こんにちは、講師の新妻です。段々と年末の空気が近づいて来ましたね。
デッサン、塑造共に、高いレベルで自治的な制作が出来る学生が増えてきて、それに伴いポジティブな方向でのアドバイスを投げかける場面や、制作を見守るスタンスが増えてきたなぁと最近感じています。実技力自体は十分受験で戦えるレベルにある人がほとんどなので、制作する上で、「どこまで自分がやるつもりなのか」の目標設定がすごく大事になってきます。まだ理解不足や抜けもあるので冬期講習に入る前に今一度ウィークポイントを自浄出来ると良いですね。
まずは昼間部から秀作を紹介します。
時間をかけて自刻像を制作しました。みんなよく出来ていました。その中での2点。
人物彫刻の魅力って、作る人によっていろんなアプローチがあるかと思いますが、その中でも「屹立する力強さ」に作者のこだわりを感じる事ができる作品です。頭部、首の説得力に大して、広めに作った身体の部分にもう少し作品としての意味を持たせられるとさらにカッコいいと思います。
こちらは動きの揺らぎや表情など、観る人の眼差しを自然に受け止めるような作品になっていて、作り込んだ上で柔らかい雰囲気がしっかり表現できています。アクセントとして取り入れた帽子のベースの形の短調さが若干気になりました。
マイナーモチーフを色々描きました。全体的な成長を感じられた回でした。
ギリシャ夫人、頭部と顔の量的な設定がはめづらい像なんですが、とても印象よく描き上げられました。途中、顔がライン的になったり、画面全体の光の明快さの言い切りなど、些細なことではあるけれど、作品の向かう方向性が鈍るきっかけに、自分で気づいて修正できればOKです。
描き出し立ち上がりで、画面全体の関係性をしっかり確認すること、中盤で具体的に描写する際に日向の印象をしっかり抑えること、その2点を気を付けただけで、かなり良くなりました。スペックは高いので、あとは運転操作がスムーズにできれば、いつも実力を発揮できます。
カラカラ帝の印象をよく捉えています。見えたものを見えた通りに描く、そのための決定力がついてきました。答えはいつも目の前にあります。この調子です。
授業後に加筆して完成しました。軌道に乗ってからのやりとりは実感を持ちながら魅力的な仕事を重ねていけていると思います。完璧ではなくても、ここは外せないよね、っていう最低限の設定を出だしで守れれば、実力を発揮できます。
出だしからゴロッとした塊感を感じながら攻めれていて良かったです。構造を全て理解せねば!って難しく考えるというよりは、正中と左右軸といった最低限の基準だけ確認できれば、持ち前の目の良さと感覚で自分の仕事に自信を持って進めてほしいと思います。
髭の男の絵画的なメリハリ感がカッコよくとらえられました。調子の幅も、わかりやすい見せ場も画面上半分に集中しているんで、逆に画面下半分の説得力が絵を成り立たせる上では大事になってきます。
構造的な設定を序盤で意識する事ができるようになってきました。絵の中の世界に量や空間だけじゃなく、湿度も感じるような、いい作品になりましたね。受験石膏デッサンという枠を出た、部屋に飾っておける一枚だと思います。
模刻は最近では単体で出題されませんが、今後具象的な仕事をする上で、最低限このくらいのレベルはざっくりと把握できなければ逆に不安かなと思います。3Dプリンターのように寸分違わずではなく、立体として印象がかみ合ってるよねっていうラインをクリアできる精度が出せるようなることに意味があります。

自主的に制作したジョルジョの模刻です。模刻をする上での要点が分かってきましたね。土台の設定や形が合っていれば作り込んでも似るんだなぁって事が、頭ではなく実感として理解できたと思います。
動きの伸びやかさと恍惚とした印象をしっかり掴めています。喉元付近の首付け根の様子は大きな動きの印象的にも影響してくるのでよーく観察してみましょう。
こちらもしっかり作れています。伸び側の、ただ張っているだけではない形の複雑さに今一歩迫りたいですね。
作る力はあるので、小さな作業の集積ではどうしても掴めないような、像を取り巻く空間ごと似せる感覚を常に持てると良いですね。
続いて夜間部生の作品です。現役生たちも今までの積み重ねが布石であったかのように格段にできることが増えてきています。
とても良い流れで走り切れました!良い一枚が出ました。奴隷の持っている「張り」と「反り」の、「反り」の印象がやや弱いのと、大きな面性を序盤でガッチリ掴めると更に真に迫っていけると思います。
プロポーションからくる上向きの顔の印象や、上半身のまとまった量感の見え方はまだ本物に寄せていけるかなと思いますが、全体の印象がよく好感が持てます。キワの処理や奥に逃げていく形も弱くぼかすのではなく、一度しっかり決めきるやりとりができたのが良かったです。
続いて基礎科生の作品です。受験部と同じ空間で制作する中で、自然と制作に対する意識が高まっているのを日々感じます。受験部にとっても良い刺激になっています。
ヘルメスの体の、微妙な造形の機微をよく見ています。頭部に対しての立体的な解釈は、色んな角度から観察する事で捉えやすくなってきます。
かなり描き進んだ時点でも、大きく頭部の位置を修正する局面がありました。「もっとよくできるはずだ」という作品に対する姿勢が素晴らしいです。最終的に受験で(というか制作全般で)必要なメンタリティってこういうやりとりの積み重ねで培われる経験値の量で結構かわってくると思います。
まだ入学して日が浅いですが、とても良い感覚を持っています。デッサンも塑造もいっぱい課題をこなす中で、作品を形にする上ではずせない要点や、それを自分で見つけて是非の判断をする方法をどんどん増やしていってほしいです。
今回は以上です。風邪が流行ってきています。ご飯しっかり食べて、あったかくしてしっかり寝ましょう!

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