カテゴリー別アーカイブ: 新美

デッサン風景

無料1日体験講習 (7月14日実施)

私大コース 古関です

今日は新美のイベントの1日体験講習についてお知らせします。

内容は1日で新美の授業を無料で体験。デッサン(鉛筆、木炭)の指導と講評、面接を体験できるイベントとなっています。道具がない方にも貸出を行いますので、気軽に参加できるイベントとなっています。
日時は7月14日(日)、朝9時スタートで16時には終了します。

今年受験する高3生、高卒生。これから美術を目指す方まで幅広い方が対象です。とりあえず新美ってどんな感じかな?っと思ったら是非参加してみてください。

保護者の方にも対応した面談やガイダンスもありますので気軽にお問い合わせください。

詳細はこちらです。

7月14日(日)なので、申し込みの締切が7月11日までとなっております。お早めにお申込みください。

デザイン・工芸科夜間部について

デザイン・工芸科夜間部講師の大島です。

デザイン・工芸科の夜間部としては初めての更新となりますので、まずは科の紹介の方からさせていただきたいと思います。

デザイン・工芸科の夜間部では、4月は合同クラスとして共通の課題を制作していきます。その後、5月中旬ごろになって皆さんの志望校が少しずつ決まってきた段階で本格的なクラス分けを行います。

デザイン科は「芸大コース」「芸大私大併願コース」「私大コース」の3つ、そして工芸科専門の「工芸コース」を合わせて、計4つのクラスに分かれますので、自分の志望校や受験のスタイルによりフィットしたコースを選択することが可能となっています。当然のことながら各コースは年間を通じてそれぞれ別の講師が担当しています。

 

芸大コース
その名の通り東京芸術大学を目指すクラスです。普段は東京芸術大学の試験に合わせた課題が主になりますが、希望者には私立美大対策も短期集中でしっかりと行なっています。最終的には私立美大との併願を考えている方でも安心して芸大受験に取り組むことができます。

併願コース
東京芸術大学と私立美大(多摩美術大学と武蔵野美術大学)を並行して対策していくコースです。東京芸術大学を目指しつつも、私立美大の対策も多めにやっていきたい人にオススメのコースです。毎年、武蔵野美術大学・視覚伝達デザイン学科や多摩美術大学・グラフィックデザイン学科といった高倍率の学科への合格へはもちろん、過去には現役で東京芸大合格者も輩出しています。

私大コース
私立美大に絞って対策していくコースです。多摩美術大学と武蔵野美術大学の対策を中心としながら、入試直前には必要に応じて女子美術大学、東京造形大学、日本大学芸術学部、東京工芸大学、横浜美術大学なども合わせて対策することができます。また、各私立美大の推薦入試の対策も可能です。

工芸コース
東京芸術大学工芸科の対策は当然のことながら、各国公立や私立美大の工芸科受験にも対応しています。東京芸術大学工芸科への合格者数全国1位を誇る新美の工芸科です。現役合格も決して夢ではありません。実績と信頼のある充実した指導をおまかせください。

 

 

さて、ちらっと授業風景のほうもご紹介したいと思います。
先日はちょうど夜間部の芸大コース・併願コースの合同デッサンコンクールでした。

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初めてのコンクールということもありみんな緊張した面持ちで講評を聞いています…..。

 

 

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と、思いきやこんな笑顔になるワンシーンも。
現役生のこの時期としては悪くない作品が並んでいたのではないでしょうか。
夏期講習が始まろうとしているこの時期からが勝負です。

他のコースの様子については、また今後お伝えしていきたいと思います!

日本画科- 学期末&日本画の素材(その1) ?

日本画科講師の金子です。

朝方の梅雨冷えが肌寒く感じられる日々。
青葉若葉は活き活きと生い茂り、梅雨の晴れ間には紺碧の空が少しずつ垣間見えるようになってきました。梅雨明けもあともう少しでしょうか。

今月10日には一学期も終了です。現在、日本画科は一学期末コンクール真最中。もちろんこの間の指導は無く、入試さながらの制作です。昼間部はデッサン(鉛筆素描)、着彩(着色写生)、構成の3課題、また、夜間部はデッサン(鉛筆素描)課題。特にデッサン(鉛筆素描)は昼間部と夜間部の合同採点となるため、皆一所懸命に頑張っています。日本画1

― 夏期講習会の準備も着々と進行中。

夏期講習会は前期・中期・後期の3期に分かれ、基礎を確実にし、徹底的に弱点を克服します。そうです、この「基礎を確実にし、徹底的に弱点を克服する」ということが重要なのです。学校との両立で忙しい高校生は、この期間に思う存分制作することが出来、力を付けることが可能です。

「総合コース」においては制作時間を長めに取り、各々の課題点を克服するための対策を行います。また後期の「私大対策コース」では、主に多摩美術大学と武蔵野美術大学の入試傾向を理解し、目標を見極める学習を行います。

特に外部から受講する方は、それぞれの課題点を理解し、また、共有するため、必ず講習始めと終わりに個人面接を行います。日本画科受験において経験豊富な講師が、ひとりひとりのレベルに沿ったきめ細やかな指導を心掛けていますので安心して受講していただければと思います。短期間集中し、レベルアップを目指していきましょう。日本画2

― さて、今回は日本画の画材についてお話をします。

日本画科の特筆すべき点と言えば、“受験で用いる画材”と“大学に入ってから用いる画材”が異なることです。日本画科受験では「デッサン」と「着彩」の2つの準備がありますが、着彩において透明水彩絵の具、不透明水彩絵の具などの水彩絵の具を使用するのに対して、大学入学後は顔彩(がんさい)、いわゆる「岩絵具(いわえのぐ)」を使用して制作を行います。

この岩絵具、「天然(てんねん)岩絵具」、「新岩(しんいわ)岩絵具」、「合成岩絵具」などがあるのですが、この素材を日本画の魅力の一つに挙げる人も多いものです。岩絵具は粒子の粗いものから細かいものへと、5番、6番、7番、8番、9番と番号が分けて付けられており、一番細かい粒子の岩絵具を「白(びゃく)番」と言います。色は、粒子が粗くなればなるほど濃くなります。日本画4

ちなみに天然岩絵具と新岩絵具を簡単に説明すると、天然岩絵具は藍銅鉱、ラピスラズリ、マラカイト、辰砂などの様々な「天然の鉱石」を粉砕し、精製した絵具。科学的処理を行わないため手間が掛かる上、自然の原石が原材料のため一般的に高価ですが、太古から蓄積された産物であることを想像するだけで非常に魅力的です。日本画3日本画6

対して新岩絵具は、釉薬と金属酸化物を高温焼成して製造されたもの。とても豊富な種類の色彩が揃います。また、天然岩絵具と比べて安価であるため、使用頻度の高い絵具でもあります。尚、岩絵具は、紙に定着させる時に接着材の役割として「膠(にかわ)」を用います。日本画5

今回、これら全ての画像は、私金子が懇意にさせていただいている台東区谷中(やなか)に在る絵具屋「金開堂(きんかいどう)」さんにて撮影させていただきました。岩絵具だけではなく、「筆」、「刷毛」、「和紙」、金箔銀箔などの「箔」、「墨」などの素材、はたまた「膠」や「染料」といったありとあらゆる日本画の画材が揃っています。日本画8

谷中の「金開堂」の他、上野近辺では同じく谷中に「得應軒」、不忍に「喜屋」があります。この他、都内には渋谷に「ウエマツ」、横浜市関内に「三吉」等など。是非一度覗かれるとよいでしょう。

以上、今回は日本画の画材その1と題して「岩絵具」についてのお話でした。いかがでしたか?日本画に少しでも興味を持っていただけましたら幸いです。次回もお楽しみに。

尚、日本画画材についても質問があれば日本画科講師がお答えします。お気軽にどうぞ。
また、日本画科に興味ある受験生がいらっしゃいましたら是非見学にいらしてください。日本画7

― 次回投稿は8月。

炎天に負けない体力を養い、夏期講習会を乗り切りましょう。

「素描」と「絵画」

先端表現芸術科です。今回で2回目の更新です。

前回は、新美先端コース全体の方針について書きましたが、今回はもう少し具体的に、授業内容について触れていきたいと思います。

先端の一次試験は、「素描」か「小論文」のどちらかを選択することになっています。なので、新美の先端コースの平常授業は、「素描クラス」と「小論クラス」の2つに分かれて行なっているのですが、今回は、「素描」について説明していきたいと思います。

「素描」とは、いわゆる「デッサン」のことで、基礎的な部分の技術については、他科のデッサンと同じです。形の取り方や鉛筆の使い方なども、先端だからといって特別な必勝法があるわけではなく、他科の生徒と同じように基礎を身につけ、その上で個性を磨いてゆく必要があります。

とはいえ、やはり最終的な評価基準となると、他科とは多少異なってきます。

たとえば、これまでの先端の過去問題を見てみると、単に「モチーフを素描しなさい」という指示だけでなく、目の前に存在しないものを描かせたり、特殊な状況を設定したりと、受験生の想像力や解釈を引き出そうとする問題を課していることがわかります。
では、これらの特殊な問題にどのように対応してゆけばよいでしょうか。

そのための対策として先端コースでは、基礎力を養う素描課題と並行して、「絵画」という表現そのものについての理解を深めるための授業を行なっています。以下で、その一例を紹介しましょう。

まず、授業のはじめに、2時間ほどある映画を一本、全員で鑑賞します。

映画鑑賞後、いつも通りの画用紙と素描道具を準備し、さっき鑑賞した映画をモチーフとして素描をする、という課題です。

……つまり、2時間の映画全体がモチーフとなるのです。映画はすでに見終わっているので、目の前には何もありません。自分の記憶だけが頼りです。

さらに、映画には「時間」という要素が関わってきます。どこかのワンシーンだけを抜き取って描いたり、登場人物を並べて書いただけではポスターや設定資料のようになってしまいます。そうではなく、2時間分の映画の内容を、自分の中で解釈し、一枚の画面へギュッと圧縮して表現しなければなりません。

みなさんなら、どのように描くでしょうか。

このブログはオープンな場所ですので、生徒の参考作品をあげて解説することはできませんが、このような課題に対する考え方のレッスンとして、少しだけ絵画のお話をしておこうと思います。

先ほど、映画には「時間」の要素が関わってくる、と書きましたが、実は絵画の世界で「時間」をどのように描くのか、という問題は、とても古くから考えられていました。

美術史家として大きな功績を残したエルンスト・ゴンブリッチという人は、この問題について実にわかりやすく、おもしろい研究を残しています。関係しそうな議論を少しだけ紹介しましょう。

まず下の絵を見てください。

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この絵は15世紀末にドメニコ・ギルランダイオという画家によって描かれた《洗礼者聖ヨハネの生涯》フレスコ画です。そのタイトルの通り、聖ヨハネの生涯における重要な場面が、いくつもの画面に分けて描かれています。

「聖ヨハネの生涯」というモチーフは、当然ながら、その始まりから終わりまでの「時間」を持った物語です。ギルランダイオは、その物語をひとつの壁面に描くために、壁面を分割し、重要な場面をピックアップして並べていったのです。

ギルランダイオの取ったこの解決策は、私たちの感覚からすればそれなりに妥当なものだと思えるでしょう。しかし、ひとりの画家が、ギルランダイオのような描き方を激しく非難しました。

その画家とは、かのレオナルド・ダ・ヴィンチです。

ギルランダイオと同時代に生きていたレオナルドは、ギルランダイオのように異なる場面を上下に積み重ねたり、並べて描いたりする描き方を、「鳩小屋のようにいろいろな棚を重ねて商品を並べる店みたいだ」と言い、「愚かさの極みだ」とまで言って断罪しています。

なぜレオナルドは、そこまで怒りをあらわにしたのでしょうか。

その理由を知るためには、レオナルドが考える「絵画の理想」について知らなければなりません。

レオナルドは、壁面に描かれる宗教画は「1壁面、1空間、1場面」の法則に従わなければならない、という強い理想を持っていました。つまり、1つの壁面には1つの空間しか描いてはならず、したがってそれは1つの場面を描くということになります。

なぜそんな法則を考えたのかというと、レオナルドの考える絵画の役割とは、現在の私たちの言葉でいうところの「感情移入」だったからなのです。

つまり、その壁画を前にした鑑賞者が、あたかも目の前でその場面が行なわれているように感じ、自分もその物語の中に入り込み、その瞬間に立ち会っているのだ、という臨場感を与えなければならない、という理想です。

そのレオナルドの理想を、おそらく大変な苦労をして実現しようとした作品のひとつが、有名な《最後の晩餐》でしょう。

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厳密な遠近法によって描かれている以上、鑑賞者が、絵に対してどの位置で眺めるかという条件に大きく左右されてしまうのが欠点ではあるものの、正確な位置に立って鑑賞すれば、その臨場感は当時のどの画家も及ばないレベルだったはずです。

そう考えると、なぜレオナルドがギルランダイオのような壁画を非難したのかがよくわかります。壁面を細かく分割して場面を重ねてゆく描き方は、たしかに物語の全容を詳細に描くことはできるけれども、鑑賞者に対して強い感情移入を促すかといわれれば、それは疑問です。この画風は、目の前にその場面を再現する、というよりも、どちらかといえば絵を文章のように扱っているため、視覚的な臨場感は犠牲になりがちなのです。

しかし、レオナルドの「1壁面、1空間、1場面」の法則にも、致命的な欠点がありました。下の絵を見てください。

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このカオティックな絵は、レオナルドの弟子であるベルナルディーノ・ルイーニの描いた《ゴルゴタの丘》という壁画です。

ベルナルディーノは、レオナルドの「1壁面、1空間、1場面」の法則を忠実に守っています。しかし、だからこそ、画面がどうにも収拾のつかない混沌に突入していることがわかります。

《最後の晩餐》のように、1壁面のなかにスッキリとおさまるエピソードならまだよかったのですが、この《ゴルゴタの丘》のように複雑な場面を「1壁面、1空間、1場面」の法則で描こうとすれば、必然的に画面の密度は上がり、ひとつの画面に収めるのは難しくなってきます。

もちろん、この壁画の作品としての魅力は十分にあると思いますが、少なくとも、彼らの理想であるところの「感情移入」やその場にいるような臨場感は消えてしまっています。見ようによっては、あれほど非難していた「鳩小屋のような商品棚」に近づいているとも言えるかもしれません。

……さて、ここまでがゴンブリッチが分析している事例の一部です。

上の3つの絵を見て、そして解説を読んで、みなさんはいろいろなことを考えたと思いますが、ひとまずここで、みなさんに理解してもらいたいのは、絵画には様々な「理想」があり、それによって方法も様々である、ということです。

ギルランダイオとレオナルド、どちらの「理想」が優れていたか、という議論はここではいったん脇においておきましょう。それよりも、ギルランダイオとレオナルドが、それぞれ別々の「理想」を持ち、そしてその「理想」を実現するために独自の「方法」を開発し、その違いがはっきりと作品に反映されている、ということが重要なのです。

最後に、いくつかの絵を紹介して終わりたいと思います。

たとえば、下のような絵画を見たことがあるでしょうか。

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この絵は、16世紀の画家ピーテル・アールツェンの描いた《マルタとマリアの家のキリスト》という作品です。

一見したところ静物画に見えますが、タイトルが「これは宗教画だ」と主張しています。この絵では、肉や花といった静物が、まるで言葉のように配置されています。乱雑に見えながら、実は周到に配置された静物と奥の場面の関係は、鑑賞者に向かってまるで暗号を解かせるかのように、この絵を読解することを要求しています。

あるいは下の美しい風景画。

09 THE CITADEL OF ARCO IN THE SOUTH TYROL

なんの変哲もない風景画に見えるかもしれませんが、重要なのはこの絵が描かれた時代です。この絵の制作年は1495年。有名な画家、デューラーによって描かれました。

さっきこの絵を「風景画」と言いましたが、実は1495年当時には「風景画」は存在していません。どういうことでしょうか。

西洋絵画史において、絵画のなかの「風景」というモチーフは長らく、「宗教画の背景に描かれているもの」という位置づけでした。あくまでも絵画の主役は、聖書に記された「物語」とそこに登場する聖人たちであり、「風景」は付属物に過ぎなかったのです。「風景」というモチーフだけを独立させた「風景画」というジャンルがはっきりと成立するのは、17世紀に入ってからだとされています。

つまり、このデューラーの絵は、「風景画」という概念が誕生する100年以上前に描かれているのです。

もう一度よく絵を見て見ましょう。後に描かれるれっきとした「風景画」に比べて、どこかぎこちなく、不思議な雰囲気を湛えているのが感じられるでしょうか。

当時のデューラーがどのような考えでこの「風景画」を描いたのかはわかりませんが、まだ誰も描いたことのない新しい表現の世界に触れた瞬間の緊張が、この絵に刻まれているような気がします。

絵画のあり方はひとつではありません。

自分にとって絵画という表現は何なのか? その解釈によって、絵画の意味は様々に変わってくるはずです。

先端コースの「素描」が最終的に目指していること、それは、生徒それぞれが、自分にとっての絵画の意味を見出すことなのです。

 

 

 

 

 

 

 

基礎科専門クラス紹介・・・デザイン・工芸・・・

基礎科講師の吉村です。
日本画に続き、デザイン・工芸の様子を紹介をします。

基礎科デザイン・工芸の専門課題ではアクリル絵の具を使って平面構成を制作します
今回はモチーフを使用した自由表現課題です。

ブログ用

◎道具と、今回のモチーフです。作品は講師によるデモンストレーションです。

日本画と同様、デザイン・工芸の専門課題の体験をしたい人には道具の貸し出しをしています。

デザイン3

◎制作風景です。

 

デザイン2

◎道具の使い方と彩色描写の技法を説明しています。

初心者の人には水張りからエスキースの仕方、絵の具の扱い方など丁寧に説明します。
モチーフによって描写のポイントがあるので、毎課題講師がデモンストレーションをします。

 

デザイン1

◎講評会の様子。

最後には講評会があります。
課題のポイントをおさらいし、一点一点丁寧に講評していきます。

今回の作品はまだ描写に物足りないところもありましたが、それぞれテーマを決めて楽しい構成が出来たと思います!
次の平面構成の課題は夏期講習になりますが、作品を見るのが楽しみです。