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日本画科 1学期大詰め!

こんにちは、日本画の佐々木です。

そろそろ1学期も終わりにさしかかって、日本画科は期末コンクール真っ最中です。
まだ1学期か・・・と、思うほど充実した毎日を送っている(と、私は思っている)生徒たち。
今年のはじめからのみんなの絵を見返していると、はっきりと目に見えて成長しているのがわかるくらいぐんぐん伸びています。

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まだまだやりたいことは山積みだけれど、ひとまず、このコンクールで腕試し。
積み上げてきたものを出し切ろう!!

渋谷校の環境

渋谷校の箱岩です。こんにちは。またもや、更新予定が過ぎてしまいまいました。

うっかりも2度目だと怒られそうですが、、、

梅雨の割には、まとまったしとしと雨がすくない今年の東京。

かと思うと局地的な大雨でしたね~。びっくりです。

今週末は、ほんとに傘が手放せません。

けれど、渋谷校は目の前のビルがメトロプラザという地下鉄東京メトロの関連ビル。

当然、地下道がつながっています。なので、傘の出番はおよそ30mくらい。

足の速い人なら、傘いらずです。左はじに矢印したところが渋谷校。

IMG_0233やじるし付き

ここから渋谷駅までは地下道で5分。

道中にある巨大な壁画。

写真

油絵科のひとには馴染みのある、元東京芸大教授 絹谷幸二先生の作品。結構素敵。

先日、この作品前の広場で、芸大音校生によるミニコンサートが

開催されていました。

IMGP1080

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文化の匂いが、街のそこかしこにしてくるのはイイ事ですね。

他にも近隣の建物に見るアートやデザインの香りをごらんください。

04こどもの城

08 紀伊國屋

18プラダビル

ま、わたくしには素敵すぎて到底入れませんが・・・w

駅前の開発が進む中、渋谷の街の雰囲気や景観も、ままだまだ変化するのでしょうねぇ。

IMGP1068

渋谷校も、渋谷の街に負けず、盛り上げていきたいと思います。

さて、夏期講習の申し込み受付が始まっております。

自分が現役生の時も、美術系への進路変更と同時に美術の先生から、予備校のパンフレットを頂いた事を

思いだします。

始めて自分で動いて、自分で申し込みをして、講習期間中泊めてくれて、お世話してくれた兄の親友に電話して、新幹線で上京した、あの日の気持ちは、今だに忘れていません。とても貴重な体験でした。

皆さんも充実した夏をすごせるように、しっかり準備して頑張りましょう!!

 

 

 

 

雨の美

こんにちは、先端科の冨樫です。

じめじめとした日が続いていますね。みなさん、体調など崩していないでしょうか。
こうも毎日雨降りだと、なんだか気持ちまで鬱々としてきますね。洗濯物は乾かないし、外へ出れば靴は濡れるし、なるたけ早く梅雨が明けないものか。
なんて僕なんかも切に願ってる人たちのひとりなんですが、今週の週間予報もぱっとしないようですし、そういつまでも塞ぎ込んでもいられないようです。
ということで、今日は美術の中で、雨が描かれた作品をいくつかアト・ランダムに紹介しようかなと思います。

まずはこれ。なにが描かれているかわかりますか?

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画家熊谷守一(1880~1977)の「雨滴」(1961)という作品です。(画像が悪くてごめんなさい)守一は、1932年(昭和7年)に豊島区の庭付きの一軒家に引っ越します。その家で、彼は昆虫や植物、鳥なんかをじっと観察し、絵に描きます。守一は雨が好きだったらしく、この「雨粒」という作品も、庭先に落ちる雨の粒をじっと観察しながら描かれたものだそうです。守一の自宅だった所は、現在熊谷守一美術館として、守一の作品を収蔵・公開しています。残念ながら、「雨滴」は木村定三コレクションとして愛知県美術館に所蔵されているのですが、他の作品からも守一独特の具体性と抽象性のバランス感覚が存分に楽しめるので、ぜひ足を運んでみてください。

さて、次は皆さんご存知クロード・モネの雨です。

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1886年の「雨のベリール」という作品です。八重洲にあるブリジストン美術館が所蔵しているので、観たことのある人もいるかもしれません。モネの作品は日本の他の美術館にもたくさん収蔵されているので、普段美術館に足を運んでいる人だと、なにかと目にする機会が多いと思います。これはごく個人的な実感なんですが、モネの実物をいくつか見ていると、ウマい作品とヘタな作品がわりとはっきりしているような気がします。この「雨のベリール」という一枚は、どちらかというとヘタな作品に見えます。でもなぜか、この絵はモネの中でも惹かれる一枚なんですね。ウマい/ヘタなんて随分と乱暴な分け方をしてしまいましたが、これをもう少し丁寧に言い直すと、苦労の跡が見えるか見えないかということになるのかもしれません。モネの中でも、まるで魔法使いみたいな手つきで重ねられた絵の具から、或る風景が魔法のように立ち現れてくるような絵があります。これはもう、ウマいと言うしかない・・・。それに対して、あんまり上手く魔法が使えずに、いつまでもぐずぐずしているような絵があります。絵の具の積み重なりから、いつまでも風景が立ち上がってきてくれない。この絵も、どちらかと言えばそんな一枚に見えます。理由はごく単純です。それまで、「雨」なんて描いたことがなかったからです。雨を描く方法なんて、誰も教えてくれなかったのです。(これは単にモネの個人的な問題ではなく、いわゆる「西洋絵画史」の問題です。長くなってしまうので、ここでは割愛しますが、興味のある人は調べてみて下さい。もちろん、新美に尋ねにきてもらっても構いません。)
さて、モネはどうしたか。この絵の上方、空の部分をよく見ると、画面の左上から右下へ、斜めに筋がつけられています。筋は、岩にも及んでいます。(加えて、同じ方向に白波が立っています。)モネのこの絵では、雨は直接描かれてはいませんが、斜めにつけられた「筋のようなもの」によって、よくみると、絵の中で雨が降っていることがわかるのです。

ところで余談ですが、モネの雨の「筋のような」表現、どこかで見覚えがあるような気がするのですが、みなさんはどうでしょう。「雨のベリール」のマチエールを観て、僕はなぜか枯山水の庭園を思い出してしまいます。

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これはいわゆる枯山水庭園のうちのひとつ、大徳寺黄梅院の庭園です。枯山水では、池ではなく白砂によって海(または川)が表現されます。このとき、白砂が掃き清められる際につけられる筋は、波紋を表現しているようにも見えます。「雨のベリールル」の空の部分の手跡をじっとみていると、どこか枯山水の白砂の筋を似て見えてきませんか?

話が逸れてしまいましたが、モネやゴッホなど、印象派の画家たちが活躍していた時代、日本からはヨーロッパに浮世絵がもたらされます。この時代のヨーロッパの絵の背景には、こぞって日本の絵や工芸品なんかが描かれるようになります。いわゆるジャポニスムの時代です。印象派の画家たちは、はじめて観る異国の文物、自分たちの知らない絵画のスタイルに驚きます。その中には、広重の雨の浮世絵も含まれていました。左は歌川広重の名所江戸百景のうちの一場面「大はし あたけの夕立」、右はゴッホによる摸写です。モネが苦労して油絵具をこねくり回していたちょうどその頃、「極東の島国では思いもよらない優美な雨が描かれていた!」、ゴッホによる摸写を見ても、当時の印象派の驚きの声が聞こえてきそうです。

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お次は、次は日本画から、福田平八郎の1953年の作品、その名も「雨」です。

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「この絵のどこが雨なんだ?むしろ、瓦じゃないか!」なんてつっこみが今にも聞こえてきそうです。この絵は東京国立近代美術館に収蔵されていて、僕も常設展ではじめて観たのですが、展示室に入って、まず何よりも大胆に切り取られた瓦のミニマルなパターンが眼に飛び込んできます。近づいてタイトルをみると、「雨」と書いてある。「あれ?おかしいぞ」と思ってもう一度よく絵を見てみて、ようやく気付くといった具合です。屋根瓦に、ぽつぽつと雨の染みがついているんですね。これから夕立が来るんでしょうか。乾いた地面に最初にパラパラと落ちてくる雨って、匂いがしませんか?雨の匂いってやつです。これから本降りになられても困るけれど、僕はあの雨の「匂い」はけっこう好きですね。福田平八郎の「雨」には、そういう匂いまで描かれているようです。

いかがだったでしょうか?少しは、雨が好きになりましたか?まだまだ紹介しきれない絵以外の作品、映画や俳句なんかが残ってるんですが、今日はこの辺で。次回までに、まだ梅雨が明けていなければ、後編を書きたいと思います。とは言いつつも、次回までには梅雨が明けてくれることを願っています!気持ちよく晴れた、夏期講習会でお会いしましょう!

映像科:夏期講習について

こんにちは。映像科講師の森田です。
一学期の木金日コースも7/10の金曜日で終了。4月にスケジュールをもらった時には夏なんてまだまだ先だと思っても、気づけば目前には夏期講習。今年度の映像科の夏期講習は、4つの期間に分かれていて、4日間/6日間から受講できます(4つの期間トータルで22日間)。パンフレットには1日ごとの細かい予定が掲載されていますが、4つのコースそれぞれにもかなり特色があります。
映像科の場合は毎年夏期講習で初めて受講するという人が多くいるので、今年はどんな人が来るかな?と講師一同楽しみにしてます。また遠方でひと夏まるまる通うのは難しいかも…という人も、自分の受験の仕方に合わせてピンポイントで受講を考えてみてくださいね。

■【EA 私立美大映像 総合コース】7/20?7/25(6日間)
「創作」や「論述」など、映像メディア系の実技試験で得点源でもあるけど対策が難しい文章表現を中心に、1日1?2課題の制作をします。基本的には教室での作業がメインですが、作品のアイディアを探すためのフィールドワークや、オススメ映像作品の上映なども予定しています。最後の2日間で対策の成果を活かしつつ「感覚テスト」or「構想表現」の制作をします。

■【EB 私立美大映像 推薦入試対策コース】8/3~8/8(6日間)
武蔵野美大映像学科の「クリエーション資質重視型入試」「ディレクション資質重視型入試」や東京造形大学のAO入試など、自分のこれまでの活動を活かした入試の対策を行います。映像制作WS(撮影・編集・上映or展示)や、ポートフォリオの編集についてなど、映像系の推薦入試に関わることはこの6日ですべて網羅する!という内容になっています。

■【EC 私立美大映像 一般入試特訓コース】8/17~8/22(6日間)
一般入試では、ほとんどの人が第一志望以外にも2?5程度の大学・学科/専攻を併願することになります。これは実技が課せられる美大の入試で、実際の試験会場で制作することに慣れておくという意味もあります。なのでこの夏の時期に武蔵美映像、東京造形、日芸など複数の大学の試験の形式を知って、それぞれのポイントを掴んでおきましょう。

■【ED 武蔵野美大映像学科 特訓コース】8/25~8/22(4日間)
去年までは冬期講習だけだった武蔵野美大特訓コースを、今年は夏期講習でも開講することになりました。短い期間ですが、その中で「感覚テスト」「小論文」「鉛筆デッサン」のポイントをレクチャーしつつ、制作をします。最後の2日間はコンクール(実技の模擬試験)形式。現時点での自分の実力を知るためにも、ぜひ参加してみてください。

油絵具の色ついて(赤色編)

こんにちは。油絵科の関口です。

今回から油絵具の色について、書きたいと思います。・・・が、すべての色について書くと凄?く長くなってしまいますので、今回は赤色について書きたいと思います。

 

ところで皆さんが使っている赤色の絵の具は何を使っていますか??カドミウムレッド? ブライトレッド? ピロールレッド? クリムソンレーキ? カーマイン?…実はこれらの色は油絵具が使われ始めたルネサンスの頃には存在しない色でした。

ファン・デル・パーレの聖母
ヤン・ファン・エイク作「ファン・デル・パーレの聖母」1431?1436年

当時あった赤色はたったの2色。バーミリオンとマダーレーキのみです。(厳密に言えば、あと何色かは赤は存在しました)この絵の赤がたったの2色で描かれたというのは驚きですね。

 

 

・バーミリオン

SAMSUNG DIGIMAX 420
顔料として使われる粉の状態では、赤色というよりも橙色に近い不透明な色で、顔料は硫化水銀から出来ています。
辰砂
結晶の状態では透明感があるようですね。色味もかなり違います。これを粉になるまですりつぶして行くと、上の写真の色に近付いて行くというのが何だか不思議です。現在の油絵の具の顔料は化学合成で作られたものを顔料として使用しています。

硫化水銀ということで、元は硫黄と水銀ですから、当然毒性の強い絵具です。(逆に漢方では薬として処方される事があります。専門的な事は分かりませんが、分量によって毒にも薬にもなるという事なんでしょうね)その毒性の所為か、現在ヨーロッパでは廃色になっているメーカーもある様です。

このバーミリオン、今の日本の油絵具の中では一番高価な部類になります。深みとずっしりと重みのある朱色で、カドミウムレッドとはかなり異なる趣を持っています。ちなみにバーミリオンチントとかバーミリオンヒューというのは安価ですが、バーミリオンに似せて数色を混ぜて作った色になります。そもそもチントというのは「染める」という意味を持っていますので、○○チントという名前の付いた色は、安価な絵の具同士を混色して作られた色になります。「本物は使った事が無い」という人は、一度お金を貯めて買ってみて下さい。違いがハッキリと分かると思います。

朱肉
バーミリオンは日本でも辰砂、丹砂、丹沙と言って昔から朱色として使っていました。神社にある鳥居の朱色、朱色の漆、朱墨、高級な朱肉、日本画の朱色の顔料として今も現役です。日本画の岩絵の具は、今でも上の写真の様な鉱石をすり潰して使っているいるそうです。

 

 

・マダーレーキ

西洋茜の根から抽出される染料で、暗い赤褐色の色が抽出されて、それを油絵の具の色材として使っていました。西洋茜
西洋茜 の根

マダーレーキは、残念ながら現在では油絵具としては作られていません。現在使われているローズマダーは、合成染料を体質顔料に着色して使用しています。総じて天然の染料より合成染料の方が耐光性が良く、大抵は発色も良いようです。ちなみにこのマダーレーキは現在もヴァイオリンのニスの色として現役だそうです。ヴァイオリン
ヴァイオリンの赤褐色はマダーレーキだったんですね。油絵の具として使われていた色と同じかどうかまでは分かりません。

 

赤い色を表現するに当たり、下の層に朱色のバーミリオンを使い、明るさにはシルバーホワイトを混色したものを使用して描いていきます。まずはこの状態で一旦乾燥させます。

この絵の具が乾いた後、マダーレーキを薄くグレーズ(透明に薄く色を重ねる技法)していきます。暗い所は乾いたらマダーレーキを重ねて、乾いたら重ねて…を何回も繰り返していくのです。図版では分からないかもしれませんね。暗いところが少し盛り上がっているんですよ。

ファン・デル・パーレ部分
ファン・デル・パーレの聖母(部分)

実質的にこの2色だけで、色んな赤い色をこれ程までに巧みに表現していたというのは、絵を描いている人にとっては驚きですね。恐らく重ねて色を表現していくのには、かなりの時間と根気が必要だったと思います。
現代では、画材屋さんに行けば赤だけでも数十色あるのですから、当然表現できない色なんか無い筈!!・・・なんですが、皆さん如何でしょうか?

まあ修行あるのみです(笑)。是非頑張って下さい。