カテゴリー別アーカイブ: 新宿校

映像科:小論文特別授業とオススメ展覧会

こんにちは。映像科の森田です。木金日コースもはじまって約一ヶ月が経ち、最初の週から通っている人は徐々に教室の雰囲気に慣れてきたかな?週に3日のコースだと他の科に比べてまだ少し堅さがとれてないかな??というような今日この頃です。

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先週の授業は「小論文特別授業」でした。毎年春にやっているワークショップ的な授業なのですが、映像科が対象としている「映像メディア」全体ををカテゴリー/ジャンルに分けてマッピングした上で、それぞれに該当する具体的な作品名や作家などを教室の全員で挙げてみるという内容です。以下のプリントがその一部分ですが…

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どうでしょう。もちろん他の専攻でも同じだとは思うのですが、映像メディアは新しい技術やサーヴィスが登場することで、つねにジャンル自体に変化が起こる分野でもあります。だからジャンル分けが難しい…と言うとやや言い訳っぽいですが、しかしこのたった数年で「実写かCG(アニメーション)か」という枠組みがほとんど意味をなさなくなり、また「テレビかネットか」という区分も、それを見る媒体の違いでしかなくなっています。そうした中で例えば「ライヴ・パフォーマンス」と「プロジェクション・マッピング」などであれば、表現の可能性が模索されていく中で、映像の使われ方としてかなり重なる部分があるかも…、などなど。こうしてジャンルに分けてみることによって「映像」というものの全体像が意識できたような気がします。

同時に授業でもポイントになったのは「面白い作品や表現、活動は必ずしもカテゴリー/ジャンルにかっちり収まるわけではないのでは?」ということでした。むしろいくつかのジャンルを横断しているような作品こそが新鮮だったり、ついつい気になって何度も見てしまったりすることもあるような気がします。皆さんも自分なりに(映像科以外の専攻の人は自分の専攻にあてはめて)考えてみることから、新しい発見があるかもしれません。

さて、そんな「ジャンルに収まらない作品/表現つながり」ということで(やや強引ですが)ちょうどこの5月に開催されていた二つの展覧会を紹介したいと思います。

石田尚志『渦まく光』横浜美術館(~5/31まで)

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石田尚志の作品は、手法としては「コマ撮り(手描き)アニメーション」と言えると思いますが、さらに展示の形態からは「(ビデオ)インスタレーション」と捉えられます。普段アニメーションを観て、元の絵が描かれた「空間」を想像するということはほとんどないと思いますが、石田尚志の作品ではむしろその「描かれた(撮影された)空間」が重要で、さらにその「描かれた空間」と「展示された(投影された)空間」の関係がひとつのテーマであるような気もします。と、そんなことを考えずともプロジェクションされた映像を前にすれば、その映像が作られるまでの膨大な時間に圧倒されるはず。ぜひ体験してみてください。

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小泉明郎『捕われた声は静寂の夢を見る』アーツ前橋(~6/7まで)

アーツ前橋・小泉明郎

展覧会の説明テキストにも「ドキュメンタリーや映画とは異なる映像表現」と書かれていますが、小泉明郎の映像作品を観ると、いつも普通に使っている「フィクション」とか「ドキュメンタリー」とかって何だろう?…というか、その二つはそもそもそんなにはっきり分けられるものなのか??とあらためて考えるかもしれません。一見すると「インタビュー」のような形式を取っている映像も、撮影時の制作者の介入の仕方、そして編集や展示の方法によって、結果的にまったく別の鑑賞体験になっています。ちなみに展覧会は映像作品だけでなく、立体作品やテキストなどもあり、相当に見応えあります(僕の場合は3時間くらい観てました)。

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個人的には受験生の一年の中での「一学期」という期間は、とにかく手当り次第に色々観てみて、自分の表現の幅を広げる時期だと思ってます。どちらも新宿からは少し離れていますが、、ぜひ足を運んでみてください!!

ゴールデンウィーク休館日

こんにちは。ゴールデンウィーク期間の休校日をお知らせします。

4/29(水・祝)
5/2(土)~5/6(水・祝)

上記期間は、授業休講及び新美全校舎が休館となります。
お間違いのないよう、お願いします。
※4/30(木)、5/1(金)は平常授業日です。

2015年度 日本画、スタートです!

こんにちは、日本画の佐々木です。
おや?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、そうです、去年までは基礎科で時々ブログを書いていた佐々木です。
今年度からは日本画受験科を受け持つことになりました!
春は、受験生にとって新しいスタートの季節ですが、私も、今年はみんなと一緒に新しいスタートを切っている気持ちです。とはいえ、受験科には基礎科の時に受け持っていた顔なじみの生徒たちもいるので、こうしてまた近くで成長を見守って行けることがとても嬉しいです。

さて、今年度初のブログですが、ちょっと始まってから時間が経ってしまったので最近の様子をご紹介しようと思います。

少し遡って、三月。無料で体験できる、公開講座というイベントがありました。
各専攻ごとに体験できる課題が違うのですが、日本画はその名も「花講座」。
日本画の静物着彩でほとんどと言っていいほど出題される花。今回はユリがモチーフでした。
ただユリを描くだけでなく、水切りのコツや花のしくみ、観察のポイントを確認しながら「花を捉えるコツ」を学びます。

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制作後には日本画の画材の説明をしつつ、講師の実際に描いている日本画作品(現物!)を見られる時間を設けました。意外と日本画受験生でも、大学入ってどんな画材で絵を描くのか、知らない人が多いのです。「大学でこんな絵が描きたいな!」というワクワクは、受験へのモチベーションにも繋がりますよね。
講師の絵を見ることで、ちょっとでもそんなイメージがわいたらいいなと思いました。

このような体験講座は年に何度かありますので、シンビの様子はどんなだろう?という方はぜひご利用ください。講師一同お待ちしております。

 

そして、新学期。今年は例年よりぐんと人数が増え、昼間部も夜間部も活気にあふれています!
スタートの春に何をしているかというと・・・

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お分かりでしょうか?そう、木炭デッサンです。
日本画は試験では木炭は使いませんが、細かく描けてしまう鉛筆よりも、石膏を捉える上で大切な「大きな全体の印象」を意識しやすい画材なのです。
それに、せっかく春ですしね。おおらかにのびのびスタートしたいですしね。
初めは慣れない画材に戸惑っているようでしたが、最近は力作も上がってきました。

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背景も含めて、大きな空間が意識されていますね。
鉛筆ではなかなか意識ができなかった大きな構造が出てきています。

シンプルにものを描く、けれど、それができるようになるまでにはいろいろな角度からの経験が必要です。春のこの時期にめいっぱい経験を広げて、安定した土台を築いていきましょう!

映像科:新たなスタートに向けて

こんにちは。映像科講師の森田です。
2015年度はじめての新美ニュースということで、あらためてよろしくお願いします。今年度の映像科のブログは「隔週の火曜日」になります。教室の様子やオススメの作品の情報、そして映像系学科・専攻の受験のことなど、映像にまつわる様々なトピックスを(なおかつ他の専攻を志望する皆さんにも役立つようなトピックスを)お伝えしていけたらと思っています!

今回は初回なので映像科の授業についての基本情報を。授業日と授業時間に関して、今年から変更した点もあります。既に授業は4/9(木)から始まってますが、入学は随時可能です。特に「これから受講しようかな」と考えている人は、ぜひ読んで参考にしてください。

映像科の授業は、
・木曜日…17:30~20:30(3H)
・金曜日…17:30~20:30(3H)
・日曜日…9:00~16:00(6H*昼休み1時間)
の、週12時間の授業です。

去年までは金・土・日の3日間連続集中型でしたが、今年からは木・金・日の3日間になっています。週末(特に一学期)は、オープンキャンパスなど大学のイベントが多くあったり、あるいは外部の学科模試を受けてみたいという希望があったり、留学生は日本語の試験があったりと、様々な条件の受験生がなるべく通いやすい時間割ということで、今年から土曜日一日を空けた時間割になりました。

授業の内容はこれまで通り、
【一般入試コース】は、武蔵野美大映像学科、東京造形大デザイン学科映像メディア系専攻、日芸映像系学科の実技と小論文対策を中心に、
【推薦入試コース】は、上記の大学の公募制推薦入試、AO入試など各種推薦入試の対策を中心に、
【留学生入試コース】では、上記の大学、特に武蔵野美大映像学科と日芸映像系学科の留学生入試の対策を中心に、授業を行っています。

ちなみに一学期については【一般入試コース】と【推薦入試コース】は共通のカリキュラムが多いので、「まだ推薦入試を受けるか(受けられるか)決まってないよ」という人や「推薦入試を受けてみて、もしもダメだったら一般入試の対策間に合うのかな?」という人も、迷わず受講することをお勧めしています。
(*ちなみに2015年度の入試では、武蔵野美大映像学科に、推薦入試で4名、留学生が2名合格しています。倍率を考えるとかなりの合格率!)

また私立美大志望の学生、特に映像系を志望する皆さんにとっては学科(主に国語と英語)の対策も、春のこの時期に同時にスタートしたいところです。新美の学科の授業は、
・月曜日…【美大国語】17:30~19:10
・火曜日…【美大英語文法】17:30~19:10
・水曜日…【美大英語読解】17:30~19:10
・土曜日…【土曜英語】14:20~16:00

となっているので、映像科の授業と組み合わせれば、3日間(実技対策のみ)?7日間(実技対策+美大学科をすべて受講した場合)までを選ぶことができます。学科については現段階での到達度も様々だと思うので、レベルに合わせて選択してください。

・・・と、基本情報を最低限お伝えしておこうと思ったら結構な分量になってしまったので、今回はここまでにしたいと思います。ではまた次回!

油絵科学生は必見、片岡球子展

こんにちは。油絵科の関口です。

先日お知らせした通り、今回から油絵科のブログは日曜日に隔週の更新になります。他の先生のブログを期待していた人もいると思いますが、もう1回だけお付き合い下さい。

 

さて、タイトルにある片岡球子という画家をご存知でしょうか?実はこの方、日本画家で103歳という長い人生を全うされた巨匠の一人です。

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「面構 足利義満」1966年

 

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「面構 葛飾北斎」1971年

 

先日竹橋にある国立近代美術館に見に行きましたが、油絵科の学生にも是非見てもらいたいと思い、紹介させてもらいます。

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「枇杷」1930年

初期の作品は、所謂日本画らしい絵も描いています。しかし、途中からは全く以て日本画らしくありません。体質的には完全に油絵向きの人なのでしょうね。

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「山(富士山)」1967年

 

ところで、日本画の特徴として、油絵をやっている人には頭に入れておいてもらいたい事が3つあります。

①基本的に絵を床に寝かせたまま描く。(立てると絵の具が垂れてしまう)

②基本的に岩絵具は混ぜられない。(粒子の大きさ、重さが違うので、混ぜても分離してしまう)

③写生→小下図→大下図→本画というプロセスを踏み、基本的に本画の時には対象を見ていない。

 

上に書いたのは、あくまで原則として…という事です。片岡球子という画家は、完全にこの辺のルールを無視している作品がありました。真近でよく見ると分かりますが、何とキャンバスに描かれた作品もありました。しかもアクリル絵具も併用しています。日本画なのに…キャンバス?…アクリル? 正直に言うと、僕もビックリしました。

 

あと、80代に入ってからの人物画も必見です。モデルをとにかくよく観察し、今迄築き上げてきた自分のスタイルをも無視して、その時感じた生の感覚と感性で生きいきと描かれています。80歳を越えてこのパワー、本当に凄いと思います。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA「ポーズ3」1985年

素材も日本画の岩絵の具、パステル、木炭、作品によってはクレヨンらしきものも使っているものも見受けられます。

ものを見るという事は一体どういう事なのか?絵を作るという事はどんな事なのか?そんな事を考えさせる、良い展覧会です。この機会に是非本物を見てきて下さい。