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6月19日にプレ夏期講習会。芸大デザイン科の「手」の構成デッサン授業です!!

雨降り季節の6月ですね。デザイン科総合コースの滝口です。

そんな6月で、はや1学期終わりも直ぐになってきましたね。
6月19日の日曜日に、プレ夏期講習があります。
今年は、新美の講習会の授業を1日しっかりと体験出来る様に、オープンスクールという形にして、講習会の雰囲気をしっかりと味わえます。

芸大デザイン科では、一言にデッサン試験と言っても、様々な課題もあって対応するには多くの内容が求められています。
短期間で色々と理解したいし、デッサン力もつけたい。
そんな要望をしっかりと応えるべく、ポイントをしっかりと説明して、1枚1枚のデッサンの中でステップアップ出来る様に指導していきます。

課題は、芸大デザイン科は「手」を含めた構成デッサンを行います。
そこで、先日授業で行われた「手」のデッサン課題の一部を、僕も参加したデモスト作品も踏まえて、そのポイントをいくつか挙げてみたいと思います。
※「両手を描きなさい」という課題で、画面サイズは芸大サイズです。

先ずは描き出し。
当たり前ですが、石膏と違って手は動きます。その『動いてしまう』というところが、形を取る上でポイントとなります。この描き出しは、大体15分程度です。
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次に調子を乗せてみます。
ここでのポイントは、石膏や静物デッサンと違って、『光の設定は自由に出来る』です。
その具体的な表現の仕方は是非指導で!!
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描写ですね。手って固有色もあるし、人それぞれ指の形ととか肉付きも違うから、描く所を見つけるのって苦労しますよね。
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フィニッシュワーク。いっぱい描く経験も大切ですが、ポイントをしっかりと理解出来たら、画面のサイズが変わっても、時間が少なくなっても的確に表現出来る様になります。
このデッサンは、おおよそ6時間?7時間程度で、芸大サイズ(木炭紙大よりも少し大きめ)です。時間に余裕があったので色々と細かい描写も出来ました。
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少し学生のデッサンの紹介と講評の具合も。
この学生は、何と手を描くのは初めてだったそうです。石膏デッサン等で、基本的なデッサン力はついていますが、初めてでここまで描けるれば十分ですね。
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次の学生の作品は、少し構成が小さくなってしまいましたが、とても光の設定や色合いが素敵ですね。
まだ形のズレもありますが、ポイントはしっかりと押さえられています。
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この学生の作品はまだ制作途中段階ですが、こちらも手の質感や色合いがとても奇麗です。構図の大きさも心地良いですね。
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先ずは手の基本的なデッサン力を身につけるのは大事ですね。そこから色んなポーズや関係等も描けれる様になって行きます。
夏期講習では、そこまでのレベルまで到達出来ていれば、手の構成デッサンはバッチリ!!
新美の芸大デザイン科構成デッサンコースでは、しっかりとそのレベルまでポイントを教えて行きます。勿論、石膏やモチーフのみの構成もあるので、他にも色々な課題への実力アップを実現します!!

先ずは、19日のプレ夏期講習会で体験してみて下さい!!
お申し込みはこちら。
https://pro.form-mailer.jp/fms/00160c9e93086
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新宿校基礎科の ”専門課題”

新宿校基礎科は、6月に入り本格的に専攻別の課題に取り組んでいます。

はじめての道具で、はじめて取り組む専門課題。
1学期はじめから特訓したデッサンの基礎をベースに、それぞれの専攻の作品作りで出てきた作品をご紹介します!

「油絵」
油の道具を揃えてはじめての油絵制作。
短い時間で集中して少し小ぶりのサイズで、静物油絵を制作しました。
オーソドックスなモチーフを、それぞれの感覚で切り取り描かれています。

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固有色の描き分けや、主役となる頭骸骨のレプリカの細かな描写もそれぞれ成功していると思いますし、モチーフの後ろに垂らされた白布の表現もなかなか美しくできているのではないでしょうか。
欲をいえば、固有色だけにとらわれず、隣り合ったモチーフや、周りの空気感もモチーフとして受け止めて、個々を描き分けるだけではなく、画面全体の色彩の響き合いや、個々と個々の隙間も表現することに挑戦してみるのも良いかもしれません。

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固有色だけにとらわれず、それぞれの色味の中から色彩を見つけて描写表現ができていると思います。また、画像上ではなかなかお伝えできませんが、油絵表現らしい絵の具の厚みや艶やかな表現も魅力的な作品です。
光側の描写や、絵の具使いは作者の思い入れを感じますが、影側の表現が黒色に頼った表現だけになっているのがもったいないところ、、。影の表現は表情豊かに各々のこだわりを出せるアイテムです、是非その部分にもこだわりを持って作品作りをしてみると良いかもしれません。

 

「日本画」
日本画、一番最初の課題はパパイヤを細密着彩してみました。
着彩と言っても、普段日本画の生徒が行っている着彩ではなく、「赤」「青」「黄」の三原色のみ、色を限定しての着彩にしてみました。
今回は「白」「黒」を使うことは禁止しています。

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よくやった!の一言に尽きる作品が出てきました。
しかも、この絵を描いた子はこういった水彩絵の具での細密は初めてでした。
紙の字の白さをうまく生かしてパパイヤの実のオレンジ色を表現しているところや、皮の独特の湿度や模様を上手く表現できています。
種もよく観察して、黒い色も一生懸命作って塗ることができています。
欲を言ってしまうと、影の色はもう少しこだわって欲しかったなぁというのはありますが、それにしてもまぁ上手で講師陣はびっくりした次第です。
三原色という限定した着彩だからこそ、よく考え、工夫を凝らして観察することができたのではないでしょうか。

 

「彫刻」
水粘土を使い彫刻科の塑像を行いました。最初の課題は片手の模刻。今回は構成の要素よりも形をしっかり作ることに重点を置き制作しました。新美で心棒から作って土付けをするのは初めて、シュロ縄の扱いや心棒の作り方まで、早く覚えてもらいたいものです。

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指先と手の平との接点や、腕の切り口などはまだまだ観察が必要ですが、全体的には手らしいフォルムがよく作られています。指を開いたポーズを作る時も、このような意識で作れると良いですね。
手は、構造をしっかりと捉えて手首・手の平をしっかりと作り、その土台に指を付けていけば短時間で手の全体感は掴めます。各関節や指先・爪など細かい構造はありますが、まずは全体を捉え、構造や塑像板上での空間を早めに掴みましょう。

映像科:武蔵美の「感覚テスト」って?

こんにちは、映像科の森田です。ついこの間一学期が始まったと思っていたのですが、気がつけばもう6月。今週末は武蔵美のオープンキャンパスもあり、少しずつですが受験ムードが出てきた気がします。

さて、今回は前回の「小論文」につづいて、映像科の試験で代表的な形式、武蔵美映像学科の「感覚テスト」について紹介したいと思います。映像に興味を持って大学の映像系学科を志望した人は、最初に思うはずです。「なんだ、この感覚テストって?」

与えられたテーマから発想して絵を描き、文章を書く試験ですが、作品によっては漫画のようなイラストだったり、抽象的なビジュアル表現もあったりして、評価の基準を掴むのが難しいという声を聞くこともあります。実際「感覚テストの対策について知りたくて」という理由で、新美の映像科に相談に来る人も多いです。ちなみに去年の問題はこんな出題でした。

【2016年度 入学試験問題 映像学科 感覚テスト(3時間)】
問題:下記の文から想起する場所のイメージ、あるいは出来事のイメージを解答欄に絵と文章で表現しなさい。
「この時が永遠に続くと思われた」

よく「感覚テストってストーリーを作る試験ですよね?」という質問をされることもありますが、厳密にいえば問題文には「ストーリー=物語」という言葉はありません。あくまでも「“場所”のイメージ」「“出来事”のイメージ」という風に書かれています。実は約10年前までは問題文に「物語(のイメージ)」という表記がありました。しかしその後はずっと「場所」「空間」「出来事」などといった言葉で出題されています。

これは「映像学科に入学してから作る映像作品は必ずしも物語のある映像だけではない」という理由もあるのではないかと思います。つまり明快なストーリーがない映像表現があるように、感覚テストの文章も、いわゆる物語ではなく、散文的な表現、あるいは説明文や日記のような形式…と、色んな文章のスタイルが許容されているのだと思います。実際の作品を見てみましょう。以下は新美映像科の学生の昨年の合格者再現作品です(点数は150点満点で135点でした)。

感覚テスト

主人公の「私」と「父」「兄」が登場するこの作品の文章も一種の「物語」と言えますが、人物の細かな設定や究極的な結末のようなものは示されていません。むしろ長い物語があるとして、その中の「(印象的な)ワンシーン」を切り取ったという印象です。このように感覚テストの問題文の「場所のイメージ、あるいは出来事のイメージ」を別の言葉で言い換えるならば、物語よりはやや短い「シーン=場面」を創作する試験問題だと考えられるかもしれません。

また、これもよく聞かれることとして「文章の“オチ”が考えられなくて…」という質問を受けることがありますが、「物語」という基準だけが求められているわけではないこともあり、わかりやすい結末や教訓(?)が必要なわけではありません。むしろ無理にオチをつけようとすることによって、説明的になりすぎたり、「これ、ちょっと都合良すぎるんじゃないか」という印象になったりするので、そこは逆に気をつけたいところです。

小論文と同様に感覚テストも、日頃の観察や発見が作品のアイディアに繋がります。カメラを持ち歩いている人がつねに写すものを探しているように、感覚テストのアイディアも気にしてみると色々なところにあるのだと思います。

彫刻科 1学期中盤戦

こんにちは!彫刻科講師の稲田です。
1学期も中盤に差し掛かってきました。5月は悩みながらも各自、粘り強く課題に立ち向かっていった姿勢がデッサンや塑造から感じられました。6月もこの調子で走り続けましょう!!

今回は昼間部生のデッサン2枚を紹介します。

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組石膏の場合、像を取り巻く空間の観察がどれだけ出来ているかがストレートに画面に出ます。奥に抜ける空間が弱い部分も見受けられますが、作者が課題として取り組んでいた構造に沿って細部が自然に見えてくる見え方に一歩近づいたデッサンになったのではないでしょうか。

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こちらの静物デッサンは丁寧に素直な観察が魅力的なデッサンです。誠実な観察からくる描写は人を説得させますね。ここからさらに画面の奥に向かう空間を意識的に作って行くことやモチーフに重さを感じれれるようになればさらに高いレベルになる可能性を感じさせます。

作者2人はそれぞれ取り組んでいる課題がありますが、今回紹介したデッサンにはそれぞれが良い方向に向かう兆しが見えています。この見方と感覚を大切にコンスタントな結果に結び付けて行きましょう!!

話は変わりますが先日、丸の内を歩いていたら道に作品が並んでいました。彫刻ではジュリアーノ・ヴァンジ、三木俊治、三沢厚彦などなど見応えのある作品が設置されていました。美術館ではない場所で見る作品はまた新鮮な目でうつりますね。
近くには三菱一号館美術館などもあるので散歩がてらに見に行くのもいいかもしれません。

では!今回はこのくらいで。次回は小川原先生です。宜しくお願いします!

クロッキーのススメ

こんにちは。油絵科の関口です。
さて、新宿校では1?2学期の毎週木曜日の夜にヌードクロッキー会(有料で主に昼間部生対象)を行っています。

ホックニー
ホックニーのデッサン

 

僕が受験生の頃、先生からクロッキーの重要性を耳にタコができるくらい聞かされていました。その先生曰く「クロッキーは1,000枚位やると、少し上手くなって、その中で数枚鑑賞に耐えられるものが出来るようになる」「その後も大体1,000枚単位で少しずつ上手くなって、10,000枚やると、どこに出しても恥ずかしく無いレベルのものになる」「感覚的な枚数の目安は、自分の身長を越えるくらい」との事でした。それを聞いて、身長の高い奴は不利だろう…とか思ってました(笑)。10,000枚というのは口で言うのは簡単ですが、実践するには毎朝8時前に来て友達同士で描きあったり、家で巨匠のデッサンを模写したりしないと、一年では達成するのは難しい枚数なんですよね…。当時の僕らはそれを当たり前の様に受け止めていましたが、これは25年前の話で、流石に今の学生には、求める事が出来ない枚数です。

ルーベンス
ルーベンスのデッサン

でもこのクロッキー、枚数と比例して上手くなる事は間違いありません。毎年様子を見ていると、年間通してほぼ同じ顔触れになっているのですが、春に見た時と冬頃に見た時では、まるで別人の様になっている事も珍しくありません。

ロダン
ロダンのデッサン

シーレ
シーレのデッサン

ポーズ時間も10分、5分、2分という風に変化があり、その時間の変化をどういう風に捉えるのか?を考える様に作ってあります。特に2分の時は短い時間で描く事になるので、普通にやっていてはまず時間が足りないと思います。その事実に直面した時に、どうやってクリアしていくのか?何故こんな時間設定なのか?皆さんもよく考えてみて下さい。

あと、実は数年前から僕がモデルさんのリクエストをしています。普通の女性モデルだけでなく、マッチョな男性モデルが来たり、面白キャラの黒人モデルが来たり、音楽付きのムービングの会もあったりして、変化に富んでいます。毎回受講している人も、次は一体どんなモデルさんが来るんだろう?と、サプライズを楽しみながら、上達してもらえたらな?と思っています。陰ながら応援していますので、是非頑張って下さい。