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彫刻科 2学期もラスト3日

彫刻科の氷室です。いよいよ師走に突入!あとは、冬期講習と直前講習を残すのみとなりました。

最近首像を作る課題がありました。
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人体それ自体が自然の産物であり、そこに動き呼吸をし見えている量と輪郭。それをどの様に探しに行くのか。
簡単には答えが見つからず、じっくり形を観察し自分の頭を通して手に伝える。時間をかけることが許されている彫刻という分野。瞬発力が要求される受験。その中で皆さんはどの様に受け止め、目の前の課題に取り組んでいるのでしょうか。

ロダンはー 彫刻では、面の肝腎な線を求めながら肉付けをして行く。一つの体の中にある箇所に抑揚をつけて他を顧みないようではいけません。おのおのが比例を保ちながら存在しています。つねに全体と関連して強めていくべきものです。その度合い、律度は各芸術家によって違います。それに依って彫刻家の気質が翻訳されるのです。
言語も、どの様な日本語に訳するかで、雰囲気が変わってきますからね。どの様に皆さんが、観察したものを翻訳していくのか。もちろんある程度のルールがあってこそですが、最後は自分の決断です!
最後は、自信が必要です。それには、どれだけ自分の目で観察し、目の前の自分に向き合ったか。その事実が背中を押してくれると思います。やはり苦手で克服したい箇所は誰にでもあります!まだ時間はあるので、最後の1日までしっかり向き合っていきたいですね。

さてさて、前置きが長くなってしまいましたが、最近の作品を紹介します。
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塑像板上で与えられた空間の中へ、両手の構造を使った流れを意識し、綺麗に表現できています。作り込みもある程度のレベルまで持って来れているので、離れて見ても、近くで見ても魅力が感じられます。

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こちらは自主的にモチーフを選び、時間を見つけて描いた1枚です。空間を簡単に出すために、ついつい逃げやすい細部や奥の形へ突っ込みながら、かつ手前も描き空間を感じさせる、そんな、こちらも近目と遠目に絶えうる作品になりました。なにより描く楽しさが伝わってくる1枚です。

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まづは、モチーフの持っている印象を大切に!それが大事なんだと言うことを感じる1枚です。ジョセフの頭部のズーンと迫ってくる迫力や表情の、にまっと笑っているかの様な印象が上手く表現出来ています。

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自刻像課題です。単体では良く出来ている作品をも追い越し、並んでみると、不思議と生命感が見えてくる魅力的な作品です。本人の持っている、人体への素描力が粘土へ伝わっています!何においても、素描力は物を言いますね!大切に自信をもっていきたいです。

余談ですが、塑像で使う水粘土は、原型から、ブロンズや石膏、焼き物、ポリなどに置き換えないと存在が持続させられない素材です。残念ながら受験においてが前提である予備校では、課題として作り上げられた作品達は、解体される事が常です。

こんなに大作で、しかも時間と体力と頭脳を駆使し作り上げられたものが壊されて行くことが、寂しくもあり、それは私が歳を経て来たからなのか…。以外にも軽快に?現実を受け止め、解体していく生徒たち。そこには未来があるからこそのエネルギーを感じました!!

解体の模様
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そんなこんなで冬期講習も、まずは描くことが楽しい! 作ることが楽しい!と思えるそんなアトリエの空間を作っていきたいすね! 体調にはくれぐれも気をつけて、頑張っていきましょう!!

次回は小川原主任にバトンタッチです。

彫刻科 いよいよ2学期も残り僅か!!

こんにちは!彫刻科講師の稲田です。 新美の公開コンクールが終わったと思っていたら、もう2学期も下旬に差し掛かっています。
各予備校で開催される公開コンクールに参加して結果が出た人、出なかった人いると思いますが正直ここでの結果は、参考ということを忘れないで下さい。もちろん現時点での実力は見ることが出来ますが、ここから残りの2学期、冬期講習、直前講習で自分のデッサンと塑像を積み上げていくことが重要です。積み上げることが出来た人は必ず結果に繋がります。

要するに、年明け前の今の時期は上手くいかなくても粘り続けることが必要なつらい時期ということです。
良く描けた!!と思う日もあれば、自分の絵が良くなっているのか?このままじゃダメなんじゃないか…と落ち込んだりすることもあると思いますが、今が一番の頑張りどころです!!講師の目から見ていると、確実に各自の課題を克服する方向に向かっています。
この調子で残りの2学期を乗り切りましょう!!

では、今回はデッサンの作品を紹介していきましょう。

昼間部「アムール」木炭デッサン
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臨場感の溢れるデッサンになりました。作者は、いつもいいところまで持ってくるのにあと一歩迫り切ることが出来ないデッサンが多かったですが、今回のアムールはその壁を超えることが出来た作品になりました。素晴らしい石膏デッサンには、この場所から見たらこうだよねという共感(客観的な形の正確さ)+本人の主観(本人が主観で感じた魅力)の組み合わせが必要不可欠です!かっこいいアムールの見上げの印象が見る側にも伝わってくる作品です。デッサンはこうじゃないといけないですね!!

 

 

夜間部「ジョセフ」木炭デッサン
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この作者は現役生ですが、最終的に高いレベルのデッサンが描けるようになってきました。これは作者だけではなく全員に言えることですが少しでも形が狂うと評価は天と地の差程開きます!それぐらいシビアなものです。このことを絶対に忘れないように!!課題であった形がボヤケるというクセもこのデッサンでは克服出来ています。もう一歩ジョセフの形のリアリティに迫れると更にレベルの高いデッサンになると思います。

 

氷室先生が教室でも告知されていましたが、11月9日?12月5日までギャラリー長谷川で山本正道先生が個展を開催されています。日本の彫刻家の中でも最後の巨匠と言わせる彫刻家です。みんなも忙しいとは思いますが時間を作って、彫刻を志す人は必ず見るように!!

一昨日から、東京芸術大学彫刻科主催の「第10回アトリエの末裔あるいは未来展」がはじまりました。会場は、東京芸術大学大学美術館陳列館と旧平櫛田中邸で開催しています。木彫作品をたくさん見るいい機会なので休日に出掛けて見て下さい。【期間】2015年11月20日(金)?29日(日)  ※24日(火)休館  【時間】10:00?17:00 ※入場は16:30

11月29日はプレ冬期!!1日模刻ゼミがあります。模刻に苦手意識のある人やもっと経験を積みたいという人は是非参加してみてください。当日は、彫刻科主任の小川原先生がデモンストレーションとして一緒に制作します!学外生や未経験だけど興味があるという方はこの機会に体験してみてください!!何か新しい発見もあるかもしれません。参加費用は無料です。詳細は、ホームページをご覧になるか新宿美術学院に直接ご連絡下さい。では、今回はこの辺で。

彫刻科 2学期後半!伸び盛り!

こんにちは!彫刻科の小川原です。2学期も後半戦です。入試の足音も大分近づいてきましたね。僕は入試を勝ち抜いていくためには2学期が勝負だと思っています。冬期、入直はもちろん緊張感も高まるし、実力もグーンと上がっていく時期ですが、落ち着いて研究を深められるのは今しかないと思います。

さて、公開コンクールでは学内生、学外生問わず「模刻」のレベルが問題点として浮彫になりましたが、ここを鍛えないことには厳しい受験争いになることは必死です。いや、そもそも戦えるのでしょうか?全体のレベルが高くないなら、このタイミングでしっかり頑張っておけば入試の時点ではかなり差がついてくるのだと思います。入試で模刻が出るとは限らないですが、模刻が出来ないと彫刻そのものが出来ないので、しっかり模刻を修めてから大学に入って下さい!

それでは10月の優秀作品の一部を紹介します。模刻の話が出たので昼間部生の模刻から見てもらいたいです。
ジョルジョ。
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これまで模刻がどうにも上手くいかなくて苦手意識が強かったですが、ちょっとしたアドバイスだけで自力でここまでつくれました。完成度自体は十分とはいえませんが、量感、動き、印象。どれをとっても良い内容となっています。この調子で頑張って!

カッパのヴィーナス。
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こちらも最近グッと力をつけてきた学生の作品です。髪の毛の表現はもう少し印象を出していきたいところですが、全体の構築感はとても良いです。
髪の毛の表現に関しては荒づけ、中付けをしていく過程でベースを作りながら同時に雰囲気を作っていくようにして、時間を効率よく使っていきたいです。今は時間が足りていない事が伝わってしまいます。

それでは夜間部生の作品です。夜間部はデッサンがかなり上達してきました。浪人生に比べて制作時間が少ないので、1課題を大事にこなしていきましょう!
ブルータス。
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現役生としては素晴らしい内容です。これまで炭のコントロールが上手く出来ずにフワフワしてしまうのが問題でしたが、今回はかなりしっかり形にすることが出来ました。全体を意識してやりきっている事に魅力を感じます。今回は9時間描きでしたが、6時間でもこのレベルのものを描けることを意識して下さい。

ジョルジョ。
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ドラマチックに撮った写真のように不思議な魅力のある作品です。細部を徹底して描き込んでいますが、ベースの形もしっかりつくっているので表情が浮いていないです。彫刻科のデッサンとしてはかなり独特な作品ですが、逆に個性があってよいです。あくまで対象に素直に向き合って、嫌なクセっぽさが出ないように気をつけましょう。

最近は僕も学生に混じって描いたりつくったりしています。今回はマルスを描きました。
描き出し。「全体感」ということに焦点を当てています。
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全体に同時に描き進めていきます。顔も出だしからしっかり似せていきます。
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統一感を損なわないように気をつけながら完成度を上げていきます。今回は少し時間をかけて5時間くらい描きました。みんな出だしから崩れてしまって、崩れたまま6時間過ごしてしまうパターンがほとんどです。視野を広くして画面全体を把握しながら進めましょう!1 2
ラオコーン。描き出し1時間半。
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角度を変えて40分。
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それを受けての昼間部生作品。3

氷室先生からも告知があったと思いますが、11/29にプレ冬期講習があります。彫刻科は今回模刻の特別授業を行います。初心者の方はもちろん、浪人生もこの1日で学べることは多いと思います。参加無料なので、芸大受験をする人は是非申し込んで下さい!

 

彫刻科 2学期中盤!!

受験当日に近い形でののプレ体験ができる、大きなチャンス、公開コンクールが終わりました!
皆さん、いかがでしたでしょうか!?
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熱意ある学生が、沢山集まってくれて多いに盛り上がりました!!結果が出て、それぞれの課題点も見えた、良い機会だったのではないでしょうか。試験当日までに、その課題へ向けて日々挑戦し、克服出来るよう頑張りたいですね!!
この後の企画に、11月29日の日曜日に行われるプレ冬期で、新美の彫刻科では、『模刻ゼミ』を行います!!
模刻が得意な主任が、実際にデモンストレーションを行いながら、模刻のポイントを指導していきます。
塑像コンクールの模刻では、まだまだ全体の実力は十分とは言えない結果に終わったので、模刻をもっと上手くなりたい人は、この機会に是非参加してみてください。
もちろん無料です!

(このコンクール後に、主任の指導付きデモンストレーションが入った、ジョルジョの模刻課題では、実際に皆の実力が、合格レベルが見えて来るぐらいに、ぐっと上がりました!!)

冬期講習も、さらに模刻に力を入れていきます!芸大合格を狙っている学生は、この機会を逃さず、是非、冬期講習を受講してみてください!

さて、ここからは、最近の優秀作品の紹介です。
S君のデッサン
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視点がはっきりしていて、明快なデッサンです。最初から、こう描きたいというビジョンがしっかりつながり、表現出来た1枚ですね。動き、構造、量感、大切な3大要素が意識できています◎

S君の塑像
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友人像です。課題以外で自主的に挑戦しただけあり、生き生きした作品が誕生しました!受験に徹する制作から抜け出した、作る楽しさが伝わって来る作品は、めったに出会えません。とても魅力がある作品です。自信を持って大学に行きたいですね!

夜間部 現役生のMさんの塑像作品
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鳩を素直に観察できている作品です。作り慣れていなくても、とにかくよく見て、形を作り、表情を作り、バランスを取ることで、ここまでの表現ができるのだと、改めて感動しました。良い仕事ができています!◎

同じく、現役生の素描です
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同じく、素直に描けている素描ですね!肩や、腰から足へのつながりである骨格であったり、正中線に於いての左右のバランスを、もう一歩高めたいところですが、量感や表情が自然に表現できており、足元の空間、佇まいに視線が引きこまれます!本来のあるべき素描という言葉を考えさせられる1枚です。

個人的な話になりますが、9月に茂木里山アートフェスタと言う野外展に参加してきました。
その時の作品です。野外展示に参加しはじめて3年目、やっと自然と作品のことが微かに見えてきた感じがした3年目でした。
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[入口と形と出口と]

今現在、数人の学生は、大型模刻に挑戦しています!
その様子は、次回の小川原先生のブログ(11月7日アップ予定)で紹介されるかと思います!!
楽しみにしていて下さい!!

彫刻科 公開コンクール直前!!

こんにちは!彫刻科講師の稲田です。2学期も1ヶ月が過ぎ、はやくも公開コンクールの時期が迫ってきました!
彫刻科の公開コンクール日程は、10月11日(日)の木炭デッサン、10月12日(月・祝日)の塑造の順に開催です。

最近、生徒のみんなを見ていると少し疲れ気味にみえます。毎日制作を頑張ることは大切ですが適度に休むことはもっと大切です!自分の体調を整えて万全の態勢でコンクールに臨みましょう!!

 

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では、今回も優秀な作品を紹介していきましょう!!
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昼間部生の木炭デッサン「ヘルメス」
形の実在感が強く、形態を目で追えるところが最大の魅力です。丁寧な観察と確かな素描力を感じさせます。もう一歩、像を取り巻く空間を感じさせる意識が加わればより高いレベルに到れることでしょう。

 

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昼間部生の木炭デッサン「ジョルジョ」
像の大きさ、印象共によく捉えています。形に対する追い方が荒削りな部分も見られますが、今回はそれがかえって勢いを感じさせるように上手く働いています。像の持っている魅力に迫るという点が作者に日頃から最も持ってほしい視点なのでクールに流さず誠実に形を追いましょう!

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昼間部生の「ブルータス」模刻
高い完成度でブルータスの印象をよく掴んだ力作です。作者には高い塑造力があるのですが、作りこむ段階でついつい見る視野が小さくなっていき形がボコボコすることがあります。それさえ、自分でコントロールすることが出来れば言うことがないのですが。

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昼間部生の「造形構成」素描
プラスチック板とリボンの構成ですが折りたたんだ板をリボンで結ぶ構成も面白く、折りたたむことで出来た空間もスカッと描けています。作者には物を構成している大きな面の意識を強く持ってほしいです。

以上が今回の優秀作品紹介でした!公開コンクールでもみなさんの力作期待しています!!

次に以前ブログで告知があった、保存修復家にして作家の吉水快聞(よしみず かいもん)さんのインタビューが新宿美術学院のホームページのトップ画面にアップされています!!
学生の皆さんには、保存修復??っという人も多いかと思います。彫刻の道の中にもいろんな仕事があるのだと知る良い機会です。是非、目を通してみてください!!

最後に、私事ですが『第10回 アトリエの末裔あるいは未来』という東京藝術大学美術学部彫刻科木彫研究室主催の展覧会に作品を出品します。

【会期】2015年11月20日(金)?29日(日)※23日(月・祝日)開催、24日(火)休    館  10:00?17:00です。

【会場】東京藝術大学 大学美術館陳列館、旧平櫛田中邸

活躍されている先輩方から在学の学生まで、これだけの木彫作品を制作しているメンバーが一同に集まる機会はそうそうありません。時間があれば是非見に行ってみてください!!よろしくお願い致します。

では、今回はこの辺りで!!次回のブログは氷室先生です。宜しくお願いします!