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彫刻科夏期講習お疲れ様でした!

彫刻科の新妻です。一月半ほどの夏期講習が終わり、2学期への英気を養っているといったところでしょうか?色んな課題のポイントをチェックしながら次々にこなしていくのはなかなかハードだったと思います。夏に蓄えた情報を秋でしっかり自分のものとして消化していきましょう。

生徒作品を紹介します。

アムールのデッサン

 

トルソのデッサンは胸像以上に画面の中にその像を再構築していく意識が求められます。プロポーション、動き、柱状の量感などを表現しつつ人体彫刻の自然なたたずまいがとらえられている2枚です。

グデアの模刻

顔面の仕事が目を引きます。頬やあごの張りも表現できています。後頭部、首部分をさらにシビアに形態を合わせていきましょう。

アバタのヴィーナスの模刻

外部生の作品です。デモストを観ることで今までの実技以上に高いレベルに到達できました。もともと良い観察眼を持っていることにあわせて、指導の内容如何で力の出し方も大きく変わることを実感してもらえたと思うので今回受講してもらえてとても良かったです。

デッサンコンクール・ジョルジョ

この時期でここまで言い切りの強い画面が作れるのはすごいです!肩幅、首回りの印象をさらに合わせたいです。

難しい位置ですが、しっかり印象をみれています。向かって左側の胸の形態感、眉間の影の印象がもうひと押し欲しいところです。

今回はここまで。レベルの高い夏期講習でした。地方へ戻る外部生の皆さん、またコンクールや講習で会えるのを楽しみにしてます!2学期から通いで授業に加わる皆さん、一緒に盛り上げていきましょう!内部生の皆さんは、次の課題はここぞという時に力を出し切れるか、かな。公開コンクールを一つのポイントにして、彫刻的な理解度を深めつつ自分の作品制作のチューニングをしていきましょう。

最後に今僕がグループ展に出品してる作品を。幼稚園生のころ、生まれて初めて作った彫刻(?)をもう一度大理石で模刻するという変なことをしてます。みんなこんな時期あったよね。ガレリア・グラフィカbisで9/7までやってます。ではまた。

http://www.galleriagrafica.com/jp/exhibitions/2019/1908_small%20works.html

 

彫刻科 夏期講習も残り1週間となりました。

昼間部講師の氷室です。夏期講習も残り1週間となりました。
既に、1日課題に突入しています。
結果が上ったり振るわない時もあるかもしれませんが、夏期らしく、濃くて充実した空気を教室の中に感じます。
この時期に自分の実技に真摯に向き合っていると、2学期の実技がまたグンと伸びて行きます。
まずは、この夏期講習を最後まで乗り切っていきましょう!

さて、ここからは最近の優秀作品の紹介です。

こちらの裸婦2枚のデッサンは現役生の作品です。

人体の質感の表現、また両足のふともも周りの空間が綺麗です!


難しい位置ですが、バランスも良く、こちらのデッサンも質感と形が上手に表現出来ています!

こちらの2枚の塑像作品は、外国人モデルの方の首像を制作しました。

骨格も感じさせつつ表現の魅力もあり、言い切っています。似ていますし、とても完成度が高いです!


こちらは、現役生の作品です。
粘土の質が柔軟でかつ強さもありつつ形や骨格がしっかり感じられ、塑像の追究したい魅力が詰まっています!影の部分の形の言葉数も豊富で、ずっと眺めていられる作品です。


こちらも現役生の模刻です。初めてのゲタの模刻で、このクオリティー!!素晴しい立体感覚を持っています!心棒からの空間もバッチリはまっており、ほとんど言うことがありません!
離れての確認も良くできており、何より作り切っていく!と言う姿勢が結果に繋がりました。


ジョルジョの模刻が1番難しいなと思うのですが、1日制作でここまで動きや量感、印象を冷静にコントロールできていることは凄いなと思います。

この2枚のパジャンとは、印象も良く逆行側で難しい光の位置にも関わらず、大きなゆったりとした空気感を表現出来ており、余白が形に見える、良いデッサンです。頬や首も、パジャンとは一見すると形が見えづらいのですが、良く探れています!


こちらのデッサンは、見上げの難しい位置ですが、しっかり順光の光も捉えられており、微妙に首の動きが下を向いて来る印象も良く観察できています。


木炭の表現が、とても魅力的です!しかし、そこだけに捕われずブルータスの量感と構造もしっかりと観察し考えられています!両方を兼ね備えているあたり、やはり実力を感じます。

今回の作品紹介は、以上です。

ここで、私の好きな作家 土谷 武さんの作品集からの言葉を抜粋します。

『ものを創るということは、才能ではなく、選択であり欲求であり環境の偶然によるものだと思います。
自分を観つめることは、自分以外のものに向き合うことに他なりません。
それは、ロダンはロダンであり、私は私であるということです』

予備校では、基礎の技術を教えてはいますが、それを受け取りアウトプットして行く課程では、必ず自分を介した観察と思考が存在します。
知識を受け取り、自分で工夫実現出来た感覚は、裏切りません。そこが最後には大切になってきます!

夏期講習、残り1週間 頑張っていきましょう!!

 

彫刻科 夏期講習中盤戦へ!

こんにちは!彫刻科の小川原です。夏期講習は昼間部、夜間部、講習会生が集まって大いに盛り上がっています。

直近の秀作を紹介します。

モデルのデッサン。

迫力のある構図です!でもそれ以上にモデルさんの印象がリアルに伝わってくるところがとても魅力的です。


丁寧な描写がとても良いです。なによりポーズや骨格構造をはじめ、「人」としての自然さに反応して完成出来た一品です。

モデル首像

人物としての全体の自然な印象がとても良いです。特に目や髪の毛の表現は作り込むほどにぎこちなくなりがちですが、この作品は時間をかけた分プラスになっているのが分かります。鼻や口の造形レベルも更に高められたら最高です!

自刻像 講習会生の作品。

形に対しての反応がとても良いです!ニュアンス的な表現まで突っ込んでいても表面的に見えないところが素晴らしいです。作品の魅力と完成度の高さが響きあっています。しいて言うなら鎖骨の表現に関しては更に高められたと思います。



とても印象が良いです。この作品が「鳩である」ということに何の疑問も持ちません。当たり前のようですが一番大事なことです。


正面側の自然さも魅力的でしたが、羽など表面の質の差を上手く引き出せていると思います。こういうところは作りこみ方によってはカタい表現になりがちですが、この作品は上手く言っていると思います。

ミロのヴィーナス


石膏像から受けた印象を、自然体で画面に表せていると思います。悪い意味で慣れてくると観察や表現が雑になって、石膏デッサン=作品ということさえ忘れてしまうということがあります。そうなってしまうと美術としての学びからはかけ離れたただの惰性の行為でしか無くなってしまいます。どんなに上手くなっても、見たものから感じたことを感じたように表現する事が全てであって、「見方」「やり方」と言うのはおまけでしか無いということを意識しておきたいです。この作品からはそんなそういう誠実さを感じます。

奴隷

奴隷の動きの印象がとてもよく表現できていると思います。顔面付近がややごちゃごちゃして見えるので、体の表現に上手く合わせられたら更に良くなります。

同じく奴隷 留学生の作品。

木炭の経験も殆どなく、トルソーを描いたこともなかったですが1枚のデッサンの中でメキメキと上達してくれました。描写が魅力的な作品になりました。今後が非常に楽しみです!頑張りましょう!

今回掲載しなかった作品も力作ぞろいでした!制作に気持ちが入っていてとてもよいです!
夏期講習を通して自分の作品性の方向性を掴もう!!

彫刻科夏期講習始動!

こんにちは、彫刻科の新妻です。

夏期講習が始まりました!良い気迫でスタートしています。作品を紹介します。

特にヘルメットの表現が美しいですね!こだわりが身を結んでます。

2列目の高さからのデッサンですが空間の見え方と自然な描写がはまってます。

1学期コンクールの結果を踏まえて気合を入れなおした秀作です。普段よりも攻めてます!

出だしから最後まで安定した仕事でした。中盤での密度の濃い仕事が効いてます。

外部生も頑張ってます!印象を拾ってくる力は内部生にも参考にしてほしいですね。

形をしめていったり、細部のつっこんだ印象の設定などいつもよりも高度な仕事ができました。

目の表現に力があります。画面のバランスもとてもいいですね。

苦手意識のあった課題でしたがしっかりものにしてきましたね!この調子です。

 

まだまだ夏はこれからだ!また次回!

彫刻科 1学期最後の近況


彫刻科講師の氷室です。
早いもので、もう少しで1学期が終了ですね。
学期末コンクールも終えて、各々の課題がはっきり見えてきたのではないでしょうか。

納得いく1枚を描くには、作るには・・・
どうすれば良いのか、今何ができるのか、しっかり自分を振り返って見てください。
描き方を追求することはもちろん大切ですが、描き方だけで絵を描いていませんか!!?
その前にもっともっと必然を感じ、気がつかなければならない点も多くあります。
毎日予備校に来て、時間内に課題をこなして帰る。これだけでも本当は褒められる姿勢なのですが、これで受かるならば大半の人が合格間違いありません!
それだけでは受かることが保証されないのも事実です。
その先の何に気づくか、どう考えるか
まだまだ、普通にやれることを取りこぼしてはいないか!?
こう持っていけば、悔いなく受験当日を乗り切れる!自分なりのリズムを、常に検証していってください。
そして夏期講習に挑んでもらえたらと思います。

長くなってしまいましたが、最近の秀作紹介です!


独特の表現が、ここまでの完成度を持ってくると活きてきます!作者がしっかりブルータスを理解しようとしながら描いていることが分かります!
布を描くと体のボリュームが無くなりがちですが、量感を保ちつつ、かつ印象も良く描けています。


少し目線が下にくる構造も拾えており、頬周りも一見何も見えない様にも感じる像ですが、粘り強く追えていて上手いと思います。逆光でありながら空間と視点をしっかり感じさせて
くれているのは技術がある証拠ですね!


頭部から肩までの距離感がしっかり出せており、横位置からでも円盤を正面から見たときの幅の厚みを感じます。軸足に掛かっている体重も表現できており、体に関してはとても良い1枚だと思います。あとはもう少し顔の印象を粘って出したかったですね。


自主課題で描いたミロのヴィーナスの描き出しの1枚です。木炭を大胆に乗せていきパンで引き算の仕事をしながら短時間でここまでの印象を拾ってきています。良く考えながら観察し、作者がその像に新鮮に反応している様に感じます。懐かしさを感じる1枚です。こんな雰囲気で捉えていくデッサンを、最近ではあまり見なくなってきた様な気もします。


両手の構成はポージングを考え、心棒を考え、作り切っていかねばならないので的確な判断力が必要です。1番実力が問われる課題かもしれません。全体的に申し分なく作れており上手だなと思います!ここからどう塑像を楽しむのか、もう一歩表現の先を模索していける時間がありそうですね!

今回は以上です。

夏期講習は夜間部も合同での時間になるため、熱気に包まれ充実した日々になると思います!
現役生は、浪人生の実技と集中力から、たくさんのことを学んでください!
浪人生は、現役生の新鮮な物の見方に負けない様に、しっかり自分の課題をこの夏でクリアしていって下さい!!

追伸
夏期講習前の休みの期間には、ぜひ、展示にも足を運んで、彫刻1への材料をストックしてきてください!

塩田千春さんの大規模な個展も必見かと思います!