カテゴリー別アーカイブ: 先端芸術表現科

先端科 冬期講習会はじまります!

 

新美先端科の冬期講習会の授業内容をお伝えします。

前期、中期と2つのタームで授業を行います。

前期

個人資料ファイルの制作と総合実技対策を行います。

12月15日(日)?20日(金)
授業時間 17:00?20:00

 

中期

個人資料ファイルと総合実技、それと一次試験対策(小論・素描)を集中的に行います。

12月22日(日)?29日(日)
授業時間 9:00?18:00

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【個人資料ファイル対策】

これまでの活動をどのようにファイルにまとめればよいのか、4人の講師と面談を重ねながら形にします。

講評会では他の生徒のファイルを見ることで、ファイルにおける編集方法が作品や人によってどのように違うのか、見て、対話して学ぶことをします。

まだ作品が少なくファイルに入れる作品が無いという生徒も、授業内に作品プランを考えたり、講師と面談することで、漠然としたイメージを具体的にしていきます。

持参用具:今までの活動の記録や作品の写真、エスキース、制作のメモなど資料となりそうなものはどのような物でもよいので持参してください。
A4クリアファイル10ポケット(20ページ)も持参してください。

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【総合実技対策】

以前もこのブログで紹介しましたが、昨年度の入試からスタートした新しい試験内容です。この試験では、作品制作のプロセスを丁寧に展開してみせた試験内容です。

モチーフと製作者がどのように出会い、問題を設定し、作品化するまでを、全て評価対象にしています。

新美では、昨年度の試験内容をベースに、応用課題を準備しています。

課題の意図の読み解き、素材と向き合うことで、自分の知らない可能性を導きだしてください。

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【一次試験対策:小論・素描】

一次試験は、小論と素描の選択です。

新美では、小論、素描の2つのクラスに別れ、授業を行います。

【小論】
先端の小論文試験は、課題文からテーマを読み取り、あなた自身の考えをしっかりと「論述」させることを重視しているため、他大学の小論文試験に比べて難易度の高いものになっています。

先端の高レベルの問題に対応するために、新美の先端コースでは、常に多分野の優れたテキストをたくさん読み、読解し、自分の考えを論理的に組み立てる訓練をしています。2人の小論講師が、生徒のレベルに合わせて、厳選したテキストを用いて課題を作成し、たっぷりと時間をつかって課題文解説や講評をおこなっていきます。

朝から夕方まで授業に打ち込める冬期講習は、さまざまなテキストを読んで視野を広げ、読解力と論述力を飛躍的にアップするチャンスです。

芸大の試験だからといって、アート系のテキストばかりを読むわけではありません。文学、音楽、建築、哲学、思想、社会学、歴史学、心理学…… 小論コースで出題するテキストはバリエーションに富んでいます。

それらのテキストは、とても「良い」ものばかりです。内容が専門的であるため、普段は出会わないようなテキストばかりですが、そのぶん、読解できた時の喜び、驚きは新鮮なものになるはずです。一緒に、奥深い言葉の世界を楽しみながら、対策をしていきましょう。

【素描】
素描では基礎デッサンから応用課題まで、順を追って取り組んでもらいます。先端科の素描は出題もとてもユニークなのですが、やはり基礎力は大事です。そして応用課題では出題者が何を意図しているのか読み解きながら、一枚の作品として素描を組み立てていきます。

集中的に一次対策を行うことで、自分の今の実力と今後の課題を明確にすることが目標です。

まだどちらで受験をするか悩んでいる生徒は、小論・素描の両方試してみることも可能です。

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年を越す前に、できることは全てやりましょう。

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写真上:素描応用課題、下:小論表現課題

台風27号 授業変更はありません 2013/10/25 18:00

こんにちは。
台風27号接近にともない、授業への影響が懸念されましたが、今のところ26日(土)、27日(日)の授業および行事は予定通り行います。

ただし、土曜日の午前中は雨の予報が出ていますので、お住まいの地域の状況をみて、安全面を考慮し行動するようにお願いします。

先端科 総合実技対策

 

こんにちは、先端科です。台風26号も通り過ぎ、無事授業を再開しました。

今回は、先日13日の日曜日からスタートした「総合実技対策」の報告をさせて頂きます。試験では2日間で終えてしまう内容を、新美では3日間に分けてじっくり取り組みます。

【2次試験の総合実技対策について】

平成24年度の二次試験までは個人資料ファイルと面接試験のふたつを実施していました。平成25年度から、面接に代わり「総合実技」という課題になりました。新美では、昨年度の総合実技試験の意図をくみ取りながら、独自に対策を行っています。今回は、13日の日曜日に行った対策を紹介します。

取材3

その前に、総合実技の試験内容を以下に紹介します。

※東京芸術大学ホームページより抜粋

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平成25年度

?東京芸術大学美術学部先端芸術表現科

入学者選抜試験 総合実技1日目

?試験時間:10時~16時30分

昼食時間:12時~13時(昼食時間に解答を続けてもよい)

作品提出:本日16時30分

?【問題1 テーマの設定】

配布された新聞紙の中から、あなたが気になる記事を切り取り解答用紙①の枠内に貼りなさい。

※複数の記事を選択してもよい。

※記事は解答用紙①の枠内に持参したのりで貼ること。

?【問題2 テーマの説明】

問題1で取り上げた記事を選んだ理由を400字以内で簡潔に述べなさい。

※解答用紙②に縦書きで記述すること。

?【問題3 ドローイング・制作】

問題1で取り上げた新聞記事をもとに、3-1と3-2の指示に従いドローイング・制作をしなさい。

問題1で使用した新聞紙は使ってはいけません。

3-1 ドローイング

イラストボードに持参用具でドローイングしなさい。

3-2 制作

スチレンボード、竹ひご、スチのり、マスキングテープを使って制作しなさい。

※サイズは幅45cmX奥行き45cmX高さ60cmの提出台の上に収めること。

※試験終了後、自分で提出台を持って作品を移動させます。

?注意事項 ※試験終了後、問題用紙を回収します。

?東京芸術大学美術学部先端芸術表現科

【総合実技2日目  プレゼンテーション】

?○1分程度で自分の解答作品の説明をしてください。

?【試験当日に準備するもの】

鉛筆などの筆記用具、色鉛筆、はさみ、カッター、定規、のり

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取材6

新美における、総合実技対策課題 10月13日(日曜日)

?【問題1 テーマの設定】

課題1:往復500円で移動可能な範囲で取材をしてください。

今回の課題では、新聞などの記者が取材した記事からモチーフを探す(選ぶ)のではなく、

自分の足で現場まで行き、直接モチーフに触れて捉えることをしてもいらいました。

 

ここで重要なことは「どのような手段によって対象を捉えるか」です。

出会った人から話を聞くのでも、ただカメラで撮影してくるだけではなく、メモやスケッチ、録音機なども使えるかもしれません。ひとによっては立体に造形して持ち帰る人がいても良いかもしれません。

自分なりにどのように記録するか工夫することは、対象を独自の切り口で捉えることに繋がります。

取材1

【問題2 テーマの説明】

課題2:取材してきた資料をプレゼンテーションする。

各自が持ち帰ってきた資料を、みんなの前でプレゼンテーションしました。

試験では、選んだ理由を400字で書く課題ですが、今回はみんなの前で取材したことを報告し、

他の生徒や講師が、質問しながら、自分がどのような対象を捉えたのか、

対話することで資料から「テーマ」を浮き彫りすることを試みました。

 

これから取材した資料を基に制作を進めていきます。

ここで取材した資料は個人的な素材なので、具体的にはこのブログで紹介できませんが、

どのような内容であったのか雰囲気だけでもお伝えします。

取材4

4人の例を簡単に紹介します。

①自分が日頃から興味のあるモチーフと似たものを探し、現地で収穫した物そのものを持ち帰る。

②自分にとって思い入れのある街であるが、世間からすると敬遠されてしまうような街の取材。

③知り合いに自分の行ったことのない街を案内してもらう。

④現地にある素材を手がかりに、集団心理のようなものを、統計を取る方法で数値化して持ち帰る。

抽象的になってしまいますが、ひとりひとりアプローチの違いから、興味の違いが伺えると思います。

「テーマの設定」といっても、そう簡単にできるものではありません、日頃から「自分の制作におけるテーマとは何か?」と制作する中で問い続けることで、視野を外へ広げていくことだと思います。理想としてはひとりでは解決できない大きな問題と格闘してもらいたいです。そのためには、日ごろからアンテナを張り、リサーチ(取材)することが制作のはじまりだと言えると思います。

次回は、この取材した資料をもとにして、【問題3 ドローイング・制作】をします。

どのような造形になるのか楽しみです。

 

 

台風26号接近にともなう授業対応について

台風26号の接近に伴い、東京も影響があることが予報されています。
今後の予定は以下のようになりますので、ご確認ください。
尚お住まいの地域によって、状況が変わりますので、安全面を考慮し行動するようお願いします。

本日(10.15)の授業
◎昼間部・・・平常授業。
◎夜間部、基礎科、先端芸術科・・・平常授業ですが、状況をみて早めに 切り上げる可能性があります。
◎美大学科・・・平常授業。

明日(10.16)の授業
◎昼間部・・・午前中休講。 13:00~16:00のみ授業を行います。
◎夜間部、基礎科、先端芸術科・・・平常授業。
◎美大学科・・・平常授業。

台風の状況により、変更がある場合はまたお知らせします。
よろしくお願い致します。

先端芸術表現科 夏期講習会後期 中間報告

先端コースです。

先端科の講習会後期では、ワークショップと作品制作を組み合わせたカリキュラムになっています。これまで作品を作ったことのない生徒でも、ワークショップを手がかりに、作品制作のヒントを得てもらいたいと考えています。

今回は、ゲストアーティストによるワークショップの報告をしたいと思います。

14日(水曜日)富塚絵美さんと大西健太郎さんによる「身体のワークショップ」

お二人は東京藝術大学大学院先端芸術表現科を卒業後、東京を拠点にイベントやワークショップなどを企画するなど、人と関わることで作品を作り続けています。

新美でのワークショップでは、導入は嘘で自分を偽ってもよい自己紹介からはじまり、ゲーム的な内容のものから、グループになって身体をほぐすなど、自分と他人を身体を通して理解を深めていく内容のものでした。

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お互いのことが少しわかってきたところで、グループになってひとつの作品を作ります。

__ (2)

最後は、全員で目を閉じて声を出すことをしました。これまでは身体といっても視覚に頼ることが多かったのですが、声に注目することで、身体の中を意識させるような内容です。しかし、全員の声がひとつになることで、集団の中の自分をも同時にイメージすることになったと思います。

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15日(木曜日)西尾康之さんによる「実体化のワークショップ」

西尾康之さんは武蔵野美術大学彫刻学科を卒業後、「六本木クロッシング」展(森美術館)や国内外で活躍しているアーティストです。独特なプロセスで彫刻を作ることで脚光を浴びました。通常、粘土などで造形をしてから鋳型を作るというのが、彫刻のプロセスなのですが、西尾さんは鋳型そのものから造形してしまうのです。それも西尾さんの親指で押し出すことで、鋳型を作り出します。それは反転したイメージで造形を作り出す作業とも言えます。そのプロセスを経て出来た作品を見ると、それは触れてはいけないものに触れた時のような感覚を呼び覚まします。

今回のワークショップでは、各生徒の「恐怖を実体化する」といった課題でした。

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事前に各自の恐怖体験を文章にし、それを基にして粘土で造形をしていきます。

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講評会の風景です。造形の秘密を紐解くようにアドバイスをする西尾さん。

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個人的な体験、それも抽象的で曖昧なイメージを具現化するための、方法論について 語っています。個人的な問題をどのようにすれば普遍的な問題に展開できるのか考えさせられるワークショップでした。

20日(火曜日)森弘治さんによる「介入のワークショップ」

森弘治さんは、多摩美術大学卒業後、マサチューセッツ工科大学(MIT)大学院修了。社会空間への介入をテーマに、主に映像作品を制作しているアーティストです。作家活動の延長としてartists’guildという団体を組織するなど、今の時代におけるアーティストのスタイルを模索しています。

今回の課題は「公共の場所で出来る表現とはどのような事が考えられるのだろうか。実際に場所で作品を制作する。」といったものでした。

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生徒は新宿の街を観察し、自分のテーマと公共空間における問題を結び付けて、その場に潜む問題を表出させることが課題になっています。

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生徒は、公共の場所に作品を設置またはその場でパフォーマンスなどをしました。中には地域の方と交渉し、作品協力をしてもらうこともしていました。また他人に迷惑になるのではなか?と考えることで、自分の作品の意味が問われるなど、この社会の中での作品の意味について考えるワークショップでした。

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以上、3組4人のゲストによるワークショップを経た後、講習会最後の講評会に向けて、各自作品制作をします。