カテゴリー別アーカイブ: 新宿校

油絵科 展覧会のすすめ

油絵科の関口です。
日本画の佐々木先生に続き、僕も展覧会を紹介したいと思います。

①奥村土牛
・山種美術館?5/22まで
http://www.yamatane-museum.jp/exh/current.html
日本画の展覧会ですが、油絵科の生徒さんも興味がある人は是非観に行って下さい。奥村土牛の作品は暖かみのある色彩と上品で、穏やかな雰囲気が好きな人は引き込まれるのではないでしょうか?時間を忘れてずーっと見て入られますよ。
今回はまだ観ていませんが、出品リストを見ると、これは行かなくては…と思わされる展覧会です。
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中でもこの「鳴門」は絶品です。10年以上も前に山種美術館(今とは場所が違いました)で本物を見てその時は「凄げ?」って、まるで素人さんみたいな感想しか出ませんでした(笑)。

あと、国立近代美術館では安田靫彦展もやってますね。こちらは?5/15まで。日本画好きな人は、こちらも是非。
http://www.momat.go.jp/am/exhibition/yasudayukihiko/

②カラヴァッジョ
・国立西洋美術館?6/12まで
http://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/2016caravaggio.html
以前もこのブログで紹介しましたが、このカラヴァッジョも油絵科の中では好きな人がいるかもしれませんね。
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ちなみにこのモデル、何回もカラヴァッジョの絵に登場してきます。どうやら今で言うBLって言うんですか?(笑)怪しい関係だったとか…実際はどうなんでしょうね?
カラヴァッジョの作品自体は10点ほどらしいですが、本物を見る機会は滅多に無いと思いますので、興味がある人は是非観に行って下さい。メドゥーサもちょっと笑えますよ。

③ライアン・マッギンレー
オペラシティアートギャラリー?7/10まで
http://www.operacity.jp/ag/exh187/
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いま丁度新美近くのオペラシティアートギャラリーで開催しています。写真の作家さんですが、油絵科の生徒さんには、こういう展示も是非観に行ってもらいたいですね。

油絵科を受験するには幅広い視野が必要になりますので、ジャンルを問わず色んなものを見た方が良いと思います。ゴールデンウィークを利用して、是非本物を観に行ってみて下さい。

 

※番外編
僕もゴールデンウィークに展示をやっていますので、興味がある人は是非観に来て下さい。

●現代作家美術展ーこれからの美術界を見据えてー
・ギャラリー絵夢5/3(火)?11(金)
http://www.moliere.co.jp/galerie/index.html現代作家美術展

●公募団体ベストセレクション美術2016
・東京都美術館5/4(水)?27(金)※学生以下無料
http://www.tobikan.jp/exhibition/h28_bestselection2016.html2016_bestselection2016_a

彫刻科 修復師、アーティストとしての生き方 吉水快聞インタビュー

彫刻科の小川原です。今回は芸大の学部彫刻科を卒業後、芸大大学院保存修復科に進学し、仏像の修復の為の工房を立ち上げ、修復の仕事をしながら自らの制作活動もしている吉水さんに話を伺いました。寺の住職でもあり、修復師でもあり、アーティストでもあり、大学の客員教授でもある吉水さんですが、「作品」や「仕事」や「仏像」に対する徹底的とも言えるこだわりが話から伺えます。美術の世界を目指す人には是非見てほしい内容です。どうぞご覧ください。

Q.保存修復の仕事をされていますが、具体的に保存修復とはどのような仕事内容ですか?

保存修復の仕事は現在まで脈々と伝えられてきた文化財を未来に繋ぐという仕事です。文化財は勝手に残ってきたわけではなく、各時代で守られ修復をくり返しながら現在に伝わっています。
私の場合は彫刻文化財の保存修復が専門です。日本における彫刻文化財のほとんどは仏像になりますので、仏像の修理を行うということが中心となります。

保存修復の仕事はしばしばお医者さんに例えられます。患者(仏像などの文化財)を診察(調査)し、それぞれの病状に合わせて、治療方針(修復方針)を計画して、
それぞれの患者に合った適切な治療(処理)を施します。
具体的には、所有者等と相談、仏像の梱包から運搬、写真撮影、必要であればレントゲン撮影などの調査を行い、修復方針を決めた上で修復を行います。
修復は全体の洗浄や彩色などの剥落を止めたり、欠失している部分を補ったり、症状が重い場合は全解体などケースバイケースです。
Q.保存修復の仕事に携わるにはどのような経験や能力が必要ですか?また、吉水さんはいつから保存修復家への道を意識し始めましたか?

どのような経験や能力といわれると難しいんですが、少なくとも「良き作家」と「良き修復家」はだいぶ異なる能力かもしれません。
作家はいかに自分を出して自己表現するかが重要ですが、
修復家は逆にいかに自分を殺して相手(修復対象)に合すかということが重要になってくる気がします。
修復の仕事に携わるには、まず脈々と伝わってきた歴史の重みと知識を身につける必要があると思います。
能力についてはそうですね、地味な作業が多いので、根気の良い人がいいですね。(笑)
技術については少なくとも、修復をする像を当時造立した仏師と同等くらいの能力はは必要かもしれません(まぁ理想的にはですが)。

私が保存修復の道を意識し始めたのは大学学部一年のころです。
木彫実習をやったときにそれが楽しくて、木彫のことをもっと勉強したいと思ったときに「仏像」だと思い、大学院は文化財保存修復彫刻に行こうと決めました。
22博士課程の研究 快慶作阿弥陀如来立像の想定復元模刻 (1)
博士課程の研究 快慶作阿弥陀如来立像の想定復元模刻
20博士課程の研究 快慶作阿弥陀如来立像の想定復元模刻 (2)

19博士課程の研究 快慶作阿弥陀如来立像の想定復元模刻 (3)
Q.彫刻科を受験しようと思った理由は何ですか?

絵を描くより、立体物を造る方が好きだったんですよね。得に迷いもなく彫刻科でしたね。
4.芸大彫刻科の学部を卒業後、芸大大学院で保存修復科へ進まれましたが、具体的にどのようなことを学びますか?工房の雰囲気などはどのような感じでしょうか?彫刻科とは大分違いがありますか?

保存修復では美術史などの学術的なことと、仏像の制作における古典技法について学びます。修復を行うには昔の材料、膠や岩絵の具、漆などといった古典的材料を学ばねばなりません。
といっても、大学院という所は教えてもらうというよりは自分で研究するという側面が強いので、最低限教わって、あとは自分でということになりますが。
私の在籍していたころの研究室の雰囲気で大きく違うのは、機械をあまり使わないところですね。彫刻科では常にチェーンソーの音が響き渡っていますが、保存修復科では皆黙々と手作業な人が多いです。
彫刻科の大学院に進んだ人は学部の延長上にあるかとおもいますが、保存修復に進んだ場合は、もう一度1年生に戻る感じですね(笑)
1修復中
修復の作業
2蓮花寺修復前
蓮花寺修復前
3蓮花寺修復後
蓮花寺修復後

Q.保存修復の仕事の中で、予備校で学んだことが生かされていることはありますか?
もちろん予備校で学んだ基礎があるから今があると思っています。具体的には「観る力」ですね。
予備校は、ひたすらデッサンをしますが、それってとても重要なことなんです、予備校って眼を養えるには最高の環境だと思います。
デッサンは受験のためにするのではなくて、クリエイターになるためのほんとの基礎基本で一番大事な部分だと思っています。
Q.吉水さんは自身の彫刻家としての制作活動もされています。保存修復の仕事と、作家としての仕事の意識の違いはどんなことがありますか?

先ほども述べた通り、修復はいかに相手に合わせるかですが、作家としては、いかに自分の表現をするかということなのでかなり対照的です。
4専念寺修復前
専念寺修復前
5専念寺修復後
専念寺修復後

Q.保存修復の仕事も、作家としての仕事も、両立することでプラスになったと感じることはありますか?

そうですね、これは私にとってはとてもプラスに感じています。
保存修復をすることによって先人の知恵や技術、そしてなにより感性を学ぶことができ、それを自分の作品に入れ込むことができます。
修復においても、創作をしていることによって頭が柔らかくなり柔軟に対応できている気がしています。
Q.彫刻作品を制作する上で大切にしていることはどんなことがありますか?

修復の仕事にも携わっているので、いつか私が死んだ後も、修復してもらえるような作品を創りたいと思っています。
歴史はけっこうシビアです、駄作は淘汰され、いいものしか残らないのも身を以て知っていますので。
Q.受験生が多く見てくれていると思います。予備校時代に努力したことや、苦労したこと、思ったことなど教えてください。

予備校時代・・懐かしいですね(笑)そうですねぇ、私は高校は美術科ではありましたが現役では藝大落ちてから奈良から上京してきて予備校に通ったわけですけども
当然、浪人生の中では底辺から出発です。デッサンの良し悪しすら分かりませんでした。自分のデッサンが何故駄目なのか、良いとされているデッサンのどこがよいのか・・・
挫けそうにもなりましたが、周りの人と同じことをして同じ時間を過ごしているだけでは追いつけないと思ったので自分なりに何かしてみようと思いました。
具体的には、家に帰ったらできるだけ毎日最低一枚は手のクロッキーをしようと決めてノルマにしました。それから電車の中では人の観察・・隙あらばクロッキー。
なんせ、デッサンがあまり得意じゃなかったので、少しでも時間を費やそうとおもったんですね。
まぁ、今思えばこんなに一つのことに集中してできる時期は人生にそう何度もないので、とっても有難い時間でしたね。
それから、関係ないかもしれませんが、「掃除」にはなるべくきをつけてましたね。朝早くいってアトリエを片付ける。
予備校とか大学っていろんな人がいますからね・・制作の環境を整えるのも一つの技術かなと思います。
Q.芸大の彫刻科に入学して、良かったと思う所は、どんな所ですか?また、どの様な点が具体的に今の仕事に役立っていますか?

私が藝大に行きたいと思っていたのは、単に、藝大というブランドに憧れたわけではなくて、藝大に入ってくるくらいの人達と一緒に勉強したいと思ったからです。
まぁ、実際入ってみるとほんといろんな人がいて面白かったですけどね(笑)
どのような点が具体的に仕事に役立っているかと言われると困るのですが、言ってしまえば「すべて」です。私の今は過去のすべてです。
一つだけ言えるとすれば、同級生や後輩、諸先輩方がいろんな分野で活躍してくれているおかげで私も励みになり、さらには一緒に仕事ができたりすることができるという点で藝大に行って良かったと思っています。
18学部の卒業制作「雅音」
芸大卒業制作  「雅音」
Q.浪人生時代や大学生の時にはバイトはされていましたか?生活面での工夫などがあれば、教えて下さい。

浪人時代は、幸いにも両親が全力でサポートをしてくれたので、、バイトはしていません。非常に感謝しています。
大学時代は、なるべく役にたちそうなバイトをしていました。引っ越しのバイトで、モノを運ぶ技術を学んだり、大学院からは、OBの仏像制作の下請けなどをして稼いでいました(笑)
生活面の工夫ですか、う?ん、そうですねぇ、メリハリですかね。遊ぶときは遊んで、やるべき時はしっかりやる。
Q.保存修復の仕事、作家としての仕事の楽しいところ、大変なところを教えて下さい。

保存の仕事の楽しいところは、先人と会話できるところですね。不思議なもので作品からはほんとにいろんなことが伝わってきます。それであれこれ想像するのは楽しいです。
作家の仕事の楽しいところは、自分の作品を通してたくさんの人と繋がって、作品を通して会話できるところですね。
大変なところは、実は修復と作家以外にもいろんな仕事を抱えすぎていて、アップアップしているところですかね・・・(苦笑)

Q.この仕事を目指している人、これから受験を考えようと思っている人にアドバイスをお願いします。

受験生にとって、受験というのは一つの目標ではあるけれども、実はスタート地点に立つための基礎基本です。
自分は才能がないと挫けそうになることもあるかとおもいますが、初めからできる人なんていません、少しの積み重ねで大きくいっていくものです。
大切なのは挫けずに続けることです。自分のやりたいことを中心に据えて、自分自身を信じて頑張ってください。
14守宮
守宮
13深々
深々
12水音 (1)
水音
10水音 (2)

9月兎
月兎
8筍の山?蛞蝓?
筍の山?蛞蝓?
8白狐
白狐
7無垢
無垢

1982年 奈良県に生まれる
2002年 東京藝術大学美術学部彫刻科 入学
2005年 伝宗伝戒道場を成満し浄土宗の僧侶となる
2006年 東京藝術大学美術学部彫刻科 卒業
東京藝術大学大学院美術研究科 文化財保存学専攻 保存修復研究領域 彫刻 入学
2008年 3月 同大学院 修了
2008年 4月 同大学院博士後期課程入学
2011年 3月 博士(文化財)号取得
研究論文『快慶と快慶風の阿弥陀如来立像について
―東大寺俊乗堂像の模刻制作と善光寺像の修復を通して―』
研究作品『東大寺俊乗堂快慶作阿弥陀如来立像想定復元模刻』
2011年 4月 工房『巧匠堂』設立
2013年 浄土宗 東光山 正楽寺 住職就任
2015年 大正大学 客員教授 就任
現在 彫刻家として創作・仏像制作・文化財修復など多方面で活動中
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日本画科 展示のすすめ

こんにちは!日本画の佐々木です。

今日はアトリエ入り口の様子をご紹介。
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何やら色々貼ってありますが・・・
これ、講師オススメの展覧会のチラシが貼り付けてあるのです。
今年のGWはとても長いので、せっかくなら一つくらいは展示に行きたいですよね。
ちなみに私のオススメは
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なんといってもこれです!!!
単純に私が大好きだからオススメしたいという気持ちはあるのですが、それを抜きにしても
土牛は色感と形、構図のとても研ぎ澄まされた作家なので、見たことがない人は必見です。
この山種美術館は日本画専門の美術館でもあるので、日本画の人はチェックしておいて損はない美術館ですよ。

そして、そんな展示コーナーの奥には・・・
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講師の描いたデモスト作品が着々とたまってきております!
今日をもって怒涛のデッサン強化月間が終了し、GW明けからは着彩強化週間が始まります。
来週からはデモストコーナーが華やかになりそうですね?。

日本画科 石膏デッサン週間

こんにちは!日本画の佐々木です。
先週のブログに書いたように、今週は石膏・・というより、デッサン見直し週間でした。
日本画の人は、細かい描写や綺麗な色、好きですよね?
でも、それ「だけ」に偏っていませんか・・・?
そこで去年もこの時期にやりましたが、一週間木炭デッサンをしていました!
木炭という、鉛筆のようなやり方では細かく描きづらい素材を使って、細かい以外の大切なことを洗い出していきます。
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いいかんじになりそう・・・!

そして、DSCN0035
今日は学科試験の返却もありました。
特に私大を受けるひとは、勉強もしっかりとね!!

来週も引き続きデッサン週間です!

映像科:新学期スタート

こんにちは。映像科講師の森田です。
2016年度映像科の木金日コースは、先週14日の木曜日から始まっています。

初回の授業では、ここ数年の恒例となっている自己紹介を兼ねた課題。
絵巻物をフォーマットに制作をして、それをカメラの前でスクロールして見せることで、
一本のタイムラインとして表現します。
「私のある一日」
「今までハマった作品歴」
「今の私を表現するワンシーン」
「自分を紹介するためのクイズ(?)」
など、形式や発表の方も様々。みんなおおいに盛り上げてくれました。

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新学期最初のブログなので、映像科の授業の紹介もしておきます。
映像科の授業は3つのコースに分かれています。

■一般入試コース
…武蔵美映像学科、日芸や東京造形大の映像メディア系学科・専攻の実技対策がメインになります。武蔵美であれば「感覚テスト」の対策をメインにして、一学期から描写や文章表現の練習をします。

■推薦入試コース
…同じく武蔵美映像学科、日芸や東京造形大の映像メディア系学科・専攻の推薦入試・AO入試での合格を目指す人のコースです。映像作品制作やプレゼンテーション、ディスカッションなどの対策も行います。

※一般入試コースと推薦入試コースは、それぞれ両方の試験を受験する可能性も考慮して、一学期は基本的に共通の課題を制作します。必要に応じて個別のカリキュラムで授業を行います。

■留学生試験コース
…映像メディア系の留学生試験のための対策を行うコースです。実技試験の対策だけでなく、出願時の提出書類やポートフォリオについての相談もします。また面接試験の練習も行います。

途中入学や授業見学なども随時受けてつけているので、気になっている人はぜひお気軽にお問い合わせください!