カテゴリー別アーカイブ: 彫刻科

彫刻科 ここまでの入試結果

今日多摩美、ムサ美の合格発表があり、一山越えた感じがあります。
さて、ここまでの彫刻科の戦績です。
多摩ムサ推薦入試、受験者全員合格!
日大芸術学部推薦入試、受験者全員合格!
東北芸術工科大学、受験者全員合格!
東京造形大学、受験者全員合格!
日大芸術学部一般入試、受験者全員合格!
そして、多摩美、ムサ美ですが、数名補欠という結果となりましたが、ほぼ順当に合格!不合格者が出なかったのは毎年のことですが良かったです。補欠となった人も、繰り上げ合格に期待します!

芸大入試も目前です。アトリエの雰囲気もこの半月でガラッと変わってきた感があります。この調子で芸大も突破していって欲しいです!

それではここ最近の秀作を紹介します。
昼間部生の作品。
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勢いをつけるためにも量感のあるモチーフを描いてもらいました。彼はこれまで構造的な強さがなかなか出せず、表現が絵的になってしまう事が多かったですが、この作品では何かを掴んだようです。色ではなく、「形」そのものに反応して描けているので、臨場感がひしひしと伝わってきます。

同じく昼間部生の作品。
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彼女はこれまでなかなか時間内に完成度が上げられず、いつも途中で終わってしまっていました。このひとつ前のブルータスの課題で進め方を大きく変えてもらい、それがはまって短時間でも力強い画面作りが出来るようになりました。

夜間部生の作品。
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3時間で木炭紙にコンテで描きました。自然な体重のかかり方やポージング、顔の印象、肌の質感、空間。どれをとっても見事な描きっぷりです。手前の足が潰れてしまっているのが勿体ないですが、現役生で3時間でここまで描ける人はなかなかいないのではないでしょうか。少なくとも自分が現役生の時もある程度描けた記憶がありましたが、ここまでは出来ませんでした。

この時点での皆さんの仕上がりはどうでしょうか?結果をコンスタントに出してきている人は、実技だけでなく、メンタル面も含めて入試に合わせて行きましょう。
もう一つ課題が残っている人はかなりチャンスがあります。あと1週間で何か一つでも身に付けて自信をつけて下さい。
これだけは忘れないで欲しいのですが、試験本番ではもちろん僕ら講師のアドバイスは何もありません。しかしこれまで学んできたこと、指導されてきたことは骨身に染みていると思います。ただただ冷静でいるだけで、手は勝手に動いてくれるはずです。今まで以上の事をしようとしなくていいです。今までどおりで良いのです。頑張ってください!応援しています!

芸大入試の足音が近づいてきました!

こんにちは!彫刻科の小川原です。
1月も去り、2月に突入!私大入試の真っ只中ですね!生徒の皆さんは毎日朝から夜まで追い込み大変かと思います。最高の緊張感のもと、自分の作品と向き合って、しっかり方向性を定めていきましょう!

さて、今回は特に魅力あるデッサンが出たので2枚紹介したいと思います。
昼間部生の作品。
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光、陰を巧みに表現し、魅力ある空間づくりが出来ています。作者の自信が漲っている傑作だと思います。久しぶりにすごいデッサンを見る事が出来て感激しました。受験では桁外れの緊張感の中での勝負になります。最後は自分を信じる事が出来るかどうかが命運を分けると言っても良いでしょう。これだけ描ければ大丈夫。本番では楽しんでいい1枚を描いてきて下さい。

夜間部生の作品。
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形をとるのに苦戦していました。事実出だしの形の印象はかなり悪かったです。でもそこで無駄に時間を浪費するより、多少違っててもどんどん描きながら直すスタイルが性に合っていたようです。とりあえず止めずに進めて!という一言の後烈火の如く印象を引き出していく様は後ろで見ていて爽快でした。この調子です!

先日芸大の卒業、修了制作展が開催されていました。毎年見に行って思うのですが、学生とは言え、自身の実力の全てを出し切って、1年と言う期間をかけて作り上げた作品は、作家の作品を超越するほどの力強い魅力を放つのだなあと実感させられます。
そうした作品達を目の当たりにして、「うん!僕も頑張ろう!」と思うのでした。

修了制作展では、新美で講師をしてくれている岸本先生の作品が出品されていました。

巨大な男の頭部のテラコッタ作品。
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とても大きな作品ですが、細部にかけて並々ならぬ完成度への執着心が感じられます。

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石彫の作品です。学部の卒業制作では女性の頭部に鯉が乗っている大理石の作品が出品されていました。

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髪の流れから犬への変化が美しいです。

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大理石の作品。

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一瞬何かな?と思いましたが、刀を置く台だったんですね!
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これから芸大を受験する人たちの中で実際に見に行った人も沢山いると思います。どうでしたか!?自分も早く作品をつくりたいな?!と思いましたよね?その気持ちが大事ですよ!皆さんが目指している世界に間違いは無いです!毎日デッサンや模刻を繰り返し、体力的にも精神的にも疲れている事と思いますが、本当にいい作品をつくるにはこれらの基礎は大学に入る前に必ず修得している必要があります。卒展で素晴らしい作品を出品していた先輩達ももれなくこの道を通過して来たんです。皆さんも負けずにやりきって、羽ばたいていって欲しいです。

頑張ろう!

彫刻科 もうすぐ如月

稲田先生の合格祈願からの彫刻科の氷室です。稲田先生の想い、嬉しいですね!
早いもので、1月も過ぎて行こうとしています。

話はいきなりですが、私には田舎に105歳の祖母がいます。8人の子供を産んだ、パワフルな人生の持ち主です。その祖母にお正月に会いに行ってきました。
顔は、まさしく頭蓋骨に皮膚という薄い膜を貼ったような印象で、ただただ目で形ばかりを追ってしましまいました。首像を作るさいに、よく張りの話をしますが、ここまで来たらヘコみへと話が移行するのだなと、感じました。生きている人は張りのつながりだと思っていた価値観がくつがえされました。目は落ち窪みすっかり小さくなり、欲がなく、その目はもう見える範囲が少なく、祖母は何を思いながら時間を過ごしているのでしょうか。

改めて、思考ではなく形を意識した瞬間でした。

彫刻と関わっていなかったら、このような不思議な感覚について考える事はなかったのでしょうか。
形を考える、みんなが何気なく制作している事が、どのきっかけを通して実際に体感できるのか、、、そんな事を考えた帰省でした。
動ける時間がある、野望がある、目指している事がある、明日を思いながら眠りにつける、実に不思議な日常です。

さて、そんな流れで、自画像と自刻像を紹介します
3時間と言う短時間で、こんな風に自分を描けると、きっと美術関係ではない人が見たら驚きますね!
思わず引き寄せられてしまう2作品です。
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こちらは自刻像です
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まだ首周りに心許なさも残りますが、今”を感じます。自然な眼差しや雰囲気を作るという事は難しいものです。

アバタの模刻
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方法論に偏らず、観察したことを素直に出していく、そんな仕事ぶりに、アバタらしさが感じられます。

石膏+静物デッサン
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与えられた時間内で、視点や空気感を感じ表現ができています。印象も良くスッキリ見られる1枚です。

ラオコーンのデッサン
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描くのが難しいお腹周りに意識が、きちんと入っています。いかつくなりがちなモチーフですが、綺麗な光の中で空間を感じる1枚です。

今回の紹介は以上です。
みなさんも伸びている実感は必ずあるはずです! まだまだもがいて、新鮮を発見し、吸収して前を向いて行きましょーーー!!
素直に観察すると言う仕事を大切に!

もちろん体調にも気をつけて下さいね。次回は小川原先生にバトンタッチです!

彫刻科 入試直前講座に向けて一休み。

こんにちは!彫刻科講師の稲田です。
新年に入りましたが冬期講習後期に参加した受験生のみんなは、ゆっくりする時間も無いまま実技の腕を磨く日々だったことでしょう。まずは、冬期講習会おつかれさまでした。
連日課題をこなす中で疲労も溜まってきている頃でしょう。自分の体調は自分にしかわかりません。センター試験も迫ってきて焦る気持ちの人もいるかもしれませんが一日で出来る事には限りがあります。休める時には無理をせず、体調を整えて集中出来るコンディション作りをしていきましょう。

今回は、昼間部生の木炭デッサンを紹介します。
「アムール」木炭デッサン
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非常にクールな木炭デッサンになりました。正確に丁寧に描かれた好感の持てる作品です。色調も美しいです。頭部の印象は非常にアムールらしさを捉えることに成功しています。
ただ、まだ物足りません。体は物として捉えているように形同士の繋がりが希薄でギクシャクしたかたい印象が強く今ひとつ滑らかなアムールのフォルムに迫れていません。
デッサンには、その作者の物の見方、捉え方がはっきりと現れます。これが正しいという物の見方は存在しません。どんな見方でも良いと思います。しかし、静かに客観的にそこにある像を捉えたデッサンの中にも構造、量、動きによる形の緊張感が内包されていなくてはいけません!!それが真にクールなデッサンでしょう。
更に高いレベルのデッサンへ挑戦し続けてください。

話は変わりますが最近、みんなのデッサンや塑造を見ていて頻繁に思う事ですが守りに入り過ぎです。
4月からするとそれぞれに上達しています。ただ、上達すればするほど失敗したくない気持ちが強くなりこれぐらい描けていればいいかなと無意識に安心するようなところまで来たら像の観察をやめてしまったりしています。自分に出来る範囲で無難に描いて絵を完成させようという姿勢は間違っています!!
これは全員が通る道ですから上達すればするほど自分を守りたくなるものですが、実際の試験で守ったデッサンや塑造で合格するほどの実力者はそうそういません。
芸大の教授が試験で見ているのは、この作品の作者は「がんばるやつか?」どうかです。それには常に積極的な姿勢で制作することが大切です。極端な話、前日まで失敗続きであろうと本番成功すればいいのです。そこそこの絵を描いて変わらない評価でいつも同じことを講評で指摘される。これは守りに入っている証拠です。自分ではやりすぎているかもしれないというぐらい変えていかないと自分で自分を変えていくことはできません。練習で失敗しないでいつ失敗するつもりなのか?まさか試験本番ですか?そうじゃないのなら、一枚のデッサンや1つの塑造を大切に制作していきましょう!!

試験本番までは、あっという間なようですがここからがこの一年の努力を積み上げる時期です。講師陣も一押し二押しみんなを引き上げることを念頭に指導していきます!!厳しい事を言われることもあるでしょうがその言葉を原動力に最後まで走り切りましょう!!

最後に初詣に行った京都伏見稲荷で合格祈願の絵馬を書いてきました。ぼくも博士課程を受験する時に書いたのでご利益があるかもしれません。

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みなさんは、デッサンを!粘土を!真摯に取り組む事を心がけて制作しましょう。神様に祈るのは周りにまかせましょう!!では、このあたりで失礼します。

彫刻科 冬期講習 制作への意識の高まり!

こんにちは。彫刻科の小川原です。冬期講習も中期後半を迎え、入試への緊張感も増してきました。取り組む姿勢や制作に対する意識の高まりによって、ここ最近レベルがグッと上がってきたように思います。冬期講習で何か一つ、手応えのようなものを得てもらえたらと思います。頑張りましょう!

さて、前期から試験時間に合わせてデッサンも塑造も6時間制作となっています。そんな中で完成度が特に上げられた2点を紹介します。
昼間部生の作品。 グデア。
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グデアはシンプルな像ですが、四角い構造の中に豊かな人体的要素が盛り込まれていて、実は非常に難しいモチーフです。何となく出来たように思えても実際の印象にはなかなか近づいていかないものですが、この作品は彫刻的に緊張感とは何かがしっかりと考えられ、モチーフの印象に素直に迫れています。このように、理解を深めた上で、かつそれを分かった風でなく真摯にモチーフに向き合う姿勢はとても重要です。

夜間部生の作品。 奴隷。
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この時期現役生で6時間でここまで描けたら素晴らしいと思います。実際自分が現役生の時はこんなに描けませんでした。奴隷の動き、量感、印象がよく引き出せています。安定してこのレベルで作品をコントロールできるようになる事が出来れば入試も自信を持って乗り越えられると思います!この調子で頑張りましょう!

デモンストレーション。ジョセフ。
全体感を大事に仕上げていきましょう!
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ラオコーン2時間描き。
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出だしで形の狂いが無くなったり、完成のビジョンがもてるだけでこんなに早く描けます。

最後に僕の今制作中の作品状況を紹介。
前回お見せしたものから一気に進んでしまっていますが、荒彫りは大体終わっています。
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それぞれこの1年やってきた事がこの時期やっと形になり始める頃だと思います。大事なのは最後まで「魅力的な作品」を追い求めていく気持ちです。受験に受かりたい!受かりたい!ということばかり考えてしまってる人はいませんか?。今の自分の状態に焦りを感じて制作に集中できていない人はいませんか?そうした気持ちのブレは必ず作品に出てしまうし、一年で一番伸びる重要な時期に伸びなくなってしまいます。心に余裕を持てと言っても難しいかもしれませんが美術の原点は表現を楽しむ気持ちそのものだと思います。今だからこそいい緊張感の中、日々の制作を楽しんで実力を伸ばし切って欲しいです!応援しています!頑張りましょう!