カテゴリー別アーカイブ: 油絵科

裏か?表か?

のど風邪を引いてしまって、気管支喘息ぎみの油絵科 箱岩です。

風邪と言えば、自分が受験時代通っていたK美術研究所では、風邪を引いてもなかなか簡単に休めるムードが無くて、40度の高熱でも一旦塾に行って先生の許可をもらわないと休めませんでした。クラスのペースに置き去りにされないよう必死だった記憶があります。ある意味でスーパー熱血指導&スパルタ指導でしたね。あまりに辛くて、帰りに数人のお友達と先生の悪口を言ったものです(笑)。今となっては懐かしい思い出です。

新宿美術学院油絵科では、電話一本して頂ければ休んでもかまいませんし、課題に遅れてしまったり、仕上がらなかった作品だって丁寧に指導しています。無理はしなくても着実に自分の実力を伸ばせて、ありがち無個性にならない様に丁寧にひとりひとりと向き合う指導を目指しています。頑張る子もマイペースな子も個性の弱い子だってしっかり指導します。この指導の質へのこだわりは、当時の自分が受けた指導の反動でしょうか。おっと、つい愚痴ってしまいました。

この時期の風邪は、地味にしつこくて嫌ですよね。皆さんも1学期残りわずか、体調に気をつけて今やれることを精一杯頑張りましょう!

 

さて、先日私が書いた「裏美術」の記事は読んで頂けましたか?「裏美術」とは何か?ということ自体も明快な定義付けが無い状態からのスタートですので、先ずは其処から始めようということで、各クラスの先生達にご協力いただき告知した通り、作品の募集をしてみました。

まだまだ参加者が少なく作品数が数ない状態です。これではまだ定義付けができる程ではないようですので、引き続き募集をしたいと思います。

興味のある人は、ふるってご参加ください。

作品投函ポストは仮設置状態ですが、講師室界隈にございます。

まだ見つけていない人には、ヒントを差し上げましょう。目印はこのマーク。

裏美術ロゴ(仮)

 

「裏美術」だけに分かりにくく隠れていますので、楽しく探して頂ければと思います。

 

さて、新美の1学期も来週で終わります。制作を最後まで頑張ることも大切ですが、荷物や作品の持ち帰りも計画的にお願いします。

夏期講習を受講される方で手続きが、まだお済みでない方も早めにお手続きいただきます様お願い致します。

梅雨明けまで後少し、記憶に残る暑い夏になる様、前向きにがんばっていきましょう!

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マイノリティの作り出す未来とは

こんにちは。油絵科の関口です。
さて、僕が新美で講師を始めてから20年以上になりますが、ここでは色んな学生や作品と出会ってきました。受験生とは思えない位のハイレベルな作品を作る人から、所謂アウトサイダーと言われる様な人まで様々です。
昨年のブログにも関連する内容を書きましたので、併せて読んで頂けたら幸いです。
「愛すべきアーティストの卵たちへ」
http://www.art-shinbi.com/blog/20130708/


ところで、アメリカにはMOMAならぬ、MOBAなる美術館が存在しますが、ご存知でしょうか?The Museum Of Bad Artの略だそうです。これが中々パンチの効いた面白いアーティストが揃っているんですよ(笑)。まだ見た事の無い人は是非一度覗いて見て下さい。
http://www.museumofbadart.org/
このサイトを見た時、blue peopleというジャンルがある事に思わず笑ってしまいました。何それ?ジャンルなの(笑)?みたいな。それにしてもこういうアーティスト達を評価する社会的な土壌がある、というのが凄いと思います。と同時に、改めて日本の社会はまだまだ遅れているな?と考えさせられました。

 


また話は変わりますが、以前テレビを見ていた時、こんな言葉が耳に入って来ました。

「マジョリティは現在の為に、マイノリティは未来の為にある」(元NEC会長、関本忠弘)

確かにそうだな…と思い、すぐにメモを取りました。マイナーなものやマニアックな世界は、メジャーなものや常識と常に比較され、隅に追いやられたり、虐げられたりしています。反面、押さえつけられたエネルギーが圧縮され、隠れキリシタンの如く、凄いパワーを持っている事が多い様に思います。もちろんマイナーなまま終わってしまうジャンルもありますが、ちょっとしたキッカケで一気にメジャーを追い抜くという事も稀ではありません。
革新的過ぎるアイデアや少数派の意見などは、一般社会において何かと無視され易いのですが、実はその中にこそ未来があるのです。

我々が扱う美術(ファインアート)の世界は、非常に個人的なところから生まれて来ることが多いように思います。それがメジャーになり得るかどうか?は時代という“ふるい”にかけられ、徐々に評価が定まっていくものなのです。

叫び
エドヴァルド・ムンク 「叫び」 1893年

このムンクの「叫び」という作品も、実はムンクの幻覚から生まれ、描かれた当初は評論家に酷評されたと言われています。それが今ではこの絵を知らない人は殆んどいない。というくらいメジャーになっていますよね。
・・・それにしてもこの「叫び」見れば見るほど ”完全に向こう側の世界に行っちゃった人の作品” だと思います。


学校や一般社会では少数派やオタクの烙印を押されて理解されず、周りからの冷たい視線から身を守る為に自主規制をしているような人がいますよね? そういう人は是非勇気を持って新美の油絵科の門を叩いて欲しいと思います。
この世にたった一人しかいないあなただからこそ、描ける未来があると信じています。

ちょっと、息抜き、謎解きまんが第二弾

こんにちは、油絵科夜間部です。今回も笑って見過ごしてやって下さい。パロディーです。

 

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さて、ここで油絵科からお知らせです。
来週6/29(日)に横浜でプレ夏期講習(無料)が行われます。

横浜プレ夏期

芸大油画専攻では、毎年何が出題されるか分かりません。合格の基準も他の科とも大きく異なり、上手い順に受かる訳ではありません。現役の時は一次に受かったのに、浪人したら一次で落とされてしまった。という話もよく聞きます。こういう状況だけに「どういう風に絵の勉強をしたら良いのか、よく分からない」という人も多いのではないでしょうか?

ところで、昨年出題された手渡し課題の一次合格者を分析すると、5年以上前に国技館で行われた手渡し課題の合格者とは大きく異なる傾向が見受けられました。最新の情報も踏まえ、今回は手渡し課題を行う予定です。

更に、今回は内部生にも公開していない、過去数年分の芸大合格者一次再現作品もご覧になれます。

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2013素1再現
2014素1再現


入試を点ではなく、線として捉える事で、分かりにくい今の芸大油画専攻を分析し、芸大で求められている事が何なのか?を一緒に考えていくゼミです。
なお芸大以外でも、多摩美、造形大などは過去に手渡し課題が出題されています。構成課題が苦手で困っているという人にもお勧めです。横浜や神奈川方面にお住まいの方は、是非受講してみて下さい。

プレ夏期横浜地図

作家の言葉

油絵科 松田です。

 

今回は、授業で使用するために集めた資料の中から一部を紹介しようと思います。

資料というのは、過去のインタビュー、レポートなど書籍からの引用ですが作家自身の生の発言集です。

授業ではこれらの資料を使ってディスカッションを行い、各々の制作行為について探っていく内容になります。

断片的で、限られた作家の発言ではありますし、主に平面を扱った方ばかりですが、よかったら読んでみてください。

 

●魂はもがき苦しむことで磨かれ、生まれ出づる。この試練の時代の恐れや喜び、そして悲しみといった生の感情に、芸術家はもはや惹かれない。 もっと研ぎ澄まされた、まだ呼び名を持たぬ感性を呼び起こそうとする。 芸術家の複雑で繊細な人生と同じく、その作品は、そうした感性を感じ取ることのできる人々に言葉を超える感情を与えることができるのだ。                                        (ワシリー・カンディンスキー)

●私の作品が、社会や世界にとって何を意味するのかを聞かれた・・・自分の作品が本当に理解されるのは、資本主義や全体主義の終焉の時だろうと答えた。  なぜならば、私の作品は物を並べたり、空間や形あるものを配置したものではないので、・・・・・そうした意味では、私の作品が社会に与える影響は、開かれた社会への可能性を意味するのだと考えていたし、今でもそう思っている。                                                                        (バーネット・ニューマン)

●私は精神的な存在としての人間を理解しようとしてきた。 人は現実を超えて、さらに自らを高めようとすることを学ばなければならない。 森羅万象においてまったく異なる次元に到達できるような、霊的な方法を作り出すべきだ。                                                             (ヨーゼフ・ボイス)

 

●アートはいつも周りにあるものだと思っているし、自分にはそれが分かるから、[制作するのも]そんなに大したことではないんだ。                                                           (デミアン・ハースト)

●自分にとって一番大切なのは、それがオリジナルなイメージであるということ。 すでにあるなにかを再表現するということではない。 そのために、なんらかのリアリティーを一度自分の中に取り入れたうえで、さらにツイストしたり、モディファイしたり、違った解釈を加えることで、作品的な表現に変えているんだ。
イメージするものの内部に、さらにイメージするものがあるんだ。 私の絵の中に存在しているのは一般的な人たちであって、特定の誰かではない。 イメージしているのは、より一般化されたものだよ。 そうしたものたちによって、何かがうまく再生されていると驚くんだ。 再生のまた再生。 そういうところを表現しているといえるだろうね。 そうすることで主題との間に距離が生まれて、自分が今どこにいるかも確認できる。                                                      (ミヒャエル・ボレマンス)

 

今回はこの五人の作家さん、他の作家さんの発言も載せたいのですが、長文になりそうなのでまた次回にでも。

皆さんの制作の何かのきっかけになればと思います。

関東も梅雨入りです。

関東も梅雨いりしました。

早速の雨でテンションが下がり気味な油絵科の箱岩です。皆さん、いかがお過ごしでしょうか?

先日、少し気になる記事を産経ニュースで見つけました。

油原聡子さんの記事で、見出しは

美・芸大生専門の就職支援サービス相次ぐ 企業が創造力、発想に注目

「美大生や芸大生などを専門に就職支援を行うサービスが相次いで登場している。」というもの。

就職率の低い美大・芸大の学生を哀れんで、斡旋する怪しい業者が出てきたのだろうと思って読み始めると、その内容はもっと健全ポジティブなもので、読むにつれ「ふーむ」と考えさせられました。

要約すると、昨今のもの作りは、技術力が高まり、企業間の商品の差別化が非常に難しい。人間的で新たな視点や発想を生み出す事の得意な、クリエーティブ能力を有する美術系学生に企業が注目。即戦力になりうる、熱意のある学生と効率良く接点を持ちたいという企業側の思いと、学生とを結びつける狙いもあるようだ。という内容でした。

なるほど。さもあらん。デザイナー業をしている大学の先輩から「日本企業の企画会議なんてどこも一緒だよ、他社の商品を分析して、ほんの気持ち上回る企画案をならべて、画期的だと自画自賛しているんだ」と、、、。「それってクリエイティブか?」「そう言われても、、いや、どうなんでしょうかね?。。(汗)」企業の気持ちも判る気がします。

この話を、皆さんに還元するならば、一学期の基本的な知識を身につけることと同時に、創造の翼を手に入れることは、将来において、凄く重要だということだね。

話は変わって、先日、サイクロン掃除機の開発者にして、ダイソンの創業者ジェームスダイソン社長がテレビ番組に出ていましたが、彼のデザインエンジニアらしい思想には、胸のすくような清々しさがありました。日本の若者に何かアドバイスをと司会の村上龍氏が尋ねると「私は、アドバイスはしません。なぜなら先達の知識の中に本当の革新はありません。革新とはそれまでの常識を覆すほど根本的に新しい閃きを実現すること、むしろ反対されても自分の閃きを信じて突き進むべきです。」という趣旨のコメント(記憶によればw)をしていました。なんともしびれる名言です。

革新でなければ価値がない。

常識や固定観念に縛られない価値の創出。スゴく大切な意見だと思います。

これって、ものをつくる仕事なら当然の感覚ですよね?既にある価値観をなぞって楽しむのはクリエイトではありません。ただのファンです。クリエイトとは、いままでは王道とされなかった、見捨てられアングラなところに位置づけされたものを見直し、組み合わせ、視点の変更をする事によって革新的な価値の創出をしていくことだと思います。捨てられたゴミの山の中にこそ革新的な価値は埋もれていると思うのです。

なぜこんな話をするかというと、前日、講師室での雑談で、受験の絵ばかり教えて大学の評価ありきで生徒の作品を見ていると、どうしても評価出来ない超個性に出くわすよね。そして、意外とそれは胸を打つ魅力ある作品ということも多い、という話題になりました。

美術の勉強をしていけば行くほど王道も正道もごく少数派で、歴代の絵画の多くが実は趣味的で偏執的で裏街道まっしぐらなものばかり。ということに気が付きます。

人間の内面にある毒のような部分が必ず反映されていて、それがまた、見るものを魅了するのでしょう。絵画は本来、猛毒を持つものである。毒は時に薬になるが、中毒性も併せ持つ。

ですから、もっとひどい作品の中に次の主流があるかも知れない。世間の無理解と戦わずに新しい芸術はない。そこに美術の創造性は広がるのではないかと思わずにはいられません。

きょうは、近く実施する予定のドローイング課題のために画集や、作品ファイルをひっくり返していてみつけた、直ぐに良し悪しの判断が出来ない、BADな美術。しかし何度も見てしまう、そんな魅力的な裏街道の美術作品を紹介したいと思います。

(正直、この絵ブログに使って大丈夫?ってのもたくさんあったので、少し選んでますよ。)

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20140606155951-0001

20140606155821-0001

20140606162816-0001

20140606160011-0001

20140606152739-0001

20140606163033-0001

20140606151644-0001

20140606151627-0001

これらの作品に、受験に直結する有効な技術やクオリティーは無いかもしれませんが、この心が踊るような感覚は、受験勉強で絶対に無くしてはいけないものだという気がします。まぁ、心配しなくても、油絵科の皆には共感されていることでしょう。

そこで、これら一見BADな作品でありながら皆の心を動かす作品や、猛毒を含んでいながら惹きつけられる作品、超天然アウトサイダー系の作品を、王道ではない裏街道の美術「裏美」と命名して、皆で楽しんでいきたいなと思っています。

手始めは、「裏美コンクール」

実施は近々。自分ではいいと思っているのに友達や先生に理解されない作品、下手でも酷くても関係なく集めて受験じゃ無理でも、ちょっと好きかもを評価するコンクールにしたい。(いや、個人的にはすごくやりたいと思っているんですが実現するのでしょうか・・・苦笑)

参加条件や評価の仕方などは、秘密裏に決定しますので、興味のある学生はどうぞお声がけを?w