カテゴリー別アーカイブ: 油絵科

才能について

こんにちは。油絵科の関口です。久々のブログです。今日のテーマはちょっと仰々しいですが才能についてです。

 

新美で講師をしていると、保護者会などで「ウチの娘(息子)には才能ありますか?」みたいな事を聞かれる事がよくあります。僕は大抵「大丈夫ですよ」と答えますが、ちゃんと根拠があります。それにしても、一般の方がイメージする「絵の才能がある」というのはどんな人達なんでしょうね?

 

音楽の世界ではよく「バイオリンをやるなら、遅くても3歳迄に始めてないといけない」みたいな事を聞きます。もしかすると、そんなイメージを美術にも持っているのでは無いでしょうか?

音楽と美術の決定的な違いは、道具(この場合、楽器と画材)の扱い方にあると思います。

楽器はバイオリンでも、ピアノでも、クラリネットでも、何を選んだとしても、ひとつ一つ楽器で音の出し方に絶対的なルールが存在していますし、絶対音階という言葉が存在している通り、まず絶対的なものが存在しているため、それをいかに正確に、頭ではなく反射レベルで覚えるか?という部分が大事になってくるのだと思います。(音楽に関しては完全な素人なので、間違っているかもしれません)

それに対して、美術(特に油絵)はどうでしょう。道具の使い方は人によって全然違いますし、絶対的なルールみたいなものも存在しないと考える方が自然な気がします。よくピカソが11?2歳頃に描いたデッサンが抜群にうまくて、だから後に描かれた訳の分からない絵はきっとスゴいんだ…みたいな風潮があります。僕も以前このブログでピカソの若い頃のデッサンを紹介した事もありました。しかし、正確で抜群のデッサン力があったからと言って、一流の美術作家になるとは限らない。と僕は考えています。

 

以前ネットで天才少年、天才少女と謳われている記事を発見しました。

一人はイギリス人のキーロン・ウィリアムソン君。キーロン9歳
わずか9歳の少年が描いた、という風には思えない程上手に描かれていますし、この時点で二流のプロの画家よりも遥かに良い絵だな…と思います。

彼は今13?4歳の筈です。

 

もう一人はアメリカ人のアキアネ・クラマリックちゃん。
アキアヌ4歳
この子も4歳とは思えない程の観察力と良い表情を描いています。

アキアヌ6歳
6歳の頃に描いたこの絵も生き生きとして、抜群に良い絵ですね。

アキアヌ13歳
13歳ではこんなに上手くなっています。

アキアヌ16歳
16歳ではこんな感じ。うーん確かに上手なのですが、ちょっと雲行きが怪しくなってきましたね。

彼女は1994年生まれという事で、皆さんとあまり変わらない年齢ですね。
彼らがこれからどんな活躍をするのか?楽しみではありますが、潰れてしまわないか…心配でもあります。ある程度大人になり、美術の奥深さを知って、どの要に変化して行くのか?の方に僕は興味があります。
あとこの記事を読んで、歳下の彼らが描いた絵より下手で、落ち込んだ人もいるかもしれませんが、美術は高校生やある程度大人になってから始めたとしても、全く問題ないと思っています。美術の世界は神童と言われる人しか活躍できないジャンルではありません。長い、長?い道のりです。自分の興味のある事に没頭し、好きな事をとことん追いかけて行ってもらいたいと思います。その先に自分にしか出来ない事がきっと見つかる筈です。

 

 

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あと、私事でたいへん恐縮ですが、5月28日から横浜のJR石川町駅近辺にあるギャラリーアークで個展を開催します。興味のある方は是非お越し下さい。風のサーカス1
風のサーカス  F8号キャンバスに油彩

ギャラリーアーク
http://ark.art-sq.com

通信の5月

こんにちは。
通信油絵科の福本です。

5月に入り、少しづつ通信の生徒も増えてきました。
通信は到着した4月タームの作品の添削をし、それぞれ生徒へ返送しています。

通信油絵科の1学期は「デッサン力や観察力」を身につけていく課題を中心にカリキュラムを組んでいます。通信は現役の高校生から浪人生までの生徒がいるため各生徒の経験に応じてそれぞれ課題を用意しています。

通信教育は基本的に自宅での制作が多く、一人でやっているとなかなか集中が続かなかったりします。個人的な経験ですが、そんな時は無理して続けていてもあまり良いこともないので、私の場合は本を読んだり、10分ほど外の空気を吸いに散歩したりして、一度絵のことを忘れ、脳と体をリフレッシュさせてあげた方が新鮮な気持ちでまた制作に集中できることがあります。ずっとやっていても煮詰まってくることもあるので、一度目の前のやっていることを忘れることも大切な気がします。受験勉強は集中力が大切になってくるので、今の時期から自分なりのリフレッシュ方法を何か1つでもあるといいかと思います!

最後に油絵科の生徒に[オススメしたい本]の紹介で終わりたいと思います。

昔、読んで面白かったのが藤原えりみさんの「西洋絵画のひみつ」です。
油絵科の受験勉強で静物を当たり前のように描いていると思いますが、そもそも静物画という
ジャンルはどのようにして生まれたのか、知ってますでしょうか?
この素朴な疑問をしるために、西洋美術史を分かりやすく書かれいるのがこの本です。
アートを志す者は知っておくべきことなので、ぜひ読んでみるといいでしょう。

アーテイストを目指す者達へ

こんにちは、油絵科夜間部です。

前年度までの謎解きマンガ「入試の件」は、只今リニューアル中です。ご迷惑?おかけしますが、しばらくお待ち下さい。

ということで、今回は、いよいよ今年度、美術大学を目指す皆様にあらためて、言葉を贈りたいと思います。(特にファインアート、油絵科の人かな?)

画学生のあるべき姿とはーーめったにできないことではあるがーー人生のすべてを費やして、自分だけの感覚を愛し、育ててゆくことである。自分の感情を大切にし、けっして見くびらず、それを他人に知らしめることに喜びを感じ、最も純粋な表現を熱烈に追い求めることである。素描の腕を磨くのは、いつか画家になったときに役立つだろうから、などという理由ではない。そんな時間はないのだ。彼は生まれつき芸術家であり、すでに自然から与えられている快感と感情を表現するための線と形体を発見するのに忙しい。知識がなくても、必要なものが目の前にあれば、すぐに見つけられる。

教師たちがこんなことをいって、邪魔することも多い。

「あせってはいけないーーー画家になりたいなら、まずデッサン力をみにつけなさい!」

ああ!デッサンの勉強に明け暮れたあの長く憂鬱な年月!
そんな苦行を重ねた末に画学生は、人体モデルや古代の石膏像を見るたび
この頭部の比例は全体のどれくらいだろう?といようなつまらない感情しかもてなくなる。

子供のころに抱いた、人間や物に対する幻想を忘れては行けない。それらを大事にする心は、冷静な計算と分析によって簡単に汚されてしまう。人の抱く幻想を無視してはいけない。むしろ、仕事を通じてその興奮を持続し、広げていくべきだ。

古代の石膏像をいくら眺めても、その彫刻が表現している美に感動をおぼえなければ、すぐれた作品は生まれない。

石膏像や人体モデルを前にして、なんのテーマも思い浮かばず、そのまま何時間も目的なしでデッサンを続けたりするのは、自分の感受性を硬化させる第一歩である。ーーー見たものから喜びを引き出す力が失われてゆくばかりだ。デッサンやスケッチで表現すべきは、

「どんなモデルだったか」ということではなく、

「自分の感覚がどこにあったか」である。

そのモデルの外見のどこにいちばん強い印象を受けたかをはっきりと示すことである。

以上

と偉そうに書き連ねましたが、実はこの文章は、2年前ぐらいに

話題になりました、「アート・スピリット」という本からの引用です。

私もこの本は高くて買えず、学生に借りて読んだのですが、この作者

非常に熱い!!

ロバート・ヘンライさんという、美術の教師らしいです。

熱すぎて、突っ走るところは、アート教育会の松岡修造と言っても

過言ではないでしょう。

興味のある方は、読んでみてください。

油絵科学生は必見、片岡球子展

こんにちは。油絵科の関口です。

先日お知らせした通り、今回から油絵科のブログは日曜日に隔週の更新になります。他の先生のブログを期待していた人もいると思いますが、もう1回だけお付き合い下さい。

 

さて、タイトルにある片岡球子という画家をご存知でしょうか?実はこの方、日本画家で103歳という長い人生を全うされた巨匠の一人です。

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「面構 足利義満」1966年

 

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「面構 葛飾北斎」1971年

 

先日竹橋にある国立近代美術館に見に行きましたが、油絵科の学生にも是非見てもらいたいと思い、紹介させてもらいます。

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「枇杷」1930年

初期の作品は、所謂日本画らしい絵も描いています。しかし、途中からは全く以て日本画らしくありません。体質的には完全に油絵向きの人なのでしょうね。

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「山(富士山)」1967年

 

ところで、日本画の特徴として、油絵をやっている人には頭に入れておいてもらいたい事が3つあります。

①基本的に絵を床に寝かせたまま描く。(立てると絵の具が垂れてしまう)

②基本的に岩絵具は混ぜられない。(粒子の大きさ、重さが違うので、混ぜても分離してしまう)

③写生→小下図→大下図→本画というプロセスを踏み、基本的に本画の時には対象を見ていない。

 

上に書いたのは、あくまで原則として…という事です。片岡球子という画家は、完全にこの辺のルールを無視している作品がありました。真近でよく見ると分かりますが、何とキャンバスに描かれた作品もありました。しかもアクリル絵具も併用しています。日本画なのに…キャンバス?…アクリル? 正直に言うと、僕もビックリしました。

 

あと、80代に入ってからの人物画も必見です。モデルをとにかくよく観察し、今迄築き上げてきた自分のスタイルをも無視して、その時感じた生の感覚と感性で生きいきと描かれています。80歳を越えてこのパワー、本当に凄いと思います。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA「ポーズ3」1985年

素材も日本画の岩絵の具、パステル、木炭、作品によってはクレヨンらしきものも使っているものも見受けられます。

ものを見るという事は一体どういう事なのか?絵を作るという事はどんな事なのか?そんな事を考えさせる、良い展覧会です。この機会に是非本物を見てきて下さい。

油絵科ブログ・曜日変更のお知らせ

こんにちは。油絵科の関口です。

 

12月から何とか穴を開けずに、毎週月曜日に油絵科のブログを更新してきましたが、次回より日曜日に変更になります。しかも隔週で、ローテーションになりますので、僕がブログを更新するのは1?2ヶ月に1回くらいになります。

これからも油絵科のブログは、色んな事に触れていきます。

油絵科は大学に入ってからも、油絵、ドローイング、映像、写真、インスタレーション、立体、パフォーマンス、版画、フレスコ画、モザイクなど、色んな方向に進んでいく人がいますので、出来るだけ色んな事に触れていきたいと思っています。

一体自分が何に興味を持っているのか? 色んな考え方や作品に触れながら、自分でも知らなかった自分に気付き、ワクワクしながら、遊ぶ様な感覚で、真剣に学んでいくのが油絵科だと思っています。

 

バラエティーに富んだ内容になると思いますので、これからもどうか宜しくお願い致します。

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希望する大学に合格できるよう、心から応援しています。一年間、一緒に頑張っていきましょう。