こんにちは。講師の臼田です。暑い日が続いているので皆さん体調には気をつけて下さい。
3期はデッサンに4期は塑像にそれぞれ焦点を当て集中的に課題を行いました。毎課題新しい発見や、自分のまだ足りない部分が見えてきていると思います。夏期講習中は守りに入らず何回もトライをして(その結果失敗することがあっても良いと思います)たくさんの収穫を得られるといいなと思います。あと二週間続きますが気を引き締めて引き続き頑張りましょう!!
預かり作品が多いので数を絞って紹介していこうと思います。
出だしでのブレや制作していくリズムに安定感が出てきました。見ていて不安になるような見落としや判断が減ってきていると思います。ただ最終的なところで絵が弱くなってしまうことがあります。像の空気感・距離感をどう画面に落とし込んでいくのかここからさらに研究していきたいです!それができるようになれれば最強になれると思います。
探りに硬さが残ってしまうことが課題であった作者ですが、今回は見事にそこを克服できたのではないでしょうか。大きくゆったり手を動かしながらあくまでも自然に像を捉えようと心がければできると思います。出だしが特に大事なので構造構造しすぎず、肩の力を抜いてやっていきましょう!いい調子です!
現役性の作品です。出だしややプロポーションの部分で外しましたが、美しく、自然に描き切ってこれましたね!自分でよく考えながら、動かしつつ制作できていると思います。白を基調に綺麗にかけていますが、探りがいききれないと浅く見えてしまうので気をつけましょう!出だしからドバッと炭を乗せ切らなくてもいいですが、描いていく過程で炭を乗せるべきところ、押さえるところをしっかりと認識しつつ進められると良いと思います!
出だしから人体の自然さを意識しつつ画面作りをしっかりと出来ていました。人体としての自然さは途中少し指摘されていましたが、最終的にも魅力あふれる作品になりました。炭の扱いも丁寧に出来ていた(石膏像に比べると場面の中の人体部分が少ないのもあるかも)ので良かったと思います!
続いて素描課題です。現役性の作品です。隅々まで探りが行き渡っていて密な仕上がりになっています。素晴らしい!とにかく出だしから中盤までの作業の中で見方や進め方に偏りが出ないようにしましょう!しっかりと見ればできる眼は持ち合わせているはず。偏りが出ればそこに狂いが出たり画面の中で弱さになります。気をつけていきましょう。
続いて3期末の上位作品です。ジョセフを描きました。


上位作品は印象よくかつ、それぞれ良いリズムを保ちながら制作できていました。ただ3作品ともまだいけると思います。像の印象をもっと深く観察・理解して出だしからその印象を引っ張ってこれるようになれると素晴らしいと思います。
手と鳩もしくは鳩のいる風景という課題で制作しました。台の上の空間をめいいっぱい使いつつ、物語を感じるような作品ですね!構成に関しては素晴らしいと思います。鳩の張りの表現はもっと積めていけると良いかなと思います。手に関してももっと形を締めていきたいです。それぞれただ形を合わせるという感覚以上にカタチの質に迫っていくような感覚が必要だと思います!
こちらもかなりダイナミックかつ量感の魅力で強く出し切ってこれました!個人的には少しくどいかなとも思いますがここまでやり切っていると見応えがすごいです!立っている鳩に関してはやや硬さを感じます。頭を振っていることで生じる三次曲面のねじれをもう少し捉えたかったです。
こちらも魅力あふれる構成内容また密度をもって仕上げてこれました!特にいうことは無いかなと思います。それくらいよくできています。強いていうのであればやや鳩の目の印象がきついような気がします。眼球自体の量感や縦横比がもう少し丸いかもですね。
影絵のイメージを取り入れ、面白い構成に仕上げられました!他の人とは被りが出ない素晴らしい構成だと思います!柔らかく粘土を見せていけることは強みだと思います。ここからもう少しだけカタチの張りと締まりを抑えていけるとぐっとよくなるかなと思います。
続いて『マスクに任意の材質感を与えて作りなさい』という課題でした。皮膚や紙のように捲れ上がっている様を上手く構成として落とし込めています!良い構成ですね。完成形に対しては発想も模刻も申し分なく特にいう事がありません。進んでいく中で作品全体を通してイメージがブレないように。要素を足し算していくことだけが正解ではない時があります。また模刻も最後のちょっとした締め込み、特にきわを大事に進めてみましょう。
現役性の作品です。実直に観察を積み重ね、良い造形にもってこれました。プラスの要素も上手く影を作れていてかっこいいです。心棒のこと、マスクを作っていく際に大事にしたい進め方や基準の作り方など学べたことも多かったと思います。今後につなげていきましょう!期待しています。
量として華奢な造形は個人的にあまり好きではないのですが、しっかりとやり切ってこれていて美しい構成になっていると思います。模刻も良いクオリティですね。このような構成はただの模刻をする時とは少し違ったリズムがあると思います。構成としてどこをどれくらい作るべきなのか、そうでは無いところでいかに時間を省略して作るのかが大事だと思います。したたかに時間配分を考えていきましょう!
モーゼのマスクに挑戦しました。巨大な量感ですが密度を著しく落とすことなく仕上げてこれています。途中段階で量を動かして印象を合わせていくと思いますが、もう少し早い段階で一度際の締め込みや、陰影の印象を止めながら進めて行っても良いかなと思います。
続いて4期末コンクールの上位作品を紹介します。課題は『感情をテーマに手を作りなさい。(最低1つの手は肘まで作ること)』でした。

全体を通して言えることはもっと手の密度を上げていきたいです。構造的な精度を出していくのは当たり前として、もっと手の持つ質感に注視していきたいです。上位作品でも納得のいくクオリティはありませんでした。日頃からもっと手を観察しましょう!
また時間的に、心棒などの構造的に自分の実力を100%出しきれていない人が多かったです。守りに入ってしまうのもダメだし、オーバーワークで作りきれないのもだめです。上手く2つのバランスを見極めつつ、自分の実力(密度を上げ切る)を100%出し切れる構成を練りましょう(かといって考えすぎて時間がなくなるのもダメ。瞬発力も大事)!それも実力のうちだと思います。失敗したことを必ず次に生かしてください!
最後に基礎科生の作品を紹介します。

どの学生の作品もレベルが高いです。また一回一回の課題での吸収力も高いです。教えていて本当に感心します!知識として知っておくと進めやすかったり、ミスを減らすことができたりします。毎課題新たな発見があると思うので、それを忘れず進んでいけると良いかなと思います。
長くなりましたが以上になります。