カテゴリー別アーカイブ: 新美

展示会場の入場について

4月8日(火)合格者作品展示会の入場は、午前中よりアトリエ清掃のため入場が制限されます。誠に申し訳ありませんが、ご来場の際は1F 受付へお願いします。

同級生について(山口くん)

こんにちは。油絵科の関口です。さて、2月に森元先生のお話を書きましたが、今回はもう一人の芸大での同級生、山口晃さんについて(先日の講演会を聞き逃した、という人のためにも)書こうと思います。

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山口晃 作「百貨店圖 日本橋 新三越本店」2004年  © YAMAGUCHI Akira, Courtesy Mizuma Art Gallery

 

さて、皆さんは山口晃さんの事はご存知ですよね?テレビにもよく出演されていましたし、三越のポスターになったり、近年では横浜そごうで大々的な個展をやられていたので、ご覧になった方も多いと思います。仮に名前を知らなかったとしても、ネット等で作品を見た事がある人も多いのではないでしょうか?昨年は著書「ヘンな日本美術史」も受賞しましたし、ウチの学年では間違いなく一番の有名人です。それどころか、今や日本を代表する現代美術作家と言っても過言ではないと思います。

その山口さん…(うーん、僕には山口くんの方がシックリくるかな?以降は親しみを込めて「山口くん」と書かせてもらいますね)実は新美出身なんですよ。山口くんとは歳も同じで、1浪の時に同じクラスになりました。彼は群馬県出身。僕は新潟県出身。郷里は違いますが、同じ地方出身者という事で、最初の自己紹介の時に親近感を持ちました。

テレビでご覧になった方や、展覧会場で彼と会った事のある方は分かると思いますが、彼は基本的に低姿勢で、誰とでも敬語で話しています。実は浪人の時からずっとそうなんです。年上の人には勿論、同い年の僕等や年下の人にさえも敬語で話しますし、彼から乱暴な口調を聞いた事は一度たりともありません。話の切れ味は鋭いですけどね(笑)。有名になっても謙虚な姿勢は崩さず、決して威張る様な事もありません。そういうところは本当に素晴らしいと思います。僕は浪人の頃からずっと山口くんと呼んでいますが、芸大の同級生の皆からは「山ちゃん」と呼ばれて、親しまれていました。

彼の浪人時代の印象は「穏やかで冷静」「自分をしっかり持っているのでマイペース」「几帳面で真面目なのに面白い人」でした。当時僕等を受け持っていた先生2人は、どちらも情熱的で熱い人でしたので、先生方と正反対な山口くんは、人知れず苦労したんじゃないかと思います。大人しい性格から来るのか、先生には油絵の時に「もっと絵の具を乗せろ」と言われていた覚えがあります。浪人の時は何とか厚塗りにもチャレンジしていたようにも思いますが、大学に入ってからはちゃんと薄塗りに戻っていました。
そう言えば入試直前に先生のアドバイスで「途中まで描いていた絵をひっくり返して、それを下地にして描け」と言われて、実践していた事もありましたね。もう24?25年前の事ですが、今よりずっと狭かったアトリエの中で一緒に苦労した記憶は、鮮明に蘇ってきます。

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これは山口くんが浪人時代(1浪)に描いた人物油彩。本人は恥ずかしがっていましたが、結構上手に描けています。今となってはチョー貴重な一枚です。講演会では他にも数枚スライドで披露させてもらいました。

 

あと浪人時代に山口くんのスケッチブックを見せてもらった事があります。いわゆる落書きなんですが、それがまたすごいクオリティーなんです。その時点で既にプロ並みの腕前を見せており、現在の片鱗を垣間見る事が出来ました。

彼は1浪で造形大と多摩美に合格し、多摩美に進学する事になりました。一年間通ってから再受験し、見事芸大に合格。僕は2浪したので、大学でも同じ学年になります。

?大学に入ってからの山口くんは、既に自分のやりたいイメージをハッキリと持っていた様に思います。(実はお話を聞いてみると、色々と試行錯誤の連続だったそうで、紆余曲折の末に今に辿り着いている様です)キャンバスに油絵具で、日本画の様な線描と昔の日本の絵に出てくる様な雲も学生時代から描いていました。今から思うと、美術作家「山口晃」の原型は20歳前後で早くも完成されつつあったと思います。

あと、学年が幾つか上の会田誠さんと一緒にグループ展をやっていた事もありました。確か「コタツ派」とかいう名称だった様な…今程ブレイクする前に何回かギャラリーで見せてもらいました。

彼のアトリエには、いくつも並べたビールケースの上に畳が敷かれ、ちょっと変わった和室の様な空間を作って制作していました。

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これは卒業制作のアルバムに載っている集合写真。山口くんは最前列一番右。僕や森元先生も写っています。(卒業以来会っていない人も結構います・・・懐かしいです)

 

ちなみに山口くんは、大学院を田口安男研究室(田口先生は既に退官されています)に入りました。僕も実は同じ研究室を希望していましたが、田口先生から「君は決して落ちる順番じゃないが、ウチはもっと上位の人が受けているし、留学生も取るから、第二志望の研究室に行って面接を受けてきなさい」と言われ、結果的には第二希望の技法材料研究室に入る事になりました。(当時の大学院は卒制の順位で決まる、と言われていました。研究室の定員は3人。山口くんはかなりトップの方で、もう一人の方も上位だったという事です。僕がもうちょっと上位だったら、山口くんと同じ研究室だったかもしれません)

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これは卒業制作「深山寺参詣圖」の制作途中。卒業制作カタログにしか載っていないレアものです。完成した図版と比べてみると違いは歴然です。(色の違いは図版によるものかもしれません)

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山口晃?作「深山寺参詣圖」1994年   © YAMAGUCHI Akira, Courtesy Mizuma Art Gallery

 

森元さんの時にも書きましたが、僕の通っていた技法材料研究室は、油画の研究室とは離れたフロアにありましたので、やはり大学院の時の山口くんも殆ど知りません。

森元さん同様、山口くんも大学院を修了した後、助手を経験します。

そして2人はその後新美に講師として呼ばれ、半年間同じクラスを持つ事になります。森元さんと山口くんのクラスは「ドリームクラス」と言われ、油絵科の中での異色コンビとして注目を浴びていました。ちなみに、その時二人のクラスの成績はすごく良かったですよ。

その後、山口くんは新美に残る事なく、美術作家として大活躍する事になります。決してブレる事なく、同じスタンスでコツコツと仕事を続ける事で成功した一人です。皆さんも自分の好きな事をやり続け、人々の心に残る美術作家を目指して頑張って下さい。

 

4/6(日)推薦入試・理工系建築説明会 実施します。

こんにちは。イベントの告知です。

明日4/6(日)は1日体験講習を行っています。
10:30からは申し込み不要の「保護者対象 受験ガイダンス」を行います。
分かりにくく情報も少ない美大入試について、丁寧にご説明いたしますのでぜひご来校お待ちしています。
(新宿校、国立校両校で実施します)

また新宿校では16:30より、「推薦入試および理工系建築 受験説明会」を行います。
受験生、保護者の方、また高等学校教員の方を対象としています。こちらも申し込み不要です。
美大でも推薦入試を実施する大学が増え、その内容も多岐にわたります。
場合によっては一般入試よりも難易度が高いケースもあり、事前情報をしっかりと入れて準備することが大切です。
また理工系建築学科で「実技試験」を課す大学がいくつかありますが、その対策をどうすればよいのか結構知られていません。芸大美大との併願がしやすい大学なども含めご説明します。

全体説明の後、個別相談のお時間もお取りしております。
ぜひご来校ください。お待ちしております。

http://www.art-shinbi.com/startevent/index.html#suisen

国立校 春期講習会

新宿美術学院 国立校 基礎科です。
というご挨拶も今回が最後です。
4/10より、新宿美術学院 現役校 enart 国立が本格開校です。
基礎科のみでした国立校は、高校3年生を対象とした
受験科が併設されます。
又、日曜日には学科の授業も始まりますので、
美大現役合格を目指す、新高校3年生の皆さん、
無料体験もありますので、お気軽にご参加ください。

enartタイトル ena相関図 カリキュラム
学科

春期講習もラストスパートです。
皆さん、本当にお疲れ様でした。
先生との面談中、家に帰ると疲れ果てていて、何もできずにすぐ寝てしまうと
いう生徒さんがいましたが、先生曰く、それが当たり前、6時間集中して絵を描くというのは、
本当に大変なことであって、帰りに元気なようではだめだそうです。
そのくらい集中しなくてはいけないということですね。
総合講習 油絵コース デッサンモチーフ。
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基礎講習  初級デッサンモチーフ。
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総合講習 デザイン・工芸コース。
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国立は桜が満開でした。
来年の桜も、笑顔で一緒に見たいですね。
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2013年度彫刻科入試再現 芸大 制作プロセス

1次試験はジョセフでした。構造や光源設定など、基本的なことはもちろん外せませんが、それ以上に結果的にその像の印象がしっかりと出せているかどうかが評価のポイントとなってきます。ポイントを「外さないこと」も大事ですが、だからといって守りにはいってしまうのではなく、しっかり攻めて印象を引き出すことが求められます。ジョセフとしての魅力がしっかり伝われば必ず評価されます。
Kさん(現役)の作品。
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Nさんの作品。
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2次素描はこれまでアルシュ紙だったものが木炭紙に変わりました。描画材はこれまで通り鉛筆、コンテです。課題はアルミホイルで任意の幾何形態(形歪んでいてよい)をつくり、両手で持った状態を描きなさい。でした。近年素材を造形させて描かせる課題が続いていますが今回もそれに近い物でした。今回の課題は結構手間のかかる課題だったので3時間の中でしっかり完成度を上げるのは大変だったと思います。2次素描では単純に技術を見るだけでなく、作家としてのセンスも見てきます。それを短時間で言い切る(密度を上げる、ということだけが答えではない)力を養っておきたいです。
Kさん(現役)の作品。アルミホイルで三角錐をつくりました。
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Nさんの作品。多面体2つです。
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2次塑像はゲタの模刻でした。これまで出題されたことが無かったので驚いた人も多かったと思います。彫刻科の入試での決めてはやはり塑像と言えるでしょう。1次が高得点で合格しても、塑像が十分でなければ最終合格は掴めません。しっかりと彫刻そのものを理解し、構造を分析できる力が必要です。
Kさん(現役)の作品。
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Nさんの作品。
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芸大受験においては基礎力がしっかり身に付いているかどうかが最も重要です。そういった意味で、これから彫刻を始める人ではダメで、彫刻家としての最低限の力がすでにある人でないといけません。大学に入って基礎練習などしません。すぐ作品をつくれるレベルでないといけないのです。そう考えると予備校で学ぶ1年間って、とても重要なんだなと思いませんか?近年少子化で、受験生の現象によって大分倍率も下がってきまた。この10年で半分になりました。今年は22名合格した内8名が現役生だそうです。今や芸大は誰にでも合格するチャンスのある時代です。立体造形に興味があって、頑張って学ぶ気持ちがある人はぜひ挑戦してほしいです。