カテゴリー別アーカイブ: 映像科

映像科:秋のオススメ展覧会&映画祭

こんにちは。映像科講師の森田です。
芸術祭も終わるといよいよ受験シーズンの足音が聞こえます。映像科では既に武蔵美の公募推薦の出願も終わり(該当する人、ひとまずお疲れさまでした!)、ここからポートフォリオ制作の追い込み、面接の練習といった怒濤の日々が始まります。また並行して留学生試験コースも11月後半?12月の各大学の入試に向けて対策が佳境となります。

そんな受験を直前に控えた人にとってはちょっとした息抜きとして、あるいは一般入試に向けてまだまだインプットを増やしたいという人へも向けて、秋のオススメ展覧会&映画祭を紹介しておきます。

①『Re:play 1972/2015ー「映像表現’72」展、再演』東京国立近代美術館
10月6日?12月3日
ぱっと見どこからどこまでが展覧会のタイトルなのかわかりづらいですが、この展覧会は1972年に京都で開催された「映像表現’72」という展覧会を、2015年の今「再演/再生(replay)」するということがテーマとして挙げられています。当時は当たり前の技術として使われていた8mmフィルムや、むしろまだ珍しかったビデオによる作品なども、当時と同じ環境で鑑賞できるようです。ちなみに2009年にこの近美で開催された『ヴィデオを待ちながら』もそうでしたが、映像の展示を観るのは(全部を観ようと思うと…)結構時間的な余裕が求められます。しっかり観たい人は一日かけてぜひ。

replaytenrankai

②『Who Dance? 振付のアクチュアリティ』早稲田大学演劇博物館
10月1日?2016年1月31日
以前にもこの早稲田大学演劇博物館で開催されていた『幻燈展–プロジェクション・メディアの考古学』を紹介しましたが、今回の展示はコンテンポラリー・ダンスの、特に「振付」にテーマを絞った展示だそうです。こちらの展覧会は映像科のN先生のオススメということで自分はまだ行けてないのですが、「振付けとSNSの関係」などウェブサイトを読む限り、面白そうです。こちらも時間をかけてじっくりと観たい展示です。

dnc_425

③『第16回東京フィムメックス』有楽町朝日ホール、TOHOシネマズ日劇、有楽町スバル座
11月21日?11月29日
たまには展覧会だけでなく映画祭の情報も。比較的大きな規模の『東京国際映画祭』は既に終わってしまいましたが、こちらの東京フィルメックスは11月の後半です。アジア各国の映画が中心ということで、なかなか普段観られない作品も多いので、ぜひ足を運んでみてください。映画祭の場合はもちろん「コレだ!」と狙って行くのも良いですが、予定が合った作品をふらっと観るという偶然の出会いも期待できる気がします。個人的には学生時代に偶然深夜にテレビで観た『風櫃の少年』という映画が上映されるのが楽しみです。

filmex2015_650_w

急に寒くなりましたが、体調管理もしっかり。年末まで2ヶ月を駆け抜けましょう!

映像科:公開コンクールのレポート

こんにちは、映像科講師の森田です。すっかり秋も深まってきたこの頃ですが、いかがお過ごしでしょうか。武蔵美に通っていたことがある自分としては、このくらいの気温になると芸祭を思い出します。今週末は武蔵美、来週には多摩美の芸祭がありますね。入試対策もそろそろ力が入ってくる時期だと思いますが、たまには息抜きを兼ねて、大学に足を運んでみるのも良いかもしれません。

さて、先週の10/11、12は新美の公開実力模試、いわゆるコンクールが行われました。講習会生や外部から参加してくれた方なども多く、なかなか盛り上がった2日間となりました。残念ながらスケジュールの都合などで今回受講できなかったという人もいると思いますので、このブログの方にも課題と解説を載せておきます。武蔵野美大映像学科の一般入試の傾向と対策について、ここで一度確認しておきましょう。

■感覚テスト(必須科目)
下記の文から想起する状況のイメージ、あるいは出来事のイメージを解答欄に絵と文章で表現しなさい。
「境界に触れていた」(B3画用紙/3時間)

感覚テストは映像学科を受験する学生ほとんどの人が制作する(一般方式では必須の)実技です。例年短い文章やキーワードをきっかけにして絵と文章で「映像のワンシーン」を創作します。去年の入試の問題は「空白が生まれた」というものでした。「空白」を何として設定するのか?ということが大きな問題になりますが、空間的な空白だけでなく、時間的な空白、あるいは記憶の中の空白、など様々に考えられると思います。感覚テストを制作する場合、なるべく具体的な場面を想像してみることが重要です。特に文章では、絵だけでは伝えきれないその場のリアルな状況や出来事が読み手に伝わるかどうかがひとつの評価基準となってきます。また画材として指定されている色鉛筆やパステルで描くことに慣れておくことも大切だと思います。

大原
(*参考作品:公開コンクールと同じ出題)

+

■小論文(選択科目)
配布された4種類の「木目柄折り紙」の観察と考察から、あなたなりの論点を発見して、「○○の捉え方」と題して論じなさい。(600字以内/2時間)

DSCF7427_02

映像学科の小論文は、毎回何かモチーフが手渡されて、そのモチーフを観察することから論文のテーマを見つけるという、ちょっと独自の出題になっています。ちなみに去年の問題では、紙風船と白いゴム風船がひとつずつ渡されて「○○の魅力」というテーマで論文を書くという内容でした(「○○の魅力」に言葉を当てはめて題名にします)。この小論文の問題文の「観察や考察」は目で見ることだけではありません。触ってみたり、匂いを嗅いでみたり、何か書き込んでみたり…など。実際に今回の「木目柄折り紙」の場合でも、試験時間の前半には「鶴を折ってみる」「くしゃくしゃにして紙としての質感を与えてみる」などの色々なことをしている人もいました。そういう「行為」から、自分が発見したことを論文にするということが求められています。もちろん文章としての一貫性は必要ですが、テーマについては自由な発想で望むことが大切になってきます。

+

■鉛筆デッサン(選択科目)
配布されたモチーフ2点を構成して描きなさい。(B3画用紙/3時間)

DSCF7430_02

鉛筆デッサンは卓上で3時間。大学の説明によれば「オーソドックスな描写力を見るための試験」ということですが、映像学科らしく(?)毎年他の学科のデッサンではあまりお目にかからないモチーフが出されます。また例年の傾向として、小論文と鉛筆デッサンで同じモチーフ(あるいは一部同じモチーフ)が出題されています。今回のコンクールでは、小論文のモチーフと似た木目のカッティングシートを三面に貼った石膏の立方体と、正方形のフェルトの布を渡しています。なかなか手強いモチーフではあると思いますが、まずはしっかり形を取れるように、対策をしておきましょう。

IMG_2870_02

IMG_2873_02
(*感覚テストの講評風景と最後の結果発表&授賞式)

++

【追記】
武蔵美に関しては公募制推薦入試の方も出願直前となっていますが、先日映像学科の公式サイトの方で「Q&A」のページが更新されていました。特に去年から変更になった推薦入試(クリエーション資質重視型/ディレクション資質重視型/英語力重視型)については、かなり詳しく質問を想定してその解答が掲載されています。推薦を受験する人はもちろん、映像学科を受験する予定の人は、必ずチェックしておいてください!
http://eizou.musabi.ac.jp/qa/

映像科:おすすめの本/多木浩二『生きられた家』

こんにちは、映像科講師の森田です。
冒頭から非常に個人的な話で恐縮ですが、近々自宅の引っ越しを予定しています。数年とはいえ自分が住んだ場所を離れるのは、やはり感慨深いものがありますね。

日頃時間があるとふらっと本屋行くことが多いですが、そんな個人的な理由もあって、最近はついつい「家」や「住宅」についてのコーナーに吸い寄せられて、気になった本を手に取ってしまいます。その中で「おや」と発見したのは、平凡社の「くうねるところにすむところ」シリーズから出ていた奥山明日香さんという人の『「生きられた家」をつむぐ』という本でした。2013年に出版されていたこの本は、多木浩二さんという人の『生きられた家 経験と象徴』の文章が下敷きになっています。

P1070209

多木浩二さんは数年前に亡くなられましたが、美術、写真、建築…など非常に幅広い対象について評論をした人です。森山大道という人や、やはり最近亡くなられた中平卓馬という人たちと60年代後半に伝説的な写真雑誌『プロヴォーク』を出版した…と言えば、写真に興味を持っている人にはわかるかもしれません。そうした幅広い活動の中にあって、この『生きられた家』という本は、ベースには建築を対象とした批評がありますが、文章も比較的柔らかく、多木さん自身の幼い頃のエピソードなども書かれていて、評論文というよりはエッセイという感じです。
一方奥山さんの本の方は、多木さんのテキストを引用しながら、自宅の写真や文章が加えられていて、こちらもなかなか素敵な本でした。

ちなみに『生きられた家』という本は、1976年に出た本ですが、たびたび版を重ねています。岩波現代文庫版ならば手に入りやすいと思います、と書いた流れで調べてみたら(amazon)そうでもないみたいですね…。でも図書館などには置いてあると思うので、ぜひ手に取ってみてください。先ほど評論文というよりはエッセイ、と書きましたが、むしろこういう柔らかい文章、自由な書き方も評論にはあるんだなということを知ったという意味で、個人的にもとても好きな本です。
個人的にとても好きなので映像科の小論文の授業でも紹介したこともありますし、数年前には武蔵美の学科試験にも使われていて(確認したら2014年度入試のB日程でした)、ちょっと嬉しく思ったりもしました。まぁ、受験生にとってはなかなか手強い文章なので嬉しくはないと思いますが…。

いずれにしても、エッセイでも、評論でも、ぐっとくる文章を読むと思わずヴィジュアルつまり映像、そして物語が頭に浮かぶことがありますね。そういう感覚って映像科の実技課題ではもちろん必要ですが、何かを作る人にとってとても大切なことだと思います。
最後に『生きられた家』の一節を引用してみます。あなたならばこのテキストからどんな映像が浮かびますか?

+

「人が立ち去ったばかりの部屋に入ると、この活動の残したエネルギーが頬をうつ。空洞化した部屋の壁や床や天井には無数の痕跡が見出される。壁や柱の上の落書き、原因がそれとわかるようなしみ、わからぬ汚れ、残していったカレンダー、はがされたピンナップのそこだけが妙に白い痕などが、謎めいたことばを語りはじめる。空虚なはずの家がことばで充満し、叫び声を押し殺しているように見える。(略)痕跡を眼にしたとき、われわれはすばやくこれを読みはじめているのである。」

映像科:『Your Body is Yours』

こんにちは、映像科の講師の森田です。
二学期はイベントも盛りだくさんですね。前回告知した公開コンクールは受験に直結したイベントですが、先週行われた「全科合同・秋のデッサン祭」は「祭」というのにふさわしく、授業という日常を飛び越えて、なかなかの盛り上がりでした。
日程の問題もあり映像科からは参加した学生がいなかったのですが(ファイン系/デザイン系を前にして「デッサン祭」という響きにちょっとひるんでしまったのかも…)、審査の方は映像科主任として参加させていただきました。「わたしを描く」という課題へのアプローチの面白さや、それぞれの得意技を活かしたデッサン、デッサンとは言えないくらいにコンセプチュアルな作品など、映像科の実技を制作する上でも参考になることが見えてくると思います。
講師による審査は終わりましたが、webでの投票はまだできるらしいので、ぜひどうぞ!

*  *  *

さて、そんな中今回は秋のオススメ展覧会情報です。シルバーウィークは新美のイベントが盛りだくさんだったため、先週自主的なシルバーウィークとして大阪の国立国際美術館にヴォルフガング・ティルマンスの『Your Body is Yours』を観に行ってきました。会期は23日までということで、お勧めしたところで今から観に行くことはできないですが…。しかしティルマンスについては映像科の人はもちろん、それ以外の専攻の人もぜひチェックしてみてください。

2012年東京都現代美術館のトーマス・デマンド展や、2013年国立新美術館のアンドレアス・グルスキー展など、ここ数年ドイツの現代写真の大規模な展覧会が開催されていますが、ティルマンスもドイツの出身。ドイツの現代写真というと教科書的には、デュッセルドルフ芸術アカデミー/ベッヒャー夫妻の影響が言われます。デマンドやグルスキーはその系譜として説明することもできると思いますが、ティルマンスの写真は一見するとそういった作品とはまた違った印象を受けます。

ティルマンスの作品の特徴としては、それが「スナップ写真」であること、あるいは「スナップ写真のように見える写真」であることが挙げられます。特に初期の頃の作品では小型のカメラで身近な風景や友人を写したものが多いですが、そうした写真がなぜ作品になるのか?というのは、それ自体が写真について考える上では本質的な問いでもあります。近年の作品では写真プリントそれ自体をオブジェクトとして意識するような作品があったり、複数の写真を重ねてひとつのイメージを構成していたり、さらに今回の展示では、プリントアウトされたテキスト(主にはニュースサイトなどの記事や図版)がインスタレーションの一部として、撮影された写真と(ある意味では同等に)扱われていたりして、全体として「イメージとは何か」ということを考えさせられる作品です。

また写真の展示の仕方も「ティルマンス以前/以降」と言われることがあるくらい、今ではそれほど新しさは感じないですが、サイズの違った写真を壁面にランダムに貼っていく方法、その貼りかたもテープやピンで留めたりなど、一見するととてもラフに思えますが、隣り合った写真同士の関係や、空間全体のレイアウトなど(当たり前ですが)実際は計算されたインスタレーションとして制作されています。今回の展示では10以上の展示室それぞれがかなり明確なテーマによって構成されていて、単に写真を写真として「見る」というよりも「(複数の写真の繋がりを)読む」ような体験ができます。

…と、少々硬めに解説してしまいましたが、実際にその展示を見てみると普通に「かっこいい」とか「写真って面白い」という感想が挙げるのもティルマンスの写真の特徴です。日本では11年ぶりの大規模な展覧会とのことでしたが、さて次はいつでしょう? 興味を持った人は海外まで出かけるか、写真集を眺めつつ気長に待ちましょう。

P1070108

P1070107

P1070105

図録はこんな感じ。中を開くとタイトル『Your Body is Yours』の文字が。

P1070117

P1070119

映像科:二学期の授業スタート

こんにちは、映像科講師の森田です。
あの猛暑はどこへやら…という感じですが、映像科の木金日コースは9/3から、夏期講習の受講生も合流して賑やかなスタートしてます!一学期は映像科入試の基礎的な課題が中心でしたが、二学期からは【一般入試コース】【推薦入試対策コース】【留学生コース】に分かれて、更に「小論文選択」と「鉛筆デッサン選択」それぞれの対策を行っています。

DSCF7405

DSCF7414

DSCF7417

まだ一ヶ月ほど先ですが、10/11・12には「全国公開実力コンクール」も控えていますね。急に涼しくなりましたが、体調に気をつけつつ、二学期も元気にいきましょう!