国立校 油絵受験科 授業&次回の土曜オプションについて

こんにちは、国立校 油画科講師の福本です。

先週の国立校油画科では「作家研究」の課題を行いました。

新美にあるたくさんの画集の中から自分の好きな作品や研究したい作家を一人選び参考にしながら
セットされた静物を描きました。
その作品から何を研究するか自分自身で分析し、そして自分の作品の中に取り入れていくプロセスを経て普段描いている視点やアイデアとは違ったアプローチで新たな表現方法を研究する授業です。

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油/油③

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新美にある画集の中で私が個人的にオススメする画集をご紹介します。

(上段の左から)
1: Painting today
2: PAINTING PEOPLE
3: ABSTRACT AMERICA: NEW PAINTING
4: Painting Abstraction : New Elements in Abstract Painting by Bob Nickas
(下段の左から)
5: New Perspectives in Painting
6: New Perspectives in Painting 2
7:?New Perspectives in?Drawing
8:?New Perspectives in?Drawing 2

これらの画集はいろいろなコンテンポラリーアーティストが載った画集で、その中でもペインターの作品がたくさん載っています。今活躍している現代のアーティストを調べたり、知るにはよい画集です。
3、4の画集は抽象絵画(抽象的な作品)だけを載せてある画集です。 ちなみに洋書なので受験生は英語の勉強をするのにも便利です。 リーディングは新しい単語の量を増やしたり、速読アップにもつながりますよ。

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国立校 今週の土曜オプション授業は

「油彩技法演習」です!

油絵具に慣れていない初心者・初級者を対象に用具説明から技法演習を行います。 以下の内容になっております。 外部生の方も参加できますので、どうぞご参加ください!
技法演習 のコピー 2?画材は学院購買部で購入できます。

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個人的な宣伝ですが、現在以下の展覧会に参加しています。
全国の美大の卒業制作展の中から選抜された30名の若手アーティストが展示されています。
アワード形式になっており、その中からさらに賞が決定されます。
私は、審査員賞の今村有策賞を受賞しました!
展覧会は5月25日(日)までやってますので是非見に来てください。

「アート アワード トーキョー 丸の内 2014」
会場:行幸地下ギャラリー(丸ビルの地下です) 東京駅 中央改札から徒歩5分 入場無料
詳しくはこちら http://www.artawardtokyo.jp/2014/ja/

スクリーンショット 2014-05-19 19.14.05 スクリーンショット 2014-05-19 19.14.29

彫刻科 美術館見学

再び 彫刻科の氷室です                                 彫刻とは?と言うことを知るきっかけを探すため、五月晴れのとある日曜日に彫刻科の有志で都内にある美術館めぐりにいってきました!                          谷中にある朝倉彫塑館→芸大→国立西洋美術館→上野公園でランチ→葛西にある関口美術館というコースです                                       askura? ? 日本の彫塑界を代表する存在、自然主義的写実で有名な朝倉文夫の彫刻作品が数多くありました 作品のクオリティーもさることながら建物も素晴らしく、ただただ見入ってしましました    asakurasy  作品の前で一枚 記念撮影!

お次は谷中から上野まで徒歩で国立西洋美術館へ 途中芸大に寄り道をしてロダンの青銅時代や陳列館で行われている展示を見ました                            IMG_0264-1  やっぱりロダンは上手い!!

西洋美術館では常設展示へ! buru                              IMG_0272 jigokunomonn 有名な地獄の門 近くで見ると迫力がありすぎます!向かって右端の門の外にはロープを発見!!主任が教えてくれました                                 美術館の中にも彫刻作品や絵画が多数ありそれぞれのペースで見学してきました

ここで一旦休憩!お腹を満たすため快晴の上野公園で気持よくランチをしました         (鳩と戯れる生徒も…)

午後には電車で葛西へ 閑静な住宅街の中に関口美術館がありましたbannバンッ!! 戦後日本を代表する彫刻家 柳原義達の作品が多数展示してあります 鳩や烏の作品が有名ですがその他の作品やドローイングもありましたsekiguchi とてもくつろげる静かな空間で皆でのんびり語り合うことができました!

近場なところをめぐる一日でしたが個々で彫刻とはと言う問いに、何かヒントを得ることが出来た一日になったのではないでしょうか                            めったにない貴重な時間で ゆっくり風を感じながら歩き語り合えた楽しい一日でした!    また明日から頑張ろう!!

作品紹介

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気持ちのよい季節 外を歩くのが心地よいです

初めまして 彫刻科講師の氷室と申します 飴を使った作品を作っています          今年度から小川原主任ともう一方、講師の内田さんの3人で交代で記事を書き込んで行く事になりました!宜しくお願い致します                               早速主任からハードルを上げられて、ハードル上がっとるやないかーいと突っ込んでしまいました 対して笑いを取れる自信はありませんが少しずつ作品の話や、作家として気づいたこと、彫刻に関する話なども書き綴って行けたらと思います                        今回は生徒作品の紹介のみですが、優秀な作品がたくさん出たので、ひとつずつ紹介していきますね                                           まずは、以前紹介したY.M君の円盤模刻と同時期に模刻をしていた2人の作品です 空き時間を使って手を加えつつやっと完成に至りました!

R.Y君の円盤模刻

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yamazaki2     動きに苦戦しながらも粘って大きく粘土を動かしてこれました 髪の毛の質感まで詰められていますね!                                         柔軟な粘土裁きと形の締め方のバランスをこれからもさらに追究していってください!

K.S君の円盤模刻

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saitou1ババランスや動きを見る力は終始安定していました  全体感も損なわずに表現できています   細部と全体を同時に見ながら形を作っていく作業をこれからも追究していってください!

模刻は体、頭、感覚、全てを常に使いながら制作する上、時間もかかります          ましてやこの大きさ!疲れ果てる事は言うまでもなく、そんな過酷な課題に二人とも上記のすべてを駆使し集中して取り組めていました                           この時期にじっくり大作に挑めた経験は皆が出来る事ではありません とても貴重だと思います 出来る事が増えたり、はたまた力不足であることを痛感したり色々な葛藤があった事でしょう  受験当日、この自分に向かい合った時間は必ず背中を押してくれる事と思います!       大型模刻は一生の宝物ですね!

さて次に紹介するのはフォーンのデッサンです                       A.Sさんの作品です                                    shiraishi 自分で時間を決め取り組んだ課題だけあって意気込みがこの迫力へとつながりました     フォーンの動きを良く捉えてあります 持ち味である勢いのある炭使いが形に反応できています さらに、おへそ下の動きが凝縮してくる形や腹筋にもう一歩手が入ればさらに良くなりそうです 実はこの画像、ほぼ加工をしていません。ここまで明快に力強いデッサンが描ける事にとても驚きました!かっこ良いデッサンです!

このデッサンの様にどんな石膏デッサンでも、目指すべきはその石膏を見た事がない人にもこういうモチーフなんだよと描いた絵で伝えられたら理想ですね!

次に上げるのは石膏を台座に立てかけた静物デッサンです                  3人の作品を紹介します                                 R.Yくんの作品                                      yamasekkou 手作りの台なため素直に見て描くとパースの間違いにもつながってしまいますが思い切ったトリミングが効いています                                   石膏と木の台の質感にんも反応できており間の空間がすっきり描けているところが魅力ですね  視点が良く伝わります

Y.S君の作品                                       sudo 今回、逆光側ですが画面左下、台と石膏の間から入ってくる光を描きたいという狙いがありましたその狙っていった構図がひと味違った魅力あるデッサンへとつながりましたね!        上から落ちてくる光や自然な形に反応できる様、ハーフトーンの幅を増やしていきたいですね   ハーフトーンへの飽くなき探求がこれからどういった結果に繋がってくるか楽しみです

T.U君の作品                                       ususekkou 視点が明快なデッサンです 難しい位置ですがマルスにも良く手が入っており、斜めに立てかけてある石膏と台の関係性を良く表現出来ていると思います! 石膏単体のときにもこの観察力を忘れずに!

この様な課題の場合、物を正確に描く以外にも、視点や状況を説明できる事が大切になってきます

次に紹介するのは課題以外で生徒自身が時間を作り制作した作品です            usujikoku 苦手だと言っていた動きのある首像に挑戦していました                   眼差しが感じられる作品です 固さがなくなり柔らかい人体の質感が見えてきましたね!その上で骨格もしっかり見えてくるのでとても魅力のある作品です 粘土の扱いや表現力の幅が増えてきたのでこの調子でさらなる探求心を燃やし頑張ってください!

彫刻家 ジャコメッティは                                眼差しが一番難しい 眼差しを作る事がでれば完成する                   と生涯探求し続けました

彫刻とは時間がかかります 作品にするには時間が必要です                 作品を作る、デッサンをする今はそこにじっくり浸れる貴重な日々だと思います        もちろん考え過ぎる事もたまには大事ですが難しく考えて動けなくなったら まずは目の前の出来ることをやってみましょう!!

 

 

 

素描友人像、塑像構成、、ライティング石膏。

こんにちは!彫刻科の小川原です。突然ですが最近体重が増えてきて困っています…。運動量が足りないのかな。彫刻は沢山動くイメージですが、実際自分は制作していてもそんなに体動かしている感じは無いですね。強いていうなら木槌を振る為に腕は動かし続けるので右腕だけ運動になってるのかもしれないです(笑)この話を絵画の人としたら、「少なくとも立って作業してるんだから座ってるよりいいよ」と言われました。
結局重いものはフォークリフトとか使ってしまうし、意外と動いてないな?と思いました(笑)

さて、それではこれまでの優秀作品を紹介します。
素描の友人像です。最初は15分おきにお互いにポーズし合って描く予定でしたが、描き合う形に変えました。微妙に動く対象を捉えるのもかなり勉強になったんじゃないでしょうか。
それぞれ木炭紙大M画に鉛筆で描いています。
T.U君の作品。
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鉛筆の扱いに長けていて、形の抵抗感の表現が良く、高い描写力に目を引きつけられます。具体的に実際の形を絵を介してイメージできるところが魅力となっていますが、腕がやや円柱状のカタい構造になってしまっているのとを中心に、体の探りに粘りが弱いのがもったいないところです。

F.Tさんの作品。
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繊細に探った表情に作品の魅力が集約されています。同時に作者の、表情に込めた意気込みも伝わってきます。ただし作品全体ではまだまだやり取りが足りないところは反省点として残ります。作品として成立する最低限のことは全体にできていますが、皮膚感や服の描写をはじめとした言い切りの完成度をさらに増していきたいです。

H.Iさんの作品。
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頭部の表現にリアリティがあり、独特の人間味が作品の魅力となっています。丁寧な形の探りにも好感が持てます。顔の影が体に落ちていますが、やや汚れにも見えてしまい、惜しいところです。あとは顎下の厚みや奥行きがうまく表現できるとさらに説得力のある作品になったと思います。

石膏のマスクと任意の幾何形態の構成。
模刻力に加えて空間をいかに魅力的に使っていくかが攻略のポイントです。何より完成度が求められますが、構成自体に自分なりの意図をしっかり持って取り組まないと他と代わり映えしない作品になってしまいます。

K.S君の作品。
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円柱とヴェロッキオを構成しました。3本の円柱はズレながら全て垂直に設定してあって、ヴェロッキオは3次元的に斜めに配置しています。全体感としては高さが使えていて空間の広がりが感じられ、円柱の持つ縦の時間軸と、ヴェロッキオの持つ斜めの時間軸によって2つの時間を同時に体感することができます。完成度も十分なので、実際の試験時間内でこのくらいのものを出していくつもりでいれると良いです。

A.Hさんの作品。
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ゲーテと三角柱、球、六面体の構成。一つずつ完成度を上げ、組み合わせ配置する方法をとっています。この方法は心棒による固定が制限される為にアクロバットな構成はできません。なので完成度での勝負に賭けた一点突破型の作品と言えます。この作品はゲーテの完成度もさることながら幾何形態のフィニッシュ感や接点のこだわりに明確な目的意識が感じられ、必要なことをすべてやりきっていることが評価できます。構成内容に関しても問題ないですが、やはり組み方が限られてくる中で他と少しでも差を付ける為に同じ「置き系」の構成でもどんな可能性があるかは常日頃から考えておきたいです。

今回は僕もつくってみました。
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ヴェロッキオと立方体の構成です。8時間くらいかかってしまいました。最初に立方体を仕上げて、そこに彫り込むように融合するヴェロッキオを配置したのですが、ヴェロッキオを配置する平面をつくり切らなければ6時間でいけそうです。(ヴェロッキオは別につくっておいたものを組み合わせたのではなく、粘土の塊を動かしながら立方体をもとにつくりました。逆さまのマスクも、まっすぐに置かれたモチーフを元に頭の中で回転させてつくっています。試験ではモチーフを動かせないので、こうした構成をする為には形を向き角度関係なく空間状に置き換えられる想定力が必要です。

石膏像のライティング課題。ライティングでは光線状況を極端にすることで光源設定を合わせることの重要性を強制的に体感してもらうことを目的としています。通常描く石膏デッサンではここまで明解なバルールの状況は有り得ないですが、イメージの中にはこのような捉え方をイメージの中にとどめておく必要があります。
T.U君の作品。
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現象としての光と陰(影)の変化の魅力と、作品としての完成度の魅力が光る作品です。体に対する頭部の動きの弱さが惜しいところです。単純に「描く力」は十二分にあるので、真に対象を捉えることを目指し飽くなき探究心をもって取り組んで貰えたらいいと思います。そのレベルまでいけたら敵は無いです。

基礎の課題でデモンストレーションを行いました。彫刻科ということではなく、あくまで基礎基本ということで、彫刻科風(笑)のデッサンではなく、線を多用せず、グラデーションを重視して描いてみました。
アマゾン。
アマゾンは初めて描きましたが、単純が故、描き切ろうとするとなかなか難しいです。ライティングよろしく光源設定を重要視した描き出しです。IMG_0420形、調子、空間、密度。全ての要素に対してバランス良く全体を探っていき、構築していきます。IMG_0424
4時間弱くらい描きました。僕は浪人していわゆる彫刻科風のデッサンに変わっていきましたが(といっても一般的な彫刻科風とは違いましたけど)、現役生のときはこんな感覚で描いていたなーと思いながら描きました。プロセスとか何も知らないし、決まっていない時は、とにかく写真のように描き上げることを目指していました。丁寧に色をコントロールしていく感覚がとても懐かしかったです(笑)IMG_0441

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目の表現とか、結構皆実際見えてる状況よりはっきり描きすぎちゃってやたら目立つ感じになりがちですが、こんな感じで陰に溶け込んで見えるときはその状況をリアルに描くのも大事です。無理に実際ある形を描こうとするのは見た目に不自然だったりします。だからといってぼかして終わってしまうとそれはそれで未完成のように見えたり、分かってるっぽく見えてマイナス印象だったりします。

さ、次回は氷室先生のブログです(笑)僕とは違った感じになると思うので楽しみにしていて下さい!!
とハードルを上げてみたりして(笑)

GRAVITY

こんにちは、油絵科松田です

 

今年の一月くらいでしょうか、どうしても映画館で観たい映画があると妻に誘われ、ゼログラビティという映画を観ました。

3Dで映画を観たのはアバター以来、3Dがこんなに進化しているとは、、、

 

 

以前の3Dは幾つかの階層が手前に出てくる不自然なもの、正直映画は2Dで良いかなと思ってましたが今は違うんですね、感心しました。

勿論手前にも映像は出てくるんですが、圧倒的な奥行きへと意識が引きずり込まれます。

舞台が宇宙空間というのもあるのでしょうが、重力軸も無く自分の位置感覚を失いそうになります。私も少し酔いました。

席まで動いた日には前の席のポケットに袋が必要だったはず、、

 

 

 

 

内容についてはネタバレになりますので書きませんが、最近のよくある娯楽映画とは全く違いました。

 

徹底的にリサーチされたリアリティと、少しのフィクションの境目が分からなくなるほど引きずり込まれますが、押し付けがましい内容ではなく、ストーリーはいたってシンプルです。

シンプルな故の隠喩が至る所に配置されてます。 この監督凄いです、、(脚本は親子で書かれてます)

 

最近DVDが発売されたので何回か見直してみましたが、特典映像をみてまたビックリ、、映像内容について尋常じゃないリサーチ量です。度を超えすぎてます。

 

少しのフィクションは入っているのですから適当に演出すればいいような場所、一度観たくらいでは気付かない場所まで徹底的に描き込まれています。

 

 

ストーリーや映像美だけでなく、制作者の思考を深く感じ取れる映画を久々に観ました。

 

映画館での上映は終わっていますので3Dで観ることはできないかもしれませんが、機会がもしあれば是非3Dでご覧になられては?

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