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7/8(日)推薦入試説明会

こんにちは。
7/8(日) 16:30より、新宿校にて「美大 推薦入試説明会」を行います。

近年、美術大学でも多くの学科で推薦入試やAO入試が実施されています。
推薦入試の内容は多岐にわたります。場合によっては一般入試よりも難易度が高いこともあり、正確な情報をもとに、早い段階から準備することが求められています。
新美では、一般入試と並行して推薦入試対策に取り組み、これまで多くの受験生を指導してきました。

当日は全体説明と個別での相談にもおこたえします。
また合格者の作品ファイル(ポートフォリオ)の展示も行います。
受験生、保護者様、高等学校教員の皆様を対象としています。
申し込み不要ですので、ぜひご来場ください。

石膏デッサン考 part 2

こんにちは、全科総合部です。
今回は、彫刻科の先生と油絵科の先生、スパー講師とレジェンド講師の対談です。
石膏デッサンについて、それぞれの見解をそれぞれの立場で語ってくれました。
今までにない貴重なテキストです。永久保存版です。

「 石膏デッサン考対談 」 小川原先生 vs 海老澤先生

?小川原先生:先天的に、石膏デッサンが最初から上手な人がいます。でもそれは稀で、ほとんどの
人が“上手くない”から始めます。なので芸大入試の石膏デッサンにおいてもごく一
部の受験生を除いて“上手くない”から描き始めますが、最後まで“上手くない”
人は、構図・形がズレているまま描き進めてしまっています。

?進行(阿部):入試の場合、決められた時間の中で仕上げないといけないので、焦ってそうなって
しまうのでしょうね。

?小川原先生:ほっといても受かる人はどの科にもいるのでしょうけど、ほとんどの合格者は他者と
競って受かっていきます。受かる人と落ちる人の差がどこに
あるのか?その一つに
「描き出し」があるのではないかと考えます。

?進行(阿部):そこでクロッキーに行きつくわけですね。

小川原先生:そうです、受かる人はクロッキー的に石膏像をとらえています。デスケル(デッサ
ン・スケール)を覗いて点をとってつなげて形をとってい
る人は、形も合わず、直す
力もつきません。

?海老澤先生:デスケルを使用したからといって、上手くなることはないですね。デスケルで形を合
わせるのは理論上で、デッサン力とは違います。

?小川原先生:細部にとらわれ過ぎず、シンプルに形体をとらえるにはクロッキー力を鍛えるのが一
番。そのことにより大きな構造感を意識することができるように
なります。むしろ細
部は、全体感ができるまで描かないつもりでもよいかと
思います。どれだけ視野を広
げてクロッキー力をつけ、他者に差をつけるこ
とが合格につながるのではないでしょ
うか。

?

進行(阿部):「描き出し」には欠かせないのが構図をとることですが、海老澤先生はどうお考
でしょうか?

?海老澤先生:石膏デッサンの歴史の中で決まっている「構図」というのがあります。その意味から
理解しないと勉強になりません。そうしないと、自身の作品等に応用もできません。
例えばフェルメールという画家の作品では、人物が小さく描かれていてもリアルな大
きさは感じられます。メイプルソープとう写真家は大理石の彫刻を撮った作品もあり
ますが、クローズアップして彫刻の魅力を出しています。特に油絵科の場合、石膏像
の模写ではなく、「あなたの感性で、石膏像を描きなさい」という意味合いで入試に
出されることが多いようです。ルールどおりだと、かえって主張が弱いとまで思われ
るふしもあるくらいです。
でも、決められた構図もいい構図のひとつであることも確
かです。
 

?小川原先生:彫刻科の入試でも、思いがけず構図が小さくなってしまったものは論外ですが、敢え
て小さく入れたものでも、力があれば認められると思います。
石膏像に他のものを組み合わせたりしたモチーフが時々でたりしますが、そうなると“石膏デッサン”というより、“静物デッサン”として構図をとります。なので、石膏像の台座まで入れることが多いです。むしろ入れないと「彫刻的」でないとみなされて、減点の対象になります。

?海老澤先生:油絵科の入試で何が大事かと問われれば、ハートが大事ではないかと私は考えていま
す。そうなると、構造が大事とも細部が大事とも調子が大事ともい
えるし、どれもいえないともいえます???要は、人それぞれ違うのです。たとえば、雰囲気が大事な人は、形を出しすぎると損なわれることもあるので、形を犠牲にすることもあります。

?小川原先生:それに比べると彫刻科はストイックですね。調子でいうと、明るさの中の形も白くと
ばしたりはせず、形を追っていきますし、暗さの中も潰さず追って
いきます。

?進行(阿部):とはいえ、彫刻科にも感性的なところもあるとお聞きしたことがあります。

?小川原先生:そうですね、敢えていうなら、石膏像が写真のようにそっくりでなくても良い点です
かね。形のくるいの中でも、あっても良いくるいとダメなくるいが
あります。わざわざくるっているのが良いというわけではありませんが、構造からくるくるいは許せません。

?海老澤先生:わかります、ロダンの彫刻を思い出しました。ロココ調の彫刻は綺麗ですが、いまい
ち表面的な場合が多い。その一方、ロダンは構造的な形は言い切りが
強く、説得力があります。表面的なくるいではなく、良いくるいですよね。クロッキーもしかり。

?進行(阿部):奥深くなってきましたが、今回はこのぐらいで、続きは「スペシャル・サマー・セ
ミナー」石膏デッサン強化ゼミでお願いします。有意義な意見いただきました、ありがとうございま
した。

?お疲れ様でした。

まだまだつづく、
7月15・16日、スペシャル・サマー・セミナー「石膏デッサン強化ゼミ」の申し込みはこちらから!
是非、おまちしております!

こんにちは、彫刻科の新妻です。
今年度が始まってもうすぐ3ヶ月、怒涛の夏期講習が近づいてきましたね!
じっくりと時間をかけて作品を作る事ができるこの時期は、基本的な実技力と取りこぼしている要点をおさえる事が大切だと思います。また浪人生ほどたくさん実験と失敗を繰り返して実技の引き出しの幅を広げましょう。夏を迎える前に、出来てることと理解が足りていないことの確認をし、現段階での自己ベストを夏前のコンクールで叩き出せるといいですね!

それでは最近出た預かり作品を一部紹介します。塑像3連続!

自刻像

印象を捉えるのが得意な作者でしたが、雰囲気だけではない作りこみまでじっくり調整出来たことで、よりスキのない作品になったと思います。粘土でできてるけど爽やかさがありますね!

静かな表情の中に強い意志を感じる佇まい。。いいですね。地道な形の観察と、目や髪の毛などの表現がうまくまとまっています。

続いてブルータスの模刻

作り始めから完成までの間であらゆる要素を気にしながら短い時間で印象を近づけていく模刻課題はシンドイ作業ですが、安定して対象に迫りながら高いレベルで仕上げられています。

 

着実に力をつけていっていますね!そして、まだ切羽詰まっていないこの時期に、是非色んな作品を観て作品を作る人としての見聞も広げていってほしいと思います。そこで最近観て面白かった展示を一つ紹介します。

六本木、complex665にある小山登美夫ギャラリーで開催されている菅 木志雄展。「もの派」(※1)と呼ばれる動向の初期から活躍されている作家です。
一般的な意味でのいわゆる技巧的な凄い作り込んである?!という表現ではなく、むしろ素材の持つ特性を活かすために加工は最小限に留め、モノとモノとの関係性、空間との関係性を突き詰めていく作品を思考されていると感じます。しかし特に予備知識がなくても、その場に展開されているコンポジション(※2)に身を委ねるだけでも面白い展示です。芸大二次試験の彫刻1の課題に苦手意識がある人は、「構成」について深く考えるヒントがあるかもしれません。

※1・・・60年代末から70年代初頭にあらわれた日本美術の動向。作家たちは石、木、紙、綿、鉄板といった素材をほぼ未加工のまま提示し、ものの存在自体、あるいはものと周囲との関係に意識を向ける作品を制作した。もの派最初期の作品として68年に関根伸夫が制作した「位相ー大地」などが有名。
※2・・・「構造、組立」を意味する言葉であるが、美術用語としては「構図」とされる。語源はラテン語の「構造(Compositio)」。

菅 木志雄
広げられた時空
小山登美夫ギャラリー 2018年5月25日~6月30日.日曜月曜祝日休廊
11:00~19:00  入場無料
http://www.tomiokoyamagallery.com

上記であげた展示に限らず、「こんな彫刻表現もあるんだ!」という経験をたくさんする事で、「では自分は何を表現するのか?」という問いが生まれ、日々の制作に、より鋭敏な感覚が足されていくのではないでしょうか。
というわけで、、、
手前味噌ではありますが、現在新妻もグループ展に作品を出品しております!「日常にアートを届ける」をテーマにした小品展で参加作家41名、総作品数100点越えのバラエティに富んだものになっています。お近くにお越しの際は是非お立ち寄り下さい!

「small works 2018」
ガレリアグラフィカ
6/18?6/30.日曜祝日休廊
11:00?19:00(最終日17:00まで) 入場無料
http://www.galleriagrafica.com

そしてそして、さらにその翌週から同じく彫刻科講師の氷室先生の参加する、いりや画廊でのグループ展も始まります。
いりや画廊はその名の通り台東区入谷にある、彫刻家の展示を多く企画しているギャラリーです。こちらも楽しみですね。

「壁11㎡の彫刻展Ⅲ」
いりや画廊
7/2?7/14.日曜休廊
11:30?19:30(最終日16:00まで) 入場無料

https://www.galleryiriya.com

暑かったり寒かったり雨降ったり体調を崩しやすい気候が続きますが、よく食べよく動きよく寝ましょう!
それではまた!

サマーワークショップ御盛況

こんにちは、全科総合部です。
というのは勝手に命名してしまいましたが、各科に関わらず
総合的に新美の情報を促していきたく発足しました、宜しくお願い致します。
担当は阿部です。

昨日の18日(日)では、サマーワークショップが新宿校で開催されました。
お陰様で、内部生・外部生ともども多数のご参加、ありがとうございました。
その様子の一部を、今日はご紹介します。

まずは、「リサーチTシャツ制作」どんなTシャツができるのか?ただのデザインではないので、
少し心配していました。

それどころか、ジャーン!!
こんな「おもしろTシャツ」が、たくさんできました。
ただのデザインしただけでなく、それぞれ個性が出て本当に楽しく見させていただきました。
欲しいのもありましたが、さすがに一点ものなので、もらえませんでした。

一部、新宿校1階のギャラリーに展示してありますので、興味のある方はご覧ください。

つづいては「木綿のハンカチを藍染で染めよう!」です。
こちらは、はじめてのワークショップなので、準備も担当の先生まかせで心配でしたが、

それどころか、ジャジャーン!!

素晴らしい!!
大したものです。こちらも購入したいくらいです。

一部、新宿校1階のギャラリーに展示してありますので、興味のある方はご覧ください

つづいては「わくわくボディーペイント!」です。
こちらも、直接手にアクリル絵の具で描くので、大丈夫なのか?おちないのではないか?などと
余計な心配をしていました。

それどころか、ジャジャジャーン!!!

すごーい!!!
キュート!!!
全然平気でした。絵具もお湯で、ぺろーんととれました。

一部、新宿校1階のギャラリーに展示してありますので、興味のある方はご覧ください

つづいては「手を型取りして描いてみよう!」です。
自分の手を型どりして石膏で成形しますが、改めて白い自分の手を客観的に観察するのって
不思議な感覚ですよね。いつも見ていて知り尽くしているはずですが、見れない角度があったり、意外な比率を発見したり。新鮮な気持ちで自分の手を見直すことが、楽しいそうでした。

1日で型を取って、デッサンも仕上げられるのか?と心配でしたが・・・

それどころか、ジャジャジャジャーン!!!

立派に仕上げてくれました。
一部、新宿校1階のギャラリーに展示してありますので、興味のある方はご覧ください

つづいては「プロジェクターで映像を投影する」に、おじゃましてきました。

なんと!?
教室に入ると・・・ジャジャジャジャジャーン!!!
いきなり こたつ!?
これには、ビックリ!!オッタマゲーター!!!
まだ準備段階の画像しかお見せできないのが残念ですが、この段階でもワクワクしてきました。

次に「木工お皿を作ってみよう!」では、ジャジャジャジャジャジャーン!!!
お皿を越えたアーティスティックな作品が!
モチーフは、ゴッホのひまわりだそうです。敬礼!

つづいて「シルクスクリーンで学ぶ混色」
サコッシュなるカバンにシルクで、刷っています。
準備も大変だったと思いますが、そのかいあって喜び勇んでお持ち帰られたようです。

全てのワークショップをご紹介したいところですが、とても長くなってしまいますので、大変申し訳ございませんが、今回はこの辺で失礼させていただきます。
残りは、またの機会でご紹介させていただきます。

全てのワークショップの一部、新宿校1階のギャラリーに展示してありますので、興味のある方はご覧ください

みなさんありがとうございました。
お疲れ様でした。

彫刻科 5月後半からの秀作の紹介。

こんにちは。彫刻科の小川原です。暑くなってきましたね!新年度がスタートし、2ヶ月になります。この春から初めて本格的に彫刻科での特訓をスタートした生徒の皆さんも大分慣れてきて、成長が実感できるようになりました!一通り出来るようになってからが本当の勝負なので、今後一層頑張ってもらいたいです!僕達講師は必要な時、必要な指導をどんどん入れていくので上手く吸収していって下さい!

先に宣伝をしておきます。7/15(日)、16日(月祝)に石膏デッサンのイベントを行います。15日は石膏デッサンに関わる科全ての講師が集まり、クロッキーと描き出しについての解説、デモンストレーション、実技指導を行います。特に芸大入試において一次試験である石膏デッサンは確実に自信をつけておきたい課題ですよね。実際の所ほとんどの人は描き出しで形が取れず、そのまま終わってしまうことが多いのではないでしょうか?上手い人が毎回良いデッサンを描けるのは、すでにスタートの時点で捉えているものが違うということをまずは理解してもらえると、スムーズな成長に繋がると思います。実際描写がどうのとか、描き込みがどうのとか、そういうことは形(印象)の狂いからしたら今の段階では大した問題ではないと思います。そこの認識が甘い人は本当にいつまでたっても、それこそ何年やっても形が合うようにはならないのです。

まずは意識を高めましょう。形が取れないことを重大な問題だと受け止めて下さい。何となくの気持ちでこのままやっていてもダメだと思います。それではどうやったらいいのか、それについて15日の講習では明確な答えを用意して待っています!今年の芸大の合否に関わるような内容の濃い講習にしたいと思っています。期待していて下さい!

16日はコンクールを行います。1日単位での参加も可能なのでコンクールだけ参加するのも可です。このコンクールでは石膏デッサンに関わる全科合同のコンクールです。採点は各科ごとに行うので、実際の入試や公開コンクールに近い感覚で臨めます。ただ今回は全科合同なので他科のデッサンの捉え方を制作中に見ることが出来たり、講評では自分以外の科のデッサンの良い所(吸収するべきところ)を各科の講師の先生の解説を聞きながら理解することが出来ます。各科上位の作品が同時に並ぶコンクールというのはなかなか経験できないことなので是非参加して欲しいです。
制作時間は6時間で、この時期としては短いし、そもそも日本画は元々12時間描きなので大変な部分もありますが、科ごとの採点という意味では差がついてしまうことはないし、6時間の時点での内容でほぼ作品の善し悪しは決まっていると思います。今年芸大を狙っている学生は新美生、外部生問わず挑戦してみてください!!

それでは彫刻科生徒の作品を紹介したいと思います。
昼間部生の作品。
夜間自主練習作品。ラオコーン。

木炭デッサンを初めて使ったところから2ヶ月ですが素晴らしい成長を見せています。アドバイスをスポンジのように吸収してくれるので教えている方もワクワクしています!
今回の作品はかなり丁寧に仕上げてきています。そこが良いところですが逆に捉え方が小さい単位での連続なせいでやや大きな空間感や量感に欠けるところが惜しいです。

塑像ジョルジョ。

課題の時間内では狂いを残して終わってしまいましたが、その後残って直しました。出だしからブレることなくコントロールできるようになれることを目指していきましょう!しかし最終的に出来上がったものはとても良い印象です!

ミロビ。6時間制作。

この時期からペースを上げてやってもらいました。表面的に作りきる事が武器でしたが、今回は6時間という短い時間の中で、ミロビという難しい課題で表面に走ることなく全体感を重視して良いバランスで終えることが出来ました。決して完成度が低く見えたりはしないです。良い傾向です!

ライティング課題。アトリエを暗めにして、強い光源のもとデッサンを描きました。

もうそのままの見た目が美しく見えたと思いますが、それがデッサンからも感じ取れます。とても良い反応ができました!通常の光源のデッサンでもこうした無力のブラッシュアップを行っていきましょう!


印象もよく、カッチリ描けていてよいです。調子の変化が形に正確に張り付いているようです!
どんどん上手くなっていきますね!


前半かなり苦戦しましたが魅力的な画面に仕上がりました。手前の腕や体の弱さはありますが、それを補って余る調子の魅力があります!
夜間部。現役生の作品。
体育祭と重なって短時間での制作になってしまいました。若干焦って進めたところがあり、まだ顔に安定感が無いですが、それでもジョルジョで一番難しいこの位置でここまで持ってこれる事に高い実力を感じます。また次回はやりきったものを見たいです!

さて、僕は自分の作品の鋳造作業が進んであと1月くらいで2作品が同時に完成しそうです。完成したら新美のショウウィンドウの作品を入れ替えようと思います。

いま制作中の原型。


夏は暑いけど、それ以上に熱く頑張りましょう!!