カテゴリー別アーカイブ: 新宿校

映像科:ナム・ジュン・パイク・アートセンター

こんにちは、映像科の百瀬です。しばらくぶりの更新でこのブログの更新の仕方も忘れていました。

わたしは先日、自分が参加している展覧会《Artist File 2015》が韓国国立現代美術館に巡回するということで10日間ほど韓国に行ってまいりました。この展覧会には先端科の小林先生も参加しています。ハングルの読めない新美講師ふたりが韓国の空港で右往左往している図はなんだか面白かったです…。

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ちなみに私たちが展示をしている韓国国立現代美術館にはソウル館とカチョン館のふたつがあり、私たちは今回やや郊外にあるカチョン館でした。少し中心部からのアクセスは大変ですが(山の上にあるので毎回シャトルバスで向かいます)、そのぶんロケーションが素晴らしく、この時期はとても紅葉が美しいです。小林先生の後ろ頭と一緒にお楽しみください。

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この美術館の顔ともなっているのがこのナム・ジュン・パイクの巨大なTVモニターのタワー。(電気代だけでいくらかかるのだろうと思ってしまいますが…)この美術館はグッゲンハイムのようにタワーを中央に据えながら回廊を登っていく建物で、モニタータワーは先端が3階まで伸びており、すべてのTV画面が煌々と点滅を続けています。ちょうどアーカイブチームとおぼしき人達がドローンを遠隔操作しながら展示風景の撮影をしていたのですが、人の目の届かない無数のモニターたちが遠隔操作モニターによって撮影され、新たな映像が生みだされているその状況は非常にナムジュンパイク的だなあ、なんてぼんやり思ったりしていました。

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この韓国滞在中は、当初想像していたよりも自分の展示の設置などで時間がなく、全然美術館なども満足に回れなかったのですが、唯一じっくり観れたのがナム・ジュン・パイク・アートセンターでした。その名の通りパイクの作品が常設でコレクションされているのですが、建物も綺麗ですし、エデュケーション・プログラムも豊富に用意されていて、国をあげて応援している感じですね。

こちらも韓国現美カチョン館と同じく郊外にあり、カンナム駅から高速バスで向かいます。停車場に着くといきなり恐ろしくさびれた場所に降ろされるので不安になります。高速道路の足部分だけが建っている川沿いの道がひどくシュールでした。

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そんな怪しい道をおそるおそる歩いていくと急に現代的な風景が!目の前にパイクセンターが現れます。

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パイクの常設は初期の映像作品から、彼が主催していたイベントのアーカイブなど多岐に渡って収められています。わたしの写真の腕が悪くうまく雰囲気を伝えられずすみません…

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《TV Fish》という作品。水槽の中に実際に魚が泳いでいて、水槽の後ろで映像(魚の映像もありました)が終始びかびかと発光しています。水槽の奥行きはこのブラウン管テレビの奥行きと呼応しているように見えます。だけど現在、自分がこのテレビの奥行きというものをどこまでリアリティを持って感じているんだろうかと自問すると怪しいなとも思います。

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これはインタラクティブな作品で、マイクの前で音を出すと映像内のリングがそのリズムに合わせて震えます。

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これは女性の胸にブラジャーに見立てた円形の物質をつけ、そこに映像を投影している映像です。(イベントの記録映像でした)まるで「見る欲望」を女性の胸に二重に投影させているように見えますね。

あと以前、高野文子特集でわたしが記事を書いた時に紹介したフルクサス・フィルムの作品もありました。(フィルムに付着した埃を写すというもの。この写真には全然写っていませんが。。)

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また、ナム・ジュン・パイク・アートセンターは館独自のプライズを毎年設けており、受賞した作家はそこで大規模な個展を開催することができます。わたしが行った時は、77年生まれのハルーン・ミルザの個展でした。パイクが切り開いたビデオアートの土壌が国境問わず現代においてどのように更新されているかリサーチし、新進気鋭の作家を支援していこうという館の姿勢が見えますね。

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ハルーン・ミルザの主な作品は、LEDライトや電子音的なサウンドが流れるスピーカーを使用し、ある一点で視覚と聴覚が混ざり合うような特殊な時間軸を作り出します。本来設営中にジャマなものとして隠してしまうはずのコード類などを、白い壁面に対する造形的な要素として使ってしまうところも面白いですね。

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また、写真ではわかりづらいですが、プロジェクターで投影された映像の画面の上にダイレクトにLEDライトを貼り付けてしまう作品もありました。(これまたこのライトが、映像内に要素として存在している線の上に重ねられているのです)ライトはリズミカルに点滅しつづけ、鑑賞者が映像内に没頭することを阻みます。「映像であること」と「物質であること」の行き来に対するパイクの問題意識を、彼もまた違う形で引き受けているのかもしれません。

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ナム・ジュン・パイク・アートセンターの近くには出店も多く、でっかい蒸し器で蒸される肉饅頭がすっごく美味しくておすすめです。帰りは開けた大通りから帰りましたが、どこかしら町田とか橋本などの多摩っぽさを想起させる、親しみやすい街でした。

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ナム・ジュン・パイク・アートセンター、韓国にお立ち寄りの際には是非行ってみてください。

http://njpac-en.ggcf.kr/

それでは?!

スケッチのススメ

こんにちは、日本画の佐々木です。
だんだんと寒くなってきて、いよいよ受験の気配を感じる頃ですが…皆さん、秋ですよ、秋。冬になる前の、一番カラフルな季節です。

先日、ちょっと足を伸ばして山の方へスケッチに行ってきたのですが、
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もみじを中心に、こんなに綺麗に色づいていました。
そんなもみじを横目に見つつ、私は山茶花をスケッチしました(笑)

日本画は、もちろん人によりますが、景色や草花、人物や動物などを実際に見て、スケッチをしてそれを元に絵を制作していきます。
そのための、見て描くちからをつけるのが、受験の絵なんですね?。

そして、見て描く、ということにはもう一つ大きな意味があるのではないかと私は思っています。何かを描こうと思っていざ実際に対象に向かい合ってみると、自分が思っていた以上の発見があるのです。

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絵本に出てきそうな湖や、
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自然のものとは思えないような綺麗な色、形
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ミニチュアかな?と思ってしまうようなスケール感。

いつも、スケッチに出るたび、新しい発見と感動の嵐なのです。
何かを見て描く、ということは、そこから新しいアイディアをもらえるということ。
地球に生きている限り、アイディアが尽きることはなさそうですね!

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アトリエでいつも描いている見慣れたモチーフも、もう一度よく見てみると、新しい発見があるかもしれません。
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受験が近づいてきてぎゅーっとなりがちですが、シンプルにモチーフに向き合う、発見する、を楽しみながら描いていけたらいいですよね。
自分の中に、どんどんいろんなものを吸収していきましょう!

夜間部デザイン・工芸科です。

こんにちは。夜間部デザイン・工芸科です。

11月は公開コンクールが目白押しです。

先日は東京芸大デザイン デッサン、平面、立体にて、現役生も健闘しました。

11/15(日)多摩美大グラフィックデザイン デッサン
11/22(日)11/23(月・祝)は、東京芸大工芸 デッサン、平面
に向けて頑張っております。

現時点での実力を発揮できるように随意制作しております。

映像科:秋のオススメ展覧会&映画祭

こんにちは。映像科講師の森田です。
芸術祭も終わるといよいよ受験シーズンの足音が聞こえます。映像科では既に武蔵美の公募推薦の出願も終わり(該当する人、ひとまずお疲れさまでした!)、ここからポートフォリオ制作の追い込み、面接の練習といった怒濤の日々が始まります。また並行して留学生試験コースも11月後半?12月の各大学の入試に向けて対策が佳境となります。

そんな受験を直前に控えた人にとってはちょっとした息抜きとして、あるいは一般入試に向けてまだまだインプットを増やしたいという人へも向けて、秋のオススメ展覧会&映画祭を紹介しておきます。

①『Re:play 1972/2015ー「映像表現’72」展、再演』東京国立近代美術館
10月6日?12月3日
ぱっと見どこからどこまでが展覧会のタイトルなのかわかりづらいですが、この展覧会は1972年に京都で開催された「映像表現’72」という展覧会を、2015年の今「再演/再生(replay)」するということがテーマとして挙げられています。当時は当たり前の技術として使われていた8mmフィルムや、むしろまだ珍しかったビデオによる作品なども、当時と同じ環境で鑑賞できるようです。ちなみに2009年にこの近美で開催された『ヴィデオを待ちながら』もそうでしたが、映像の展示を観るのは(全部を観ようと思うと…)結構時間的な余裕が求められます。しっかり観たい人は一日かけてぜひ。

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②『Who Dance? 振付のアクチュアリティ』早稲田大学演劇博物館
10月1日?2016年1月31日
以前にもこの早稲田大学演劇博物館で開催されていた『幻燈展–プロジェクション・メディアの考古学』を紹介しましたが、今回の展示はコンテンポラリー・ダンスの、特に「振付」にテーマを絞った展示だそうです。こちらの展覧会は映像科のN先生のオススメということで自分はまだ行けてないのですが、「振付けとSNSの関係」などウェブサイトを読む限り、面白そうです。こちらも時間をかけてじっくりと観たい展示です。

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③『第16回東京フィムメックス』有楽町朝日ホール、TOHOシネマズ日劇、有楽町スバル座
11月21日?11月29日
たまには展覧会だけでなく映画祭の情報も。比較的大きな規模の『東京国際映画祭』は既に終わってしまいましたが、こちらの東京フィルメックスは11月の後半です。アジア各国の映画が中心ということで、なかなか普段観られない作品も多いので、ぜひ足を運んでみてください。映画祭の場合はもちろん「コレだ!」と狙って行くのも良いですが、予定が合った作品をふらっと観るという偶然の出会いも期待できる気がします。個人的には学生時代に偶然深夜にテレビで観た『風櫃の少年』という映画が上映されるのが楽しみです。

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急に寒くなりましたが、体調管理もしっかり。年末まで2ヶ月を駆け抜けましょう!

ちょっと息抜き、謎解きまんが第2問

こんにちは、油絵科夜間部です。くだらないまんがで、アートの世界を笑って見過ごしてやって下さい。このイラストが表している作家の作品は、誰のどの作品でしょうか?

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おわかりになりましたでしょうか?答えは、次回行ないたいと思います。お楽しみに!