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彫刻科 油がのっています!

彫刻科の氷室です! いよいよ1学期も終盤 夏がすぐそこまで来ていますね
最近、生徒の作品がグッと伸びて来ている様に感じます!みんな謙虚でいやいや自分なんてまだまだ。。。と感じているかと思いますが
それぞれ悩みながら真剣に実技に向かい合ってきた結果がじわじわ現れてきていて、厳しい指導をしながらも後ろでそっと感動している事もしばしばあります。
本当に実技がいい! 最近の私の感想です!
不思議な事に実技の傾向が似ずにむしろ分散している!個性を生かしながら各自が自分のルートを探りながら進んでいる事に正直驚きます!
これはとても良い傾向だと感じます。つかず離れず、同じ物では嫌だ!自分の良さはここなんだ!と謙虚ながらにみんなの芯の強さを感じずにはいられません。
それでこそアートだと思います!予備校という特殊な空間かもしれませんが、ここに存在しているパワーは確実に凄いです!

今日はその一端を紹介していきたいと思います

昼間部では1学期中に、粘土で作った首像を窯で焼成し作品として形に残すというテラコッタ実習のカリキュラムがあります
普段使っている水粘土ではなく、特別に発注した益子粘土を使い、今回はモデル首像を作りました!

Y.Mくんの作品
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ピッタッと粘土を押さえていくと面があやふやになり表面がぬるくなりがちですが、とても丁寧に形を探れているので強さがあります!モデルさんがそこに居るという空気含んだ実感が伝わってきます。骨格と肌の質感まで感じさせてくれる説得力のある作品です。

K.Sくんの作品
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とても柔らかく粘土が扱えていてモデリングである塑像としての魅力があります。思いきって肩を切ると動きが一直線になりがちですが、モデルさんの微妙な傾きを拾い上げ上手に表現してあります。表情も見せつつ全体感があり周りの空気も取り込んでくる作品です。

R.Yくんの作品
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モデルさんにとても良く似ています。ただ表情を似せることに集中してしまい全体の質感が似ている感じもあるので、ここから髪の毛や肌、骨張っている所の質感の違いを追究してみるのもいいかもしれません。その上でまず先に全体感が見えてくる強い作品を目指したいですね。

T.Uくんの作品
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とても綺麗な作品です。おでこ周りは髪が被さって来ると表現が難しくなりますが、しっかり観察してあります。骨格を掴みつつ、どう印象を似せて行くのか?その戦いが結果に繋がってきました。顔の強さに髪型や首もきちんと絡んでくるとさらに強固な作品となるでしょう。

F.Tさんの作品
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力強く眼差しを感じます!目の表現に果敢に挑戦していったことが結果に繋がりました。こういった全体的に抱えられそうな形の強さで魅せて行く作品はとても新鮮です。鼻から耳へ、そして後頭部へと自然に視線が動いていってくれる彫刻としての魅力がある作品です。

そしてこれらの作品を心棒から外し
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中の粘土をくり抜き一定の分厚さにして乾燥させてから窯で焼成します!
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それぞれの作品は、小川原主任のアトリエにある窯で焼成してもう予定です!
台座を作り着彩します。その風景はまた後日に。

先日行われたコンクール
デッサンはジョルジョ、塑造は構成でした
デッサン1位を獲得したR.Yくんのデッサンです
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首の動き、肩の形、胸の面が下へ広がるなどまだ弱い部分はありますが、横位置のジョルジョらしい印象が拾えています。顔の印象、形体、光、動き全てがバランス良く表現が出来ていることが結果として1位へつながりました!

構成課題1位はK.Sくんの作品です
一部分を紹介!
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御者と幾何形体を使った構成でした。リズム感と光と影のバランスが良かったです。何よりも御者のクオリティーは必須ですね!

こちらはロープとカボチャ木の3種類を使っての通常構成課題です。
Y.Mくんの作品の一部
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動きに関連するモチーフの使い方に説得力があり、目を引く作品でした

T.Uくんの作品の一部
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空間へのシンプルなアプローチがグッド!

A.Hさんの作品に一部
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モチーフそれぞれの作りこみが上手いです!

構成は完成度が重要です!もちろん空間へのハッとするアプローチも大切ですが、モチーフが持っている特性を活かしつつ時間と力量との相談も大切です。
粘土と言う素材ですが、その素材感を越えてモチーフの質感が見えてくるまで粘りましょう!そのためには、モチーフの特徴を拾えるまで観察することです!

次は、牛骨とタイヤの静物素描です。
T.Uくんのデッサン
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色味に幅があり、目立つデッサンです。どういう状況でモチーフがセットされていたかが良く分かります。タイヤも頑張りました。
牛骨の質感が感じられるまで、目の窪みの中の表現や骨の硬い感じもまだまだ探れそうです。

静物デッサンは床面の表現が大切です!ここで決まると言っても過言ではありません。そして明るい所やハーフトーンの部分をしつこくしっかり描き込みましょう!

ここからは石膏デッサンです。

K.Sくんのデッサン
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柔らかくて色味の奇麗なデッサンです。表情や構造感もしっかりしています!上手ですね。

T.Uくんのデッサン
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難しい正面位置から良く挑戦しました!腰の重量感が表現できたらなお良かったですが、難しいねじれを捉えようと細部まで気を使えています。

Y.MくんのデッサンIMG_6429-1
ブルータスらしい表情を捉えてあります。洋服を取ったときに存在するであろう体の張りが欲しいですね。

T.Uくんのデッサン
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空間を感じるデッサンです!やや体の切り口が伸びて顔が小さく感じてしまします。目で見たサイズ感を信じてバランスを合わせられたら恐いもの無しです!

こちらは夜間部で頑張っているA.Sさんのデッサンです!
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出だしから印象を良く捉えられていました!両肩から首の付き方までしっかり描けています。ジョルジョ特有の顔の印象も素直に観察が出来ていますね。見ていて飽きないデッサンです!

こちらはプレ夏期講習(デッサン編)にデモンストレーションとして参加してくれたT.Uくんのデッサンです。
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序盤苦戦しながらも、ここまで持ってこられるのはやはり実力を感じさせられます。マルス正面位置は難しいですが、動きがしっかりしていて、印象が丁寧に描けています!
ありがとうございました!

さてさて長いブログになってしまいましたが、ここにあるものだけでは語れない葛藤あり涙ありの作品たちも良い物がたくさんあります!
様々な葛藤を日々感じながら明快な目標に向けて突っ張れる日々もあっと言う間に過ぎて、夏がやってくるとさらに加速していきます。
目の前にある出来ることを、粘り強く。。。なんて月並みですが、そこに尽きるのもまた事実なのです。
いろいろ消化できないことが発生したらいつでも教えてください! スッキリして、またはメラメラ燃えて夏期講習を迎えましょう!
夏期講習はスペッシャルゲストが来てくれるかも?

私事ですが、最近の作品を紹介します! 小さな小さな展示を開催した時の作品です。
今回はドローイング(線)を立体に起こしてみました。

『境界線』2014 素材:飴、鉄、ドローイング
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飴の立体は溶けて境界線は離れていくのですが、溶けた液体はどんどん融合していきます
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境界線は別の次元で境界線ではなくなります
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それではまた次回のブログにて!

石膏像を含む室内空間。

こんにちは。彫刻科の小川原です。今回は昼間部の生徒に自由に石膏像を選んでもらい、室内の任意の場所に配置し素描する。という課題を行いました。かなり自由度が高い課題なので、完成度と同時に個性も出していきたいです。思えば僕の受験時代はあまり空間ごとモチーフを描くということはやらなかったです。というより全般的にシンプルなものが多く、基礎力を徹底的に上げていく、という感じでした。でも入試も歴史が積み重なれば多様化してくる訳で、受験生は修得しなければならないことが自然と多くなっていくということですね。一つ一つしっかりクリアーしていきましょう!
さて、作品紹介に移ります。
R.Y君の作品。木炭紙に鉛筆。
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実物のリアルな触覚感がなかなか出ず苦戦していましたが最終的にはいい着地が出来たと思います。自分が思ったより2段階くらい質の高い見方と描写を常に意識しましょう。作品は最終的には「これで決まり!」といえるところまで持っていきたいので、出来るだけ的確な仕事を重ねたいです。荒い探りは後半邪魔になってしまいます。大まかな見切りは良くてもそれがそのままフィニッシュにならない以上、もう少し慎重に、丁寧に、そして正確にするよりほかは無いと思います。
もう少し、ジョセフ以外の描写が良かったらな?(笑)

T.U君の作品。木炭紙大M画に鉛筆。
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高いところに像を置き、蛍光灯を含めた空間を描きました。最後までマリエッタの顔の調子のコントロールは上手くいかなかったですが、ちょっと手を入れただけ(色を抜いた)で良くなったのははっきり分かったと思います。描写力や完成度を上げる為のテクニックは素晴らしいですが、作品としての理想の完成のビジョンは明確に持てていないようです。どんな状況でも作品を最高に良く見せる為に何が出来るか、それさえ掴めれば今よりずっと作品は向上していけるはずです!

Y.Mくんの作品。木炭紙にコンテ。
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出だしから馬頭単体は非常に良くかけていました。裏を返すとこの構図での肝となる奥の壁までの空間感が不足していたり、箱のパースの狂いが目立ったりと、途中経過では雑味が多く、良さをかき消してしまっているのがもったいなかったです。どの段階においても常に作品としての魅力が画面全体に十分行き渡っていることを実感しながら描くことが重要なのですが、やや「途中段階」としてしか作品を捉えていないように感じます。最終的に画面に盛り込みたい要素は開始直後からそれを意識して線や調子に置き換えていきましょう!

さて今回はここまでです。皆大分伸びてきましたが本当にもう一歩と言ったところですね!あと1段階理解を深めると助言など無くても自分の力で自由自在にいい作品に仕上げていくことが出来るようになると思います。それを手に入れる為にはテンションを上げて毎課題楽しんで取り組めること。これが一番大切です!いい作品を生み出す原動力は「義務感」であっては不十分なのです。描くのが「楽しい」と思えたらしめたもので、吸収力は天と地の差となるでしょう(いつも思いますが、常にこんな状態が普通だというタイプの人はあっという間に抜けて出る人です)。浪人生の一番恐い落とし穴は「慣れ」です。新しいものを吸収しなくなればなるほど上達を実感できなくなり、向上心も失われていってしまいます。皆はまだまだ伸びる余地が沢山あるので自分で限界を決めることなく、もっと貪欲に、一番いいものの一段上を目指して頑張りましょう!

木炭で描くアグリッパ。

こんにちは。彫刻科の小川原です。基礎の課題でアグリッパを描きました。解説を加えながらのデモンストレーションだったので前半撮影が出来ませんでしたが途中からのものを紹介します。
1段階では構図を考えながらアタリをとります。輪郭内の作業では面の変わり目に出来る稜線を探り、立体を掴むようなイメージを深めます。正中線に対する左右の稜線の角度の精度も高め、今後大きく形を直す必要がないことを確認します。
2段階目では光源を設定し、明確に日向と日陰で調子を分けていきます。もちろん調子は最初に捉えた稜線上で変化させます。
そして3段階目。構造にそって調子をコントロールしています。より実際に近い起伏を追い、短時間でアグリッパの持つ印象に限りなく近づけていき、全体を微調整します。大抵の場合はこのくらいの進度で明確な狂いがある場合、アドバイス無く自力で修正するのは困難です。もしモチーフが捉えられていたらこの段階で十分に合わせきれるはずです。逆に合わせられない人はもう少し慎重になってここで精度を上げる努力をすることと、クロッキー力を上げることが求められます。1
4段階目ではガーゼを使って空間を作っていきます。奥行きのある面と逆行側は基本ガーゼで形を起こします。光側はガーゼを使わず、ザラ目を利用し、奥行き面とのコントラストのギャップを高めることで空間性を強めます。
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5段階目では4段階目でつくった下地に具体的な起伏をどんどん詰め込んでいきます。光源設定が崩れない限り、やや黒っぽくなっても良いです。ここでの探りは完成に直結するものなのでじっくり時間をかけて行いたいです。
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最終段階では特に何を重視して描くということは必要ありません。あえて言うなら具体的な描写と、バルールのコントロールは欠かせませんが、そのとき必要だと思ったことは何でもやるべきです。理想とする作品が見えてないと何となく時間が過ぎていってしまいます。どのような作品にしたいのか、その為に何をするべきなのか考えながらいろいろなことを試していくことが大切です。
このくらいで十分かな?というレベルでは実際のところ到底不十分なので、常に自分の限界を超えていくつもりで挑むつもりで向き合いましょう。
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完成作品をフォトショップで加工してみました。出だしでの光源設定では明確な光線状況の説明をしていきたいです。
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色数を4色に減色しました。たった4色でも十分に像の印象を引き出すことが出来ます。どこにどんな色を置いていくか、描き出す前に作戦を立てましょう!
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今回は時間がなかったので2時間半くらいで仕上げました。ちょっと無理がありましたがなんとか間に合わせた感じです(笑)
僕は受験時代も描くのは早かったですが、その当時とはモチーフに対する見方や描き方は全く変わりました。デッサンは普段あまり描かないので日々の特訓の延長で段々変わってきたと言う訳ではなく、どちらかと言うと自分の作品制作の中で形に対する追求度や視野の範囲が変わってきた為にいつの間にか変わっていたと言うのが正直なところです。
受験時代ではいかに奥行きを深く、細部を緻密に、画面全体を明解に描けるかにこだわりを持っていました。やや実際のモチーフの状況を置き去りにしていたところがありましたが、今はどれだけ実際のモチーフの魅力を引き出すことが出来るかと言うことに興味の方向性が変化しています。
皆さんも自分のデッサンに作品としてのこだわりを持って取り組んでほしいです。最初は「こんなデッサンが描きたいな」でいいのだと思いますが。最終的にはそれを越えていくべきだし、自分で理想を見つけていくことがおもしろさでもあります。

さて、プレ夏期講習が近づいてきました。彫刻科では6/22日にプロセスから学ぶモデル首像、29日にプロセスから学ぶ石膏デッサンを行います。どちらも1日で完成させます。まだ未経験でこれからはじめるという人、とにかく早く上達したい人、制作に行き詰まっている人は是非参加してみて下さい。丁寧に制作のコツを伝授します!
基本は現役生対象の講座ですが、学外の浪人生も是非。参加無料です。各日3日前までの申し込みとなっているのでお見逃し無く!!

今週はいい作品が多く出ました2

こんにちは。彫刻科の小川原です。今日しばらく放置していた作品に手を付けました。ほぼ完成状態だったのであとちょっとだったのですが、もうすぐ終わる!という安心感と、ちょっと間が空いてしまったことによる気持ちの離れから結構な時間が経ってしまいました。複数の作品を同時並行的に進めていたので、どうしても時間の割き方のバランスが取れなかったです。結局メインの作品に目をかけてしまうわけですね。作品は無事完成しました!なんかほっとしてます(笑)

さ、前回に続いて作品を紹介していきます!
自刻像。
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隅々まで観察が行き届き、説得力のある作品になっています。自刻像は鏡(平面)を見て立体におこすので、どうしても複雑な形が追いきれずに甘くなりがちです。日頃から筋骨が与える表皮への影響を研究しておくことが必要不可欠です。さらには自刻像は「自分自身」がテーマであるので、自分の内面性を形に置き換えるということも考えられると作品にさらに高い価値が生まれます。そういった意味では模刻的な形合わせに一生懸命になるだけでなく、作品の内面性を感じ取り、足りないと感じるものを探していくのも大切なことと言えます。

石膏デッサン。円盤投げ。
Y.M君の作品。
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量感も動きも全体の印象も円盤投げの持つ魅力に迫れていて、迫真に迫る内容の作品です。素直に、謙虚に対象を追った結果と言えるでしょう。やや白側のグラデーション、特にハイライトが不足している為に鈍さが目立ちます。最後まで作品としてデッサンをコントロールしきれるよう理想的な完成のビジョンを持てるようにしましょう。

T.U君の作品。
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2列目から描きました。この位置は動きや厚みを出すのが難しく、円盤投げの中で最も難しい位置と言えるでしょう。そんな中でかなりの精度が出せているので作者の実力の高さが伺えます。今回の作品に関しては手前の脇から脚にかけての陰の調子がべったりしてしまい、やや具体性を欠いてしまったのがもったいないです。陰の中での調子の変化についてはさらに意識を高く持って取り組めると良いです。

Y.S君の作品。
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やや首が長いものの、状態を後ろに傾け、伸びている印象がとても良く出ています。色は独特で多くの作品が並んだときに目立ってくるのが良いですが、形の抵抗感はやや弱めです。色と形が相互に関係し合えるような表現が目指せると良いです。

R.Y君の作品。
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調子の幅の広さが作品のリアリティを高めることに一役買っています。質量感を感じることも魅力的です。腰より下は良いのですが、回り込みの仕事がやや浅く、背中までの断面の厚みが足りなく感じてしまうのがこの位置から描く円盤投げとしてはもったいないところです。あと、口が2mm上に上がると印象が合います。集中して描いていると何が合っていて何が違うのか分からなくなりがちですが、常に客観的な目(普通の目)で見れるようになるとデッサンにおいて印象を外したり、何かの要素が足りなくなったりしなくなるので常に一定以上の評価が得られるようになります。最終的な作品性に関しては本人の意思を詰め込んでいくことが必要になるのでそこは「見たまま」以上に「狙い」や「目的」が必要です。

T.F君の作品。
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見上げたスケール感が良く出ています。胴から腰、脚までの調子のコントロールが断面の量感や印層をしっかり捉えられていてとても魅力的です。反面肩から頭部にかけては探りが非常に浅く、実態感が感じられません。画面全体で一つの世界観をつくっていくと言う意味ではやや仕事がばらけてしまっているのがもったいないところです。とはいえ作品からは他の人には無い魅力を感じます。
放課後T.F君が体を張って上半身裸で円盤投げのポーズ解説をしてくれました。ちょっと違ったような気もしますが、石膏像のポーズを自分でしてみるのは理解を深めると言う意味で重要です。(写真をブログに載せてくれと本人の強い希望がありましたが割愛します。)さ、1学期も後半戦!気合いを入れていきましょう!!

今週はいい作品が多く出ました!

こんにちは。彫刻科の小川原です。梅雨ですね?。いかに濡れないように傘のポジションのコントロールに集中するんですが、結局背中や足下が濡れてげんなりしてしまいます…。
ところで彫刻科は石膏デッサンを木炭で描くのですが、僕は受験時代の入試直前の時期に木炭紙への木炭の乗りの悪さに困ったことがあって、当然自分の技術を全く疑うことなく(笑)何か別に原因があるんじゃないか!と考えたことがあります。その結果湿気不足と言う結論に至り、イーゼルにずぶ濡れのぞうきんをかけたり、周囲の床に霧吹きで水を撒いたものです。もちろん芸大入試当日も(笑)相当白い目で見られましたが、湿気の効果もあって両隣の人は無意識のうちにいつもよりいい作品になったことでしょう(笑)自分的には効果はあったように思いますが、実際描き比べをした訳ではないのでどれほど有効であったかは今でも不明です…。予備校で講師を始めてから生徒から乗りのいい木炭と乗りの悪い木炭の見分け方を教えてもらってからは湿気なんて全く問題なく乾燥してても描けるようになりました(笑)

そもそも木炭にはそれぞれナンバーが割り振られています。木の種類や木炭の製作行程によって描き味が変わるわけです。ただし同じ種類であっても全く紙に乗っていかないものなんかも混ざっていて、質にはばらつきがあり、買ったものから使いやすいものを選定していく訳です。見分け方を知りたい方は是非聞きにきて下さい(笑)カンタンすぎて笑ってしまいます!

さてそれでは作品の紹介に入ります!数が多いので2回に分けようと思います。
ヌードモデルデッサン。
T.U君の作品。木炭紙に鉛筆デッサン。うすだ

隅々まで行き届いた観察と、破綻無くコントロールされた調子にかなりのレベルの高さを感じます。コンスタントに結果を出せていて、なおかつ惰性で描いていないことが素晴らしいです。今回は木炭紙に鉛筆描きでしたが、彼の描写の特徴で、中盤以降H系の硬い鉛筆でベースを抑え込んでいってピタッとした形を表現する方法が木炭紙の質に合わず、木炭紙が負けて波打ってしまいました。木炭紙は普通の画用紙と違って描写が詰めていきやすいし、もともとマットに仕上げやすいので出来るだけB系からFくらいまでの鉛筆で探り切って、H系は最小限にとどめておいた方が良いかもしれません。画用紙のようにH系で抑えて抵抗感を出す。と言うのは向かなそうです。でもそれをしなくても形にしやすいと言う風にポジティブに考えて大丈夫だと思います。

自刻像プラス手
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ポーズに雰囲気を感じる作品です。顔の印象も柔らかく魅力的になりました。まだまだ首、肩、胸、髪など、表現として成り立っていない部分が多いのでどうしても荒削りな印象を受けてしまいますがもう少し技術を磨けばとても光る作品が生み出せそうです。どこまでやりきるのか、しっかり目標立てて取り組みましょう。完成した作品を早く見たくて僕はうずうずしています(笑)

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saitou
自分の「手」ではない設定でつくりました。が、本当は自分の手としてつくってほしかったです(手首と肩の間に肘を想像しながら作品を見たかった)。それは抜きにして、柔らかく粘土の特性を生かした土付けと、自然な動きが魅力的な作品です。表情の弱さ(まだ生きている人間の精神を感じない)や切り口付近(こだわりが感じられない)の工夫が何とかなれば言うことは無いです。自分がここまで出来ればいいかなというレベルを常に越えていくことを目標として下さい。その為に工夫したり努力することを楽しめるようになるといくらでも上手くなれます。それが積み重なっていつかロダンを越える時が来るかもしれません!そう考えるとまだまだです!

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迫力のある造形感が魅力的な作品です。かなり全体に手が回るようになってきましたがまだまだ大味な雰囲気は抜けません。単純に丁寧に作り込む意識(密度を上げる)を高めることによって克服することも出来ますが、要点を絞って形を締めていく方法や、これ以上密度を上げることは考えずに、大きな構造の張り、締まりの展開を追求する方向性(彫刻的に形を分析し再構築する。現実と違ってよい)なども考えられます。形に緊張感を与えるコツが掴めるとガラッと見え方が変わってくるので是非テーマに加えてほしいです。

メディチの模刻。
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全体にわたってバランスやプロポーション、印象を合わせられています。荒付け段階から(狂いはあっても)メディチそのものを捉えながら進めることが出来たと思います。問題点は二つ。一つ目は全編通して作業の確実性が甘いところがあることです。そのために行ったり来たりするため、時間を効率よく使えていません。もう一つは作品のクオリティに対しての追求心の甘さです。まだその形の特徴が出せていない段階で完成としてしまっていることです。美術とは決められた答えが無く、無限に追求していくことが前提の学問なので、基本「終わり」は無いのです。例え受験生であっても「合格」を目標とせず、その先を目指して下さい。その結果「合格」は必ず貰える「ご褒美」のようなものなのです。

名言でた!と思った人、そんなの精神論でしょ?と思った人。まだまだですね(笑)作品の評価が数名の教授達の主観でしか無い以上、確実に合格する為にはいわゆる予備校が打ち出す「合格のライン」を目指していては足りないのです。(皆がそこを目指しているから)100点の答案で120点を出せるのが美術のおもしろいところで、皆が100点を目指してきわどい争いをしている中(大抵100点は取れない。ここが重要)、100点以上のことが普通に出来る人は余裕で合格を手にすることが出来るのです。
当たり前のことを話しました(笑)しかし真実でもあります。
芸大に入りたい!と思ったとき、多くの人は必至で努力することと思います。必至になってやれるだけやって、ギリギリで受かっていくのだと思います。でも現実には少数ながら全く苦労することなく余裕で受かっていく人も何人かいるのです。
苦労してギリギリで受かるタイプと、苦労せず余裕で受かるタイプ…。真逆ですね。
苦労しないで受かる人なんて、どうせ元から上手い人か、天才ってことでしょ?と思うかもしれませんが、実はそうではないのです。ここで話は戻りますが、苦労しないタイプの人は100点を越えることを目標にしている人たちのことです(100点に興味が無い)。どんな人かと言うと、「上達することが最大の目標である人」であり、「上達する為にあらゆる工夫をする人」であり、「その過程のすべてを楽しむ人」です。そういう人は意外に入試のことなんてあんまり考えてなくて、もっぱら自分の作品をどうしたらもっと良くできるか考えて、研究して、挑戦します。その連続でどんどん成長するのです。彼らの原動力は「大学に受かりたい」というものではなく、より高いレベルへの「好奇心(探究心)」と「成長する喜び」。それだけです。人によって成長のスピードには差がありますが、この二つを合わせ持った人は少なくともその人の中での最速での上達が見込めます。そんな彼らにとって受験の世界は自分を成長させるための絶好の環境であり、1年通して研究し切ったご褒美に「合格」がついてくるのです。
「好きこそものの上手なれ」ということわざがありますが、まさにその通りなのだと思います。
美術の世界を目指す全ての人は美術が好きだからこの道を選んだはずなのに、受験の世界に身を置いている間にいつの間にか「美術」そのもののおもしろさを見失ってしまい、受かる為の努力しか出来なくなってしまいがちです。
本当に上手い人は特に何も悩まず、制作そのものを楽しんでいるパターンが多いのです。でもよく考えてみて下さい、美術を始めたきっかけは皆そんなものだと思います。これが才能だと言うのなら皆が持っているはずのものです。もし忘れかけてしまっているなら是非思い出してみて下さい!
自分自身の経験(自分の受験の経験、講師としての経験)を振り返って、大学に受かる必勝法は何かと聞かれたら、自信を持ってこれだと言い切れます。