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インプリマトゥーラと白色浮出

明けましておめでとうございます。油絵科の関口です。このブログは油絵科ではリレー形式でやっていましたが、松田先生が書いていた通り今年度は12月初旬で一旦終了しました。春までは僕が時々更新しますので、月曜日にはこのページを開いてみて下さい。可能な限りアップしようと思います。

さて、タイトルにある「インプリマトゥーラ」と「白色浮出(はくしょくふしゅつ)」という言葉はご存知でしょうか?一般の方にはあまり聞き覚えの無い言葉ですよね?

これが芸大油画専攻の在学生や50歳以下の卒業生になると、ほぼ100%の確率で知っている事になります。この言葉は、今年で定年を迎える芸大油画教授の佐藤一郎先生から、何回も繰り返し、繰り返し…それこそ耳にタコが出来るほど聞かされます。なので、芸大生でこの言葉を知らない人がいたら、その人は殆ど学校に行っていなかったんでしょうね。

インプリマトゥーラ

この聞き慣れないインプリマトゥーラという言葉は、イタリア語ですが、佐藤一郎先生は「地透層(じとうそう)」という、これまた聞き慣れない言葉に翻訳しました。確か佐藤先生の造語だったと記憶しています。読んで字のごとく、下地を透かせるように塗った透明な層の事を言います。

佐藤先生の翻訳した「絵画技術体系」という本がありますが、元はマックス・デルナーというドイツの研究者の著書になります。高校生の時にこの本を手に入れて読みましたが、分厚い上に難しい日本語が使われているのでとても読み辛く、これの翻訳が必要なのでは?と一部の人によく言われていました(笑)。

それはさておき、佐藤先生によると、西洋絵画は油絵具オンリーで描かれる事は無く、最初は水彩から始まり、次にテンペラ、その上から油彩という風に色んな材料をミックスして描くのが本来の油絵だと言います。

一番最初の層は白い「※白亜地」と呼ばれる炭酸カルシウムに膠を混ぜたもので地塗りを施し、そこに下素描(アンダードローイング)をします。その上から薄く透明な層を重ねるのがインプリマトゥーラ(地透層)と言う事になります。このイタリア語と日本語(造語)と英語が混ざった上に、ドイツ人の書いた技法書を訳してきたという離れ業が佐藤先生の真骨頂だと思います(笑)。

※イタリアなどは石膏地を施すのが一般的で、その土地によって使われる下地に使われる顔料が違います。

ほつれ髪の女
レオナルド・ダ・ヴィンチ作「ほつれ髪の女」 全面にインプリマトゥーラが施されている。

白色浮出

インプリマトゥーラを施すと、元の白い下地よりも若干暗いトーンになりますので、そこを白で描き起こしていくのが「白色浮出」という事になります。(これも佐藤先生の造語。元になった言葉は全く記憶していません。授業でも出てこなかったような気がします)

このプロセスこそ、西洋絵画の原点。というのが佐藤先生の持論です。デューラーなど、北方ルネサンスの画家や、ブリューゲルやルーベンスなどのフランドルの画家も(全てではありませんが)この様なプロセスを踏んでいる様です。

祈る手
デューラー作「祈る手(部分)」 デッサンだが、白色浮出が使われているのがよく分かる。

その佐藤一郎先生も今年で退任になります。本日1月6日(月)より1月19日(日)まで芸大美術館で退任記念展が行われます。
同時開催の「見ること、描くこと」?技法材料研究室とその周縁の作家たち に僕と学生講師の伊勢先生も出品しています。

佐藤先生退任記念展
お時間のある方は是非お越し下さい。

 

新宿校 年末年始のお知らせ

こんにちは
新宿美術学院 三上です。

新宿美術学院 冬期講習会 中期日程も本日で最終日となりました。
学生の皆様本当にお疲れ様でした。試験までまだまだありますが、体調などを崩さないよう気をつけてください。

【新宿校年末年始のお知らせ】
○ 総合受付は明日、12月30日(16:00まで)です。
○?休校日は12月31日?1月2日までとなります。
○?1月3日より新宿美術学院?冬期講習会 後期日程の授業が始まります。(総合受付も3日より通常通りです。)
○?3学期初日は1月10日(金)から本科授業が始まります。
※学科に関しましては、上記日程以外でも開校しています。
パンフレット等ご確認の上ご来校ください。

本年中は大変お世話になりました。
来年もまたよろしくお願い致します。
良いお年をお過ごしください。

国立校 冬期講習スタートいたしました。

新宿美術学院 国立校 基礎科です。

12/22(日)より、冬期講習が始まりました。
国立校生はもちろん、春期講習や夏季講習に参加してくれた生徒さん達が
何人も参加してくれています。
夏に、は多摩美、武蔵美に行ければ…と言っていた子が、
芸大目指してもいいですか?と、先生に相談していました。
みんな着実に、自信と力を蓄えてきているのですね。

第1ターム デッサン 油彩モチーフ。
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初日ということもあり、みんな少し緊張していたようです。
2日で1作品を仕上げるのは大変ですが、制作の進行具合を管理しながら描く、
こらは大切な訓練です。

平面構成はレモンとリボン、紙コップ。
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第2ターム モチーフ。
先生がクリスマスをイメージしてくれました。
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石膏デッサン。
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平面構成も、クリスマスです。
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そしてクリスマスも頑張ってくれた皆さんに。
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中学生 入試直前1日体験

こんにちは。
美術系高校を目指す中3生も、いよいよ入試本番が近付いてきていますね。
今、冬期講習会でも日々皆さん実技を頑張っています。
~1月6日まで、実施中!? まだまだ募集中ですので、ぜひご参加お待ちしております。
冬期講習会デジタルパンフレット

さて冬期講習は受講できなかった方、年明け1月12日(日)と13日(月祝)に、中3生対象の「美術系高校入試 中学生のための1日体験直前講習」を実施します。
こちらは参加費無料です。まだ本格的に実技を習ったことがない方も、入試前に予備校で出題傾向をしっかりと把握して準備してはいかがでしょうか。
都立総合芸術高校をはじめ、都立片倉高校、女子美術大学付属高校などなど、志望校に応じた課題を出題いたします。ぜひお待ちしています。  →お申し込みはこちら

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高校入試情報はこちらもご参照ください。 →美術系高校 入試情報

志望大学合格を勝ち取った先輩達の声をお伝えします・No3

こんにちは。新宿美術学院三上です。
本日は冬期講習中期初日です。
教室もほぼ定員に近い状況で活気のある初日でした。
登校が早い学生は、8時には教室の中で授業の準備をしているなど並々ならぬ意気込みを感じました。
受験科の学生は志望校合格へ向けて、基礎科の学生はレベルアップに向けてがんばってほしいです。

冬期講習申込は締め切りのコースも出ていますが、まだまだ受け付けていますので、参加をお待ちしております。
締め切りコースは新美HPの定員状況で確認してください。
http://www.art-shinbi.com/workshopstate/index.html

また、2014年1月19日に【高校生デッサンコンクール】開催します。
無料コンクールですので高校1、2年生のみなさんぜひ参加してください。
一位賞品は【 ipad mini 】+図書券です。
ipad mini目指して頑張ってください。?

少し予断が長くなりましたが、本題の合格者体験をお伝えしたいと思います。本日は芸大彫刻科合格者の体験記です。皆さんの参考にして頂ければと思います。

「合格体験記」

                        東京芸術大学彫刻科合格 大倉 未来

?私は高2から基礎科に通っていました。
高校が美術校だったので基礎は出来てる…と思っていたのが間違いだったと講評でズラッと並べられた他の人のデッサンたちを見て痛感しました。2枚目のデッサンでは1枚目で全力で間違えまくったデッサンと、そのデッサンを見て適切な指導をしてくれた先生のおかげで、笑える程に上達して感動と基礎の大切さを実感しました。

高3では、木炭をどう扱えば良いか分からず真っ白なデッサンだったのを先生が手を入れてくて、一瞬にして見事な立体を作ったマジックみたいな感動は今でも忘れられません。
高3は毎日が新しい事、新しい事を教えてもらえて、試して、出来なくて、出来る様になって、目まぐるしく過ぎて、あっという間に浪人してしまいました。

浪人の一年は今まで教えてもらった基礎の上に出来るようになった事を全力で試して、全力で間違えまくった年でした。全力で力を出しても信頼出来る先生達がそれを上回る程の力で軌道修正をしてくれたり新しい事を教えてくれたので、安心して1回1回に全力を注いで、間違えたり、試したり、極めたり、とにかく安心して壁にぶつかりに行くのが楽しい日々でした。
新美で教えてもらった事は私の血となり肉となりました。
信頼の出来る先生達と常に進化する仲間達がゴロゴロ居て、それに追いつこうと必死だったので合格出来たと断言できます!
私一人じゃ到底無理でした!
とても良い環境を用意してくれた親や新美や仲間に感謝しても感謝しきれません。濃密で楽しく刺激的な日々をありがとうございました!