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今のこの時期にこそしっかりと蓄えを

デザイン科総合コースの滝口です。

頑張った夏期講習も、季節の変化とともに少し落ち着いてきて、寒くなってくると少しずつ試験に近づいてきているなと思い始める時期かなと思います。
ちょっとこの時期って、ふっと落ち着いてしまう感覚と漠然とした不安感にも似た焦りが行ったり来たりします。そんな時期だからこそ、今の内に色んな吸収や刺激を与えていく事って大事だなと思います。

総合コースでは、9月の始めにイベント課題として上野にある様々な施設(上野動物園、国立科学博物館、国立博物館など)を各自取材をして、それを元に自由に作品を作ってみるという課題もしました。
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3カ所なので、先生方もそれぞれ分かれて引率していきましたが、僕はあまりじっくりと見たことのない国立博物館に行きました。生徒とともにじっくりと博物館を見て回りましたが、古美術や国宝なども多いので作品の撮影は無理かなと思ったんですが、半分以上は撮影が可能で、ただ見るだけでなくて自分で興味ある部分などを写真で残すことが出来たので、とっても取材として僕も充実した1日でした。
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↑浮世絵の部分ですが、細かく見ていくと色々と遊び心にあふれていました。

新学期で色々な課題やレクチャーなども総合コースではしていますが、2学期からしっかりと始まる私大対策なども含めた内容として、色々なデザイナーやデザイン書籍を見て、自分に新しい感覚の刺激を与える実習もこの時期にしています。
実は、僕自身とても美術書、とくに写真集やデザイン書籍の収集が好きで、個人で古本屋や書店などを回って漁っています。最近では、オンラインのみの書店とかもあるんですよ。

その中から、ここ2ヶ月ほどで集めたのと総合コースの図書に追加されたデザイン書籍の表紙だけ一部お見せします。(内容を書き出したら、多分それだけでブログも書けるかなと思うので)

まずはADC年鑑。こちらはデザイン科総合コースでは年代が抜けてしまっているのもありますが、近年のもしっかりと置いてあります。ADC年鑑って定価だと2万1千円もする書籍。古書を回っていたら2012年度版が1万4千円でありました。勿論買いです。
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こちらは、日本のデザイナーでは基本の巨匠シリーズで、永井一正さんと亀倉雄策さんのデザイン書籍。内容はもちろんの事、値段もちょっと受験生には定価で買うにはお高いか・・・6千円程度。でも、頑張って探せば3千円で見つかるかも(というか見つけた)
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そして、デザイン雑誌の中では幅広くデザイナーの作品や企画を紹介してくれる雑誌アイデア。お金ある人は定価でしっかりと買って欲しいですが、なんと言っても1冊大体3千円程度。そう何冊も買えません。
でも、お金がないとこういう書籍は手に入らないと思っているのは、大きな間違いです。この下のアイデアの値札をよく見てください。実は、1冊105円です。なんとペットボトルのジュースよりも安い!中を見ると、時代的には90年代と古いですが、内容はとっても良いです。古くても良いデザインは良いのです。
もちろん近年のも置いてありますよ。
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立体にも、とっても参考になる図書も最近増やしました。左がオランダのインテリアデザイナーの特集。右が子供の家具の紹介本。こちらも実は値段を見ると105円と500円だったりします。
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生徒たちにも、どうしてこんなに安い書籍を見つけられるのですか?って聞かれますが、それは大好きな趣味であり長年で培われた勘です。そんな僕個人の趣味を、新美デザイン科総合コースのみんなにもお裾分け。集めた書籍をみんなで閲覧したり収集したり。
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この今の時期だからこそ、色んな刺激をしっかりと蓄えて、これから向かっていく試験にも、その先のデザインという世界への準備としても、こういう自分の足を使って集めることや自分の世界にとどまらず好奇心を持つ習慣を養ってもらえたらと思います。

総合コースでは、さらにただ見たり集めたりだけでなく、それを活かしてみる訓練も授業で取り入れています。知っている、見たことあるでは、それらは自分に吸収されているという事ではないですからね。

追記:
僕個人の趣味の写真集のコレクションで、某美大での簡単なレクチャーもしたことがあるのですが、ここでも「デザインで見る写真集」をテーマで紹介してみたいなと思っていたんですが、ちょっと長すぎるかなと思ったので、いつか別の機会で。写真集も本当に奥深い世界ですよ。1冊だけ紹介。
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↑これは、今年出た中平卓馬とホンマタカシのアメリカの出版社から出たコラボレーション写真集。
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↑開くとリング式なので3ページになるんですよ。とっても面白い作りです。

芸術の秋ですね。

こんにちは!彫刻科の小川原です。暑い暑い夏も終わり、過ごしやすい日々にほっと一息ついていることと思います。でも受験生の皆さんは気を抜いてはいけませんね!1学期、夏期講習と貯めてきた経験値を今ここでしっかりと形にしていくことが受験を乗り越えていくために必要不可欠だと言えます。ただ闇雲に取り組むのではなく、これまでの制作を振り返って、自分ができること、できないことを整理してみましょう。その上できちんとした対策をとることが大切です。

さて、昼間部の自刻像のテラコッタ作品は僕のアトリエから新美への搬入が済んだので、早速仕上げに取りかかっています。素焼きの状態だと均質な質感と色味でスカスカした印象があり、非常に抵抗感が弱いので、薄く色をかけたり擦ったりしながら微妙な変化を与えていきます。やりすぎると戻せなくなるので、慎重に作業を進める必要があります。
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彫刻の基礎として石膏像にするのはポピュラーですが、石膏は他素材に置き換える過程での仮素材としての意味合いが強いですが、テラコッタはその先がない究極素材であるので、しっかり完成させるととても質の高い作品にすることができます。石膏取りの技法を勉強するのも為になりますが、今回はひとつの「作品」として追求してもらうためにテラコッタを素材として選びました。

授業作品です。まだ課題数も多くこなしていないですが、いくつか紹介していきます。
昼間部 M.Nさんの作品。肘の上まで入れることを条件とした片腕です。
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授業時間で仕上がらなかったので少し残って完成させました。Tシャツの袖を入れたのは面白いです。肘からつながる形に違和感を残しますが、非常に高い密度と説得力があり、魅力的な作品になりました。事前にしっかり完成のビジョンを持ち、スタートから一貫してそこに向かっていくイメージが持てれば制作時間が短くても同等の完成度まで行き着けると思います。しかし、時間をかけて丁寧に作ればできる。ということは大きく評価できるポイントです。

同じく昼間部、M.Nさんの作品。大顔面を含む静物。
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木炭紙サイズの画用紙で、コンテでの制作です。今回のモチーフを描いていく上でのテーマがパース、空間、固有色でした。この作品はそうしたポイントに敏感に反応し、自然で魅力的な(自然=魅力的)作品に仕上がっています。欲を言うと床面に面性や奥行き感がもっと出せると良いのですが、全体にはしっかりとした言い切りがなされていて、作者の実力を感じ取れる内容に仕上がっています。

続いて夜間部、K.Kさんの作品。首なしミロのヴィーナスです。
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形も正確で、質感、空間、密度ともに申し分ない非常に完成度の高い作品に仕上がっています。この課題は5日課題でしたが、本人は3日と勘違いしていて、3日の段階ですでにある程度仕上がっていました。そこであと2日あることを知り、今の状態をより良くするために何ができるかを考えて残りの時間取り組んだそうです。その成果があって、いままで行き着けなかった深みがあり、リアリティの感じられる作品に到達することができました。この前向きな取り組みがとても良いと思います。美術には当然ながら限界などありません。何となくこのくらいかなと終わりを決めてしまうのではなく、常に反省し、先を読み、チャレンジすること。そこに美術を志すものとして最も必要な本質があるのだと思います。

夜間部、T.U君の作品。ロープを持った手。
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高校のスケジュールが早く終わった日に昼から参加して自主的にトレーニングをしています。彼は表現がややカタくなるタイプで生もの(手や人物などの塑像)が苦手でしたが、この作品を見る限りそうした違和感は感じません。夏期講習を経てかなりの成長を見せてくれました。力強く握った手と、腕までの自然なつながりが魅力的な作品となっています。ロープも丁寧に作り込んで印象を引き出していることに好感が持てます。ぜひ、これからも目標を見据え、努力を怠らず、突き進んでいってほしいです。

2学期は始まったばかりですが、本当にあっという間に時間は過ぎていってしまいます。今やれることをやれるだけやっておきましょう!僕は2学期こそ勝負の時期と思っています。受験生の皆さんには、これまで培ってきた経験がいずれ必ず自分を助けてくれると信じて、自信を持って取り組んでほしいなと思っています!いつも応援しています!がんばりましょう!

油絵の筆について

?こんにちは。油絵科の関口です。

さて突然ですが、皆さんは油絵を描く時にどんな筆を使っていますか?
前から気になっていたのですが、アトリエを回っていると、柄の短い水彩用の筆やデザインや日本画の筆を使っている人をよく見かけるようになりました。水溶性の絵の具に使う筆は総じて毛が柔らかく、実は油絵具を扱うにはあまり適してません。

水彩用の筆や、柔らかい毛の筆を使っている人は、常にオイルを混ぜながら描くことになり、結果的にそれが単調な画面へと向かって行くことになります。

?油絵に使う筆の代表格は、何と言っても「豚毛の筆」です。硬くてゴワゴワしており、それだけで敬遠している人も多いと思いますが、粘度の高い油絵具をコントロールするには最も適した筆だと思っています。特に不透明に絵の具をしっかりと乗せたい時や、擦り付ける様に薄く絵の具を付ける時など、使用頻度が高いので、油絵を描く時に豚毛の筆は欠かせません。

?メーカーも色々ありますが、日本のメーカーならnamura(ナムラ)が断然お勧めです。特に柄が緑色で金具が銅製のHFというシリーズは、品質の良さから大ヒットし、発売以来多くの画家に愛用されてきました。ポピュラーな筆なので、使ったことが無い人でもこのデザインには見覚えがあると思います。ナムラHF
ナムラHFアップ

以前生徒を連れてナムラさんの工場見学に行った事があります。一本一本が手作りで、気が遠くなる程多くの工程と手間が掛かっています。素人目には分かりませんが、手作りなので一本ずつ微妙に違い、作る職人さんによっても若干の違いがあるのだそうです。筆の出来るまで

筆を作る道具

職人さんの作業

筆を作る職人2
豚毛の特徴として、全体が若干カールしており、その毛の曲がった方向を全て同じに合わせ、内側に向く様に作られています。毛先は枝毛になっていて、絵の具や油の含みが良くなっているのだそうです。なので毛先を切って使うと、筆の能力が発揮できません。

見学の時、実際に1?2工程だけやらせてもらったのですが、単純な作業なのに難しくて、苦戦した覚えがあります。自分でやってみて、指導をして下さったベテランの職人さんの高度な技術に感動しました。職人さんの間引き作業

ただ、最近では中国から輸入される原毛の品質が低下しており、昔と同じ筆の品質を保つのが難しいのだそうです。動物の毛なので、飼料や気候などにも影響されやすいのでしょうね。

?さて、ナムラのHFシリーズはある程度有名ですが、他にお勧めしたいのは、同じくナムラのOLというシリーズ。S、M、Lの三種類しかなく、比較的大きい筆です。豚毛ですが、毛の色もあまり白くありません。メーカーの方に伺ったところ、HF等のシリーズと比べると、それほど高品質ではないらしいのですが、毛の長さ、柔らかさ共に絶妙で、値段も手頃です。筆者は今迄にこの筆だけでも数十本を愛用してきました。使い方にもよりますが、調子の幅が出しやすい素晴らしい筆だと思っています。唯一欠点を挙げるとすれば、毛の量が多いので、筆を洗うのが大変というところでしょうか?ナムラOL

あと、海外のメーカーでは、フランスのラファエル社の筆がお勧めです。特に豚毛の3592シリーズは毛先の整い方、止め金具の厚さ、及び毛の量の関係が絶妙で、特に2?6号迄の筆は本当に使いやすいです。日本のメーカーと比べると、ちょっと割高ですが、キッチリとした仕上げにしたい時には手放せない逸品です。ラファエル3592 ラファエル3592アップ

因みにこれらの筆はトゥールズさんにも入れてもらいましたので、皆さんも是非一度買って使ってみて下さい。

・・・と、ここ迄書いて、新たな事実が判明しました。

ラファエルの3592シリーズですが、知らない間にデザインが一新されていました。写真を見比べてもらえると分かると思います。上が以前買った3595の6号。下が昨日買った3592の6号です。金具と文字の刻印がプラチナカラーに変わり、軸がかなり太くなっているのが分かります。金具や文字色に関してはあまり気になりませんが、筆の軸の太さの変更は重心や持つ位置が変ってしまいます。筆圧や使い方にも大きく影響するだけに、このデザイン変更は、正直かなりショックです。

新旧3592

まだ買ったばかりで使っていませんので、この筆を実際に使用してみて、後日リポートしたいと思います。

弘法筆を選ばず。という諺がありますが、実際にはそう訳にはいきません。筆には一本ずつ個性がありますので、お店でちゃんと選んで買いましょう。

 

芸大入り口

平成28年度東京藝術大学美術学部デザイン科入学者選抜(一般入試)の一部変更について(予告)

こんにちは、新宿校 古関です。

東京芸術大学のHPに載っていたを情報お知らせします。
平成28年度(あと3年後)のデザイン科の入学試験が変更になります。

以下はホームページよりの抜粋です。

平成28年度東京藝術大学美術学部デザイン科入学者選抜(一 実技検査における一次選抜「鉛筆写生」が選択制となります。
一次選抜「鉛筆写生」は下記2つのいずれかを出願時に選択すること。
1) 石膏像デッサン
「石膏像を中心としたモチーフを描写する」
2) 構成デッサン
「設定されたモチーフ(実物に限らず、想定のモチーフも含む)を自由に構成して描写する」入試)の一部変更について(予告)

詳細はこちら

また、9月28日、29日の説明会等で今後、その他の情報がわかれば報告します。

 

美術の秋がやってきました。

新宿美術学院 国立校 基礎科です。

残暑の厳しさも終わり、綺麗な秋空を見上げる事が多くなりました。
秋と言えば美術、そして基礎科の高校生には文化祭の秋。
高校での展示も、自分の好きや特技を生かして、色々な作品を
出品しているそうです。
きっと、普段の授業では表現しないような、
大胆な作品が出来上がっているのではないでしょうか。
おもいきって表現して、楽しんで欲しいですね。

デッサン1

 

先週の続きのwaterのデザインです。
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デザイン5

それぞれのwaterが出来上がっていきます。

国立校では保護者対象 進学説明会を開催させていただきます。
授業の見学のみもできますので、お気軽にご参加ください。

10/5(土)・10/26(土)・11/23(土祝)     13:00~14:00

ご不明な点は国立校まで。
042-577-1117