやい、うま

 

 

 

(後編に続く)
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来週2/19(日)渋谷校国立校1日体験があります
みなさまに楽しくデッサンしてもらえるよう☆講師スタッフ一同ご参加をお待ちしております!
▼お申し込みはこちらから!
http://www.art-shinbi.com/event/2017/start-event/oneday.html

映像科:武蔵美試験速報

こんにちは。映像科の森田です。
この映像科のブログは隔週の火曜日なのですが、何の因果か今日2/7は、まさに武蔵美映像学科の実技試験当日。
「今年はどんな問題が出題されるのだろうか…」と講師室で震えながら待っていましたが、
午前中の感覚テスト、午後の小論文/鉛筆デッサンを終えた映像科生が先ほど報告に来てくれました。

今年の感覚テストは「ここには来たことがある。」という文章がテーマ。
小論文はA4の白紙が複数枚渡されて、「皺(しわ)」と「折(おり)」について考察する、という問題。
鉛筆デッサンもモチーフは白紙2枚で、小論文と同じく皺をつけた白紙と折をいれた白紙を配置するという問題でした。

快心の出来だったという人もいれば、ちゃんと伝わる表現になったか不安だという人もいるかもしれませんが(終わった直後は大抵みんなそう言うので心配しすぎず!)とりあえずは目前の学科B日程に向けて、もう一息です。
体調管理など気をつけて、頑張りましょうー!

彫刻科 入直近況。

こんにちは。彫刻科講師の稲田です。
東京都では今がインフルエンザのピークというニュースを目にしました。毎日の制作で疲れが蓄積してきた今の時期は要注意ですね。マスク、手洗い、うがいはもちろんですが睡眠もしっかりとりましょう。夜寝れないからと起きている人が案外多いんですよね?不安や焦りで寝れないよ!という人もいると思いますが横になって目を閉じているだけで疲労は回復するそうです。制作で疲れた体を休ませてあげましょう。

さて、今週は私立大学の一般入試もはじまりアトリエの空気も緊張感がグッと増してきました。みんなが最終目標としている東京芸術大学彫刻科の1次試験までは丁度残すところ1ヶ月です。それぞれの努力でグングン実力が伸びている反面、朝から晩まで緊張した制作漬けの生活に精神的にも体力的にも疲労が溜まってきている生徒が多いように感じています。自分でも疲れて集中出来ないと自覚している人もいるのではないかと思います。もたないと感じたら遠慮なく休みなさいと先生たちは言うけれど、気が焦ったり、休むことへの罪悪感で休めないというのが本音でしょう。ただ、そんな時ほど思い切って休みましょう!何事もがむしゃらにやることが努力することではないですね、自分の体調や精神状態を知って受け入れることも良い制作を続けるための第一歩です。

今回は直近のコンクールのデッサンと素描を紹介します。

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確かな実力を感じさせる一枚ですね。武装する女神の顔の印象が惜しいです。後ろの円盤投げに形の複雑さが取り入れられるとより高いレベルの作品となるでしょう。

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こちらのデッサンを魅力のある作品です。武装する女神の台座の位置関係が不自然なのと円盤投げの頭部の髪の描写が浮いているのが惜しい。

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3時間の素描として十分な完成度を持った良作です。構図、構成、描き込み共にハイレベルです。あえて指摘するなら右手の握りが弱いところがもったいないことでしょうか。

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こちらも独特な描き込みで目を引く作品です。手の魅力を与えられた布を使ってよく表せています。

このように実技の質は日に日に高まってきています!!受験まで戦い抜きましょう!!次回は氷室先生です。お楽しみに。

日本画 岩絵具について

こんにちは!日本画の佐々木です。
本格的な受験シーズン到来ですが、今回のこのブログでは、前回予告した「岩絵具について」を書いていきたいと思います。

そもそも日本画って、大学に入ったらどんな画材を使うのか知っていますか?
日本画を受験する人でも、意外と知らない人が多いのです。
そう、「岩絵の具」のことを。

大学受験では水彩絵の具を使用する日本画ですが、大学に入ると「岩絵の具」という素材の使い方を学んでいくことになります。
岩絵の具というのは、文字通り、岩を砕いて作った砂のような絵の具のことです。

岩・・・?と思うかもしれませんが、ここでいう岩とは、鉱石のこと。
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水晶、ラピスラズリ、孔雀石などの、通称宝石と呼ばれているもののことです。
もちろん、粉末になっていればなんでも溶くことができるので、砂や泥などもありますが、そんな地球のカケラを絵の具として使うことができる、なんともロマンな専攻が日本画なんですね。私はもともと鉱石好きなので、素材としても日本画が好きだなあと思っています。

その、粉末のものをどうやって絵の具として使うんだ?ということですが、膠(にかわ)という動物由来の接着剤と水を混ぜることで、塗れる状態にして絵を描くのです。D6DC2569-4B8D-46E9-8856-F85FD914E6BB

粉末の状態に、膠を加えて

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指でよく擦り混ぜペースト状にし、水を加えてちょうどいい濃度になるまでのばす。

こんな感じで一色づつ絵の具を溶いて作るのです。
そして、混ぜる順番は変えてはいけません。
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さらに、動物性のタンパク質である膠を使っているため、ナマモノ扱いです。腐るんです。
なので、使い途中の余った絵の具などは、必ず冷蔵保存。

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それでも使い切れなくて余るときもある。そんな時は・・・「膠抜き」

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この膠というものは、熱湯ほどの熱さになると組織が壊れるようで、接着剤としての機能を失います。こうして絵の具を洗って乾かすことによって、無駄なく使い切ることができるのです。

・・・・・

めんどくさーーーーーーーー!と、思ったでしょうか?
なんか職人みたいでカッコイイ!!!と、思ったでしょうか?
私は断然後者でした・・・なんか、錬金術師とか薬師みたいじゃないですか・・・。
実際制作する時はめんどくさいなあと思ったりもしますが、昔からの変わらぬ制作過程を持つ日本画がかっこいいなとも思います。

先日のニューイヤーワークショップでは、この辺りの話からさらにもう少し広げて日本画についてお話ししつつ、実際に岩絵の具での制作を体験してもらいました。
また春に、そんなイベントが…もっとパワーアップして…ある…らしいぞ…??(コソコソ)
ぜひ、シンビのHPを要チェックしていてくださいね!!

ではでは、また再来週お会いしましょう!