カテゴリー別アーカイブ: 新美

油絵科 現役生 合格体験記

こんにちは。学生課です。
先日、2015年度に芸大油画に現役合格をした宍倉君と、油絵科夜間部の阿部先生とで対談を行いました。
今まさに夏期講習中で、色々悩んでいる現役生も多いのではないですか?
新美HP特設サイトで、対談の様子や、宍倉君の夏から合格にかけての作品を紹介しています。
みんな悩んだり試行錯誤しながら、制作しているんですね、、! ぜひご覧ください。

http://www.art-shinbi.com/event/abura_taidan//

対談

「芸大油画 12年連続合格No.1の新美が解く、芸大油画」特設サイトはこちらから。
http://www.art-shinbi.com/event/oil_painting/

今後もいろいろな特集を組んでいきます!
たまに新美HPをのぞいてみてくださいね!

 

 

 

 

日本画科 夏期講習まっただ中!

こんにちは!日本画の佐々木です。

早いもので夏期講習ももう中期です。皆さん調子はどうでしょう?
私が受かった年の夏期講習は、いい作品なんて一枚も描けず、自分が出来ないことが山積みなのがはっきりわかった……だけ。という苦い思い出しかありませんが、この時期の悩みや不安はこれから受験までのとても大切な鍵です。
今つらい人は、それと向き合った先にきっといい結果が待っていますよ!

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さて、今年の新美の夏期講習はこんな感じです。
とても活気があってアトリエがパンパンです。夏!って感じですねえ。

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講習会でもどんどんデモストしちゃいます!
前光の難しい位置から、ラオコーンを描く坪井先生。

完成はこちら。
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さすがの貫禄です…!
坪井先生の絵は、立体感を大きく出しつつも、細部の描写がかなり充実したデッサンです。
時間内に立体も、描写も…と、仕事を詰め込むため、とんでもないスピードで絵が進んでいきます。
受験の時にこんなひとが隣にいたら、ちょっと焦りますね…。

浪人生、現役生、さらには講師まで混じっての制作で、みんな沢山の刺激を受けているようです。
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今までの自分を超える一枚が描けたことも、自分史上最低な絵を描いたことも、講評で悔しくて泣いたことも、全部自分の栄養になると信じて。がんばろーう!

 

亜斗の件、一の巻answer

こんにちは、油絵科夜間部です。

前回の”亜斗の件”、覚えていらっしゃいますか?

ケンとハートの闘いです。
それは、ある作品のオマージュ?というと大層ですし
パロディーというと、クレームがつきそうですが、
そのような体のマンガもどきになっています。

「解説は次回に・・・」で終わらせてしまいました。
何の作品が元になっているのか?
お分かりになったでしょうか?

もちろん、お分かりになったかと?思いますが?
答えは、オノ・ヨーコさんの「天井の絵画」です。

オノさんのロンドンでの初個展(1966年・インディカ画廊)で
展示された作品です。

後の旦那、ジョン・レノンとの出会いのきっかけとなった
あまりにも有名な作品です。

ジョンは、こう語っています。
「レコーディングがない日は、画廊なんか観るんだ。
何か凄い女がショウをやるって、耳にした。そこでプレビューに
行ってみたんだ。(中略)天井に絵があって、それを見る為に梯子が用意してある。黒っぽい絵に見えて、それを見上げる為の双眼鏡がくっついている。で、梯子を登って双眼鏡をのぞいた。そこには小さな文字で“YES”と書かれていた。肯定的なのさ、だから救われた。すごい感銘を受けた。それから、彼女がやって来て、カードを手渡された。“息をしなさい”って書いてあった。」

解説1

さすがオノさん、シビれます。ジョンには、最高のタイミングだったのでしょう!この出会いは、彼女の最高傑作だと私はふんでいます。

その個展前の彼女の作品は、展示ができるような、具体的なものとして残らない作品がほとんどでした。映像とか、ハプニングです。この出会いを狙ったのではないかと、思えてなりません。

この後、彼女は飛躍的に変わっていきます。作品も知名度も。それは、色々な意味で手放しに良かったとは言えないかもしれませんが、本人が強く望んだことではないでしょうか?

解説2

因みに、彼女がジョンにやられた出会いは、違っていたようです。

「ジョンが”金槌で釘を打て”というタイトルの作品に向かって、釘を打っていいかときたのです。象徴化された作品で、傷ひとつない釘が置いてあった。釘を打ち込みたい人は、1本5シリングを払うということに決めてあった。だからそのことを伝えると、ジョンは暫く考えて、「じゃあ、空想の打つならどうなるか?」と聞きなおしたんです。すばらしかったわ。それこそ私のゲーム。ジョンと私は同じ次元のゲームをしていた。その時、彼が誰だか知りませんでしたけれど。誰だか知ってからも何もいうことはなかった。私のいう意味は、つまり、芸術から見たビートルズの存在は”べつになんとも”ってものだったということ」

金槌を打つ

「私は美人で、頭も悪くないし、身体もいいし、幼い時から、廻りの人に気をつかって、随分尽くす性だし、今は、その延長で世界の為に、と自分の出来るだけはしているのだから、自分では何もコンプレックスを感じていない。それがこれだけ悪口を云われて来た、と云うのはどういうことなのだろう。」(中略)

「空の美しさにかなうアートなんてあるのだろうか。私はただ私でありたい、と思って暮らして来ただけだ。その私であると云うことが、そんなに怒りをうけるのだったら、人間社会はこわい、と思う。」(中略)

「自分のいい子ぶりにウンザリしている位で、略、本当は世界にむかって、バカヤローと叫びたいのが本音だ。」1984年10月 ニューヨークにて

私も同感、バカヤローと叫びたいところですが、特に油画科の受験生には、思い切って、バカヤローと叫んでほしいものです。

映像科:夏期講習はじまりました&夏のオススメ展覧会

こんにちは。映像科講師の森田です。梅雨明けと同時にいよいよ始まってしまいました、夏期講習・2015。映像科の講習は4つのタームで全22日間ですが、長いようであっという間です。猛暑とエアコンの挟み撃ちで体調管理も大変ですが、がんばっていきましょう!

7/20から始まっているⅠ期(6日間)では、感覚テストの題材を探して新美の周辺をフィールドワークしたり、小論文の具体例を探しに美術館へ行ったりと、一学期までの授業とはちょっと違ったプログラムも用意しています。この日の授業では、新美からすぐのオペラシティアートギャラリーの『鈴木理策写真展』とICC(インタ・コミュニケーション・センター)の『OPEN SPACE 2015』で取材。半日かけて見学した内容を元に作品鑑賞レポートをまとめるという授業です。

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と、制作期間はひたすらアウトプットの日々になってしまいますが、同時に夏の間に色々観に行って発想のソースを増やしたりもしたいですね。そんなわけでこの夏の期間に開催されているオススメ展覧会をいくつか紹介しておきます!

①川崎市民ミュージアム『木村伊兵衛賞 40周年記念展』開催中(~9/23まで)
「写真界の芥川賞」と言われたり言われなかったりする、若手写真家を対象とした「木村伊兵衛賞」の40周年記念展。先ほど話題に挙げた鈴木理策をはじめとして、ホンマタカシ、志賀理江子、梅佳代、近年では川島小鳥などといった歴代の受賞作家の作品が一度に観られる豪華な展示となっています。
都心からだとちょっとアクセスに時間がかかる場所だからこそ、余裕を持って観に行きたい美術館でもあります。また展示以外でも、貴重な映像のアーカイヴ(特にドキュメンタリー)が充実してたりもするのでオススメです。

②東京国立近代美術館『事物-1970年代の日本の写真と美術を考えるキーワード』開催中(?9/13まで)
タイトルからしてちょっと難しそうな内容ではありつつも、まさに「写真と美術」あるいは「映像と美術」について知る上ではこの上ない展覧会だと思います。チラシのデザインで使われていた中平卓馬の『なぜ、植物図鑑か』は映像科生へのオススメ図書でもあります。
ちなみに18歳未満は入館無料というのもポイントが高いですね。同時に開催されている企画展『No Museum, No Life?ーこれからの美術館』もぜひ一緒に。平日であればお堀の周りを散歩しつつ、神保町まで歩いてみて古本屋を散策したりするのもオススメです。

③銀座メゾン・エルメス Le Forum『境界 高山明+小泉明郎展』7/31?10/12
演出家として演劇という枠組みを超えて作品やプロジェクトを発表している高山明と、以前にもこのブログで個展を紹介した小泉明郎の二人の作品が観られるということで、個人的にはこの夏一番楽しみにしている展覧会です。
余談ですがこのギャラリーに行くためにはエルメス銀座店の店内を通り抜けなければならず、毎回微妙に気まずい感じでエレベーターに向うことになります。初めて行く人は、入店と同時に素直に店員さんにギャラリーへの行き方を聞くのがオススメです。

では良い夏を!!

1学期末ラスト 大型石膏頭部模刻。

学科はしっかりやってますかー!?
こんにちは。彫刻科の小川原です。彫刻科昼間部で1学期末に3日かけて大型石膏像の頭部模刻を行いました。実際試験では出ませんが、そこを突き抜けてこういった課題に体当りしていくことで視野も広がるし、意識も高まっていくことだと思います。
ジョセフ。
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出だしでは量の大きさに翻弄される部分もありましたが、最終的にはかなり印象を合わせてきました。慣れている像であっても、初めてつくる像であってもその魅力に反応していければ今持っている技術で充分な物が出来るでしょう。

ラオコーン。
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土付けは地味ですが、裏を返せば丁寧に対象を追えています。ここまで合わせてくると、むしろやるべきことがどんどん見えてきて、いくらやって終われない。ということに気付いてくれたと思います。それらをやり切るためには前半の見切りを限りなく正確にしていき、時間を短縮していく必要があります。繰り返しトレーニングを積んで的確な荒づけ作業が出来るようにしましょう。

さて、しばらく前に課題で行なった実在実習の木彫作品が完成しているのでそれも紹介したいと思います。

「動」をテーマにした手の木彫です。
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正直うまいなと思いました。大学生より上手いんじゃないかな 笑。粘土でつくったり、デッサンを描いてみれば分かる通り、手はとても難しいんです。これだけ複雑なものを木の塊から彫り上げるというのは半端なデッサン力や、形体を見切る力では出来ません。その上道具の使い方も慣れが必要です。彼は初めて木彫を行いましたがこの1作品の中でそれらの能力を伸ばしながら同時に完成へと向かって行くことが出来ました。彫刻の制作においては作る形によって常に新たなスキルを身に付けていかないといけないので、こうした経験が出来たことは彼にとって非常に有益なものであったと思います。

今回は最後に今制作している本制作の作品を紹介します。「夜」をテーマにした作品。もう大分進んでいますが、少しずつ順を追って解説していきたいと思います。
僕は制作前に必ずデッサンを描きます。デッサン、塑造、木彫の順に段階を経て実際の形にしていくのですが、これはすぐ直せる順ということです。特にデッサンはすぐ印象が確認できるし、直すのも楽なのでイメージ作りにはとても重要です。
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次は塑造です。塑造したものをパーツごとに分解、中空にくり抜いて窯で焼成、再度組立ててそれをマケット(実制作の模型)とします。この段階では実際に立体として像を確認できるので、デッサンでは想定できない部分を補っていくことが出来ます。粘土なので形の変形が瞬時に感覚的に行えるのが良い所です。
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そして木彫へ。これまでにイメージを深めてきたことを木にぶつけていきます。まずはいらない部分を大きく落としていくためにザックリとしたデッサンを入れるところからです。ここでミスすると作品としてのダメージが大きいので何度も確認します。
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続きはまた次回。

僕は大学で木彫をやらなかったですが、卒業後しばらくたってからいきなり始めていつの間にか5年くらい経ちました。大分慣れてきた感じがします。

20日から夏期講習が始まりますね!僕の目標は夏期講習中に現役生も含め、全員を実際の試験で戦えるレベルに限りなく近づけていくことです。
もう勝負は始まっています!頑張りましょう!