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モンドリアン④ こだわり

こんにちは。油絵科の関口です。
今回はいよいよモンドリアンの最終回です。
さて、過去3回のブログを読んで頂ければ何となく分かると思いますが、モンドリアンはとにかく色んなところに『こだわり』がある人です。

そこでまず真っ先に思い浮かぶのは、カラーリングですよね?1921年以降は赤・青・黄の三色にこだわって、それ以外の色彩は殆ど使っていません。※白、黒、グレーの無彩色は使っています。
コンポジションC 1935年

その昔、芸大のある先生が「モンドリアンの黄色はフェルメールの黄色と同じだ!」と豪語したと聞きました。当時浪人生だった僕は、丁度やっていたモンドリアン展に赴き、目を皿のようにして観た記憶があります。ただ、その時はまだフェルメールの本物を見た事がなく、確認しようがなかったのですが…。両方本物を観た今からハッキリ言えるのは「同じって事はない!」です(笑)。でもフェルメールとモンドリアンの類似性を語るのは面白い観点だと思いますし、モンドリアンの塗りはフェルメールに匹敵する程のこだわりがあるのは確かです。ここではスペースが無いので書ききれませんが「モンドリアンのルーツはフェルメールにあり」という説には賛同したいと思います。
フェルメール 手紙を書く女 1665年頃

ところで、非常にマニアックな話になりますが、モンドリアンの絵をクローズアップしたものをご覧になった事はありますか?これがまたスゴいんですよ!これを見ると、彼がデザイン領域の人ではなく、ファインアート系の住人である事が分かると思います。この辺はデザイン系の人からしたら、許せない塗りムラ、甘い仕事、雑な仕事…に見えるかもしれませんね。でも絵画の世界では、これが良いんです‼?
作品のクローズアップ

さらに拡大した作品の一部


テープを使った試行錯誤のエスキース?作品。これもたまりません。


絶筆、ヴィクトリーブギウギのディテール。未完成とも言われていますが、作者の息遣いが感じられるほど生々しく「整えていない」という事で逆にリアリティーを感じますね。


あとモンドリアンは、部屋の中も徹底的にこだわっていたようです。この図版はモンドリアンのアトリエを再現した部屋だそうですが、垂直水平の世界は、まるで彼の絵の様ですね。しかし…この部屋は落ち着くんでしょうか?

モンドリアンが存命中、写真家が彼のアトリエを撮影したものも多数存在しています。ピリピリとした緊張感の漂うものが多く、神経質な人だった事が伺えます。

気付けばモンドリアンだけで4回も書いてしまいました。それだけ語る事の多い、面白い作家なんです。新美にも画集がありますので、ブログを読んで興味を持ってくれた人は、是非新宿校6階の画集を見に来て下さいね。

彫刻科 お知らせと近況作品

彫刻科講師の氷室です。

今回は、近況報告の前に1点お知らせです!
12月3日の日曜日9時から16時半、新美にて美術解剖学特別講座を開催致します。
東京芸術大学美術解剖学の専門の講師が指導。特別限定の講座です!

油土を用いて本格的な手の解剖模型をつくる実習を行います。
手を骨から作り筋肉を付けて行きます。
彫刻科でもなかなか聞きくことができない、解剖学の知識を持っていらっしゃる先生ならではの話や指導が盛り沢山です。
・手の構造
・形を決定する骨
・量感を作る筋
・姿勢と連動した体の表面に現れる重要なレリーフを作る腱
・現実味を与える血管
など、勉強になることは間違いありません!!

実習の前にまず、人間の“手”の構造についてと、実際に芸術作品のなかで表現されている“手”についての講義を行います。
彫刻科の皆さんには、是非、聞いてもらいたい内容です!!
ちなみに作った模型は持ち帰ることが出来ます。

興味のある方は是非、新美のホームページ、【プレ冬期】のコーナーをチェックしてみて下さい。
※定員になり次第締め切らせて頂きます。

さて、2学期も、もうすぐ終わりですね。
寒くなってくると一気に受験が近づいてきているなと感じる様になります。
冬期講習は現役生も昼間部生も一緒に制作ができるので、大きな山場になります。
気合が入る空間で、実力を最大限に引き上げて行きましょう!

最近、新美では塑造の課題の中で、トルソを作りました。
首像だけの時と違って、全体に動きが連動していたり、どの様に立っているのか、腕のねじれなど難しい点もありましたが、それぞれの雰囲気を上手く拾って表現に至るまで制作できていると思います。

3作品 紹介します。


それぞれ、含みのある目線が表情を作り出し、見る方に、言葉は無くとも、静かに存在を訴える作品だと思います!!
みなさんを、改めて凄いなと感じさせてもらいました。

そして粘土量のある課題が続きました。
こちらはラボルトの模刻です。
なかなか作る機会も少ないモチーフですが、逆に新鮮に観察できたのではないでしょうか。
印象も良く似ています。

こちらのフォーン2枚は、現役生のデッサンです。
タイプの違う2枚ですが、どちらも、見ている視点を感じる、フォーンのリアリティに迫れているデッサンです!

空間を感じます!


存在感がありますね!

今回はここまでです。
稲田先生が前回のブログで分かりやすく話されていたこと、私もとても大切なポイントだなと思います。
どんな些細な事がきっかになるか分かりませんし、どのタイミングで、言われている考え方や見方の意味が繋がるかも分かりません。
課題をこなしていき、終われば、はい今日は終了!ではなく、常に、次はこうしていったらどうかな、と復習と工夫を重ねていく日々であって欲しいです!
(工夫を自ら工夫できることが大切です!)

2学期残りの2週間も、濃いものにして行きましょう!

芸大デザインコース

こんにちは。芸大デザインコースです。
12/3(日)は、プレ冬期講習 デッサン特訓 です。

デモストとして、芸大1年生 渋谷校大竹先生(石膏デッサン)、国立校北島先生(構成デッサン)がガチ制作します。
ふるってご参加ください。

申し込みはこちらから、よろしくおねがいします。

現役芸大生と学ぶ、リアル表現 その①

こんにちは教務課です。先週の日曜日に高1、高2生を対象としたイベントを実施しました。
その名も「現役芸大生と学ぶ、リアル表現」!
基礎科の先生たちの予想をはるかに上回る沢山の方にご参加いただきました。
ご参加して下さったみなさま、本当にありがとうございました。

タイトル通り、今回のイベントは「写実的」な表現を学ぶというもの。

本物そっくりに描けたらすごい!かっこいい! 羨望の的間違いなしです。フフフ。

第一弾はデザイン・工芸科編ということで、メイン講師は基礎科デザインの遠藤先生(もちろん現役芸大生!)です。
宜しくお願いいたします。

今回みなさんに描いてもらったモチーフはこちらです。

りんごとパパイヤ!おなじみモチーフだけに、これ描写ばっちりできたら目立つこと間違いなし。

 

ではまず、先にパパイヤから描きはじめていきます。

なんだか難しそう…ですが、安心してください。

とっても丁寧なレクチャーが入ります。

形の取り方、筆の動かし方、水の調節、パレットの作り方などなど

先生のこだわりや、リアルに見せるテクニックなどとっても勉強になる内容です。

一つ一つの工程を言葉で説明しながら、実演していきます。

 

そうこうしているうちにベースが出来上がりました。

なんだかすでにそれっぽいぞ。色の選び方も参考になりますね!

先生のかっこいいデモストを参考に、みんなも描き進めていきます。

お昼前に一度中間講評が入ります。一旦手をとめてみんなの作品を見比べてみたり、ここからさらに細部を描き進めるための注意点など説明されます。

午後からはりんごにも着手していきますよー。

さあ、後はみんながバリバリ描くだけ!観察!描写!

良い集中力です。

最後はみんなの作品を一斉に並べて講評会をしました。

皆さんの力作を紹介します。一部しか載せられないのが残念なほど、みんな気合の入った良い作品でした!

 

ラスト2枚は遠藤先生作。

やっぱりすごいなあ~

描いた作品はきれいに包んで持ち帰ってもらいました。ぜひ周りの方々に自慢しちゃってください。笑

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この記事を読んで興味を持った方!

行きたかったのに日程が合わなかった方!

 

安心してください、11月26日にもイベントがありますよ(^o^)b

次回は

・油絵科編(油絵具によるリアル描写)
・日本画科編(岩絵具による本格的日本画体験)
・彫刻科編(石膏削り出しによるリアルな立体表現)

の三本立てです。

デザイン工芸編は今回のみですが、26日も面白そうな課題もりだくさん!

詳細および申込みはこちらから!

 

それではまた。

 

 

映像科:武蔵美映像学科の企画展

こんにちは。映像科の森田です。
秋も深まり映像科には推薦入試のシーズンが到来しています。
東京造形大学のAO入試は先日発表でした。
無事に合格が決まった皆さん、おめでとうございます!
これからまさに試験を迎える武蔵美公募推薦組も続いて行きましょう。

さて、そんな推薦入試を受ける人にもオススメの展示の紹介です。

吉田直哉 映像とは何だろうかーテレビ番組開拓者の思索と実践Naoya Yoshida : What Is Visual Image?Ideas and Practice of a Television Program Pioneer

吉田直哉さんはドラマやドキュメンタリーの演出家であった一方で、1990年に映像学科が創設された時の主任教授でもありました。これを書いている森田が武蔵美に入学した時には既に吉田先生は退任されていましたが、著書の『脳内イメージと映像』は受験生の時に読みました(当時はあまりわかってなかった…)。その後『映像とは何だろうか』という本からは色々なことを考えましたし、最近あらためて読んでみた『テレビ、その余白の思想』も非常に面白かったです。
映像学科を志望する人、必読!というと言い過ぎかもしれませんが、ドラマやドキュメンタリー以外のジャンルに興味がある人が読んでも発見があると思います。

12/2(土)と12/11(月)には関連企画の上映やトークイベントもあるようです。
11日の「ムサビで映像を学ぶことのヒント」というタイトルについ反応してしまいます。
僕もムサビ生であった頃を思い出しつつ、聴きに行きたいと思います!