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彫刻科 1学期後半の預かり作品。7/10(日)公開石膏クロッキーゼミ開催!

こんにちは!彫刻科の小川原です。

1学期ももう後半ですね!新学期始まってからここまでの期間でかなりの成長をしてきました!これだけの実力があるのなら今大事なのはまさに「勢い」です!限界を自分で定めてしまわずに、進化し続けていけるだけのモチベーションが維持できるかどうか。これが合格を手に入れられるかどうかの鍵であると思っています。まあ実際は1年通して気持ちを高めてやり通せる人は少ないですが、そういう人はほぼ確実に芸大に受かっていきます。僕は今の時点では実力よりもこっちの方が大事だと思うくらいです。

また夏期講習でも盛り上がっていけるように気合入れていきましょう!

イベントの告知です。7/10(日)描き出しを極める!石膏クロッキー徹底特訓!
<トルソー編>
※クロッキーコンクール付き開催!

東京芸大の試験の出題内容は多様化の傾向があります。
頻出の石膏像が一通り上手く描けたとしても全く安心出来ません!特にトルソーの形を印象よく捉える難易度は胸像の比ではないです。むしろ次元が違う話だといっても過言ではありません。
動きやプロポーションを印象に合わせてコントロールするためには、「形をよく見て、丁寧に描く(見えた情報を見えた順に捉えていく)」という意識では不十分であり、「常に全体を把握していること(像の理解が先にある必要性)」が不可欠です。
石膏像を「形」として見て写すレベルを超えて、「人体」として意識し、表現できるレベルを目指してください!

この講習では、石膏デッサンを研究しつくした講師がデモンストレーションを交えながら理論の解説から実践まで徹底的に指導します。
また、講習の最後にクロッキーコンクールを行います。弱点を見極めて、課題克服の目標を立てましょう!
新美のホームページから申し込みをどうぞ!

https://www.art-shinbi.com/event/2022/22event-s_s_s/s_s_s-A.html

それではこれまでの預かり作品を紹介します。

まずは昼間部生の作品。

クオリティの高い作品になりました。印象がとてもよいです!

こちらも高い完成度です!ポツポツも作ると印象がグッと引き締まりますね。この調子で頭頂部もポツポツを表現したいですが、時間が足りないのであれば全部でなくてよいので必要な箇所を作り込んでうまくフェードアウトして行ったりするとよいです。

土のおさえ方に緊張感があり、実際のグデアの張り詰めた印象が良く表現できています。

印象が良く捉えられています。ここまで言い切れれば言うことないです。

フォーンの動きによく反応した仕事ができていると思います。力作ですね!回り込みはもう少しきい感を感じていきたいです。

好きな石膏像好きな場所に設置して描く課題でした。髭の男がステージに立っているような雰囲気です。後ろのカーテンに落ちる影がまたいいですね。

超見上げの微笑みの天使。顔の構造が自然になってきてよいです。

組み石膏デッサンです。ミケランジェロの印象が良いですね。炭の扱いも研究してかなり改善してきました!

手前のジョセフから奥の馬頭の鼻先までの距離感がとてもよく感じられます。完成度の高い作品です!

色々な設定で狂いが多かったですが修正が効いていい作品になりました。描き進めることよりも自分の作品が自然な状態であるか警戒しながら、空間を実感して作品に落とし込んでいくことが重要です。違和感に気づけることがまず大事です!

木曜日夜間にヌードクロッキー会があります。彫刻の基本は人体ですよね!人体について理解し、表現できるまでに感覚を高めることはとても重要です!このような感覚がすべての問題の解決策に繋がるので、入試に出ないからとおろそかにしないで皆に向き合って欲しいと思っています。

普段から電車や街で自主的にクロッキーをしている学生がいます。「形を見る」「空間を見る」「状況を見る」「存在を見る」20秒で描くとしたらあなたは何を見て何を描きますか?
デッサンでも塑像でも、皆形や印象が狂うのは絶対的に見る力が足りていないためです。予備校に入って1、2年ほどではどれだけ頑張っても足りないのだと思いますが、だからこそそれを伸ばしていく必要があります。受験は運とは関係無いものです。得意なモチーフとか、不得意なモチーフとか、そんなことを超えたところで挑戦してほしいと思います。

基礎科の生徒も育っています!

構成もポーズも自分でどんどん考えてグイグイ作っていました。意欲の高さが作品に気迫を与えています!

動きをよく捉えてきました!やや顔が縦に短いのが惜しいですが、これだけコントロールできることは素晴らしいことです!

 

以上です。受験はとにかく合格してなんぼのところがありますが、受かった後も大事なのは「向上心」や「探究心」です!それがなければそもそも美術をやる意味はないのではないでしょうか。
芸大に合格できた人であっても、結局はそこまで彫刻が追及できないまま彫刻から離れてしまう人も少なくありません。彫刻という世界に少しでも関わってくれるなら、それを一生の宝物にしてほしいと思います。ひとまず何か掴めるまでは苦労しますが、必死で食らいついてくれればいずれ大きなものが手に入ります。ああ。彫刻やってよかったなあ。あの時頑張ってよかったなあ。と思えるような今を過ごしてほしいと思っています!

一緒に頑張りましょう!

 

 

 

彫刻科、学生作品6月

こんにちは、彫刻科の坂下です。

デッサンも塑像も完成のイメージをしっかり持つことが大事です。

夏期講習までに自分の弱点と強みを洗い出していく意識で一つずつ課題をこなせるといいですね。

 

昼間部 円盤投げ

円盤の腰付きや頭部の動きが見れてきてます。もう少し明るい部分の形を複雑に捉えていきたいです。

色感、炭のやわらかさに加え、形の張りがでてくるともっといいですね。
顔側、粘って合わせてきました!足回りがもう一歩!

 

塑像、構成課題。手とマスクです。

腕の伸びた先に指の接点の繊細さ、緊張感のあるマスクが作れました。

腕の動きに連動するような地山を展開してます。リズム感がありますね。

上に向かう手に対して逆の動きのマスク。いい見せ方ですね。

逆さまで難易度がグッと上がるなかで似せてきました。

夜間部 アムール

これまでタッチが荒くなってまとまらないことがあったのですが、ここではいい塩梅で噛み合ってきました。

基礎科

ヘルメス。頭部の倒れてくる感じを出すのが難しい位置ですが、炭をうまくコントロールして動きにつなげています。

皮膚感がいいですね。シワや爪も形にハマってきてます。次は手首にも動きを入れるといいと思います。

牛骨にあたる光の印象をしっかり見れています!布も自然で綺麗です。

 

今回は以上です!

自分に厳しく!どんどんテンションあげていきましょ〜!

彫刻科生徒作品紹介

こんにちは、彫刻科講師の新妻です。

5度以上気温差がある天気が断続的に続いていますが体調崩していませんでしょうか?一学期も中盤に差し掛かり少しずつ夏が近づいてきましたね。昼間部生は日頃の生活に自分なりの楽しみを見出しつつ日を跨いだ課題だからこその骨太な名作を目指して、夜間部生はひと課題ごとのポイントをチェックしつつ夏期講習に向けて制作に取り組んでいきましょう。

先日行われた石膏胸像クロッキーゼミでは短い時間でしたが、初動で何を気にして(関連づけて)捉えると形が狂いにくくなるかを彫刻科主任の小川原先生とレクチャーしながら解説しました。初めの1枚からラストまでの数枚だけでも、参加してくれた皆さんの捉え方がかなり深まったのが印象的でした。自分の技術になるまで是非いっぱい描いて欲しいと思います。

わかるように教わることはもちろん大切ですが、それと同じくらい、実感を伴うところまで食い下がって量をこなすことも大事なことだと思います。予備校の課題は地味な反復練習のようでいて、今後大学、社会に出た後、美術とどういう態度で付き合っていくのかがすでに問われている側面もあるのではないでしょうか。長い芸術人生の中で今しかできない鍛錬の仕方があるはずです。時間を大切に使ってください!

では生徒作品の紹介に移ります。

美しいデッサンです!彫刻自体の持つ量感を鈍く重たい炭ではなく洗練された光の印象をもって表現できています。しつこい描写とスッキリとした絵作り、見事です。

 

背景とのコントラストが効いていますね。像の持ってる大きな空間とボリュームが伝わってきます。みちみちに描いてるわけではないけど割れ肌部分の石の表現もリアルです。

 

構成塑像課題「マスクを使って自由に彫刻を作りなさい」

面白い表現です。やっている構成自体はシンプルですが、古い表面のマチエールの処理や、破けた膜のはがれ方のリズムなど一つ一つこだわって制作されています。

マスクとの相性が良いモチーフを選択していて、マスクの顔の振り向きの方向と布のたなびき方が良い対応感になっています。陰影もうまく利用していますね。

以前にも同じアイデアで構成塑像を作っていた作者でしたが、何回か試行錯誤していく中で作品が洗練されてきました。一つの案を何度も検証することも物を作るうえで大事なことですよね。そうしてできたものは単なる自己模倣とは一線を画します。

続いて夜間部生、高2生の作品です。

いままでのデッサンでは形のとらえ方に少し硬さや淡泊さがありましたが、とても自然にゆったりとした動きや量感に反応できています。指針になる一枚が描けました!

マスクの造形的なキャラクター性と自由に想定した溶ける造形がマッチしています。模刻要素も頑張っています。

構造的な違和感のなさもさることながら、自然と作品として美しいポージングを選択しているのが印象的でした。ほぼ初めてとは思えない出来です!球も時間延長してこだわれました。

うまーい!今は受験がどうとかは二の次で、目の前の作品に自分が一番感動できるようにどんどん欲張って制作してもらいたいです!

大学での制作ではさらに月単位、年単位で自分の作品と向き合うことも多くなります。扱う素材やモチーフが変わるだけで、「どこまで自分の作品に向き合えるか」という部分は変わらないはずです。

今回は以上です、ではまた!

彫刻科GW明け秀作!

こんにちは!彫刻科の小川原です!

GWが明けておやすみ気分が抜けていない人はいませんか?まだ1年の序盤。ここでしっかり基礎力を高めておけないと後々苦しくなってしまうのでガンガン攻めて行って欲しいです!
新美彫刻科は昼間部も夜間部も熱気あるアトリエ空間で指導にも力が入りますね!いいことです。これが持続したらきっといい成果が出せると思います。一緒に頑張りましょう!

それでは預かり作品を紹介していきます。

昼間部生の作品。

破綻なくかっちり動きや構造のはまりを捉えてきました。さらに印象の捉えに関して、見方が硬くなる前にじっくり探っていけると良いです。

ジョルジョの難しい表情までかなりの精度で合わせて来れました。とても良いです。今回高められた密度が普通くらいに思えるよう意識してください。

形のつまった緊張感が良いです。ジョルジョに合っていると思います。前半の仕事で動きやバランスの根幹となる部分の意識をより高めましょう!

最終的に人物像として自然にまとめられました。出だしでの量のコントロール(ややしぼむ)に十分気をつけてください。

ゆったりと自然なポーズ感がとても良いです。固有色や質感の違いにも反応できている完成度の高い作品になりました。

意外に難しいポーズですがよく捉えられています。完成度も高い!やや表情はまだ位置のズレ(正中線)を感じるので気をつけましょう。

今回は手と自由なモチーフで作ってもらいました。石と毛糸。面白いですね。よく浮いてるなと思います。そう思わせられたということは狙いがうまく行ったのだと思います。

モチーフに対しては短い時間だったと思います。よく完成できました。こういう感じで作り慣れないものにどんどん挑戦していくのはいいですね!

バットの一直線の緊張感が伝わってきます。地面も含めていい表現ですね!

奴隷の量感や動きの魅力がとてもよく出ています。この時期これだけ描けたら十分いいラインに乗っていると思います。頼もしいです!

魅力的な炭の発色ですね!動きの自然さもとても良いです!あごが少し小さいかなと思いますが、顔も似ています!

気合を入れた1枚です。これこれ!これでいいんだよ!という1枚になりました。調子も美しく、全体に自然な空気感が感じられます。これがふつう。くらいになったらいよいよ合格が見えてきます!

上げてきました!まだまだ空間性はもっと出していきたいところですが、すべての要素がいいラインに到達させることができました!この調子です!

基礎科生の作品。

うーん。素晴らしい出来です。現時点でこれだけの作品が出せるというのは本当に良い眼を持っているのだなと思います。この勢いでいきましょう!

 

以上です。皆順調に伸びています。何より日々の制作を楽しんで、上達の喜びを感じて欲しいと思います!

 

彫刻科:4月の授業 

こんにちは、 彫刻科です。
今年度からお世話になります。講師の坂下です。

新年度から1ヶ月経ちましたが皆さん生活リズムは慣れてきたでしょうか。
自分の中での調子よく過ごすことができるルーティンを見つけることができると、気持ちに余裕が生まれて視野を広く持つことができると思います。

では生徒作品から一部紹介します。

「白菜を使用した構成」
4分の1カットの白菜と生徒自身がモチーフを設定し組み合わせて制作しました。


「白菜と手と布」の構成。3つのモチーフの質の違いとそれぞれの構成内での役割を意識して作れています。

「白菜とガッタメラータのマスク」の構成。とてもシンプルな構成です。ゆえにベースの仕事や接地し合うところは気を使う必要がでてきます。

「牛骨素描」


骨の生っぽさ、触覚的な仕事をひしひしと感じますね。

たんたんと描いてるように見えて複雑に入り組んだ形を光の印象と組み合わせてかっちり描いています。

こちらは基礎科の生徒による作品。台までしっかり描くことで角先から顎周りの空間が綺麗につくれています。

「手とヤシの実」の構成。
先日の入試でも出題されていた手はポージング次第で様々な表情・意味合いを生み出します。
なので、なんとなくで作ってしまうと観る側に『?』が生まれてしまい中途半端な印象になりかねません。気をつけましょう!


似た物量のなかでも絶妙な角度調整でリズム感をもって作れています。ヤシの実は張りを強く見せる粘土づけを意識できるといいです。


こちらは両手をうまく使って空間を広くみせてます。関節の曲がる表情をいかすポージングをどこかに加えても良かったかもしれません。


奥から手前に倒れるような・向かってくるような構成で影が特徴的です。力んでない手の表情が構成の中に時間を想像させますね。

「ジョルジョ」


描き出しのベース作りの段階でらしさが出始めてました。影に重みと説得力がありますね。


左右の肩、動きの差はもう少し出したいところですが、この位置のジョルジョの視線の印象など「ぽさ」がだせています。


ハッチングや表情がキツい箇所もあるのですが、頭部や首などの形態を掴んでいく感覚はとてもいいと思います。

最後は夜間部生の作品から!
「ヘルメス」


目鼻口などの顔のパーツの表面の描写に走らずに量のイメージのまま当て込んでいくことができました。これって結構むずかしいんです。
ヘルメスのくの字型の空間づくりも頭部と頬の光を捉えることで自然にできてきました。

GW明けからもがんばっていきましょう!!