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2018全科合同コンクール

こにちは、全科総合部です。

只今、ご存知のように新美のギャラリーでは「全科合同コンクール」展示が行われています。

「わたし自身」を描きなさい、という課題で、新宿美術学院の学生たちが熱意を込めて描かれました。
今回は、その頂点を展示しております。

栄えある第一位は!!

おめでとうございます!!
素晴らしいデッサンですね。さわやかな光や空気を私は感じます!
同時に、工芸科主任高澤賞も受賞しています。

続いて第二位は!!

おめでとうございます!
画像がだいぶ明るくなってしまいました。(作者の方に申し訳ありません)
本物は、もっと良いです。現場に観に来れば一目瞭然!!
3位以降も、後日発表していければと思います。
1位、2位とも違う良さがあるデッサンです。楽しみにしてください!

展示は、予定より延長して今週末まで行っています。
まだ観られていない方は、ぜひこの機会に学生たちの成果を観に来ていただけると喜びます!!

ナイフの魅力

こんにちは。油絵科の関口です。
油絵科の皆さんなら「ナイフ」と言えば刃物ではなく、真っ先に思いつくのはペインティングナイフになるかと思います。きっと一度くらいは使った事はありますよね?え…?全部筆で描いていて、一度も使っと事がない?それはそれで珍しいタイプかもしれませんが、実は正統派です。というのも、油絵でペインティングナイフが一般的に使われる様になったのは、近代に入ってからです。古典絵画の大半は筆のみで描かれています。
しかし、ナイフは筆では得られないタッチと、極端な厚塗りも可能で、下の絵具が乾く前にドンドン重ねられるのも魅力です。
今日は描画材としてのペインティングナイフに焦点を当てて行きたいと思います。

ルネサンス初期に発明された油絵具ですが、当時の描画材は専ら筆になります。油絵が発明される前からあったテンペラやフレスコも筆でのみ描かれており、新しく開発された油絵具も筆で描くという行為が踏襲されました。
では、ペインティングナイフを最初に使った画家は誰でしょう?
僕は恐らくレンブラントではないか?と思っています。この「ユダヤの花嫁」という作品では、身篭った妻のお腹に手を当てる夫の腕、洋服部分にヘラの様なもので絵具が乗せているのが分かります。この時代に金属製のペインティングナイフというものは無かった筈なので、何を使ったか?までは分かりません。
同時代の巨匠であるルーベンスやベラスケスは、ナイフを使って描いた絵は一枚も残していません。レンブラントが独自に開発した技法である可能性が高いのです。レンブラントは肖像画の注文をたくさん受けていましたが、まず自分の顔=自画像で色んな実験をしていた、と言われています。

例えばこの自画像では、筆の持ち手である柄の部分で引っ掻いて髪の毛を表現しています。この技法は後に違う作品でも使われる様になりますが、それまでの絵画の歴史の中では「異端」の技法です。

近代になるとクールベ、ドガ、クレー、モロー、ルオーあたりもナイフを使って描いた作品が散見されます。マティスは絵の具を削り取る道具として使っているのをよく見かけます。

クールべ

第二次大戦後もデ・クーニング、フォートリエ、タピエス、ド・スタールなど様々な作家がナイフを使って魅力的な作品を作っています。

ド・スタール


タピエス

油絵具という物質感の強い絵の具を強調する描画材として、ナイフは大きく貢献してきました。機会があれば、技術的な側面からもナイフの事を語ってみたいと思います。

 

あと私事になりますが、10月17日?11月8日まで銀座並木通りギャラリーで個展を開催することになりました。JR有楽町駅、地下鉄銀座駅、銀座一丁目駅から歩いても5?6分の場所にあります。お時間のある方は是非お立ち寄りください。ちなみに土曜日は、ギャラリートークのある27日のみ開廊していますが、他の土曜日はお休みです。日曜と祝日もお休みです。お間違えのないよう、お願い致します。

http://namikidori-gallery.com

彫刻科 近況

彫刻科講師の氷室です。
早いもので、2学期もあっという間に10月半ばまで来ました。
各予備校での公開コンクールやセンター試験の申し込み締め切りもあり、いよいよ試験の実感が湧いてくる頃ですね。
各予備校のコンクールに参加して、なるべく場慣れしておいた方が経験値が上がり、試験本番での緊張を和らげることに繋がるかもしれません!
結果は、納得いく様に受け止め2学期の糧にして行きましょう。
今時期のもうひと踏ん張りが、大切です!
山あり谷ありでも、普段の実技へ向かう姿勢が、必ず本番の自分の背中を押してくれますから!

さて、ここから最近の生徒作品を紹介します。


奥の顔の印象がもう少しですが、両肩からの首の意識、光の取り込み方、視点の感じさせ方全体に意識が行き渡っており丁寧なデッサンです!


顔の印象、肩の作り方はとても良いです!体の正面から奥に向かってはやや線の描写が浮いてしまっているので、もう一歩時間を掛けたかったですね。


なかなか難しいグデアの印象を比率よく合わせてきています。粘土の色味に深さが出始めているので、張りを意識できればもっと完成度があがるでしょう!


全体の微妙な動きに寄る柔らかさと、眼の印象に強さを感じる魅力のある作品です。首の切り口がやや優しので、表情との兼ね合いがあると良いかと思います。


こちらは現役生のデッサンです。首から頬の形がほとんど見えないのがパジャントの難しい所ですが、しつこく形を追っていく姿勢がとても良いです!手前の布の特徴も臨場感があり、良く表現できています◎上手いですね!

彫刻科の近況は、以上です。

話は変わりますが、最近 『美に生きる』と言う、彫刻家・高村光太郎の本を読みました。

(セミの翅 あつくてしかもあつさを感じさせない様に彫る
これは彫刻上の肉合いと面の取り扱いとによってのみ可能となる。しかもまるでセミの翅の厚薄などという事は気づかず 何だか当たり前に出来ていると思えば最上なのである。
彫刻家はセミの形態について厳格な科学的研究を遂げ、その形成の原理を十分にのみ込んでいなければならない。)

彫刻科を通過する人であれば、誰もが記憶にある高村光太郎の木彫作品。
改めて、文章を読み考えてみる。
ここに彫刻と言う言葉の1つの源があることは確かで、私の憧れの1つであることを再認識しました。
それが全てではなくとも、改めて読むとため息が出てしまいます。
私は、木彫制作からは1番距離が開いてしまっている身なので、より木彫への憧れが募ります。

最近のささやかに感動した出来事でした!

今回の記事はここまでです!
2学期後半へ向けて、しっかり制作のリズムを作って行きましょう!

追伸
小川原主任と私が在学中に担当教授であった彫刻家 山本正道先生の個展が開催されます。
私が、今 ここに居る それは山本先生との出会いがあったからでもあります。
ハッと心に響く そんな作品に出会えるかもしれません。
是非、皆さんに時間を作って観にいってもらえると嬉しいです。


10月16日( 火)ー 11月10日(土)10:30?18:30 日・祝休廊
ギャラリー長谷川にて

彫刻科 公開コンクール上位作品。

こんにちは!彫刻科の小川原です。先日行った公開コンクールで上位だった作品を紹介します。

デッサン1位 現役生

デッサン2位 現役生

3位

塑像1位

塑像2位

塑像3位

この時期6時間での制作はまだ慣れてなくて大変だった部分もあると思います。デッサンも塑像もいい作品がもう少し出てくれると良かったですが、今回の結果を反省点として捉えて、次回に活かしていって欲しいです!入試を見据えて頑張りましょう!!

映像科:武蔵野美大映像学科 実技模試のレポート

こんにちは、映像科講師の森田です。
7(日)・8(月・祝)の2日間は実技模試、いわゆる公開コンクールでした。今年も普段木金日コースを受講している学生だけでなく、多くの映像学科受験生に参加してもらいました。映像学科の受験に興味がありながらも今回は受講できなかったという人もいると思うので、出題した模擬試験問題と解説を書いてみます。

○感覚テスト
下記の語から想起する場所のイメージ、あるいは出来事のイメージを絵と文章を用いて表現しなさい。
「呼応(こおう)する」

→出題意図
指定された語から映像的な場面を創作することが感覚テストの課題です。
今回のキーワード「呼応」を辞書で引くと、
1.一方が呼びかけ、相手がそれに応えること。互いに呼びかわすこと。
2.互いに気脈を通じて物事を行うこと。示し合せること。
3.文中である語とあとに来る語が特定の関係を示すこと。
というような意味が挙げられています。辞書の意味に当てはめなければいけないということではないですが、例えば1の「互いに呼びかわすこと」や2の「気脈を通じて物事を行うこと」という部分からは、何か物語の断片のようなものが想像できそうです。それは人と人の関係かもしれないし、動物や無機物との関係でもあり得ます。何かと何かの特別な関係が「今まさに」立ち上がっている、そのことを映像的な場面として表現してもらいたいと考えました。もちろんビジュアル的なアイディアや文章の語彙の面白さも評価します。

○小論文
配布されたモチーフを観察して、そのすべての情報を言葉によって描写し、伝えなさい。
【配布物:造花】

→出題意図
武蔵美の小論文では配布されたモチーフをよく観察して考察や論述に展開することが求められています。今回のモチーフの「造花」は花びらの微妙な透けや葉の葉脈、茎の棘など細部まで再現された製品です。これは花のコピー(模造)であると言えますが、私たちはどのような点からその違いを感じ取っているのでしょうか。その知覚の過程を描写しながら、実物/模造についての考察を展開してもらいたいと考えて出題しました。

○鉛筆デッサン
配布された2種類のモチーフの観察を通じて、見えたこと、わかったことを克明に描写し、伝えなさい。
【配布物:造花、生花】


(※黄色い方が造花、白い方が生花です。画像でわかりますか??)

→出題意図
生の花と、生の花を模して作られた造花。ぱっと見た目は近しい物と感じますが、細部を観察すると当然差異が見えてきます。両者を観察して描いていくことを通じて、生命を持っていた物としての花と、工業製品として製造された造花それぞれの「存在」に迫ってみて欲しいと考えて出題しました。

+

毎年この時期の実技模試では、前年度の実技試験の傾向を踏まえて出題をし、実際の試験と同じ条件で制作してもらいます。また今回は今年から出題の形式が変更になる「造形構想学部」の学科試験も併せて受講してもらいました。学科試験も含めて、良いスコアが出れば喜ばしいですが、大切なことは、この2日間で武蔵美映像学科の試験の傾向(採点する上でどのようなことが重視されているか)を掴んでおくことです。そして実技模試は緊張感のある雰囲気でも臆さず制作するための練習でもあります。

参加した皆さん、2日間お疲れさまでした!良い結果だった人はおめでとうございます。不本意な結果だった人も、ここから再スタートの気持ちでいきましょう。
一般入試まではちょうど4ヶ月!まだまだレベルアップできます!