カテゴリー別アーカイブ: 新宿校

不器用な君達へ捧ぐ…

こんにちは。油絵科の関口です。私大の受験も始まり、普段はユルユルの雰囲気の油絵科のアトリエにも、少し緊張感が漂う様になって来ましたね。普段はハチャメチャな子でも、追い込まれると本気モードになるんだな…って、特にこの時期には思います。


さて、今迄ずっと油絵科の学生を見てきて感じるのは、致命的なほど不器用な人が多い…ということ。一般の人からしたら「なんでこんな簡単な事が出来ないの?」と思われる様な事が上手くこなせません。器用な人間からしたら「はぁ?あり得ないでしょ?」みたいな感じですよね。
反対に不器用な人からすると「ええ、そうですとも。器用なあなたには一生理解できないでしょうね…」といった感じで、心中穏やかではないでしょう。普通の人からしたら些細なことでも、不器用な人にとっては、切実な問題だったりしますからね。


かくいう自分も不器用な人間の一人。どういう訳か他人からは器用そうに見られる事が多いのですが、生き方も含め、中々のレベルなんです(笑)。僕の場合は極端に苦手な事と、それなりに器用にこなせる事の両方を持っているので、初めてその極端な不器用さを垣間見た人には、一様に驚かれます。そんな事もあり、不器用な人間には妙な親近感があるのです。

不器用な人間は思います。「なんで他の人は簡単にこなせるのに自分には出来ないんだ?」「自分は何か大切なものが欠けているのか?」と。
しかしそんな事で気を揉む必要はありません。美術の世界はとっても懐が深く、どんなに不器用な人でも受け入れてくれる優しさと暖かさがあるのです。
僕は時々不器用な学生に「出来ない事があっても良いじゃない!」と言いますが、それは気休めや励ましでも何でもなく、本気で思っている事なのです。そういう人は将来「普通の人には絶対に出来ないことを成し遂げる」と信じています。そして「人の総量っていうのは基本的に一緒なんじゃないかな?」って思っています。
今は周りが羨ましく思うかもしれませんが、燻ったエネルギーをしっかりと貯めて、将来に役立てて貰いたいな…と思います。


不器用な君達を何だか他人事とは思えず…
心から応援しています。

入試直前講習会突入

デザイン工芸科、夜間部です。

センター試験も終わり、夜間部としての授業は基本的に終了いたしました。入試直前講習会になったことで、昼間部の時間帯での授業になります。いよいよ試験が迫ってきました。

夜間部としての最後のカリキュラムは、三時間での模擬試験を行いました。講評日がセンター試験とかぶっていたので、出席は少なめになりましたが、最後に直前に向けての心構えなど色々と話が出来たと思います。

現役生はここから最後の伸びがあります!一枚一枚しっかりとやってやりましょうー!

模擬試験の課題のモチーフ、三時間デッサンのおさらいを講師にしてもらいました。描きすすめの手順と組み立てをしっかりと把握してもらいたいです。理解して描くことは、採点側の共感を得ることが出来ます。上手下手の問題ではなく、理解のあるデッサンを心がけましょう。

もちろん、上手く描けることは良いことです。最後まで精進してください。

そういえば、新しいパンフレットが完成しましたね。昨年末には出来ていたようです。

表紙もイメージチェンジ、デザイン的な要素の多い感じになりました。

新美出身の現役デザイナーさんに、やってもらったということで、非常にありがたい話です。

夜間部のページも、皆楽しげでとても良い感じになっていると思います。後は合格に向けて頑張って行ければと思います。

新美ギャラリーも受験モードになっています。

入試まで限られた枚数を、しっかり色濃くやってやりましょう。

最後は根性が必要です。粘って、頑張りましょうー。

熱いぜっ!高校生石膏デッサンコンクール

こんにちは、全科総合部です。

いや~昨日は、センター試験二日目でしたが

あつかったです!!

いやいや天気は良かったですが、野外は暑くはなかったですよね。
センター試験受験者の皆さん、お疲れ様でした。

何があつかったというと、新美の高校生石膏デッサンコンクールが熱かったです!

もちろん、高校2年生までの全専攻全学年で石膏デッサンを競い、励んで描いている姿も圧巻でした!
その200人近くの中から、結果、1位のトップを獲られたのがなんと!?・・・・・・。
描き始めて間もないということでしたが、素晴らしい石膏デッサンでした。
芸大の1次は通るのではなかろうか、という点数もいただいています。
このような貴重な才能を持っておられる高校生も、全国にはいるのだなあ~と、
焦りをも感じた次第です。

そして今回の「デッサン解説」。
こちらも熱かったです!!

新美の誇るスパー講師、彫刻科の小川原先生、デザイン科の増田先生が
同じ石膏像(ヘルメス)を1時間でどこまでできるのか?ガチンコ描き出し勝負です!

最初にポイントを述べて描いていただきましたが、本当に凄かった!!
しゃべることなく真剣に黙々と描かれていましたが、それを見ている受講生の皆さんも
飽きることなくじっと見入っていました。メモを取る人、2人を比較してみる人、
きっと次のデッサンに役立つこと間違いありません。
描いている先生の気迫!見ている受講生の気迫!一緒に教室にいるだけで、こちらまで緊張感がビンビン感じられました。

そして、各科の先生方も熱く講評をしていただきました。

本当に受講生の皆さん、お疲れ様でした。
今回、上手くいかなかった人も、また3月にリベンジ戦がございます!!
新美のホームページをチェックしていてください。そちらでも告知致します。
それまでに、鍛えておいてください、楽しみみしています!がんばりましょう!!

講師の先生方もお疲れ様でした。

彫刻科。秀作の紹介!

こんにちは!彫刻科の小川原です。センター試験目前ですが勉強ははかどっていますか!?後悔の無いようやり切ってください!!

それでは1月入ってからの良かった作品を紹介します!

昼間部生の作品

捉え方に彫刻的な視点を感じるデッサンです。厚みがしっかり伝わってきます。このデッサンを見て模刻が出来そうですね!


短い時間の中でこれだけ合わせて来れるのはさすがです。作り込んで似てないよりはぎりぎりの所で留まった方が良いですが、作り切って似てる作品が出てくると圧倒的な差になると思います。


力強く立体感を引き出しながらも繊細で美しい仕上がりになっています。全部分かって(考えて)やれていることが素晴らしいです!


印象の良さが目を引きます。ターバンはベースの形体感優先ですが、表面に表情があるのも重要な印象の一部なので出来れば感じさせるくらいは作っておきたいですね。

現役生の作品。

今試験時間でこれだけ描けたらかなりいいレベルだと思います。それ以上にジョルジョでこの位置でここまで持って来れていることに感動です!

留学生の作品。

描写はもともとピカイチでした。弱点のバランス取りを克服して魅力的な1枚が完成しました!
この調子で行きましょう!


人としての自然な表現が魅力的です。どんどん上達していく勢いが見ていて面白いくらいです。あと1月でどれだけモノに出来るでしょうか。期待しています!

さて、入試の本丸、芸大入試まで後1月半ですね!まだまだ皆弱点は残っています。不安な点を残さず吸収し切って本番に臨めるように講師一同全力で応援します!ラストスパート!頑張ろう!!

目利きの力量

こんにちは。油絵科の関口です。受験生の皆さんはもうすぐセンター試験ですね。年間を通してコツコツ勉強してきた人も、年が明けてから勉強を始めたあなたも、これから風邪をひかないように気をつけてくださいね。

さて、先日三菱一号美術館で開催されている「フィリップ・スコレクション展」を見てきました。実はこの展覧会、自分にとっては全くノーマークで、行く予定ではありませんでした。ところがあるプロの絵描きさんと飲んでいる時に「今回のフィリップスコレクション展は必見だよ」「特にブラックの描いた風景が良かったよ」「他にもボナールも良かったし、セザンヌも良いのが来てるし全体的にレベルが高いよ」と言われ、その人がそこまで言うなら見てみよう…となったのです。


ジョルジュ・ブラック「驟雨」
僕も初めて見る作品です。画集でも見たことがありませんでした。プロが唸るだけあって確かに良い作品です。少しポップな感覚で描かれているので、ホックニーとかキタイの初期作品を見ている様な錯覚に陥ります。自転車のデフォルメも良い感じですし、ピンクや青のアクセント、雨の入り方も絶妙ですね。

「〇〇コレクション展」とか「〇〇美術館展」というタイトルの展覧会は、かなりの確率で外れ作品が紛れているものですが、このフィリップスコレクション展は一味違います。通常の展覧会とは異なり、年代順やカテゴリー毎でまとまっているということもなく、収蔵された年代順になっているのです。
プロ目線での「全体的にレベルが高い」という言葉に偽りはなく、どの部屋にも注目すべき良い作品が散りばめられていました。中でもブラックの作品は、上質で良いものを集めているな…と思いました。


ブラックの代表作の一つ「円いテーブル」
この作品は、ブラックの画集を見たら必ず載っていますね。近くで見ると意外とサラッと描かれていましたが、構成がバッチリ決まっていて、これ以上要素を省くことも足すこともできない、まさしく「絶妙」としか言いようのない名作です。


ブラック晩年の作品「鳥」
僕の中では、ブラックはピカソやマティスという20世紀を代表する巨匠の陰に隠れてしまい、それほど注目していませんでしたが、今回の展覧会を見て、その上品なセンスと絵から溢れる人柄の暖かさに改めて感銘を受けました。ユルいけど良い作品です。


シャイム・スーティン「嵐の後の下校」
ブラックとは異なり、荒々しさ溢れるタッチで描かれていますが、スーティンならではの切実さと溢れんばかりの熱いハートで描かれており、ジワジワ来る良い作品です。思わずジッと見入ってしまいました。


オスカー・ココシュカ「ロッテ・フランツォスの肖像」
ココシュカの作品もコレクションに入れているなんて、中々の通ですよね。この肖像画は明るいところは殆ど下地に塗ってあるキャンバスの白で、絵具を削ったり拭き取ったりしながら描かれています。絵具の厚さは極めて薄いですが、画家の想いが詰まった熱い作品です。


ラウル・デュフィ「画家のアトリエ」
正直に言うと、僕が若い頃にはデュフィの作品の良さなんか、微塵も分かりませんでした。色々な絵を見て勉強してきた今なら、この画家の凄さは理解できます。
ある意味フランス近代絵画のエッセンスが見事に詰まった作品だと思います。ここまでユルユルの絵具で描きながらも、画面を自由にコントロールする能力というのは、技術的に見ても凄いことです。日本人がこんなにオイルを混ぜて描いたら「水っぽく」なってしまうんだろうなぁ…とも思いました。

他にもセザンヌ、ゴーギャン、ゴッホなどの後期印象派。ボナール、ヴィヤールなどのナビ派。ピカソ、マティスなど20世紀を代表する巨匠…。これほどまでに良い作品をコレクション出来たのは、それらの良さを見抜く眼力とセンス、知識や教養の高さがあったからに他なりません。目利きというのは、一朝一夕で身につけられる様な能力ではないのです。気付けば展覧会全体を見るのにいつもの5倍くらいの時間がかかりました。さすがに今回は脱帽です。

もう少し会期があるので、まだ見ていない人は是非見に行ってみてください。↓
https://mimt.jp/pc/