カテゴリー別アーカイブ: 彫刻科

明日はいよいよ 新美彫刻科の公開コンクールです。

昼間部講師の氷室です。

明日は、彫刻科の公開デッサンコンクールです。
受験本番に近い緊張感を持って挑める機会です。
受験におけるデッサンは、モチーフの情報を短時間で表現せねばなりません。しかも、その絵は他者の主観に基づき客観的に判断されることになります。
自分のデッサンがどの様に伝わるのか、その結果を次につなげて行って下さい。
光や形、木炭を扱うテクニック、印象、全てを研ぎ澄ませてバランス良く表現していきたいですね。

『ロダンの言葉抄』の中に
ー芸術家とは見る人のことです。
眼の開いた人のことです。
その心に、物の内面の本質が、いずれにしても存在事実として考えられる人のことですー
と書いて有ります。

また、面と陰影が構造を作り出すことや、皆さんの日々の制作に引っかかる部分が言葉にしてあるので、もし手にとる機会があれば読んでみてください。

10月後半の優秀作品の紹介です。

視点と量感を大切にしながら印象や動きも良くまとめられています。探る姿勢が活きています。


逆光で難しい位置ですが、顔の印象を丁寧に観察しブルータスの印象らしく表現出来ています。力を感じますね。綺麗なデッサンです。


大きな面展開をしっかり感じさせながら、肩から首までの構造にも迫れており、見上げた迫力が伝わります。


ピタッとした形を描けており、顔の印象も綺麗です。動き量感、木炭の色幅の強さを兼ね備えたカッコ良い1枚です。


そこにあるリアリティをひと目で感じます。光、質感、空気も全てが表現出来ています。


丁寧で熱い1枚です。全体感と細部の描写バランスが素晴らしいです。大きく取った構図が活きています。


難しい視点ですが、パースもしっかり描けており、申し分ない画力です。

素描力は全てに通ずる基礎になるので、こういったモチーフが置かれている状況を理解し、絵に起こせる技術と観察力は強みですね。


パジャントは頬周りや首がツルッとして見えるので難しいですが、良く探れており炭で形を起こしてくる表現力がかっこ良いですね。じっくり見られるデッサンです。


視点がキチッと作られており、スッキリした言い切りのあるデッサンです。丁寧な仕事で、絵としての強さがあります。


難しい位置ですが、目の前に有る彫刻・立体を描こうとしている姿勢が現れており、1歩深い観察力を持っている事が分かります。


自主課題のデッサンです。光が爽やかに描けており、そこから見えてくる空間が魅力的です。良い1枚ですね。この調子です!


唇とアゴ周りの髭の印象が惜しかったですが、見上げたスケールを感じさせる視点や光を綺麗に表現できています。

今回は、日数を多めにして普段より大きめな模刻に取り組みました。

模刻としてモチーフを写すだけでなく、面を上手に捉えて粘土で表現し作品として昇華していく力量も素晴しいです。


普段扱う粘土より大きな量を動かしながら妥協せずに構造に対峙し、ヘルメスらしい印象まで辿り着けています。綺麗ですね。


バッチリ造り込めています。メヂチらしいキリッとした形と印象が良く表現出来ています。清々しい作品です。


こちらのメヂチも上手です。髪の毛に落ちる影も綺麗に形とつながっており、印象も似ています。粘土付もカッコ良いです。


やや口元が下がり気味ですが、こちらの作品もメヂチの印象に迫れており、良く作り込めています。


絵にするとどの位置からでも絵になりやすいガッタメですが、地味な動きを持っており模刻するには難しいモチーフだったと思います。比率や構造も妥協せず取り組めており、最終的には印象まで捉えてこれています。カッコ良い作品です。


制作過程も奴隷の印象を壊さずに、終始カッコ良い捉え方で制作が進められていました。難しいモチーフですが、どの位置から見ても破綻がなく、良く奴隷の印象を拾えています。

ここからは現役生の作品です。


カッコ良い1枚だなと思います。ずっと見ていられる魅力が詰まっているデッサンです。円盤の持つ独特の形を余すところなく探り、描き起こせており、素晴らしい観察力と表現力だなと感じます。


このブルータスのデッサンも、とても上手です。肩の形も爽やかな色味の中にここまで追えるのかと感じる形態の強さがあり、胸の奥行きもしっかり面の中に描き込まれていますし顔の印象も似ています。現役生の集中力の高さを感じます。


ジョルジョの竜を睨み据える表情、両肩をしっかリ探り、そこからでる独特の首の構造も素直に追えており、作者の彫刻を観察していく実力を感じます。
個人的には爽やかな空気を感じさせてもらえる質感が好きな1枚です。

今回は以上です。
デッサンや塑像は、自分自身が色濃く反映される、まさに分身の様な物だと感じます。
2学期も残り1ヶ月半。冬期講習が始まると時間が早く感じられると思います。
今のうちにどれだけじっくり課題や自分と向き合うことができるのかが、後半戦の鍵になってくると思います。
また、寒くなってくると体調も崩しやすくなってきますので、気を付けていきましょう。

彫刻科 11/1(日)公開コンクール。10月前半の秀作。

こんにちは!彫刻科の小川原です。あっという間に公開コンクールの季節がやってきましたね!今の時期普段と違う状況で自分がどれだけ実力を出せるのか、検証する絶好の機会です。本気で芸大を目指す皆さんの参加をお待ちしています!
参考までに去年の公開コンクールの上位作品をのせておきます。

さて、10月に入ってそれぞれの実力も高まってきているのを感じます。毎回いい預かり作品を出してくれるのが頼もしいです!それでは秀作の一部を紹介します!

夜間部生の作品


ジョルジョは本当に難しいですが、自然に印象を捉えつつ、かっちり言い切っていますね!安定感が素晴らしいです!

昼間部生の作品


自然に空間が表現できています。武装する女神も奴隷も顔の印象が良いことで好印象を与えています!


馬頭が手前に飛び出してくるような迫力で描けています。臨場感が素晴らしいですね!


カタかった描写がとても自然になりました。雑味が消えたことで画面の良さだけが感じ取れます。


光の印象が美しいですね。「光」そのものの存在を感じ取ることができます。


ちょっと右側をあけすぎかなとも思いましたが、ここまでやりきるとそれも一つの空間表現として見えてきますね。


魅力的な描写です。ヘルメス背面の空洞の部分なんか結構難しいですがとてもよく表現できています。


3つのモチーフの空間的関係性がよく伝わってきます。光の印象も良いですね!


本人のデッサン の性質上こういった組み石膏は苦手かなとも思いましたがかなり良くかけています。アリアスの髪の表現も良いですね!


この位置ならではの張りの形がよく表現できています。意図的に画面を構築していけないとこうはいきません。

毎年開催されている全科合同の「自分」をテーマにしたコンクール上位作品です。


描写が魅力的です。ピアスやシャツの柄など、とても繊細に描けています。同時に堂々とした構図選びもよかったです。


光を上手く使ってかっちりと表現をやり切っています!生き生きとした表情もまた魅力的です。


髪の表現にこだわって仕上げられました。肌や服との質感の差も魅力的な作品です。


意志のある眼だと思います。自画像や自刻像ではただ形を写しとるということを超えて、人物が「そこにいる」という気配そのものを表現することも重要です。


たくさんの探りの積み重ねによって完成された作品です。人としての自然さがそのまま魅力になっていると思います。

昼間部生の構成課題です。


両手とマスクの関係が美しいですね!手のリアリティも冴えています。マスクも似てる!


あまり見たことのない構成のパターンが新鮮でした。形の説得力も高いです。


オーソドックスですが接点など細部までこだわれていて良いです。そういうところをしっかり徹底していくことが大事です。

夜間部生の構成作品です。


幾何形態のかっちり具合が素晴らしいです!指との関係も良いですね!完成度だけでなく、表現として見ていて気持ち良いです!


円筒形を作るのは難しかったとおもますが、しっかり作り切れています。手のリアルな存在感もとても良いです!


手のポーズ(幾何形態の触れ方)がとてもセンスよく決まっています!こういう感覚は表現を学ぶものとして重要です!

昼間部生の作品


今の実力を存分に出し切った作品です!いいですね。気合が入ってる。次の一枚はこれを超えていけるようにがんばりましょう!

さて、どうだったでしょうか?今ある実力もなかなか良いですが、これからもっと高いレベルを目指し、安定させていきましょう!冬季講習、入試直前に向けて、目標を持ってやるべきことを一つ一つこなしていこう!!

小川原

 

 

彫刻科 近況

彫刻科講師の氷室です。
2学期は自分の殻を破っていきたい時期ですね。守りに入らず積極的に自分の課題に対して変革を求めていって欲しいです。
自分で見えていない点が掴める瞬間が出てくるのも、この2学期かもしれません。
ここでの踏ん張りが大事な時ですね。

予備校だけでの最高点ではなく、大学へ行っても通用する見方を養って行く!くらいの実力を目指していっても良いと思います!
全てはそのための通過点です。

ここからは、最近の秀作を紹介します。


熱いデッサンですね!!見上げている体の量感がかっこいいですね。特に肩周りの表現が上手です。もう少しだけ後頭部と表情も詰められたら、完成度が上がったと思います。


色味が魅せる空間が綺麗で、目を引く1枚ですね。ジョルジョの大きな立体感を豊かに捉えられています。体は特に上手です。向かって左の頬骨の奥行きが出せるとなお良かったですね。


こちらも熱量を感じる強い1枚です。体の中身の形まで感じますし、良く考えられていて触れる様な密度があります。鼻の形がもう一歩惜しいですが、ここまで追い上げていくエネルギーが魅力につながっています。


難しい位置ですが、見上げた視点から肩に抜けていくスケール感が好印象です。前頭葉周りの描写をもう一歩詰められると、さらに印象が良くなったとお思います。


少し頭部の印象が横に広いですが、木炭の色味の幅が広く、炭の扱いがとても美しいなと感じます。離れていてもダントツこの美しさが目立ちます。デッサンの醍醐味を得ていますね。


逆光側で顔の形の表現が難しい位置ですが、印象や動きがパジャントらしいなと感じます。らしさを引出せることは客観的に絵を判断できている証拠だと思います。


手前の洋服の布がカッコよく描けており存在感があります。鼻周りの印象が惜しいですが、頬周りの描写にはさりげなく密度を感じさている点や抜けのなさには、作者の実力を感じます。


形も印象も良く捉えられており強いデッサンです。目を引きますね。黒がや似ているので全光側の爽やかな印象につながれば最強だと思います。


印象もよく強さもありながら、空間や視点、特有の形態感も全てを掴まえにいけています。魅力的なデッサンですね。ここまで描けると楽しそうです。


見上げているスケール感、炭のライブ感が好印象です。もう一歩手前の腕の形に臨場感があれば文句なしです。


こちらは現役生のデッサンです。目の印象が惜しいですが、ヘルメスらしい形の起伏を力強く表現できています。視点も感じますし、この調子です!


こちらは現役生のクロッキーです。空間、視点、形の成り立ち、バランス、輪郭を瞬間的に感じ、1枚に取り込めています!上手ですね。


バッチっと仕上げてきましたね、上手いです!! この調子で行きましょう!!


ジョルジョの表情、髪の毛の印象を上手く自分に取り込み、表現できています!胸鎖乳突筋、頬骨周りも、影で形が見えてくると最高です。


やや目の位置が高くも見えますが、それを超えて粘り強く追えています。全体的に抜けが少なく仕上げてこられるのも実力ですね!


まだ荒い部分もありますが、目の印象や構造の組み立て方が上手で、完成はしていなくても目を引きます!こう言う彫刻として追いかけたい動きの捉え方はさすがですね!


少し大きくて傾きが惜しい点もありましたが、形態感が強くて目立ちます!印象も似ています。引き続き今回の様に、やり切っていく楽しみを感じていって下さい!

今回は以上です。
今、みんな伸びてきているので、入直へ向けて安定した力にしていって下さい!

彫刻科 2学期スタート。

こんにちは!彫刻科の小川原です。熱い夏期講習が終わり、2学期に突入しました!実力もついてきて、盛り上がっていますね!

さて、2学期はコンクールイベントが目白押しです!気合入れて挑んでいきましょう!
というわけでお知らせです。9/20(日)に全科合同石膏デッサンコンクールを開催します。8時間制作で、科の域を超えて現時点での石膏デッサン王を決定します!内部生、外部生問わず、意識の高い学生の皆様の参加をお待ちしています!
ちなみに昨年度の1位の作品です!昨年度は2日制作(12時間でしたが、彼は1日描きでした。恐ろしい完成度です)

その時の僕のデモスト。今年も参加します!今年はデザイン科講師の山本先生と一緒にデモストとデッサン解説を行います!

さてそれでは彫刻科の優秀作品(冬季講習後半〜現在まで)の作品紹介をしていきたいと思います。
ジョルジョ模刻
ジョルジョは顔のニュアンスまで似せていくのが難しいですが、よく捉えられています!


3次元的に動きがよく見れていますね!彫刻的に重要な点が理解できていると思います。

マルストルソ

光から陰への移り変わりを、形の起伏(もちろん断面のボリュームも)をよく感じて表現できています!


特に背中やお尻の力強い量感の表現が良いですね!

グデア
素晴らしい精度です!形の説得力を出した上でターバン表面のレリーフも作りきっています!


グデア特有の緊張感のある詰まった形態感の特徴がよく出せています。

ジョルジョ(木炭紙でのクロッキー)

この段階でジョルジョを捉えるビジョンが見えています。手を動かす感覚をジョルジョに合わせてこれていますね!

ジョセフ


これだけ大きなモチーフで関係性を狂わせず、コントロールする力は素晴らしいと思います!そっくりですね!

円盤投げ(3時間)

自然に印象が捉えられていますね!動きや力の入り具合もよく捉えられています。

アムール

全身をイメージしながら作ることが大事だと思います。この作品は体の動きも感じさせてくれます!

メディチ(クロッキー)

目的を持ってクロッキーができていますね!どんな表現であれ、どんな描画材を使っても、こんなふうにかっこいい作品を目指して欲しいです!

以上です!それぞれ自分のリズムが掴めてきていると思います!この調子で頑張りましょう!

彫刻科 夏期講習

彫刻科講師の氷室です。
舟越保武さんの『まなざしの向こうに』と言う作品集の中で、ご子息であられる彫刻家の舟越桂さんが、この様な言葉で保武さんの彫刻を表現されていました。

「制作中」の父が最も心がけていたのは、立体としての強さや、確かさのようなものだったと思う。
空間に、あるいは空気圧に敗けない形になっているか。
囲んでいる空気圧を押し返す強さを内包しているか?
そういう作業をつづけた後に、何が現れてくるのかをチェックしていたのだと思う。
強い土台がなければ美しさは遠くまで伝わっていかないのだと思う。

まさにみなさんが、特に模刻や首像で求めていっている闘いの延長の1つが、ここに有るのではないでしょうか。
彫刻という言葉を自分なりに分解して考えてみる どんな魅力があるのかどんな憧れがうまれるのか
課題の中で動いていくだけでなく、こういう自問自答も大事だなと思います。

さてここからは、最近の優秀作品の紹介です。

外国人のモデルさんの首像です。

上手です!似ていますし、表現としてもやり切った感がありますね。


モデルさんにそっくりです。ドレッドヘアーの表現も素晴らしいですね。


モデルさんにそっくりです。骨格も意識しながらしっかり作りこんであり秀作だと思います!


形をしっかり面で押さえながら、奴隷の持つ美しい張りと流れをピタッと追えており、模刻のプロセスとして、とても良いイメージで制作が出来ています。


台座から立ち上がってくる鳩ならではの軽やかさとともに、形態感もしっかり捉えられており上手です。地面と足の間にある空間の魅せ方が素晴らしく効いています!


こちらもシュッと伸びた瞬間の鳩の動きを、360度違和感なく表現てきていました。小さいので繊細な判断が求められますが、冷静なコントロール力が発揮された作品です。


バランスをとることが難しいモチーフですが、バランスが綺麗に取れており、かつ鳩らしい毛の表現力が色々な形で入っており魅力的です。


回り込みにやや硬さもありますが、ラオコーンらしいズバッとした形の言い切りと厚みに対する表現力が、かっこよい1枚です。


組石膏で気にしたい最大のポイントとなる、モチーフ間の空気と作者の視点がきちんと描けています。台座と牛骨の接点や角の持つ緊張感が綺麗ですね。

夏期講習第1回目のコンクールは円盤のデッサンでした。
同率で2枚のデッサンが1位を獲得しました!おめでとうございます。


円盤の知っておきたいポイントを網羅しているデッサンです。特に背面側の回り込みの観察と表現が効いており、円盤の持つ捻じれが自然と描けているのが良いですね。


難しい位置ですが、倒れずにしっかり形を取れていることに実力を感じます。きちんと背中も見えてきますね。形1つ1つの探りと掘り起し方がとても上手で、円盤の動きを良く捉えています。

ここからは現役生の作品です!現役生も上手です。


難しいモチーフですが顔の印象がとても似ています。光に対しての炭のコントロールが上手で、1つ1つの形に濃いリアリティがあります。レベルの高い1枚です。


逆光側は難しいですが、大きなベースを維持しながらしっかり形を描き込めていることに実力を感じます。立脚の力強い探り、顔の厚みの表現力も素晴らしいです。


現役生で鳩をここまで捉えてくる観察力は素晴らしいです。360度回して観ても破綻が無く、まるで鳩がそこに生きている様な、そのまま動きそうな自然さで、骨格やバランス、表現力がまとまっていました。

さすが夏期講習!良い実技がたくさん出ています。
明確になってきた自分の課題に、さらにもう1歩踏み込んで残りの講習会を走りきりましょう!
水分補給はマメに。体調にはくれぐれも気をつけて無理はしない様に。

氷室