オスカー・ニーマイヤー

こんにちは。建築科講師の半田です。

私がまだ受験生だった頃、建築とは一体何なんだ、という怒りのようなものが胸の中にありました。 「記号的すぎる」「生っぽい」「かなしい」という、意味の分からない講評をされても、「そうか、失敗だったなあ」とすぐに納得できるものではありません。厳しい先生であったことは確かですが、なぜ自分の生み出したこの作品が建築空間として魅力的になりえないのか、疑問ばかりの日々でした。

 

時間が経ち、建築に明け暮れる日々を過ごしているうちに、不思議とそれらの講評が何を意味していたのか分かるようになりました。 建築は、すこしずつ理解を深めて行くものなのでしょう。すこし分かったと思えばまた分からない領域が現れて、完全にすべてを把握することなどできません。

ひとつには、建築と時代は切り離せない関係にあるからです。時代が更新されていく以上、建築の何たるかも更新されて行くのです。まるで生き物のように。

 

そもそも、理解するという意味の「分かる」という単語は、一体何を分けているのでしょうか。 これは哲学者の鷲田清一が投げかける疑問ですが、改めて考えてみると不思議な単語です。何を分かったのか。何をディバイドしたのか。 分別という言葉があります。物事が持つ意味やコンテクストを、自分の経験上のファイルにカテゴライズし(分けて)、しきりを作って(別にして)その現象を把握することです。「分別がある」というのは、物わかりの良い人を形容したりします。

物事のもつ由来や履歴や所在を、その意味区分で分けることによって、我々は物事を理解し、「分かった」と言うのではないでしょうか。

 

こう考えると、はっとします。 建築を考える上では、建築以外の分野に興味を持つことがとても重要です。社会や経済や文化や歴史やスポーツや食やアートやデザイン。人と環境。建築はそれらすべてと密接な関係にあります。それらに頸を突っ込まなければ生み出せないデザインがあります。

何とも分けることが出来ない建築なのですから、分かるわけはないのです。

 

しかしもちろん、冒頭で示唆したとおり、すこしずつ分かる領域というのは増えて行きます。 私はたくさんの先人達から、知恵をもらってきました。その一人、ブラジルの英雄建築家、曲線美の巨匠、オスカーニーマイヤーの展示が現在東京都現代美術館で行われています。

 

 

2 SA/NIEMEYER 67035987279://www.mot-art-museum.jp/exhibition/oscar-niemeyer.html

私は建築に思い悩んでいた受験生のときに、ニーマイヤーの作品を知りました。その哲学や理想を知って、その光の美しさを知って、建築物を周辺環境に同化させるのではなく、異物として挿入することによる調和の方法があることを知って、

そしてそれらが自分のどこかのファイルにすとんと分けられたとき、建築への理解がすこし深まった記憶があります。

 

受験生のみなさん、たくさん知って、たくさん考えて、たくさん挑戦してください。

くにたち の 夏期講習会

 

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国立校です。

1ヶ月間の夏期講習会が終了しました。
毎日朝から夕方まで制作に取り組み、皆かなり実力をつけることが出来たようです。
今日は講習会の作品を少しだけ紹介します。

◎受験科デザイン・工芸コース

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◎基礎科です。

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今週の木曜日から2学期が始まります。
2学期は公開コンクール、高校生デッサンコンクール(高1、高2)、美大学科模試、保護者会などイベントも目白押し。
入試に向けてしっかりと対策をしましょう。

美術解剖学ゼミ・ヌードクロッキー会開催!

こんにちは、だいぶ涼しくなってきたと思いきや、寒いくらいですね。

夏も終わりに近づいていますが、新美では最後の”夏期講習会 増設ゼミ”があります。
昨日も1日だけの「夏の特別講座 美術解剖学ゼミ・ヌードクロッキー会」が行われました。

私も終日おつき合いさせていただきましたが、本当に「1日ではもったいない!」と思ったくらい充実した内容でした。
美術解剖学ゼミ・ヌードクロッキー会

講義をしていただいた先生は、東京芸大をはじめ様々な大学で教鞭をとられています阿久津裕彦先生です。
解剖学のみならず、いろいろな興味深いお話しをかぶせていただき、本当に楽しかったです。
建築の原点までも人体だったなんてお話しは目からうろこでしたし、我々は腸からできて、骨は口から始まった?なんて、軽くカルチャーショックでした。
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思わす、先生の背中からも骨を見出そうとしてしまいました(笑)
ヌードモデル(男性)のクロッキーの時も、ポーズによって見えたりする骨や筋肉のポイントなども終始指摘していただき、受講生たちもさぞかし勉強になったと思います。

受講生のなかには、「もっと人物を描きたくなった!」などの声もあがり、人体への興味が更に増してきたのではないでしょうか。

ありがとうがざいました。

 

 

保護者のための芸大・美大受験説明会のご案内

暑い日が続いていますね。

新美では毎年夏に、「保護者のための芸大・美大受験説明会」を実施しております。
美大受験は情報も少なく、またその専門性から分かりにくい点も多いかと思います。
この説明会では、本校専門スタッフが、美大受験の全体像から入試対策、また美大の特徴や卒業後の進路までを分かりやすくご説明いたします。
お暑い中ご足労いただき恐縮ではございますが、ご参加お待ちしております。

保護者ガイダンス

 

油絵科以外も必見かも?測り棒の落とし穴

こんにちは、油絵科昼間部講師の仲間です。
「この前初めて気付きました。」と海老澤先生が嬉しそうにしていました。
「固定観念は恐ろしいものです。」あれ?いつも言ってることだよなと思いつつ聞いてみると、とても面白い話でしたのでブログのネタに使わせてもらいます。(本人はめんどうくさがってなかなかブログを書いてくれないので代わりに私が投稿させていただきます。;;)

以下海老澤先生談

デッサンで長さを測るとき、スポークを使うことがありますよね。上級者になると殆ど使いませんが……。
腕を曲げて測っていると、その都度ごとに距離が違うので正確には測れませんよね。ですから先生に「腕をしっかりと伸ばして測りましょう。」と、言われます。そのようにどこでも教えていると思います。石膏像でも頭の大きさが、体に比べて何頭身あるか測る場合があります。また頭部の横幅と下部の横幅を比べる場合などもあります。

それを信じると形が大きく狂うことを発見しました。

普段は同じ長さの(若くはそうだと思っている)物を測りませんよね、たまたま木炭紙を目線と直角にしようと思い、上下にパースがつかないように木炭紙の上と下の辺の幅を測りました。しかし、どう見ても直角になっていない。そのようなことがあり、アトリエ内の棚を使って確認してみました。中央の線を目線の高さに合わせ、上下の辺の幅にパースをつけないようにしてスポークで測ってみたところ、底辺の幅はものの大きさ、距離によって違いますが1割2割くらいと長くなります。これではおおよそのあたりにもなりません。

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そこでよく考えたら腕の回転軸の肩は眼よりかなり下にあることにより、下部を測るとき、腕を伸ばして安定した状態で測っても、眼からの距離がじょうぶの時よりかなり長くなります。
この計測方法ですと、下部の形が大きめに狂うことになります。その当たり前のことに今更ながら気付きました。

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因に、デスケルは見上げの時と見下げの時はパースが付き、糸で吊るされた5円玉では両脇の垂直線と一致しません。学生の頃からデッサンの基本でよく言われている計測方法は見上げ見下げの場合は違うと分かっていました。
しかしスポークの長さの比例関係の計測がまったく正確ではないとは……。
要するに、形を計ったから正確なはずだという思い込みが形を狂わせます。自分の目を鍛えて固定観念、先入観、錯覚に騙されないようデッサン力をつけて下さい。
以上海老澤先生談

とのことです。いかがでしたか、私は驚いてしまいスポークでズレを測る?ことがちょっとしたブームになりました。

それでは夏期講習も間もなく終わりとなりますが、充実した夏は過ごせたでしょうか?講習会参加者は短い期間ながらも着実に力をつけていく様子が目に見えて刺激的です。25日からは2学期までお休みがありますね。ゆっくりと体を休めてください。

それでは新学期もシンビでお待ちしております。