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モチーフの配置の仕方(卓上デッサン)について(デザイン工芸・初級の知識):渋谷校

こんにちは渋谷校です。みなさん元気に過ごしていますか?

自宅課題で静物とか大掛かりなモチーフを自宅に組むのは難しいのですが、
机上にモチーフをセッティングする卓上デッサンなら気軽に制作できます。
ただし、描くのは良いがどういうふうに配置したら良いか?
初心者だとよくわからないという人は多いと思います。

ということで、今回は卓上デッサンを制作、モチーフを配置する上で重要なポイントを解説します。

まずは目次
1.モチーフの見せ方など
2.モチーフの構成のコツ

今回はこれだけ
では、本編です。

1.モチーフの見せ方など


◯箱型のモチーフは必ず3面見えるようにするべし。側面が見えないと奥行きやモチーフの特徴が説明しづらくなります。

 


◯細長いモチーフは斜めに配置すべし。画面に入れたときの動きも垂直ではなく斜めにしたほうがよく見えやすいです。

 

◯布などの平らな形状のモチーフはそのまま惹かずに、折り目をつけたり他のモチーフにかけたりすべし。立体的に形を作った方が描きやすく、色幅も増え、質感なども表現しやすくなります。

 

 

 

2.モチーフの構成のコツ


◯一つだけ背が高いモチーフがある場合、そのまま描く場合は画面の一番手前に配置すべし。高さのあるモチーフが小さくなってしまうことで、他のモチーフも相対的に小さくなり、寂しい画面構成におちいってしまいます。

 


◯近景、中景、遠景(手前、中間、奥)といったように空間的に配置、またそれぞれの配置に動きをつくるべし。また、画面の右上、左上などモチーフが配置されず、寂しくならないように配置することは大事です。

 


◯モチーフの傾きを揃えないように配置すべし。モチーフの傾きが似ていたり、3個以上のみチーフが同じ直線状に並ぶと画面の動きが減りつまらなくなるためです。

 

◯見せ場を作るべし。描き込めるモチーフを手前に持ってきて頑張ると評価が高くなるのです。

 

 

 

また、モチーフの配置でもう一つ大事なことは、悩まずにさっさと構図を決めて描き出すということも大事です。実際に手を入れる時間を増やすことは大事ですが、皆が出来ているとは限らないです。意識して制作時間を増やしていくのは良いことだと思います。
卓上デッサンなどのモチーフの配置に関してはこの様にコツがあると思います。これらに気をつけて制作する意識が持てれば良い作品になりやすいと思います。またこれらは構成デッサンや平面構成にもあてはまることはあると思います。
ただし、本当にデッサン力をつけるにはコツではなく、結局は自分の観察と表現に対しての研究と努力が必要になります。引き続き自宅での制作を続けましょう。

 

 

これであなたは卓上デッサンの時にモチーフの配置で悩まなくなることでしょう。では渋谷校でお会いしましょう。初心者から丁寧にしっかり指導しますよ。

さて、お役に立てたでしょうか。また、なにか上げて欲しい題材がありましたら渋谷校までリクエストください。出来る範囲で掲載していけたらと思います。

初心者向けの平面(幾何構成)について(デザイン工芸・初級の知識):渋谷校

こんにちは渋谷校です。

最初のうちの課題で、よく幾何構成ってやらされますよね?
でもこういう状況で初心者には何を目的にやるかわからないという人は多いと思います。

ま、道具の使い方を経験するだけでもためにはなるのですが、
目標や課題の意図を知って制作するともっと役に立つのと思おうのです。

そこで今回は幾何構成のポイントについて、ごく簡単にですが解説します。

まずは目次
1.幾何構成とは
2.構図について
3.粗密
4.対比
5.透明表現

では、本編です。

1.幾何構成とは
幾何構成とは、例えば課題:
①平面構成
生円、正三角形、長方形、直線、自由曲線を自由に配置し美しい色彩構成をしなさい。
【条件】
◯各構成要素は使用する数、大きさは自由とする。
◯画面サイズは縦30cm×横40cm横位置とする。
◯質問があれば連絡してください。
とかよく言っています。

このように幾何形体(丸や三角形、直線など)を配置してその中を塗る平面課題の種類です。
ネットで「幾何構成」と画像検索して確かめてください。

基本的には各図形は重なったら透ける。
直線は画面の端から端まで通った一本のまっすぐの線で巾のない境界線のことです。
自由曲線は角のないなめらかな曲線のことです。
画面から形は、はみ出しても良いですが、元の形が感じられるように入れることが大事です。

 

2.構図について

構図に関しては、大きく入れる。画面の上下左右にモチーフがあり、余白が大きく残らないようにする。
画面に対しての大きさだけではなく、モチーフを入れてできる余白に気を使うことが大事です。

 

3.粗密

モチーフの形や、並び方、密度が単純だとつまらなく見えてしまうので、配置する時に粗密などに注意しながら構成するほうが良いとされています。
対称や平行など、動きの少ない構成にならないほうが良いでしょう。基本的につまらないとは単純、面白いのは複雑ぐらいの感じで考えましょう。

 

4.対比

色を配置する時に同じような対比ではなく、いろいろな対比を作ったほうが簡単に見えないので良いです。
図のようにいろいろな対比の種類を画面上に作ったほうが複雑に見えて良いです。

 

5.透明表現

形体が重なった時に透けるのですが、その時に色面の色を変えるだけではなく透明表現をすることも大事です。この後の平面などで使用する表現にもなりますので、幾何構成を制作するついでに出来るように練習しましょう。
透明感の出し方の例ですが、この他にも色々方法はあるので実験してできるようにしましょう。

 

 

 

幾何構成自体は試験に出題されない受験校もいっぱいありますが、モチーフ構成でもイメージ構成でも必ずこれらの知識は役に立ちます。
ただし、構成の良さは平面をよく見せる要素なかで、いちばん重要なことではないので気をつけてください。テーマによっては平行に置くことが大事になる場合もあります。
ただし、平面を美しく見せる基本的な知識なので、自分のテーマが許す範囲で必ず考えるようにしましょう。
まずはエスキースで明度計画をしながら、しっかり良い作品が作れるようにしていきましょう。
エスキースの方法についてもおいおい解説するようにします。

これであなたは平面マスターに。では渋谷校でお会いしましょう。初心者から丁寧にしっかり指導しますよ。

さて、お役に立てたでしょうか。また、なにか上げて欲しい題材がありましたら渋谷校までリクエストください。出来る範囲で掲載していけたらと思います。

初心者向けの鉛筆デッサン道具について(デザイン工芸・初級の知識):渋谷校

こんにちは渋谷校です。

家庭での自宅学習こでれから本格的に鉛筆デッサンやってみようという時に、何買ったらいいのー?など困っている人いますよね。

とりあえず何でも良いから買いながらピッタリ来るものを選んでね、
ではいけないと思うので、渋谷校のデザイン科で最初に揃えてほしいのを説明します。渋谷校の購買でも買えます。

まずは目次
1.道具
2.鉛筆の削り方
3.ネリゴムの使い方
4.デッサンの用語

では、本編です。

1.道具
全部買うと5000円ぐらい1万円は持っていると安心です。
この他に道具を入れるケースも用意しましょう。何でも良いです。あと名前必ず書きましょう、皆同じ道具なので名前書かないと後悔します。

 

★パネル
芸大は(工芸科が木炭紙大、デザイン科はDサイズ)、私大の入試ではB3が多い。
鉛筆デッサンでは紙製のカルトンではなく木製のパネルを使用する方が良いです。
基礎科に入学して制作する場合は木炭紙大のパネルを買いましょう。

 

★鉛筆
ユニがおすすめ。
その他ステッドラー、カステル、スタビロ等。トンボ(モノ)はデッサンに向かない×嫌いです。
基本的にはユニを買う、4H,3H,2H,H,F,HB,B,2B,3B,4Bを全種類買いましょう。
減ってきたら買い足す。短い鉛筆なんていらない、いつも長い鉛筆を使いましょう。またステッドラーも買い足すと色幅が増えるので渋谷校ではステッドラーも足すことも勧めていますが、まずはユニから買うようにしましょう。見た目の色(エンジ色)はかっこ悪くて嫌なのですが、ステッドラーだけだと”デッサン弱いね”と言われてしまう可能性があります。

 

★紙
画用紙を使うことが多い。ざらざらした面が表。画用ボードを使うこともある。
色々種類はありますが、まずは安めのミューズ、サンフラワーA画です。
サイズは課題に合わせてB3サイズ、木炭紙大サイズなど買いましょう。
まちがえて裏面(ツルツルの方)で描くとテンション下がるので描く前に確認しましょう。

 

★練りゴム
デッサンの時は、プラスティック消しゴムではなく、練りゴムを使う。
デッサン中にコネコネして癒しを求める道具ではない。

 

★デスケル(計測枠)
構図を決める時に使う。使用する用紙のサイズに合わせてBサイズ用と木炭紙サイズ用がある。間違えないように。
2種類買うぐらいで良いと思います。

 

☆はかり棒(スポーク)
長さの比率や、角度をはかる。無くてもよいが。
カーボンで出来た高級品もある。カンパの6本で3000円ぐらいのもかっこいいです。

 

★フキサティーフ
完成後、シューッと吹きかけて鉛筆を画面に定着させる。
フィキサチーフ?フキサティーフ?どっちでも良いと思う。

 

★クロッキー帳
デッサンの前のスケッチ等に使用。構図を決めるので必要です。木炭紙サイズとB4ぐらいの大きさと2つあって良いです。

 

★クリップ、画鋲
パネルに画用紙を留めるのに使用。困ったら画鋲。画鋲は斜めに刺しましょう。そうすると針と画鋲の円盤の部分の2箇所で止まるので、紙がズレにくいし、外す時に楽です。まっすぐ刺して使う人は紙がずれたり、画鋲を外す時に苦労してしまいます。

 

★カッター
鉛筆を削る。鉛筆削り専用に1本。100均などのはダメ、NTカッターかオルファカッターの2択でお願いします。
私はNTのカラフルカッター使用しています。

 

☆ボックスティッシュ
鉛筆の調子をこするのに使用。花粉症用の良いやつじゃなくて普通ので良い。自宅からこっそり持ってきてしまうのが一番良い。

 

☆擦筆
鉛筆の調子をこする道具。はじめは無くてもよい。

 

★絶対にいる ☆無くてもイケる

 

2.鉛筆の削り方

鉛筆はカッターで削る。写真のように芯、軸共に細長く削り先は尖らせる。

鉛筆削り機は×

こんな感じで削るのですが、説明はすごーく面倒くさいので、これ見て。

You Tubeのリンクです。

※おまけ鉛筆の固さによる色の違い

これで分かるかな?数字が大きくなればなるほどB系は柔らかく黒く、H系は固く鈍く明るく。
HはハードBはブラック、FはFirmという単語でした。

3.ネリゴムの使い方


まず袋から取り出し、必要な分ちぎり良く練って柔らかくして使う。
練りゴムは消すだけではなく、鉛筆の調子を調整する使い方など様々な使い方があります。白い紙の鉛筆があると思ってまず自由に使ってみましょう。

 

4.デッサンの用語
この用語集は渋谷校での指導によく使う言葉ですが、学校や受ける科によっては使い方の違う場合もあります
ので、気を付けて見て下さい。

● クロッキー(スケッチ)- モチーフの動き・量感、光などを、短い時間でおおまかに描くこと。速写。
● 構図- 仕上がりの効果を配慮した画面の構成。コンポジション。画面上へのモチーフの配置や入れ方。
● 調子- 鉛筆の色の濃淡(明度、彩度)の具合
● タッチ- 鉛筆が画面に付ける跡。立てたり寝かせたり、強弱様々に鉛筆の使い方によってタッチに差が出せる。
● 立体感(量感)- 平面的でなく、奥行き・深さ・厚みなどがある感じ。表現された対象物の実在感・立体感などをいう。ボリューム。
● 質感- 材質がもつ、視覚的・触覚的な感じ。表面の肌合い。材質(木、金属、プラスチック、紙、ガラス等)
● 空間- 平面ではないあらゆる方向(上下、左右、前後)への広がり。また、物体が存在しないで空いている所。
● 稜線- モチーフの一番出ている(高い)ところを繋いだ線。大きな面と面のぶつかる境界。光と陰との境目。
● 反射光- 入射光(直接光)が床やモチーフに反射して、モチーフの陰面などにあたる光。
● 描き込み(かきこみ)- モチーフの表情、現象、細かい形をしっかり描くこと。
● あたり- 最初に構図の入り方、だいたいの形が分かるように、おおまかな輪郭を取ること。
● パース- 透視図のこと。奥に向かってだんだん物が小さく見えていくこと。
● エッジ(きわ)- 面の境目。また、物の端
● アール(R)- 半径を表す記号。曲線の形
● モチーフ- 創作の動機となった主要な題材。制作するために組まれたり手渡された対象物。
● ディテール- 全体の中の細かい部分。細部。
● プロポーション- 割合。モチーフの形の比例。
● 逆光- 対象物(モチーフ)の背後からさす光。(←→順光、全光)

 

 

 

これであなたは道具を買うのに迷わなくなります。では渋谷校でお会いしましょう。初心者から丁寧にしっかり指導しますよ。

また道具を買って自分で始めようと思う人向けに超初心者向けの鉛筆デッサンプロセスのブログ書いておきました。
ここで見られます。参考にしてください。
https://www.art-shinbi.com/blog/2020/04/18/

さて、お役に立てたでしょうか。また、なにか上げて欲しい題材がありましたら渋谷校までリクエストください。出来る範囲で掲載していけたらと思います。

絵の具の固さ(デザイン工芸・初級の知識):渋谷校

こんにちは渋谷校です。

家庭での自宅学習これから平面制作などの際、
色々わからないなどという人はいますよね?

絵の具を塗るときの絵の具の固さ、どのぐらいがちょうどよいのかわからないと悩んでいる人はいませんか?
また、塗りが汚い、ムラムラに塗れてしまうなど仕事の質が気になって日頃から睡眠不足に陥ってしまう受験生は多いと思います。
そこで今回は絵の具について、特に絵の具の薄め方、固さや混色時の知識についてお話しします。

まずは目次
●絵の具をませるときの固さはどのぐらい?
●絵の具を混ぜる時に必要な道具
●絵の具の混ぜ方!
●混色は何故するのか?
●おまけ:彩度を下げる混色の方法

では、本編です。

●絵の具をませるときの固さはどのぐらい?

はっきり言います。どんな絵を描くのか、また絵の具の種類と色によって違うので一概には教えられません…

では話にならないので少し絞ってお話します、今回はベタ塗りのときのコツに絞ってお伝えします。平面構成もはじめのうちはベタ塗りの平面の制作から入ることも多いと思いますし、私立の入試などでは色面の塗りの美しさが大事なのでベタ塗りの場合にこだわって話します。

平面でベタ塗りをする際に絵の具が固すぎると凸凹したりガサガサしたり、逆に薄すぎると透けてしまってムラになるなど、それでも色によって多少は固さは変わるのですが、失敗しない大体の固さを教えます。
固さは柔らかすぎず、薄すすぎず。ズバリ、ケチャップぐらい(ソースと言う人もいますが)

ケチャップの固さが近いと思います。(写真のケチャップだいぶ中身減っていますね)。
固さの目安は絵皿に溶いた絵の具を入れ、自分の頭の上に持っていって、絵皿を一瞬裏返しに出来るぐらいの固さ。
薄すぎると頭に絵の具がかかってしまい危険すぎ、固すぎると全然危険な感じもしない固さではなく、ちょっと危険を感じるぐらいの固さです。分かるかな?

・また面相などでラインを引くときは面を塗るときよりも水が多いほうが良い。
・白場に薄い色を塗るときは水が多めでも大丈夫な事が多い。
・塗りムラになりやすい色は少し固めにする。
など状況によって変わるので、そのあたりは無責任な言い方ですが経験して覚えましょう。
さらにきれいに塗るには絵の具をケチらず多めに作りましょう。使用する量の倍ぐらい作ると綺麗に仕上がります。この作る絵の具の量も大事なポイントです。少ない絵の具を一生懸命塗ろうとしたり、足りなくなりそうになって水で薄めて量を増やそうとする行為が塗りの汚さに繋がります。ケチは平面の質を下げます、考え方を変えればお金をかければ試験での点数がもらえるという簡単な方法と思って試してみましょう。
まずは、経験です、次の章は道具についてです。

●絵の具を混ぜる時に必要な道具

まず絵の具、これは説明いらないですね。

ちなみにアクリル絵具には透明絵具と不透明絵具の2種類があります。受験で多く使用されているのは不透明絵具の方でアクリルガッシュなどと呼ばれるものです。ガッシュ(Gouache)と表記されているものを選びましょう。
ただし、アクリルではなく樹脂などを使用したガッシュ(ポスターカラーのようなもの)などもあるので間違わないようにしましょう。またこの2種は混ぜて使用しないほうが良いです。
透明絵具にはリキテックス(リキテックスにもガッシュの種類もあります)やホルベインのアクリラ(ガッシュと書いていないもの)などがあります。芸大系の平面などには使用してみる方法もあります。これらはアクリルガッシュとは混ぜて使用することも可能ですが基本混ぜずに使いましょう。



描いている途中に面倒で面相筆や丸筆で混ぜたりしていませんか?効率的に混ぜるにはこの様な筆先が平らな平筆がベストです。絵具の量などで太さを使い分けましょう。傷んで使用しなくなった筆でもある程度は使えます。
平筆が嫌ならば指で混ぜましょう。アクリルガッシュもないポスターカラー時代の昔の人は指で混ぜていました、筆だと気泡が出るので良くないのだそうです。でも現代の受験生はきちんと平筆を使用しましょう。

絵皿

絵皿はまず大きいものじゃなくて良いので、同じ大きさのものを数多く揃えましょう。直径7cm程度のもので良いです。白い陶器製のものを選びましょう。白色という理由は混色時に色が確認しやすいからです。家から持ってきた醤油皿のようなもので代用してはいけません。プラスチック製のものもだめです。プラスチックは軽い点はメリットですが、段々汚れて色を確認しにくくくなるという点がまるでダメです。
枚数が足りないとその都度、絵皿を洗いに行く行為が発生してタイムロスになるので30枚かそれ以上は揃えましょう。またグラデーションで色数を増やしたい時のために菊皿、下地用でいっぱい絵の具を作りたい時は大きめの絵皿など用途に合わせてバージョンアップするのも良いでしょう。

少量の絵具を混ぜる場合にはこのようなペーパーパレットを使用しても良いでしょう。

水差し

絵の具を薄めるための水を補給するための道具です。つる首ボトルなどとも呼ばれています。
よく筆洗の水を使って薄める人を見かけます。筆を洗った筆洗の水は汚れているので筆洗の水を使用して混色すると無駄な色が混ざり発色が悪くなります。そのようなことにも気をつかえない受験生の絵は講評時大体下段に下がってしまいます。気をつけましょう。
このようなものであればそれほどこだわりはありません。きれいな水が必要な量供給しやすい陽気であればよいです。つる首の根元の色は自分の好きな色を選択しましょう。

ケチャップ

これは絵を描くときには使用しません。先程の固さの説明で使用した写真です。

●絵の具の混ぜ方
絵皿に必要な量の絵の具と、ちょうどよい分量の水を入れ平筆でグルグル混ぜます。

必ず一つの皿で1色。全て混ぜる。隅っこに混ざっていない絵の具や、水で溶いていない固さの違う絵の具が残らないように心を込めて丁寧に溶きましょう。
渋谷校では混ぜている最中に絵具をこぼし机を汚したまま帰宅することは許していません。汚した場合はきれいに机を拭いて帰りましょう。

●混色は何故するのか?
人はなぜ混色をするのか?それは欲しい色を作るためです。
もちろんチューブのままの色を使用することもあります。ただ普通の受験生は大体ターナーのアクリルガッシュを使っています。なのでそのままの色を使ってばかりいると他の受験生と構成の色が似てしまい個性が感じにくくなります。微妙な色相の色で制作したほうが個性的に見えやすいということもあります。また平面構成では彩度対比を使用した色彩計画というのもあり、例えば高彩度の色のそばに低彩度の色を添えて色彩構成すると、高彩度の色の発色が単色で使用したときよりも冴えてみせることも出来ます(言っていることが難しくて説明変ですね)。ですから色の対比を利用して同じ絵の具を使用している他の受験生よりも色が冴えた画面づくりが出来るという、これは混色で自由に色を作るということと、色彩の知識や経験、少しのセンスが必要になります。このようなことを意識して色彩計画をやっていきたいですね。
このあたりの説明はブログ程度で簡単に出来るはずはないので渋谷校に説明を聞きに来てください。

●おまけ:彩度を下げる混色の方法
初心者で混色時に彩度を下げる方法がよくわからないな?などという受験生はいませんか?
渋谷校では、こういう時期なので今は添削授業やオンライン授業などを行っています。そこで同じような質問をした生徒に対して資料を作ったので、おまけで彩度を下げる方法の解説もしてみたいと思います。

1)無彩色を混ぜて彩度を落とす

無彩色(黒、白、グレー)を混ぜれば彩度が落ちます。これはわかりやすいですよね。同明度のグレーを混ぜない場合は明度も変化します。ニュートラルなグレーを混ぜれば色相は変化しません。

2)有彩色を混ぜて彩度を落とす

有彩色同士を混色して彩度を落とすには、まずは色の3原色の説明からです。色材の3原色はこの場合(赤・黄・青)が3原色になります。レッド・シアン・マゼンタなどとカタカナを使って説明する人がいますが、カタカナの色はどちらかというと印刷やカラーインクなどの色材の場合に当てはまります。これらは染料の区分ですね。
アクリルガッシュなどは染料ではなく顔料系の色材なのでどちらかというと感覚的に普通の赤・黄・青というように考えたほうがわかりやすいかと思います。この3原色を混ぜると黒になるという理屈は知っていますよね。有彩色の混色では、この法則を利用して混色を意識すればよいのです。
つまり3原色が混ざる混色、なるべく色相環のなかで位置の遠い色(補色や反対色)どうしを混色すると勝手に彩度は下がってくれます。
反対に彩度を落としたくない場合は、色相環で距離感の近いものを混色すれば彩度が下がりにくいのです。例えば赤と黄色の混色や、オレンジと黄色などの混色であれば、青色が混ざってこないので彩度は落ちにくい混色となります(理屈上の話なので実際の絵具では彩度が落ちる場合ももあります)。ただし、気をつけてほしいのが近い色相でも例えば青よりの紫(赤と青がある)と青緑(青と黄がある)の混色では3原色が混ざってしまうので彩度が落ちます。このようにまずは色の理論をしっかり勉強することは大事だと思います。
デザイン科で色彩論を勉強したいのであればヨハネス・イッテンの色彩論などがとてもためになると思います。間違ってもゲーテの色彩論を手に取らないようにする注意は必要です。アリストテレスやシュタイナーの色彩論よりはマシですが。
また実際に理論を勉強しても実践が伴わないと受験やデザイナーを目指すの人であれば意味のない知識となってしまいますので、まずは絵具でどんどん実験していきましょう。日頃の平面構成などで失敗しても良いので実験していきましょう。

これで絵具混色マスターに近づくはずだと思います。
さて、お役に立てたでしょうか。また、なにか上げて欲しい題材がありましたら渋谷校までリクエストください。出来る範囲で掲載していけたらと思います。

水張りのやり方:渋谷校デザイン科基本技法シリーズ

こんにちは渋谷校です。

家庭での自宅学習これから平面構成を制作する時に、「水張りのやり方」がわからないという人はいませんか?
今回は水張りの方法を詳しく優しく丁寧に解説いたします。

●水張りとは?
水張りとはまず用紙に水を充分に染み込ませ紙をグンと伸ばします。
次に、その用紙が伸びた状態でテープを使用しパネルに貼ることです。
その時に使用するテープは水張りテープと呼ばれています。色によって接着の強さや紙の厚みが違います。初心者は白いテープは使用せず、黒色のテープ、最低でもクラフト色のテープを使用しましょう。白いテープは紙が薄く接着力が弱いので難しいと思います。またくすんだ緑やエンジ色みたいな色のテープはデザイン科にはカッコ悪いので使用しないほうが良いです。かわいい水玉やストライプの水張りテープがあったら良いですね。
水張り後に紙が乾くと紙が縮むので「ピッチリ」とパネルに貼れるので、平面構成などで水を使用して描くときには基本水張りを行って制作します。
ただし、入試のときは水張りせずに描くことがあったり(ムサビなどはペラペラのケント紙をそのままパネルの上において、紙をグニャグニャさせながら苦労して描きます)、
またボードを使用する(芸大やタマビ)こともありますが、ボードは高いので節約しましょう。普段の制作ではお金持ちでもない限り、ボードより安い画用紙やケント紙で水張りしたほうが良いと思います。
デッサンなどのときには特に水張りを行う必要はないです。バチッと貼りすぎるとパネルから紙が浮いて画面の場所によって描き味が変わったり、紙が引っ張られて画用紙の凹凸が伸びて描きにくくなったりします。

●水張りの方法


1.用紙、パネル、水の入ったバケツ、水張りテープ、ドーサ刷毛、乾いた布を用意しましょう。用紙はパネルより一回り大きい物を用意しましょう。あまりにも大きい場合は都合の良い大きさに切りましょう。


2.用紙の裏面全体にムラのないように水を塗ります。ムラが無いようにというのが重要です。
多めに水を塗った方が失敗は少ないです。


3.用紙が乾くのを待つ間に、テープの準備をします。
用紙の4辺分、少し長めに切っておきます。


4.用紙を裏返して中心を合わせます。用紙に水が十分に染み込んでから裏返しましょう。早すぎると用紙が反ったり、紙が伸び切っていないためうまくいきません。急がないで大丈夫。


※片面に水を塗るので、はじめは水を塗った面のみが伸びるので用紙が反っています。
水を塗っていない面にも水が染み込んで両面が伸び平らになるまでは、テープで貼るのは待ちましょう。
できれば一番伸び切った状態で貼ったほうが上手くいくので、乾き出すほんの少し前に貼るのが上手くいくポイントです。
また、水の量が少ないのも失敗する可能性が高いので多めに水を塗りましょう。


5.中心から用紙を軽く伸ばしながら空気を抜きます。用紙を汚さないように乾いたきれいな布を使います。
ここで一生懸命に紙を伸ばすように、ゴシゴシこするようにする人もいますが、そんなにやっても紙は伸びるはずは無いです。受験時の迷信の一つです。かえって汚したり紙の表面を傷つけるだけになるので、紙とパネルの間の空気を抜き平らにする程度で良いです。


6.水張りテープの糊の付いている面を刷毛で湿らせます。テープが紙につきやすい水の量を調節してください。


7.テープを貼ります。まず紙に接着させてからパネルに貼りつけます。


※テープを張っていく順番は様々です。
基本的に洋紙の場合(画用紙やケント紙)の場合は繊維の方向に伸びるので、繊維の伸びる辺の方から貼ると良いです。
洋紙は基本繊維をきれいに揃えて作るので繊維の方向が決まっています。繊維の方向は水を塗った時に紙が反る方向で確認できます。テープで貼る順番は図の1から4の順です。必ず対角に留めていきましょう。
和紙の場合は繊維を均一の方向に揃えて作らないので方向は不規則になります。但し受験では和紙は使用しないので問題なしです。


8.写真の様に角の部分はテープを折り込んでとめます。
画面の4隅は紙が浮きやすいので しっかり押さえてはります。
辺の部分もしっかり押さえてはりましょう。


9.最初に固定した辺の反対側を用紙を伸ばしながらはり、次に残りの2辺を固定します。対角に貼っていくのを間違えないようにしましょう。


10.完成です。
若干しわがあっても、乾けばきれいに仕上がります。
平らにして日陰に干しましょう。
平面制作のときは、まず水張りをして乾くのを待つ間にエスキースをしましょう。

また、水張りの方法などに限らずですが、やり方は人によって違うので自分にあった上手くいく方法を見つけていってください。今まで私が目撃した衝撃的な水張りの方法は、野外スケッチの際に用紙を近くのきれいな小川にドボンと入れて紙を濡らして水張りした日本画の大家の先生がいました。それも素晴らしい方法だと思います。

●パネルからの外し方


V字型の赤い点線のようにカッターで刃が入る隙間を作りましょう。
カッターを使う時は自分や他の人に怪我をさせないように気をつけて作業してください。


この様に隙間ができるので、ここから用紙とパネルの表面との間にカッターの刃を入れましょう。


ここから一周カッターでぐるりと切り離します。カッターの刃の角度は、この様に鋭角的に刃を使用したほうが切れやすいです。
紙の断面に対して刃の当たる面積が多い様に使用します。


カッターで一周すれば作品がパネルからはらっと切り離せます。
パネルに残った水張りテープは外しておくと良いでしょう。
ま、でも少しぐらい残っていても問題ないです。
パネルの角にいっぱいに重なった水張りテープがいつの日か「バリッ」と剥がれるのが、カサブタが剥がれたときのように気持ちよかったりもします。


作品の端に残った三角形の思い出はきれいに切り離しましょう。そして作品は大事にしまっておきましょう。
この三角形を残さないように、角の折り目からカッターを入れるという素晴らしい方法もあるのですが、説明が面倒なのでここではしません。
知りたい人は渋谷校で教えることが出来ますので、是非渋谷校に入学してください。

水張り一つとっても、紙の特徴や道具の使い方をしっかり理解して行うときれいにできます。作業はなんとなくやるのではなく方法や効率、素材を理解して行うことが重要です。特にデザイン科は無駄なく効率的に美しく制作することも才能のひとつです。受験生の皆さん頑張ってやっていきましょう。

渋谷校でした。