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彫刻科。流れに乗って夏期講習後期へ突入!

こんにちは!彫刻科の小川原です。 今回は氷室先生の番でしたが都合により僕がアップすることになりました。 さて、夏期講習もだいぶ盛り上がり、皆かなり力を付けてきました!1学期の時とは大違いです。何より自分自身の弱点を素直に受け入れ、克服していこうという強い意志がひしひしと伝わってきます。
こういういい流れに持ってこれたのは、偏に上達してきた事を少しずつ実感する事が出来始めているからだと思います。上手くなってきたことで逆に弱点も明確に見えてきて、それを克服する為の後押しを、さらに上手くなりたいと言う高いモチベーションが後押ししてくれているのだと思います。指導しているこちらも、非常に楽しくやらせてもらっています!今後が本当に楽しみですね!

さて、前回から今日までの優秀作品を紹介します。例によって数が多いのでコメントは短めですみません。
前回紹介しそびれた構成素描。ウレタンフォームの板とピアノ線で重なりの空間(層)をテーマに造形し、描きなさい。というものでした。
U.T君の作品。
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描写の行き届いた完成度の高い作品です。構成の組み方も知性的で魅力的です。

石膏静物デッサン。
K.S君の作品。
IMG_7038_修正済
構図から空間表現まで画面全体の設定がよく考えられています。手前の牛骨の接点付近の形等、さらに緻密に表現しきれると良いです。

模刻。ミロのヴィーナス。
R.Y君の作品。
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全体的に合わせていく意識で常に間違いを探して正していける作業の方向性が良いです。十分な完成度も含めて時間内にまとめ切るビジョンをスタート時から持てると良いです。

Y.M君の作品。 IMG_7083
動きの組み立てを一息に捉えて組み立てていけました。逆に一旦組み上がったものはなかなか動かせていけていないので、より客観的な目を鍛えて極限まで精度を上げていく意識で臨めるようになると良いです。

模刻。ジョルジョ。
T.U君の作品。 IMG_7092
与えられている時間内でここまでつくれたら大した物です。見る角度によって軸の狂いが気になってしまうところがあるので、序盤粘って後半直せない狂いをしっかり潰しておきましょう。

女性ヌードモデル。
R.Y君の作品。
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腰から下の表現にしなやかさがありとても良いです。手、足、顔等末端の表現には更なるリアリティを期待したいです。

U.T君の作品。
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厚みの表現や描写がとてもよく出来ています。物と物の前後関係(顔と奥の腕、右腕と胴体、両脚)に距離感がなくなっている(手前の物のアウトラインの外側に黒がたまっている)ので気をつけましょう。

K.S君の作品。 IMG_7064修正
人体のしなやかな立ち姿が魅力的に表現できています。欲を言うと中身の探りに比べて回り込み付近はやや追求が甘いので、今以上にやりきれると良いです。

自画像。木炭紙に鉛筆。 IMG_7049_済
出だしから画面全体をコントロールしながら作業を積み重ねていく捉え方が説得力のある画面をつくっています。鏡の中の自分、画面の中の自分。実際の自分。自身との対話が形となって現れているようです。

石膏像。パジャント。
T.U君の作品。
20140808パジャント2
背景も含めて描いてみました。背景の暗い部分の状況がやや分かりづらいですが、非常にテクニカルで完成度の高い内容です。石膏像の手前部分の描写が効いています。

コンクール。ジョセフ。
U.T君の作品。
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光の表現が巧みで明解で目立つ作品です。形のキワに関してはこだわって描写できていますが、塊としての構造感に対する表現に弱さを感じます。そういった意味で、もう一踏ん張りでもう1段階は軽くレベルを上げられる伸び白があります。

R.Y君の作品。
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目の前にあるモチーフに素直に向き合って、嘘のない描写を重ねています。こういうタイプの人は変に技巧的になる事がないのでどんどん経験を重ねて今のまま上達していってくれたら良いです。後は満足のいく物といかない物の判断をきちんと下していく事も忘れずに。

コンクール。クラフト紙の紙袋と荒縄とパプリカの構成。
A.Hさんの作品。
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塑像板上の空間性をフルに使う為にそれぞれの物の角度や配置をこだわり抜いた作品です。完成度も高く。説得力のある内容でした。

H.Iさんの作品。
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シンプルな構成ですが、欠点のない作品に仕上がっています。さらにつくり込みをこだわって、押しの強い作品を目指して下さい。

K.S君の作品。
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クシャッと閉じた紙袋が目を引きます。作りも良いので目立つ内容です。やはり縄の先端が両方とも他のモチーフにくっついているのはやや自然ではないかもしれません。いろいろ試してみて下さい。

Y.M君の作品。
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配置にリズムがあっておもしろい作品です。もう少し紙の質感が上手く出せると(または出しやすいよう誘導できると)尚良くなりそうです。

R.Y君の作品。
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紙袋を量の塊として表現した事に彫刻的な魅力を感じました。縄の扱いも考えられていて、後は描写がどこまで言い切れるか、それだけです。

デッサン。ヘルメス。
T.F君の作品。
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色で形を上手く表現できています。色感の良さを伺える作品です。描写に関してはギリギリ何とかなりましたが、単純にまだまだ技術的に足りないところがあるので特訓しましょう!

T.U君の作品。
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今回は波に乗るまで苦戦しましたが、そこまでの過程でいろいろやった痕跡が作品にリアリティを与えています。始めから上手くいくことはいい事ですが、それなら技術的にこうした要素が感じられる方法論を編み出してみてはどうでしょうか。

K.S君の作品。
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探りの深さとリアリティを感じる表現が出来ています。常に完成のイメージを更新し、その時の満足度を常に超えていく勢いで臨んでくれたら良いと思います。

Y.Y君の作品。基礎科の生徒ですが、講習は受験科に参加してくれました。
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ほとんどアドバイスする事が見当たらないほど一貫して像を捉える仕事が積み重ねられていました。印象が良く素晴らしい内容です。スタート時に無理なく大まかな形が取れれば後は何も問題ないです。

手と水の入ったガラスコップ。素描は芸大の時間に合わせ、3時間です。
Y.M君の作品。
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バランスが上手く取れています。完成度も短い時間の中で高められていて良いです。気になるポイントは2つ、手首(曲がっている部分を斜めに線を関係づける)が太い。コップの底の楕円が正確でない(回り込みがNG。回り込み部分だけ上の楕円と比べると逆パースです)。あと欲を言うと人差し指から奥の空間にはさらにこだわりたいです。

K.S君の作品。
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鉛筆の扱いが明解で良いです。人体としてのしなやかさが良く表現できています。逆に手の甲に厚みが欲しかったのと、コップの楕円の長軸が口も底もズレています。形も歪んでいます。とにかく単純ミスをしない事です。

T.U君の作品。
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こちらも明解なデッサンです。言い切る力は注目を集める重要な要素です。しかしこの作品もコップの楕円が狂っています。透視図法関係は見て描くだけではダメです。観察以上にただ透視図法の基礎理論を交えながら単純に自然かどうかを客観的に見ていくこともしてください。

手と紙コップ。
現役生。R.S君の作品。
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手は日々の特訓の成果があって自然に描けています(やや手首は太いですが)。それより紙コップです。扱いとして弱いのが否めません。いろいろなものの質感表現を特訓しましょう。
コップの形は浪人生よりずっと自然なのが僕は悔しいです…。

塑像。外国人モデル首像。
H.Iさんの作品。
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自然な表現が魅力的な作品です。素直な観察によって柔らかな印象をつくる事ができました。さらに骨格感の意識を高めていきましょう。次回の作品がとても楽しみです。

K.S君の作品。
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土付けの見切りが素晴らしかったです。モデルさんの微妙な顔の歪みまで捉えています。回転台を必要に応じて近づけたり(より具体的な観察が必要な時)離したり(作品として客観的に向き合う時)しているのが印象的でした。

Y.M君の作品。
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力強いモデルさんの骨格構造が強く感じられ、迫力が伝わる作品です。作業のやり取りがモデリングに偏っている為シャープさが弱いので、反りの形に関しては積極的に削ってつくる方法も取り入れていっても良いと思います。

F.Tさんの作品。
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いつもより高い完成度を打ち出す事が出来ました。様々な質感が感じられ、魅力的な作品となっています。骨格構造による張りの形に関してはもう少し緊張感を持たせたいところです。

K.Oさんの作品。
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表情に対する追求に並々ならぬ物を感じます。ベースとなる構造に関してやや量感不足に陥る事があるので注意しましょう。もう少し大きなサイズでここまで作り込めたら説得力はさらに高い物になったはずです。

T.F君の作品。
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柔らかな土付けが人物としての生命感の表現に上手くつながっていて良いです。さらに出来るようにならないといけない事。理解を深めるべき事は本人が一番良く分かっていると思うので、とにかく頑張りましょう!

基礎科、Y.Y君の作品。
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ベースとなる骨格構造の探りが見事で、形の内側から緊張感のある張り出しを感じます。逆に細部があっさりしているところがあるのでもっと早い段階から下地に組み込みつつどんどん突っ込んでいって良いです。

素描。外国人モデル。
T.U君の作品。
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モデルさんの印象を表面的に追うだけでなく、作品として追求し切れている事が素晴らしいです。体(服)の部分のクロッキー的な描写の挑戦も上手くいっていて、爽快感のある作品になっています。

F.Tさんの作品。
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モデルさんの印象が良く引き出せています。作品としてはまだまだ不十分なところはありますが、これからの可能性を強く感じるデッサンです。単純にあと1、2時間描くだけでもグッと内容を上げてこれそうです。ただ実際は3時間なので、そこにどう折り合いをつけていくのか。考えていきましょう。

K.Oさんの作品。
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とにかく上手いです。こういうタイプで3時間でここまで描ける人は他にいないと思います。この感性を他の課題にも生かていけると良いです。

長くなってしまいましたが、その分いい作品が沢山出てきているという事でこちらとしては非常に喜ばしい事です!これからさらに上達していく事が出来るよう一緒に頑張りましょう!
次回の更新は氷室先生です。8月26日を予定。夏期講習後期後半の作品を紹介します!
さあみんな!拳を高く掲げて!エイエイオーーッ!!

木彫作品制作1 左腕の接合から内ぐり、体前面の中間まとめまで。

こんにちは。彫刻科の小川原です。
しばらくぶりのうちに作品も大分進んできました。今日までの制作過程を紹介します。
頭部のまとめの後、胴体正面のまとめ作業を行いました。
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次に左腕をつける作業です。まずは材を新たに丸太から切り出します。
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材を加工し、ダボ(プラモの接合部の凹凸みたいなもの)をつけて接合準備完了。接合面は両面とも平らでないといけないのと、腕の3次元的な角度を事前にしっかり合わせておく必要があります。当然ダボも面に対し垂直でないといけません。
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接着剤(エポキシ接着剤、90分型、30分型混合)をつけてラッシングベルトでがっちり固定します。
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とりあえずロックマンみたいな状態ですが、これからどんどん彫り込んでいきます。
接着剤が硬化したらチェーンソーで荒取りして、形にします。
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ここから内ぐりの作業を開始します。内ぐりとは作品を中空にする為に中の木を削り落とす作業のことを言います。僕は最初の方の作品ではこの内ぐり作業を作品の胴体をまっぷたつにして上下にドリルで穴を空けながら落としていく形を取っていましたが(きれいにくっつくので形に影響が少ない)最近は背中に大穴をあけてそこから削り出して後から穴にふたをするやり方を取っています。この方法だと一度つくった形を壊すことになりますが、上から下まで形はつながったままなので強度が強いです。
このチョークの線に沿って穴を空けます。1つの大穴だとふたを合わせるのが難しいのと、作品の乾燥による歪みの影響を受けやすいです。
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まずはチェーンソーで線に沿って切れ目を入れていきます。
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次にドリルで端からどんどん穴を空けていきます。
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残った部分をチェーンソーで崩していきます。
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上下崩したら間を貫通させます。
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腰、脚は出来るだけ長い穴を沢山空けておきました。
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これで内ぐり作業は完了です。
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続いて脚(前面)を形にしました。片脚まとめるだけで半日かかります。
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今日の制作でここまで進んでいます。
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次回から手をつくり始めます。手は別でつくって後から取り付ける形にします。

8月に入り、夏期講習も踏ん張りどきです。

こんにちは、昼間部講師内田です。気づけば7月が終わり、個人的には、嫌いな夏が一ヶ月過ぎたと思うと少し嬉しいです。夏期講習は中盤にさしかかりました。蒸して熱いですが、中だるみしている人はいませんか?頑張っていきましょう。

彫刻科夏期講習もなかなか盛り上がっています。良い作品が普段より多いので、早速紹介していきます。
アバタ冨樫2
T.Hさんの作品

全体感を崩さず細部まで詰めるところまできています。普段は手が遅いほうなので、目鼻口まで印象を崩さず出来ているので、本人も何か掴んできたのではないでしょうか。

アバタ齋藤

S.Kさんの作品

軸を捉え、全体的に進められています。傾いた鼻の左右の面の関係性や髪の細部に至るまで、気を抜くことなくよく観察しています。

 

村田アバタ2

M.Yさんの作品

頬の張りから首にかけての伸びを面で捉え、自然な表現になっています。髪の表現などは、無理に細部をつくろうとせず、全体の流れで細部までもっていけたような気がします。

 

齋藤ブルータス2

S.Kさんの作品

首の伸びる動きに連動した、左右の眉の違いなどの細部に加え、右頬へ張り出す強さと、ブルータスの塊感が表現できています。

臼田自画像

U.Tさんの作品

画面向かって右からの光を設定し、眼球の細部に至るまで一つの空間に佇むように描かれています。光と影を上手く使って空気感を出すことが素描の醍醐味であり見せ場となるのではないでしょうか。

 

齋藤モデル

S.Kさんの作品

齋藤モデル2

モデルさんの特徴をつかんでいます。の面性や、前かがみに座っていた様子がよく捉えられています。

 

臼田モデル2

U.Tさんの作品

前髪に隠れたおでこから後ろ髪、後頭部へと、外しがちな骨格をかちっと捉えています。初心者には難しいので、おでこから後頭部への繋がりを参考にしてみてはどうでしょうか。髪も頭蓋骨から浮くことなく一体感に落ち着きがあります。

江藤静物

E.Kさんの作品

モチーフ大に置かれている状況説明が明解に説明できています。ブロックの比率やパースもしっかり捉えられました。

 

臼田静物

U.Tさんの作品

複雑なモチーフでしたが、素材感の違いも描き分け、完成度の高い作品として仕上げることが出来ました。

洞口構成塑造

H.Aさんの作品

3つのモチーフの関係性と空間を最大限活用して表現できました。
齋藤構成塑造

S.Kさんの作品

緊張感のある構成になりました。マスクやセロリの完成度の高さにも説得力があります。

 

佐藤構成素描2

S.Rさんの作品

シンプルですが魅力的な造形物ができました。デッサンの内容も客観的で良いです。

岩田構成素描

I.Hさんの作品

 

隙間の空間性を生かした魅力ある構成です。作品としての完成のイメージを強く持って言い切れると尚良いです。

山崎構成素描

Y.Rさんの作品

構成や配置がよく考えられています。床面がもっときれいに空間が抜けてくれると良いです。

臼田細密

U.Tさんの作品

細部まで丁寧に描写できていて良いです。固有色の差も明快に表現できています。

洞口細密

H.Aさんの作品

花のしっとりとした質感が良く表現できています。欲を言えば色味がもう少し美しくコントロールできると良いです。

須藤細密

S.Yさんの作品

絵画的に美しく表現できています。作者の美的センスが光る作品です。

臼田ラオコーン

U.Tさんの作品

力強い熱量を感じるデッサンです。厚みに対して敏感に反応し、魅力的な表現に繋げています。

 

山崎ラオコーン

Y.Rさんの作品

全体の空間をうまくコントロールしながら完成させることが出来ました。雑味がなく、魅力をダイレクトに感じることができる作品です。

 

齋藤ラオコーン

S.Kさんの作品

全体をコントロールしながらも、部分ごとの形体感の特徴(緊張感)を的確に捉えながら表現に繋げることが出来ています。
洞口ラオコーン

H.Aさんの作品

木炭の扱いが独特の魅力を放っています。単純にセオリーに乗っ取った作業以上の作者のモチーフへの観察と探りの深さを感じます。

村田ラオコーン

M.Yさんの作品

出だしから大きな構造に反応して作業が出来ていました。その意識を完成まで維持できたことで厚みの感じられる作品を完成させることができました。

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S.Yさんの作品

調子の扱いに独特の魅力を感じる作品です。表面の起伏だけでなく。背中までを含めた断面の「厚み」に対するアプローチが更に深まると尚良いです。

この夏、皆頑張っているのでブログ紹介が長くなりました。読んでくれた皆様、お付き合いありがとうございます。誤字脱字あったらすみません。。。1人でコメント書ききれずひーひーしてたら、途中から主任がコメント挿入助けてくれました。男前!ありがとうございました!

そんなこんなで、本当に全体的に皆伸びています!紹介しきれなかった作品もありますが作品数が多くて一つ一つのコメントはあっさりになってしまいました。(ごめんね。)しかし、受験生の皆さんは、この調子で熱く、夏に負けないくらいジリジリと攻めて行ってくださいね。

次回の彫刻科ブログ更新担当は氷室先生です。8/19日(火)お楽しみに!ではまた。

 

彫刻科 夏期講習 最初の課題。

こんにちは。彫刻科の小川原です。夏期講習が始まりました!前期昼は塑像を集中特訓していきます!第一課題はニワトリでした。動物も彫刻を学ぶ上で欠かせない要素の一つです。将来的に動物を作品としてつくっていく事だってありますから。
ほとんどの場合は彫刻作品として動物を制作する場合実際に動物を見ながらつくることはないです。大抵は動物園等に取材に出かけてクロッキーをしたり写真を撮ったりして、それを元に彫刻に置き換えます。予備校の段階では本物の動物を目の前にして作品をつくる訳ですが、こちらの方が稀な例なんですね。
「動物」というジャンルにおいて、基本的な骨格構造だったり(どの動物も思ったよりそんなに変わらない)断面の形状や起伏の特性のリズムを掴む事で最低限の資料さえあればどんな動物であってもつくれます。動物の課題で学ぶべき事は「ニワトリ」ならニワトリの、「ウサギ」ならウサギのつくりかた、という事ではなく、(それもあるかもしれないけど)もっと大きなくくりで、「動物」そのものの性質を理解する。というところに詰まるのだと思います。
さて、それでは今回の秀作を紹介していきます。
まずは現役生、R.S君の作品。
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一つ一つの形に抑揚があって変化に富んでいます。丸みも単純化する事なく複雑に捉えられているのでそれも魅力を高める事に一役買っています。まだまだ手が遅く、具体的にしていくのに時間がかかってしまい完成度は十分とは言えません。最終的な形がどうなると良いのかという事を早い段階で捉え、荒付け段階で60%、中付けで80%を言い切るくらいの見切る力を養いましょう。

K.S君の作品。
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出だしからポージングのイメージを持って取り組めていました。特に指導を必要とする場面も少なく、自分で考えて自分で探っていく事が出来ていたので、かなり実感を持って取り組めていたのだと思います。生命感があり、密度も十分で高い完成度が感じられます。この調子でどんどん研究を深めていきましょう。

F.Tさんの作品。
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途中立ち方を根本的に大きく動かして直すという一幕がありましたが最終的には安定して地面を捉える事が出来たと思います。印象も良く、冴えた作品と言えます。
「見る目」が良く、軌道修正する力がずば抜けていますが、逆にもう少し冒険する部分があっても良いかなと思います。探り探りの作業が多いので結果となって現れるのが遅い傾向にあります。もっと大きくやり取りを重ね(失敗があってもよい)、それを繰り返して正解に近づいていくような道筋もあります。いろいろ試してみて下さい。(2日課題であっても1日で完成させるつもりで挑んでください)

T.U君の作品。
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誰より手が早く、完成度がどんどん上げられるのが強みです。この作品も端々まで意識が行き届いて重厚な作品となっています。
逆を言うと完成度以外のところで戦っていないので作品追求がおろそかであった場合一気に作品の質が落ちてしまう危険性も孕んでいます。とにかく形の狂いは一切なくす事、その上で常に自分の限界を半歩越えた完成度を目指す事を原点として下さい。それさえ守れれば必ず結果はついてきます。

F.T君の作品。
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生命感の感じられる形の起伏が捉えられていて魅力ある作品となっています。本人はなかなか完成の糸口が掴めないと思っているようですが、やっている事は間違っていません。むしろセンスもいいし、高度な事が自然と出来ていると思います。手を止めてしまえば作品も止まってしまいますが、手が動いている限りは決して悪くない方向に作品は動いているので自分を信じてやりきってください。

最初の課題でしたがいくつもいい作品が出て良い流れだと思います。夏期講習ではとにかく今まで自分になかったものを新たに取り込んだり、出来なかった事に挑戦したり、攻めの姿勢でこなしていってほしいです。夏を制するものはなんちゃら…。という名言があるように、この時期自分を高められた人は2学期以降得られるものも段違いで変わってきます。そして勝負を見据えて全力で取り組んで下さい。自分には何が足りないのかしっかりと見極めて、必要な力を強く欲して下さい。「求めよ、さらば与えられん」ではありませんが、「こうしたい」「ああしたい」と強く思っている事は自然と吸収できるものです。淡々とこなしているだけではあまり上達しないのです。一緒に頑張って、この夏を乗り切りましょう!

1学期の実材実習。テラコッタ首像の台座制作。

こんにちは。彫刻科の小川原です。1学期に制作したテラコッタのモデル首像の台座制作を僕のアトリエで行いました。
素材は楠を使います。楠は木彫でスタンダードに扱う素材です。大学に入ってから必ず扱う事になるので、今のうちから触っておくのはいいかもしれません。
まずはチェーンソーで材を切り出すところから。
※写真はやらせです(笑)チェーンソーの作業は僕がやりました。危ない工具は大学に入ってから使ってね(笑)
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切り出した材を電気カンナで成形、面出しします。電気カンナの回転の性質上外から中に削り込んでいくようにして、抜けて出ないように気をつけないと木の繊維が割れてはがれてしまいます。
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このあとベルトサンダーをかけて大まかに仕上げます。IMG_0844
その後サンダーで仕上げて鑿で軸を立てる為の穴を空けます。
(先にドリルで蜂の巣状に穴だらけにしておいて、鑿はそれを崩すだけです。)IMG_0850
首像作品が完全に乾燥したら窯で焼成作業に入ります!割れずに全部上手く焼ける事を祈ってます!