月別アーカイブ: 2018年12月

巨大なデッサン、カルトーネ

こんにちは。油絵科の関口です。
芸大の募集要項で、一次素描が倍版の木炭紙による素描という事がが発表され、油絵科の受験生はさぞかし戸惑っている事と思います。今日はそれに伴い、大きなサイズのデッサンについてお話したいと思います。

美術史の中に出てくるデッサンは、紙に描かれるという事もあり、どの時代を見ても比較的サイズの小さなものが主流です。しかし、中には巨大なサイズのものが登場します。


これはロンドンナショナルギャラリーにあるレオナルド・ダ・ビンチの「聖アンナと聖母子と幼児聖ヨハネ」という作品です。デッサンながらレオナルドの中でも最高傑作の一つとも言えます。
大きさは142×105cmというサイズで、デッサンとしてはかなり大きな部類に入ります。さすがにこのサイズになると、紙は複数枚を繋ぎ合わせて作られています。今よりも紙が貴重な時代…ということもありますが、大きな紙というのは漉くのが大変なんです。

拡大すると表情の美しさや、木炭で描かれたと思われる大胆な線描も見えてきます。こういう大きなデッサンはカルトーネ(イタリア語で原寸大のデッサン、下絵の意味)と言います。ちなみにこのカルトーネを元に描かれた作品は存在していません。


こちらはミケランジェロのカルトーネ。システィーナ礼拝堂の隣にあるパオリーナ礼拝堂の壁画の為に制作されたデッサンで、こちらもかなり巨大です。こちらの方が継ぎ目がしっかりと見えますね。ちなみにこの作品は一度日本に来た事があり、僕が高校生の時に西洋美術館で見ました。海老澤先生もよく「この作品は凄かった」と感想を述べています。確かに良い作品ですね。本番のフレスコの作品よりもこっちの方が魅力的です。
この壁画の左下部分のデッサンです。


こちらは足の部分になりますが、デッサンを転写する為の穴が開いています。ここに顔料を擦り込んで転写していく技法をスボルヴェロといいます。但し、頭部にはこの穴が開いておらず、これを使ってミケランジェロが下絵を転写したとは思えません。お弟子さんか、後の画家が模写をする為に開けかけた(けど叱られてやめた?)のではないでしょうか。

システィーナ礼拝堂の時から既にミケランジェロは「スポルヴェロ無しにフレスコを描いていた」と言われていますし、他の部分は見つかっていないので、一体何の為に描かれたカルトーネなのか?は謎ですね。

そしてカルトーネの最高峰とされているのは、ミラノのアンブロジアーナ絵画館にあるラファエロの作品でしょう。原寸大なので超巨大ですよ。

この作品はバチカンにあるフレスコ画の傑作「アテネの学堂」の為に描かれています。カルトーネには何故か「ミケランジェロをモデルにした」とされるヘラクレイトス(赤丸で囲まれた人)が描かれていません。

残念ながら僕はこのカルトーネを見ていませんが、見た人は口を揃えて「凄い作品だった」「デッサンのほうがフレスコより凄かった」と言います。死ぬまでに一度は見ておきたい作品の一つです。

最後に宣伝です。年末恒例のアニマート展が横浜のギャラリーアークで開催され、そちらに僕も出品しています。この展覧会は小さなサイズなので、今回のブログとは正反対ですが、興味がある方は是非お越し下さい。会期は12月15日(土)迄です。
http://ark.art-sq.com

秋葉原校 筑波大対策講座参加お礼

こんにちは、秋葉原校です。
12月になりましたね。秋葉原校でも一足先に推薦で大学合格が決まったという嬉しい報告が続々届いています。
一般入試組も、引き続き頑張っていきましょう!

話は変わりまして、先日11/25(日)実施の筑波大対策講座および一日体験にご参加いただいた皆様、
ありがとうございました。
推薦受験を間近に控えた受験生から、用意周到な中学生の方までかなり幅広くお越しいただきました。

初心者の方には、道具の使い方をレクチャーしたり

中間講評で、これからの進め方についてアドバイスしたり

個別面談では、ひとりひとりの状況に応じて、勉強方法についてご提案させて頂きました!
(画像がなくてごめんなさい、、)

筑波大の入試の特徴や準備に関する説明もあり、、

まさしく筑波大づくしの一日でした。
ご参加頂いた皆さんからも好評いただけたので、また春にもやりたいなあと思っております!

今回予定が合わず、参加出来なかった方は別途相談や体験にも応じていますので、ぜひ校舎までご連絡を。
近いところだと、12/15(土)~1/6(日)まで冬期講習会があります!
予定があっても、とりやすいカリキュラムになっていますのでぜひ。

風邪も流行っていますね、皆様ご自愛ください。
それでは!

★今日の秋葉原校★

受付のパートさん作の折り紙のリースが輝いています

彫刻科 近況

昼間部講師の氷室です。
いよいよ12月に突入しましたね。2学期も残す所1週間。休みを挟んで冬期講習が始まります。
冬期講習も力を伸ばすには良い環境です!スッキリしてお正月を迎えたいですね。
体調を整え、集中して実技に向かえる様にしたいですね。

話は変わりますが、アントニオ・ロペスの彫刻を紹介します。

ロペスの絵画も有名ですが、こちらの作品は木から彫られています。古代彫刻が好きだったロペスらしいポージングの作品です。
一見、塑像の様にも感じる木彫の人体です。
このロペスの作品を見ていると、木を素材とする扱い方も、改めて日本の木彫を考えてみる機会にもなるかなと、最近個人的に感じた事でした。

さて元の路線に戻りまして、最近の優秀作品の紹介です。


上手いです!組石膏は奥を技法的にサッと描いて逃がしてしまいがちですが、しっかりお互いの石膏の位置関係を意識し丁寧に視点を逃さず描ききっています!
秀作だと思います。


こちらも秀作です!この様なモチーフの場合、つい強引な色作りによって手前と奥を分けがちですが、自然に丁寧に空間が表現されており、お互いの素材の色味も感じられます!


腕が上がっていたり目線が下に行くポーズは難しかったと思いますが、よく表現できていると思います!


上手い!ここまでの完成度 素晴しいです!!


こちらは夜間部の生徒のデッサンです。ミロビのむっちりどっしりした独特の量感が感じ取れています!良いですね

 
今回は以上です!
2学期最後のコンクール、自分の実力を素直に出せる様、頑張って行きましょう!!