絵画のテクニック

こんにちは。油絵科の関口です。東京は梅雨も明けたせいか、凄く暑くなってきましたね。
さて、7/15(日)と7/16(祝・月)の二日間、新宿校ではスペシャルサマーセミナー(=略してスペサマ)を開催致します。
油絵科のスペサマは、素描と油絵のテクニックに特化したコースを設置しました。テクニックに特化したコースなので、スゴく楽しいと思いますよ。1990年代に新美で発明された奇想天外なテクニックも披露しますので、是非申し込んでみて下さい。絶対に損はさせません!

油絵科 マル秘テクニック講座 ↓
http://www.art-shinbi.com/event/2018/SSS/event002.html
7/15 素描
7/16 油彩

皆さんも絵を勉強して行く中で、テクニックというのは本当に気になりますよね。「この絵はどんな技法や材料で描かれたんだろう?」僕も高校生の時、そんな事ばかり考えていました。技法書も手当たり次第読み漁って「なるほど、この人はこんな風に描いていたのか!」なんて事を知ると、図書館や美術室の中で一人で盛り上がって興奮していたわけです(笑)。

マックス・デルナー著、佐藤一郎訳「絵画技術体系」(左)は古典絵画の巨匠の技法が書かれており、難解な言葉遣いも相まって(笑)非常に想像力が掻き立てられました。日本語で書かれているのに「この本の翻訳が必要」とまで言われる迷著です。

講習会で上京した時、美術館やギャラリーで絵を見る時も、舐めるように近くで観察して「この絵具の下にはこんな色が置いてありそうだぞ」とか、ああでも無いこうでも無い…と思考を張り巡らせていました。本物を近くで観察すると、色んなところが見えてきて、結構楽しいんですよね?。


フランシス・ベーコン 当時フジテレビのギャラリーで展示があり、近くで本物を見ました。顔を抽象的に解釈して、崩したタッチと背景のポップな色彩との対比が印象的でした。


ボリス・ザボロフ 大学を卒業してから、とあるデパートで偶然本物を見ました。モデリングペーストをボコボコに盛り上げて、その上にアクリル絵具とデッサン的な素材で描いています。色は渋いですが、美味さは伝わってくると思います。


ジム・ダイン その辺にある何の変哲も無い工具をカッコよく描いています。まさしくテクニックで絵にしている感じですね。


レオナルド・クレモニーニ この絵ではデッサンでいう「稜線と反射光」の原理が分かりやすく使われています。色相と彩度のコントロール、グレーの使い方が上手です。


ハンズ・ホーク 淡いグレーの色調の中に、軽やかなドローイングが施されています。チラッと覗く黄色や赤が効いています。


エゴン・シーレ 何とも言えない泥臭さと退廃的な雰囲気をまとい、見る人を魅了するシーレ。「現代芸術なんてありはしない。あるのは原初から続く芸術だけだ」彼が22歳の時の発言だそうです。


レンツォ・ベスピニャーニ 絵具を飛び散らせながら、都会のビル群をカッコよく描いています。結構渋めの色ですが、こんな色の組み合わせも綺麗ですね。

絵を勉強する上で「テクニックを磨きたい」という欲求は、素直な気持ちだと思います。そういう思いを持っている人は、是非サマスペを申し込んでみて下さい。秘密兵器を用意して待ってます!

7/8(日)推薦入試説明会

こんにちは。
7/8(日) 16:30より、新宿校にて「美大 推薦入試説明会」を行います。

近年、美術大学でも多くの学科で推薦入試やAO入試が実施されています。
推薦入試の内容は多岐にわたります。場合によっては一般入試よりも難易度が高いこともあり、正確な情報をもとに、早い段階から準備することが求められています。
新美では、一般入試と並行して推薦入試対策に取り組み、これまで多くの受験生を指導してきました。

当日は全体説明と個別での相談にもおこたえします。
また合格者の作品ファイル(ポートフォリオ)の展示も行います。
受験生、保護者様、高等学校教員の皆様を対象としています。
申し込み不要ですので、ぜひご来場ください。

映像科:武蔵美映像学科型・実技体験授業のお知らせ

こんにちは、映像科の森田です。
新美映像科では、7/8(日)に「武蔵美映像学科型・実技体験授業」を行います!

美大映像メディア系の中で多くの人が第一志望とする武蔵美の映像学科。一般入試では「感覚テスト」や「小論文」「鉛筆デッサン」など、他の学科や専攻とは少し違ったタイプの実技試験があります。新美映像科では夏から本格的に実技対策を始める人のために、実技体験授業を開催します。講師にアドバイスを受けながら、実技課題を制作し、試験の採点の基準を元に講評をしますので、これまでに実技制作の経験がなくても大丈夫です。まずは気軽に参加してみてください!

申し込みは以下のフォームよりできます。
武蔵美映像学科型・実技体験授業

+

●7/8(日)
・09:00-12:00…感覚テスト(※共通)
(※12:30まで制作延長可能)

・12:00-13:00…お昼休み

・13:00-15:00…小論文(※2科目から選択)
・13:00-16:00…鉛筆デッサン(※2科目から選択)

・16:00-17:00…講評
(※制作終了後、個別またはグループで講評をします)

○感覚テスト・参考作品(2018年度合格者作品から)

石膏デッサン考 part 2

こんにちは、全科総合部です。
今回は、彫刻科の先生と油絵科の先生、スパー講師とレジェンド講師の対談です。
石膏デッサンについて、それぞれの見解をそれぞれの立場で語ってくれました。
今までにない貴重なテキストです。永久保存版です。

「 石膏デッサン考対談 」 小川原先生 vs 海老澤先生

?小川原先生:先天的に、石膏デッサンが最初から上手な人がいます。でもそれは稀で、ほとんどの
人が“上手くない”から始めます。なので芸大入試の石膏デッサンにおいてもごく一
部の受験生を除いて“上手くない”から描き始めますが、最後まで“上手くない”
人は、構図・形がズレているまま描き進めてしまっています。

?進行(阿部):入試の場合、決められた時間の中で仕上げないといけないので、焦ってそうなって
しまうのでしょうね。

?小川原先生:ほっといても受かる人はどの科にもいるのでしょうけど、ほとんどの合格者は他者と
競って受かっていきます。受かる人と落ちる人の差がどこに
あるのか?その一つに
「描き出し」があるのではないかと考えます。

?進行(阿部):そこでクロッキーに行きつくわけですね。

小川原先生:そうです、受かる人はクロッキー的に石膏像をとらえています。デスケル(デッサ
ン・スケール)を覗いて点をとってつなげて形をとってい
る人は、形も合わず、直す
力もつきません。

?海老澤先生:デスケルを使用したからといって、上手くなることはないですね。デスケルで形を合
わせるのは理論上で、デッサン力とは違います。

?小川原先生:細部にとらわれ過ぎず、シンプルに形体をとらえるにはクロッキー力を鍛えるのが一
番。そのことにより大きな構造感を意識することができるように
なります。むしろ細
部は、全体感ができるまで描かないつもりでもよいかと
思います。どれだけ視野を広
げてクロッキー力をつけ、他者に差をつけるこ
とが合格につながるのではないでしょ
うか。

?

進行(阿部):「描き出し」には欠かせないのが構図をとることですが、海老澤先生はどうお考
でしょうか?

?海老澤先生:石膏デッサンの歴史の中で決まっている「構図」というのがあります。その意味から
理解しないと勉強になりません。そうしないと、自身の作品等に応用もできません。
例えばフェルメールという画家の作品では、人物が小さく描かれていてもリアルな大
きさは感じられます。メイプルソープとう写真家は大理石の彫刻を撮った作品もあり
ますが、クローズアップして彫刻の魅力を出しています。特に油絵科の場合、石膏像
の模写ではなく、「あなたの感性で、石膏像を描きなさい」という意味合いで入試に
出されることが多いようです。ルールどおりだと、かえって主張が弱いとまで思われ
るふしもあるくらいです。
でも、決められた構図もいい構図のひとつであることも確
かです。
 

?小川原先生:彫刻科の入試でも、思いがけず構図が小さくなってしまったものは論外ですが、敢え
て小さく入れたものでも、力があれば認められると思います。
石膏像に他のものを組み合わせたりしたモチーフが時々でたりしますが、そうなると“石膏デッサン”というより、“静物デッサン”として構図をとります。なので、石膏像の台座まで入れることが多いです。むしろ入れないと「彫刻的」でないとみなされて、減点の対象になります。

?海老澤先生:油絵科の入試で何が大事かと問われれば、ハートが大事ではないかと私は考えていま
す。そうなると、構造が大事とも細部が大事とも調子が大事ともい
えるし、どれもいえないともいえます???要は、人それぞれ違うのです。たとえば、雰囲気が大事な人は、形を出しすぎると損なわれることもあるので、形を犠牲にすることもあります。

?小川原先生:それに比べると彫刻科はストイックですね。調子でいうと、明るさの中の形も白くと
ばしたりはせず、形を追っていきますし、暗さの中も潰さず追って
いきます。

?進行(阿部):とはいえ、彫刻科にも感性的なところもあるとお聞きしたことがあります。

?小川原先生:そうですね、敢えていうなら、石膏像が写真のようにそっくりでなくても良い点です
かね。形のくるいの中でも、あっても良いくるいとダメなくるいが
あります。わざわざくるっているのが良いというわけではありませんが、構造からくるくるいは許せません。

?海老澤先生:わかります、ロダンの彫刻を思い出しました。ロココ調の彫刻は綺麗ですが、いまい
ち表面的な場合が多い。その一方、ロダンは構造的な形は言い切りが
強く、説得力があります。表面的なくるいではなく、良いくるいですよね。クロッキーもしかり。

?進行(阿部):奥深くなってきましたが、今回はこのぐらいで、続きは「スペシャル・サマー・セ
ミナー」石膏デッサン強化ゼミでお願いします。有意義な意見いただきました、ありがとうございま
した。

?お疲れ様でした。

まだまだつづく、
7月15・16日、スペシャル・サマー・セミナー「石膏デッサン強化ゼミ」の申し込みはこちらから!
是非、おまちしております!

秋葉原校、夏に向けて

秋葉原校の多田です。

梅雨らしく雨の日が続いていますね、、。でも梅雨を抜けるとじわじわと暑くなり夏も間近に迫ってきます!そして受験生にとって非常に大事な夏期講習がスタートします!!

秋葉原校では今週から各自受験校別の課題に取り組んでもらっています。

静物デッサン

複雑なモチーフを根気よく観察して描いています。

手のデッサン

繊細な指の動きを捉えてよく描写できています。手の構造をよく理解できていますね。

構成デッサン

ベルトコンベアーのようなユニークな発想で空間表現されています。

モチーフ構成

チョコと生地の対比が素晴らしい!背景も綺麗な色です。

イメージ色彩構成

お雑煮美味しそうですね、、浮いた油と湯気が効いてます。

上記5枚は先週から今週にかけての課題です。静物と手のデッサン、ドーナツの色彩は現役生、構成デッサンと下の色彩は昼間部の学生です。全部は載せれませんがこれ以外でも良い作品がどんどん出てきています!

春から基礎課題中心に制作してもらっていた成果が少しづつ出てきていますね。この調子で夏までぐんぐん伸びて欲しいです!

夏から本格的に実技をスタートさせようとしている生徒もまだ間に合います!秋葉原に近い生徒は是非一度相談しに来てください。

現役生にとっては夏に初めて試験時間で制作する課題も出てくるので、今のうちに少しずつ慣れていってもらいたいですね。暑い夏を一緒に乗り切っていきましょう!!!