カテゴリー別アーカイブ: 新美

彫刻科 2学期大詰め

こんにちは!彫刻科講師の稲田です。2学期も残すところ1ヶ月となりました。各予備校の公開コンクールに参加する中で自分の課題が明確になってきたかと思います。ここで焦るのではなく何が大切なのかもう一度見つめ直して2学期を締めくくれると冬期講習、入試直前講習へ繋がっていくと思います。

僕が最近みんなのデッサンや塑造をみていて気になる点をお話したいと思います。
新美の彫刻科は丁寧に徹底的に教えるということを主任を筆頭に実践しています。その成果としてみんなの実技レベルはかなり高いところまで来ています!!ただし、後一押し何か足りないぞという印象を強く感じています。
デッサンや塑造は描き方、作り方にどうしても傾倒していってしまいます。まだ経験の浅い頃はそれもいいでしょう。しかし、もうみんなは初心者ではありません。木炭の扱いも食パンの扱いも粘土の扱いも慣れたものでしょう。みんなのデッサンがイマイチなのは描く技術が足りないのではなく、観察する力が未熟だから像を捉え切れていないことに原因があります!!
よくテクニックじゃないんだ!と言いますが、じゃあなんなのと思うでしょう。ものを観察するというのは言葉で言う程単純ではありません。講師の先生の言葉を表層だけ拾い、聞き流しているから大切なポイントに気づいていないだけです。新美では徹底してクロッキーを鍛えていますがみんなはどのようにクロッキーに取り組んでいますか?動きが弱いと毎回指摘されるから動きに重きをおいてクロッキーしていますか?空間が弱いと言われているならクロッキーでそこを重点的に画面に表現しようとしていますか?していませんよね!!いつも描きたいように描いてるだけでしょう。
もう一歩でいいので言葉や行動に責任を持って作品を作りましょう。デッサンも塑造も試験ではみんなの自己紹介となるものですから。

今回は一枚気になった現役生のデッサンを紹介します!

まだまだ足りないところはたくさんあります。顔はこれでいいのか…画像ではわかりづらいですが色も濁っています。他にもいろいろありますが…ただしそれを上回る体の魅力!!!画像ではこの情熱的な形の執着伝わらないでしょうね…このデッサンには僕が上で書いた観察することからそれを画面に表すということがとてもよく出来ています。みなさんはどう感じますか?

それぞれが真面目に取り組んでるからこそ努力しているからこそ、ただやればいいということではないということを肝に銘じて最後までやり抜きましょう!!

通信教育

こんにちは。通信教育です。

ただいま随時10月ターム作品添削中です。

到着までいましばらくお待ち下さい。

風邪をひかないようにしっかりと制作する時間を取って、

 

冬期講習/入試直前講座で飛躍できるように更に頑張っていきましょう。

 

申込お待ちしています。

 

 

 

芸大デザインコース 公開コンクール デッサン 平面

こんにちは。芸大デザインコースです。

公開コンクールも無事終了しました。

制作、講評での学びは、いい経験になったと思います。

 

2017年度 新宿美術学院 第62回全国公開実力コンクール  東京芸大デザイン

 

■石膏デッサン 11/3

課題:台上に置かれた石膏像を鉛筆デッサンしなさい。

モチーフ:・ブルータス

 

 

■構成デッサン

課題:自分の「手」と与えられたモチーフを自由に組み合わせて、下記条件に従って 鉛筆デッサンしなさい。

モチーフ:・トレーシングペーパー(A3) ・百人一首 ・角材 ・水引(赤1、白1)

条件:

・モチーフ及び手の数は自由。

・百人一首、角材は加工してはならない。

・トレーシングペーパー(A3)、水引は画面上で加工を施すこと。

 

 

 

 

■デザインⅠ・色彩 11/5

 

課題:与えられたモチーフ5種の中から3種類以上を使い、任意の「円」と「線」を組み合わせ、 「影響」をテーマに、下記の条件のもと、色彩構成しなさい。

モチーフ:・温度計  ・折り紙1セット  ・ミシン糸(白)  ・クワイ  ・靴ひも(黒)

条件:

・折紙は全ての色を使わなくともよい。加工(折る、切るなど)は自由とする。

・ミシン糸、靴ひもなどの色は画面上で自由とする。

・同一モチーフの数を増やしても構わない。

・作品の制作意図を60文字以内で制作テーマ票に書いて、ボードに貼り提出すること。記入は試験時間内に行うこと。

 

 

 

冬のはじまりの日

ハッピーハロウィン!こんにちは教務課です。
ここ最近はニュースでもひっきりなしにハロウィンの話題があがっていましたね。
今回は新美内でもっともハロウィンを楽しんでいる!ともっぱらの噂の日本画科に突撃しました。(私自身は行きつけの歯医者さんでお菓子をもらってようやく思い出したレベルです、、、)

新美の日本画科は5Fのアトリエで授業をしています。

画材屋さんの真横という、非常に買い物に便利な立地です。

おじゃましまーす(^o^)

早速、アトリエの壁にかわいい飾り付けが!!テンションあがっちゃいますね!!

この日はモチーフもかぼちゃづくしでした♪

仮装を楽しむ姿も。生徒だけではなく先生も一緒に楽しむのが新美日本画流なのです。

謎の生物発見。

大きさがなかなかリアルな眼球、、、(※チョコレートです)

お菓子もたくさん集まったぞ。

 

今日ニュースで見たんですけど、ハロウィンの経済効果はあのバレンタインデーに匹敵する規模だそうです。ちょっと意外でした。
(ちなみにクリスマスはさらにその5倍の経済効果を誇るとか、、、)

そんなハロウィンの起源は古代ケルト人(紀元前5世紀から紀元前1世紀頃にヨーロッパ中部・西部で栄えたとされる民族)が行っていた、その年の収穫を祝うとともに悪霊を追い払う儀式にあるそうです。日本でいうお盆に近いイメージですかね。
そしてもう一つ、10月31日のこの夜は一年の終わりでもあり、冬の訪れを意味する日でもあったそう。

 

今日が終わればもう11月。

11月はイベントに公開コンクールに目白押し!

12月は冬期講習会、終わればセンター試験、入試直前講習会、そして入試へと一直線。

 

皆さんの「勝負の時」が来るのは、案外あっという間なものなのです。

これからの毎日を、より大事に過ごしていきましょう!

モンドリアン③ 抽象という大海原で…

こんにちは。油絵科の関口です。
10月だというのに、日曜日が2週間連続で台風に見舞われてしまいましたね。「せっかくのお休みが台無し」という人も多いと思います。まぁ、こういう時は学科をやったり、資料を集めたり…家で出来ることを探して、時間を有効に使っていきましょう。

さて前回に引き続き、モンドリアンの作品を通じて彼の足跡を辿っていきたいと思います。

初期の作品は写実的な部分が残っていましたが、1917年頃からは垂直水平の線のみになりました。次第に色彩も限られたものしか使わなくなります。1944年に亡くなるまで、ほぼそのスタイルが続くことになります。しかし、限られた要素だけで制作を続けていたのに、決してマンネリ化する事はありませんでした。よく見ると、彼の作品は毎回新しいチャレンジと実験を繰り返していたのが分かります。ただ、彼の突き進んで行った抽象絵画の世界は、一般人の理解の範疇を遥かに越えていたに違いありません。

「抽象はよく分からないからちょっと…」という人も、僕の解説を読んで、少しでも興味を持って頂けたなら幸いです。


1921年のこの作品では、正方形のキャンバスを45度傾けて使用しています。黒い線はキャンバスの端に接していますが、よく見ると殆どの線は画面の端まで行ったところで止まっています。


1930年に制作されたこの作品では、上の作品と同様に45度傾けていますが、色彩は白と黒のみで、線の太さを微妙に変えていますね。線は全て端まで引いてあります。ラインの位置にはかなりのこだわりが感じられます。これはもう確信犯です。

1927年制作。この作品でも「画面の端に線が付くか、付かないか」という部分に徹底的にこだわっているのが分かります。う?ん。このスレスレの緊張感。


1929年の作品。ここでは完全に外側に線がくっついていますね。あと、よ?く見ると…白も寒色・暖色の2色ありますし、タッチの方向も違います。(残念ながらこの図版では分かりませんね)黄色い色面の隣にある黒い面は、黒い線とは区別して色を塗っています。青い面の下の線も他の線と比べると、ちょっとだけ太いですよね。超マニアック!


こちらは1934年の作品。未完成なのかもしれませんが、木炭で画面の色んなところに線を引いて、位置を決めている事が分かりますね。

1936年の作品。この黄色い色面は、独立した二つの色面でしょうか?それとも一つの黄色い色面の上に黒い線が乗っかっている、と解釈するのが正しいのでしょうか?こういうところが気になり始めると、夜も眠れません(笑)。

1937?42年の作品。この青い線に見えるものは「線」という概念で捉えて良いのでしょうか?それとも青い「面」と考えたら良いのでしょうか?同様に右端の赤も「線」なのでしょうか?「面」なのでしょうか?本当のところは本人じゃないと分からないんですよね…。


1939?42年の作品。上記のことからから考えると、この作品の中にある黄色と赤は、多様な解釈が可能です。

1942年の作品。黒い線がなくなって、赤青黄の線のみになりました。この作品にある線の上下関係を観察してみて下さい。赤が上だと思ったら黄色の下に潜り込んだり、下にあったと思ったら上に浮上してきたり…まるで織物の糸のようです。
実は1940年頃からモンドリアンはニューヨークに移り住んで、第二次世界大戦の戦火を逃れています。ニューヨークの街並みや生活の中からインスピレーションを得たのか、この作品には「New York1」というタイトルが付けられています。

1942年の作品。「Broadway Boogie Woogie」
まるでニューヨークの街を上から俯瞰したような作品ですね。


1942?44年の作品。Victory?Boogie Woogie
この作品がモンドリアンの絶筆とされています。最後の最後に辿り着いた彼の作品の集大成ともいえる傑作。これは僕の大好きな作品の一つです。

 

こうやって彼の足跡を辿っていくと「如何に彼が試行錯誤を繰り返し、誠実な画家であったか?」が分かると思います。それまで誰も冒険したことのない抽象という世界の大海原に、たった一人で立ち向かって行った姿を想像すると、勇気が湧いてくる気がします。
今までモンドリアンを「ただのマスキング野郎」だと思っていた人も、一度じっくりと彼の作品を鑑賞して、奥深さを味わってもらいたいと思います。