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絵の上手さについて①

こんにちは。油絵科の関口です。
今日は絵の上手さについて、お話したいと思います。
僕は学生の絵を講評や評価する時に「君は上手いね?」と言う事が殆どありません。かと言って、皆の絵を下手だと思っている訳でもないのですが…

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ピカソ「ゲルニカ」1937年

 
先日、ふとした事で「上手さ」について生徒と喋った時「てっきり先生は上手い作品は評価しないものだと思っていました」と言われてしまいました。ショックです(笑)。
実際は上手い作品もちゃんと評価しますし、そこはキッチリ見ているつもりです。

但し、僕が「上手い」と評するのは、一般の人(受験生も含む)からすると、分かりにくいものが多いのかもしれません。
でも皆さんからすると「え?上手いのに分かりにくい??」って感じですよね…。
実は上手いにも分かりやすい上手さと、分かりにくい上手さがあるんです。

 
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ピカソ「泣く女」1937年

例えばスポーツの世界でも、その競技を専門にやっていた人が引退し、解説者になる事がありますよね?そしてテレビで「この選手は本当に上手いんです」などと発言されるんですが、素人の自分にはサッパリ分からない…という事がよくあります。
その競技をやっている人から見ると、明らかに「上手い」と思える技術がある。それが専門的な技術になればなるほど、一般の人には分かりにくい。そこで解説者が必要になる。という事なのでしょう。

 

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例えば、このピカソ15歳のデッサンは一般人から見ても「上手い」という感じですよね。これなら説明するまでもないでしょう。

では、これは如何ですか?
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こちらは上の作品から約40年後、ピカソ56歳(1937年)のデッサンです。僕からすると、圧倒的とも言える「上手さ」が絵から溢れ出ている作品なのですが…
一見すると雑にも思えるこのデッサン。人間の持つ表情の自然さや美しさ、このモデルの持つ独特な佇まいまで感じさせてくれます。素早く動かしたタッチの荒々しさと、モデルのリラックスした感じを同居させながらも不自然さを感じさせないバランス感覚…。構図も絶妙です。もしかすると、ピカソならチョチョイのチョイで描いた一枚なのかもしれませんが、ちょっとやそっとの力量では、こうは描けません。

※ちなみに上に載せた「泣く女」のモデルはこのデッサンの女性で、「ゲルニカ」の左の方にいる赤ちゃんを抱いている女性も、この人がモデルだと言われています。3点は同年作。

 

他にも色んな種類の上手さがありますが、長くなりそうなので、別の機会に紹介しますね。乞うご期待ください。

彫刻科近況

彫刻科 昼間部講師の氷室です。

この2学期にどの様な目標を立て自分に挑戦していくのか、鍵になる時ですね。
その大切な時期、新美では、10月9.10日に、塑像とデッサンの公開コンクールを開催します。
このコンクールで上位の結果を残している学生は、芸大への合格率が高いこともあり、より客観的に現段階での実力が計れます。
現在の力をぜひ、遠慮なく試しにきて下さい!!
また、緊張しやすい方!本番へむけて、気持ち的に慣れておきたい方にも、このコンクールは良い機会だと思います!

東京芸大|彫刻・石膏デッサン コース
◯10/9(日)のスケジュール
8:30|集合
9:00|制作
12:00|昼休憩
13:00|制作
16:00|制作終了
17:30|講評
20:00|講評終了
※昼休憩は制作できません。
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持参用具:木炭デッサン用具一式、下敷用紙(未使用木炭紙)
[木炭紙は、当日支給します。]
※定員になりしだい締め切りますので、早めにお申し込みください。

東京芸大|彫刻・塑像 コース
◯10/10(月・祝)のスケジュール
8:00|集合・準備
9:00|制作
12:00|昼休憩
13:00|制作
16:00|制作終了
17:30|講評
20:00|講評終了
※昼休憩も制作できます。
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持参用具:◎シュロ縄、塑造用具一式 作業着。
※塑造は当学院の設備の都合上、定員で締め切らせていただく場合があります

詳しくは新宿美術学院のホームページをご覧下さい。

さて、ここからは彫刻科の実技近況報告です!
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とても豊かな色幅が使えています。光源が分かりやすく、かつ奴隷が持っている緊張感ある動きにも迫れています。両立する事は難しいですが、よく研究できています。

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こちらは現役生のデッサンです。奥側の表現はもう一歩ですが、円盤の持っているスケール感や形の迫力が、伝わってきます。触る様な感覚で、素直に粘り強く形を追って行く作者の姿勢が魅力を引き出しています。

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完成度が高い素晴しい作品です。バランスが良く、表現しきる段階まで仕事ができています。作者の持っている感性と日頃の努力がつながりました。集中力を感じさせてもらえる作品です。

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ベースになる骨格や筋肉の理解力が、作者の努力によって付いてきました。表現に貪欲な所や作品の完成イメージを強く追究していく姿勢が結果につながりました。醸し出す雰囲気に魅力が感じられる作品です。

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こちらは、現役生の作品です。硬さはありますが、丁寧に作り上げて行くベース意識の上に表情が絡みはじめてきました。これから先の仕事が楽しみです。

話が変わりますが、先日、小川原主任の作品をみに、新制作展に行ってきました。
色んな捉え方ができるストーリー性のある作品に、刺激を受けました。
もうすぐ、稲田先生の個展も始まりますね。楽しみです。
こんな年も珍しいのではないでしょうか。
私の個展も11月から始まります。
三者三様、みなさんへの刺激になると良いなと思います。

そして、私事ですが、先日栃木での野外展示に参加してきました。
以下、作品の写真です。
野外展示では、自然が目の前にあるので、考えさせられる事が多く、悔しい事や自分が出来ない事もたくさんありますが、想像以上に成長させてもらえます。
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今回は以上です。
次回のブログは、小川原主任の担当です。
お楽しみに!

1日体験デッサン講習

こんにちは。
新美では10/16(日)にデッサンの1日体験講習を開催します。
これから実技を始める高1、2生や、美術系高校進学を考えている方、ぜひご参加をお待ちしております!

初心者でも、道具の使い方から描き進め方まで丁寧に指導しますので、安心してご参加ください。
当日の制作道具もお貸しします。
もちろん、デッサンをすでに高校などで経験済みの方や、高3生の方も新美の指導を体験しに来てください!

お待ちしています!
http://www.art-shinbi.com/event/fw-oneday/
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最近の渋谷校の様子。

どんよりする天気が続き、気分が中々すっきりしない渋谷校の箱岩です。

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渋谷校も2学期に入り、生徒一人一人の受験に向けた対応が始まっていくタイミングになってきました。

先日の受験科3年生の保護者会にも、多くの御父母に足を運んでいただき、学校、新美、受験などいろいろな質問や相談を受けました。私の担当する油絵科は、心の問題や健康の問題も多く、随分と込み入ったお話も有りましたが、ご家庭との連携も大変重要だと考えています。

本人を取り巻く環境全体が受験に向け最適化されるのが何よりも大切だと考えているからです。

ですが、それは生徒が楽になることばかりではないのです。

最適なプレッシャーや障害、葛藤や悩みなども表現者になろうとするには必要なことだったりもするのです。メンタルヘルスが上がる事で作品がだめになっても仕方がない。なかなか微妙な世界ですよね。

さて、先日新宿校で開催した高校生デッサンコンクールですが、ご参加の皆さんお疲れ様でした。

文化祭の時期であったので、渋谷校からは少な目の4名が受講しました。

結果は、なかなかの好成績。

2名は総合10位以内に入れたそうで、すばらしい結果に渋谷校の先生、職員一同で喜びました。

日ごろからの努力の賜物ですね。

この努力を積み重ねていければ、目標の達成も可能になっていくと信じています。みんな頑張ろうね。

渋谷校基礎科は、実は受験科の先生たちが兼任で直接教えています。

なぜならば、受験スタート時に必要とされる基礎能力は科によってはバラバラ。

総合的な基礎力なんて陸上の10種競技のメダリストになるようなものであって、受験ではあまり関係がないのです。

浪人が前提の従来型の塾では、基礎科はのんびり楽しい総合力を意識した授業でしょうが、現役合格にこだわる新美では、存分に楽しみながらもプロを目指す受験生らしい頑張り方を課題の中で実践しています。

人間には個性や特性があり、(なかには万能になれる子もいるのかもしれませんが、)普通は自分の得意な分野を伸ばすものでしょう?ですから、受験を熟知した先生が基礎に関わる事は、無駄を省き少ない時間でより効果的に成長させうると考えています。

かといって新美は厳しいのか?と聴かれたら基礎科は和気藹々として部活のような楽しい環境。img_7535

 

渋谷校では普段から基礎科受験科が一緒に石膏を描いたり、現役藝大生のデモストが見れたり、受験で求められることが講評で解説されたり、かなり早い段階から意識改革をしてもらおうと考えています。

それによって、当然のことながら受験の結果も大きく変わるはずです。

これは現役校ならでは、と言えるかもしれません。

皆さんも、まだちょっと早いかな?? なんて呑気に構えていないで、新美の授業を体験してみてください!

新美の一日無料体験・平日無料授業体験のお申し込み&日程は下記まで。

http://www.art-shinbi.com/event/fw-oneday/

新しく配布しています、渋谷校のリーフレット同様チェックしてみてください。

映像科:公開コンクール&推薦入試対策(オススメ展示情報も)

こんにちは。映像科の森田です。
映像科の教室の掲示コーナーではこの秋のオススメの展示などを紹介してます。
少しずつ受験モードになってくるこの時期、忙しくて映画や展示を観に行くのも難しいと思いますが、タイミングが合えばぜひ行ってみてください。

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『トーマス・ルフ展』国立近代美術館

『クリスチャン・ボルタンスキー アニミタス-さざめく亡霊たち』東京都庭園美術館

『カールステン・ニコライ「黒の世界」』西武渋谷店A館7階

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さて、映像科からのお知らせとしては、

公開コンクール(10/9・10)
まずは来週末に公開コンクールがあります。
武蔵美映像学科の一般入試を想定して、「感覚テスト」「小論文or鉛筆デッサン」「国語」「英語」の模擬試験(計500点満点)で現段階での実力を知る良い機会になると思います。もちろん新美生以外の受講もできます。申し込みもまだ受け付けているので、少しでも興味がある人はぜひ参加してください!

武蔵美映像学科推薦入試特訓(10/30、11/6)
また今年からの新たな試みとして、この数年受験生が増えてきている武蔵美映像学科の推薦入試の特別授業も10月後半?11月前半に企画されています。こちらは「ディレクション資質重視型」で受験を考えている人を対象に、主に「構想力テスト」の対策を行います。この構想力テストは受験生でグループになり、作品のアイディアをプレゼンテーション、そしてディスカッションをするという内容です。一人ではなかなか対策をしづらくて困っている、という人もいると思うので、こちらも受験を考えている人は、まずはお気軽に相談を兼ねて受講してください!