カテゴリー別アーカイブ: 新美

公開実力コンクール

こんにちは。
10月の連休に公開実力コンクールを実施しました。
入試を想定した実技模試です。
今回は東京芸大日本画、東京芸大彫刻、武蔵野美大視覚伝達デザイン、工芸工業デザイン、空間演出デザイン、映像でした。
遠方からもふくめ、多数のご参加ありがとうございました!!

入試さながらの緊張感と時間対応に追われ、特に現役生には良い経験になったのではないでしょうか。思うような結果が出なかった方、試験本番までにまだまだ伸びます!(勉強も!)
これからさらに集中力をあげて頑張りましょう!!

10月末から11月にかけて、他の専攻の模試も実施します。
ぜひご参加ください。http://www.art-shinbi.com/contest/index.html

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会場

 

彫刻科 公開コンクール直前!!

こんにちは!彫刻科講師の稲田です。2学期も1ヶ月が過ぎ、はやくも公開コンクールの時期が迫ってきました!
彫刻科の公開コンクール日程は、10月11日(日)の木炭デッサン、10月12日(月・祝日)の塑造の順に開催です。

最近、生徒のみんなを見ていると少し疲れ気味にみえます。毎日制作を頑張ることは大切ですが適度に休むことはもっと大切です!自分の体調を整えて万全の態勢でコンクールに臨みましょう!!

 

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では、今回も優秀な作品を紹介していきましょう!!
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昼間部生の木炭デッサン「ヘルメス」
形の実在感が強く、形態を目で追えるところが最大の魅力です。丁寧な観察と確かな素描力を感じさせます。もう一歩、像を取り巻く空間を感じさせる意識が加わればより高いレベルに到れることでしょう。

 

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昼間部生の木炭デッサン「ジョルジョ」
像の大きさ、印象共によく捉えています。形に対する追い方が荒削りな部分も見られますが、今回はそれがかえって勢いを感じさせるように上手く働いています。像の持っている魅力に迫るという点が作者に日頃から最も持ってほしい視点なのでクールに流さず誠実に形を追いましょう!

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昼間部生の「ブルータス」模刻
高い完成度でブルータスの印象をよく掴んだ力作です。作者には高い塑造力があるのですが、作りこむ段階でついつい見る視野が小さくなっていき形がボコボコすることがあります。それさえ、自分でコントロールすることが出来れば言うことがないのですが。

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昼間部生の「造形構成」素描
プラスチック板とリボンの構成ですが折りたたんだ板をリボンで結ぶ構成も面白く、折りたたむことで出来た空間もスカッと描けています。作者には物を構成している大きな面の意識を強く持ってほしいです。

以上が今回の優秀作品紹介でした!公開コンクールでもみなさんの力作期待しています!!

次に以前ブログで告知があった、保存修復家にして作家の吉水快聞(よしみず かいもん)さんのインタビューが新宿美術学院のホームページのトップ画面にアップされています!!
学生の皆さんには、保存修復??っという人も多いかと思います。彫刻の道の中にもいろんな仕事があるのだと知る良い機会です。是非、目を通してみてください!!

最後に、私事ですが『第10回 アトリエの末裔あるいは未来』という東京藝術大学美術学部彫刻科木彫研究室主催の展覧会に作品を出品します。

【会期】2015年11月20日(金)?29日(日)※23日(月・祝日)開催、24日(火)休    館  10:00?17:00です。

【会場】東京藝術大学 大学美術館陳列館、旧平櫛田中邸

活躍されている先輩方から在学の学生まで、これだけの木彫作品を制作しているメンバーが一同に集まる機会はそうそうありません。時間があれば是非見に行ってみてください!!よろしくお願い致します。

では、今回はこの辺りで!!次回のブログは氷室先生です。宜しくお願いします!

映像科:おすすめの本/多木浩二『生きられた家』

こんにちは、映像科講師の森田です。
冒頭から非常に個人的な話で恐縮ですが、近々自宅の引っ越しを予定しています。数年とはいえ自分が住んだ場所を離れるのは、やはり感慨深いものがありますね。

日頃時間があるとふらっと本屋行くことが多いですが、そんな個人的な理由もあって、最近はついつい「家」や「住宅」についてのコーナーに吸い寄せられて、気になった本を手に取ってしまいます。その中で「おや」と発見したのは、平凡社の「くうねるところにすむところ」シリーズから出ていた奥山明日香さんという人の『「生きられた家」をつむぐ』という本でした。2013年に出版されていたこの本は、多木浩二さんという人の『生きられた家 経験と象徴』の文章が下敷きになっています。

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多木浩二さんは数年前に亡くなられましたが、美術、写真、建築…など非常に幅広い対象について評論をした人です。森山大道という人や、やはり最近亡くなられた中平卓馬という人たちと60年代後半に伝説的な写真雑誌『プロヴォーク』を出版した…と言えば、写真に興味を持っている人にはわかるかもしれません。そうした幅広い活動の中にあって、この『生きられた家』という本は、ベースには建築を対象とした批評がありますが、文章も比較的柔らかく、多木さん自身の幼い頃のエピソードなども書かれていて、評論文というよりはエッセイという感じです。
一方奥山さんの本の方は、多木さんのテキストを引用しながら、自宅の写真や文章が加えられていて、こちらもなかなか素敵な本でした。

ちなみに『生きられた家』という本は、1976年に出た本ですが、たびたび版を重ねています。岩波現代文庫版ならば手に入りやすいと思います、と書いた流れで調べてみたら(amazon)そうでもないみたいですね…。でも図書館などには置いてあると思うので、ぜひ手に取ってみてください。先ほど評論文というよりはエッセイ、と書きましたが、むしろこういう柔らかい文章、自由な書き方も評論にはあるんだなということを知ったという意味で、個人的にもとても好きな本です。
個人的にとても好きなので映像科の小論文の授業でも紹介したこともありますし、数年前には武蔵美の学科試験にも使われていて(確認したら2014年度入試のB日程でした)、ちょっと嬉しく思ったりもしました。まぁ、受験生にとってはなかなか手強い文章なので嬉しくはないと思いますが…。

いずれにしても、エッセイでも、評論でも、ぐっとくる文章を読むと思わずヴィジュアルつまり映像、そして物語が頭に浮かぶことがありますね。そういう感覚って映像科の実技課題ではもちろん必要ですが、何かを作る人にとってとても大切なことだと思います。
最後に『生きられた家』の一節を引用してみます。あなたならばこのテキストからどんな映像が浮かびますか?

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「人が立ち去ったばかりの部屋に入ると、この活動の残したエネルギーが頬をうつ。空洞化した部屋の壁や床や天井には無数の痕跡が見出される。壁や柱の上の落書き、原因がそれとわかるようなしみ、わからぬ汚れ、残していったカレンダー、はがされたピンナップのそこだけが妙に白い痕などが、謎めいたことばを語りはじめる。空虚なはずの家がことばで充満し、叫び声を押し殺しているように見える。(略)痕跡を眼にしたとき、われわれはすばやくこれを読みはじめているのである。」

バルールについて

こんにちは。油絵科の関口です。
さて、皆さんはバルールという言葉の意味を理解しているでしょうか?
え?バルールなんて聞いた事もない?油絵科では既に死語になりつつある言葉なんでしょうかね…。僕も年に1?2回言う程度ですからね。でも絵を描く上でとても大切な概念なんですよ。

バルールという言葉を調べると、必ず「色価(しきか)」という言葉が書かれていますが、日本語に訳されたこの言葉を見て「なるほど、意味が分かった!」という人は殆どいないのでは無いでしょうか?この文字を初めて見た人の多くは「色価?何それ?」となる事は間違いありません。誰が最初に訳したのか分かりませんが、もう少し分かりやすい(伝わりやすい)言葉は無かったのでしょうか?と考えてしまいます。

この言葉を理解する上で、よく例に出されるのは、ボナールの作品です。ボナールの絵を白黒画像に変換すると、まるでデッサンのようにちゃんと明度が合っていて、空間的にも全く違和感を感じません。bonnard1at-sea-1924

あと、マティスの「緑の筋のある婦人」もバルールの話になるとよく出てきますね。自分にとっては、もう見慣れてしまってよく分からなくなってしまいましたが、初めて見た人は顔の真ん中にある緑色の筋が気になるようです。

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要するに、バルールとは、色彩(有彩色)を明度で置き換えた価(=値・あたい)が、画面上で相対的に正しく表現されており、それが画面の空間に正しく収まっているのか?を問う言葉として、一般的に使われているようです。

 

ちなみに英語で明度の事をvalueという事があります。
実際にアクリル絵の具・リキテックスのラベルには、その色のVALUEの数字が割り振られています。例えばチタニウムホワイト(一番明るい色)にはVALUE:9.6という数字が、マースブラック(一番暗い色)にはVALUE:1.5という数字が書き込まれています。?Ê?^ 4

全ての色に数字が割り振られているので、色を選ぶ時にどちらが明るくて、どちらが暗いかを数字で判断できます。(リキテックスでは数字が大きい程明るい)

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上の絵具をパレット上に出したもの。左側が明るいのが分かりますね。

なので、リキテックスに関してはこの数値を気にして色を混ぜていけば、理論上正確な明度で絵が描ける事になりますね。例えば、同じ数字同士の色を混ぜれば、同明度で色相を変えたり、彩度を落とす事が可能です。リキテックスを使っている人は試してみてはいかがでしょうか。
リキテックスのVALUEは数値化されているので、音楽でいう絶対音感みたいな感覚なのかもしれませんね。

 

さて、もう一度バルールの話に戻します。
何故日本ではバルールという言葉を「明度」と訳さなかったのでしょう?
確かにバルールは狭義では、明度と空間的な位置関係の事を指します。では明度が合っていて、彩度や色相が合っていない場合はどうでしょう?

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パソコン上で彩度や色相を変えてみると、分かりやすいですね。明らかに色が飛んでいたり、鑑賞者に変な印象や違和感を与えてしまいます。これではバルールが合っているとは言えません。

つまり、バルールとは色の三要素である「明度、彩度、色相」と絵画上の空間の関係が正しく表されているか?を指す用語なのです。 え?やっぱり分かりにくい?・・・これ以上簡単に説明できなくて、申し訳ありません。

では、仮に画面上で色が飛んでいたとしても、他の方法でその色を空間的に収める事が出来たとしたら、バルールは合っている、という事にならないでしょうか?
・・・こんな事を考えていくと、まだまだバルールという言葉を死語にしてしまう訳にはいかないですね。

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最後に宣伝です。10月19日(月)?29日(木)に銀座のギャラリー和田で、個展を開催致します。
お時間のある方は是非見に来て下さい。

日本画科 せっかくの秋なので

こんにちは、日本画の佐々木です。

日本画科は前回の大作に引き続き、今週は葛西臨海公園に校外スケッチ授業に飛び出しました!

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海です!
この日は台風の直前で天気にも恵まれ、絶好の校外授業日和でした。
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私も久しぶりに海に行きましたが、浪人中は夏休みも冬休みもアトリエで絵を描いているので、たまに外に出るといろいろな物が新鮮ですよね。
みんな思い思いの物を観察していました。

せっかくなので、お昼はみんなでバーベキュー!
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火がつかないというハプニングがあったり…
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生徒よりはしゃぐ主任と講師…IMG_6151
いつも頑張っているみんな、たくさん食べて栄養つけてくださいな。
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終わる頃にはみんなお疲れで目が遠くを見ていましたが、ちょっとリフレッシュできた1日だったのではないでしょうか?
これからいよいよ受験シーズン。いっぱい充電して、がんばろう!