カテゴリー別アーカイブ: 新宿校

春のスタートイベント② 合格者作品展示&1日体験講習

こんにちは。
春のスタートイベント告知、第二弾です。

今週より、私立美大の合格者の作品を展示しています。
油絵、日本画、彫刻の私大合格者作品や、デザイン系学科、映像系学科の入試再現作品と合格者作品の展示です。
入試の傾向やレベルを知る良い機会です。ぜひ足をお運びください。
新宿校舎 10:00~16:00 (期間内毎日展示します)
国立校舎 14:00~18:00 (月~土/日祝休館)(油絵科/デザイン・工芸科のみ展示)

*現在も再現作品を制作してもらっています。作品は随時更新していきますのでご期待ください。

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そして3/9(日)は1日体験講習を行います。
これから美術を始める初心者の方から、いよいよ受験の経験者、予備校を変えようか迷っている方など、新美の授業をぜひ体験してください!
新美新宿校、新美enart国立校の両校舎で実施します。お申込みお待ちしています。
新宿校→http://www.art-shinbi.com/oneday-s/2014-01.html
国立校→http://www.art-shinbi.com/oneday-k/2014-01.html

1日体験は3/16(新宿)、3/23(新宿・国立)、3/30(新宿)と続きます。
ご都合のつく日程を選んでご参加ください。
ちなみに3/16(日)の1日体験講習は、「1日体験講習&タマビとムサビが来る」というイベントで、大学の多摩美大と武蔵野美大の教員・スタッフの方にお越しいただき、入試相談会場を設けます。
体験授業を受けながら、大学に受験相談もできるお得な1日!
体験授業に参加せず、大学相談会場にだけ来ることもできます。こちらもぜひどうぞ。
http://www.art-shinbi.com/oneday-s/20140316.html

ホワイトについて④ チタニウムホワイト編

こんにちは。油絵科の関口です。油絵科の皆さんは芸大一次試験の発表も終わり、残りは二次素描と絵画ですね。一次試験を通った人は、最後まで諦めずに頑張って下さい。

 
さて以前シルバーホワイトやジンクホワイトについて書きましたが、今回はチタニウムホワイトについてです。
海外では既に殆どシルバーホワイトを生産していない為、チタニウムホワイトを使っている現代作家は結構多い気がします。2月に品川にある原美術館にミヒャエル・ボレマンス展を見に行きましたが、ボレマンスは恐らく白はチタニウムホワイトを使っているのではないか?と思いました。(あくまで推測なので、違っていたらゴメンなさい)mask(部分)
チタニウムホワイトの特徴を紹介しながら、後半ではまたボレマンス展について書こうと思います。
ボレマンス展

 

チタニウムホワイトの歴史

チタニウムホワイトの歴史は浅く、使われ始めてからまだ100年経っていません。顔料には酸化チタンが使われています。化学的に安定しており、混色制限や毒性も無い為、20世紀の半ばから急速に普及してきました。油絵具としてだけでなく、水溶性の絵具(主にアクリル絵具)のホワイトとしても使われるようになります。
アクリル絵具の他にも、水彩絵具、ガッシュ、ペンキ…など幅広く使われています。アクリルのジェッソも顔料は大抵チタニウムホワイトです。酸性にもアルカリ性にも強く、現代ではテンペラ画、フレスコ画にもホワイトとしても用いられています。

チタニウムホワイトの特徴

チタニウムホワイトの特徴としてまず挙げられるのは、隠蔽力(下の色を覆い隠す力)の強さでしょう。少量でも下の絵具を覆い隠す事が出来るので、何らかの理由で下の層を覆い隠したい場合には便利です。
他にも着色力が非常に強い事でも知られています。ホワイトの中でも一番白の利きが強く、他の色と混ぜた時に少量で白っぽくなります。
この性質は便利な反面、不便なところも生じてしまいます。上に挙げた二つの理由から、絵具は少量で事足ります。なので絵具を厚く乗せるのが難しいのです。経済的と言えば聞こえは良いかもしれませんが、油絵らしい魅力が半減してしまうのも事実です。よく生徒にホワイトは何を使っているのか聞きますが、チタニウムホワイトを使っている人は大抵薄塗りです。

白の色味としてはやや暖色になりますが、描かれた絵具の表情は無機的で冷たく感じる事が多いです。
粘度や質感は淡白で、シルバーホワイトのような、筆から伝わってくる抵抗感や、引きずるような粘り気は殆ど感じません。そのせいかチタニウムホワイトを使っている人はブタ毛の筆ではなく、柔らかい毛の筆を使っている人が多い様に思います。いわゆる油絵らしさよりもキッチリとした仕事をしたい、という人には良いのかもしれませんね。
他に特徴として挙げられるのは、乾燥速度が遅い事です。シルバーホワイトが1?3日に対してチタニウムホワイトは1週間程度と言われています。もちろん絵具の厚みや気温によって、乾燥速度は変わってきますが…。

あと、シルバーホワイトやジンクホワイトとは反対に経年変化で徐々に白っぽくなる、(他の色を喰う)という特徴もあるようです。
まだ歴史の浅い色なので、どれ位の変化があるのかは分かりませんが、20世紀中頃?後半にチタニウムホワイトで描かれた作品を継続的に観察して行く必要があります。
しかし、シルバーホワイトが絶滅の危機に晒されている現状を考えると、今世紀に描かれる作品の白は殆どチタニウムホワイト(をベースにした白)になって行く可能性があります。

 
さて、最初に書いたボレマンス展に話を戻します。この展覧会は柵が設置されていない為、かなり近くまで接近して見る事が出来ます。一見すると古典的な技法にも見えますが、端々に現代絵画特有のテイストを感じます。dragonplant(部分)
↑上がボレマンスの作品のディテール(部分)
↓下は影響が指摘されるマネの作品の一部(使用しているのはシルバーホワイト)olympia1
違いが分かるでしょうか?

ボレマンスの作品は近くで見れば見るほど、チタニウムホワイトを使って描いている感じがしました。扱いの難しいホワイトですが、彼はそれをコントロールする技術をしっかりと身につけていると思います。
あと、よ?く見ると画面にはテンかリスなどの毛が付着している作品もありますので、ブタ毛ではなく、柔らかい毛の筆を使って描いているのが分かります。それに額装をしていないので、側面にはみ出した絵の具を見ると絵のプロセスが想像出来ます。画面にはツヤも殆どありません。皆さんにはあまりお勧め出来ませんが、揮発性油(テレピンやペトロールなど)を多用している事が伺えます。初期の作品にはシッカチーフを過度に使用した形跡(暗部にシッカチーフ特有のちりめん皺が寄っている)も見受けられます。まだ見ていない人は、その辺にも注目して見ると、一味違った楽しみ方ができると思います。流石にここ迄くるとちょっとマニアック過ぎますが、ベネディクト・カンバーバッジ演じるシャーロックにでもなったつもりで、お楽しみ下さい(笑)。

 
ミヒャエル・ボレマンス展は、原美術館にて3月30日まで開催しています。日本ではあまり紹介される事の少ないベルギー出身の現代作家です。入試が終わって一息ついたら、是非見に行ってみて下さい。

原美術館
〒140-0001  東京都品川区北品川4?7?25

私立美大合格者再現

お久しぶりです。
デザイン科講師の大島です。

私立美大の受験お疲れ様でした。

4月からおよそ10ヶ月、本当によく頑張ったと思います。

受験ですから、今年度志望校に合格できなかった方もいるでしょう。
たしかに残念なことではあるのですが、それでも人生は続きます。

第一志望ではない学科に進学する方は、吹っ切って新たな場所で頑張りましょう。
そうやっていま社会で活躍している自分の知り合いもたくさんいますよ。

浪人という道を選ぶのであれば、それは再度成長するきっかけを得たということでもあります。
これまでの自分を見つめなおし、来年のいまごろは笑えるように、生まれ変わったつもりで頑張りましょう。

 

 

もうご存じの方もいると思いますが、HPで手のデッサンの映像を公開しました。
昨年行われた新宿美術学院の私立美大の公開コンクールと同じ課題のプロセスムービーです。
「お皿を拭く両手」という課題です。

キャプチャ

キャプチャ動画はこちらからどうぞキャプチャ

ここまでガチガチに多摩美グラフィックに対応した手のデッサンの制作プロセス映像は新鮮じゃないでしょうか?今後の参考にしていただけると嬉しいです。

多摩グラ志望の人は100回くらいみて研究してください!
個人的な見どころは1:00?2:00あたりですね
ところどころカットしているとはいえ、実質20~30分で一気に全体感が出てくるところは見ていても気持ち良い動きです。

 

そして少し前のブログにもあったように、3月2日から私立美大の合格者作品・入試再現展示がはじまります。多摩美術大学や武蔵野美術大学の合格したてホヤホヤの人たちの作品が展示されます。
まさに今、合格者の方々に再現作品を描いてもらっています。

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とりあえず多摩美グラフィック現役合格者の作品を一部トリミングして掲載しました!
もちろん会期中は多摩美、武蔵美、造形大、女子美…様々な大学や学部のレベルの高い作品が数多く展示されるので、ぜひ見に来てくださいね!

 

メンタルの奥義

こんにちは。油絵科の関口です。

いよいよ明日は芸大油画専攻の一次試験ですね。一体何が出題されるんでしょうね?油絵科の皆さんは不安でソワソワしているのではないかと思います。中にはプレッシャーで気持ち悪くなったり、よく眠れない…という人も多いのではないでしょうか?
今日はそんな人に即効性のある、オススメなリラックス方法を教えようと思います。

猫

やり方はチョー簡単。ズバリ深呼吸です。
深呼吸と言っても少しコツがあります。吸う行為を3秒以内で短く。吐く行為を10秒以上かけてゆっくりフ???ッと口から吐き出す。これを何回か繰り返すと、あら不思議。少し気持ちが落ち着いてきます。これぞメンタルの奥義!ホッと一息ならぬ、フ〜〜〜ッと一息。これは医学的にも証明されているのだそうです。吸う行為は「興奮する」交感神経、吐く行為行為は「リラックスする」副交感神経と関係しています。ですからゆっくり吐き出す事に意識を置いて深呼吸してみましょう。

美ヶ原

因みに、試験で頭が真っ白になってしまう人にも、この呼吸法は効果的です。
人間は普段は理性というストッパーが力をセーブしています。思いっきり力を込めても30%程度の力しか出せないのだそうです。(それ以上の力が出ると、自分自身が怪我をしてしまうリスクが高くなります)
ところが追い込まれて脳が異常なほど興奮すると、アドレナリンという物質がドバドバ分泌されます。このアドレナリンが凄い勢いで分泌され続けると、理性というストッパーを外して「頭が真っ白になる」という状態になるのです。そういう時、人間はいわゆる「火事場のクソ力」という特殊な能力を発揮出来るようになります。この火事場のクソ力というのは、生死に関わる程の極限まで追い込まれた時にパワーが全開まで出せる様になりますが、残念ながら筋力的なパワーしか出せません。この時は理性が働いてくれないので、まともな判断等は出来なくなり、当然そんな状態では絵など描けなくなるのです。

もしも試験中にそんな事態に陥りそうになったら、まずは深呼吸。少し音を立てても構わないので、フ〜〜〜ッとゆっくりを息を吐き出してみましょう。吐く行為をゆっくりと行う事でアドレナリンの分泌が抑えられ、冷静な判断が下せる様になります。

御苑

実際ロシア軍の特殊部隊が、この呼吸法に近いやり方を使って、怒りを鎮めるメソッドを開発しているそうです。「銃弾が飛び交う中、自分の感情をコントロールし、冷静でいられる技術」との事。何だかスゴイですよね。
実戦でも使われているくらいですから、皆もやってみる価値はあるのでは?

芝桜
それでは健闘を祈ります。

ホワイトについて③ ジンクホワイト編

こんにちは。油絵科の関口です。
2月に入って何回か雪が降りましたね。電車が動かなかったり、靴がびしょ濡れになったり、入試と重なったり・・・大変な思いをした人も多かったのではないでしょうか?
実は油絵具にはこの雪を表すのに適したホワイトがあるんですよ。知っていましたか?
今回は雪を表現するのに適しているという、ジンクホワイトについて書こうと思います。

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これは僕の生まれ故郷、新潟県の雪景色。晴れるととても奇麗です。(2005年撮影)

OLYMPUS DIGITAL CAMERA
でも実際に暮らしてみると奇麗なんて言っていられません。何せ3mも積もる豪雪地帯です。

 

ジンクホワイトについて
ジンクホワイトは比較的歴史の浅い色で、18世紀後半に初めて作られました。絵具としては19世紀に使われている例もあるようです。
ジンクホワイトは日本語では亜鉛華(あえんか)と言います。化学的には酸化亜鉛の事を指します。そういえば、最近では油絵具だけでなく、アクリル絵具でもジンクホワイトを出しているメーカーさんもありますね。実際これを読んでいる皆さんの中にも、使った事がある人もいるのではないでしょうか?

 

ジンクホワイトの特徴
ジンクホワイトは、青味のある寒色系の白として知られています。人間の目には青味がある白をより白く感じるという習性があるので、色としては純白に近いイメージになります。この為、雪を表すのに適しているホワイトという事になります。(ちなみに油絵具メーカーのマツダでは、寒色系のグレーはほぼ100%ジンクホワイトと混色されています)
反面、ホワイトの中では一番着色力と隠蔽力が弱く、他の色と混ぜた時には効きが悪く、時間が経つと更に色が食われていく傾向にある様です。他の白と比べると若干透明感があり「あなたの色に染まります…」的な奥ゆかしい女性の様な(笑)、日本的で優しい白と言っても良いかもしれません。
シルバーホワイトとは違い、毒性も無く、どの色と混ぜても化学変化を起こさないので、混色制限もありません。

亀裂、剥落という問題
日本では、ジンクホワイトは素晴らしい絵具として一時期脚光を浴びた事があります。初心者の絵具セットには必ずと言って良いほどジンクホワイトが入っていた時代がある位です。
しかし、ジンクホワイトには他のホワイトにはない大きな欠点がありました。それが絵具の亀裂と剥落です。優しい素振りをして、とんでもない一撃を喰らわす、恐ろしい一面を持っているんです。この辺もやはり女性的です(笑)。いえいえ、決してこのブログを読んでいる貴女の事ではありませんから(笑)。

油絵具のジンクホワイトは、乾燥の過程で油と反応し、金属石鹸というものを形成します。乾燥後も金属石鹸は作り続けられるため、その分の体積が増え、固まった絵具がヒビ割れ、終いにはジンクホワイトの層から根こそぎゴッソリと剥落してしまう、というのです。
もう一つはあまり知られていない事実ですが、ジンクホワイトは乾燥の過程で薄いガラス状の膜を形成し、その上から乗せた絵具が滑ったり、その層から剥がれやすいという事が判明しています。
要するに下の層には適していないという事です。
特に厚塗りをしてしまった場合は、剥落のリスクが高くなります。
よってジンクホワイトは「一番上の層に使う」「厚塗りをしない」「寒色系の色と混ぜる時に使う」というのが正しい使い方だと思います。

今では毛嫌いしている作家さんも多く「ジンクは使わない方が良い」と言っている方もいる様です。多分痛い目に遭ったんでしょうね?実際はそんなに酷い絵の具という事ではありませんが、扱いの難しい色なので、気持ちは分からないでもありません。

 

雪を描いた画家
新潟県出身で富岡惣一郎(1922?1994)という画家がいます。その方は雪を表現するのにどうしてもジンクホワイトを使いたくて、独自に改良しヒビ割れや黄変の無い、美しいジンクホワイトを作ったそうです。

20140214202701-0001富岡惣一郎 1976年制作 「妙高山A」

 

どうやってその絵の具を作ったのかはわかりませんが、雪の冷たさを出すのに徹底的にジンクホワイトに拘った様です。ヒビ割れないようにするための苦労は、恐らく並大抵の事では無かったと思います。シンプルで美しく、独自の世界を築き上げたそのホワイトには「トミオカホワイト」という名前が付けられています。20140214203108-0001富岡惣一郎 1984年制作 「信濃川-卯の木D」

 

更に、絵具を厚塗りして冷たい雪の表情を描く為、特大のペインティングナイフも日本刀の刀鍛冶に特注したと言われています。また、後に富岡さんは「取材には雪上車、漁船、モーターボート、船、セスナ機、ヘリコプターを惜しみなく使った」と語っています。ハイアングルの絵は、ヘリかセスナで取材したものなんでしょうね。

20140214202602-0001富岡惣一郎 1981年制作 「雪山並みB」

富岡惣一郎4
富岡惣一郎? 1976年制作 「北アルプス槍ヶ岳A」

僕も同じ雪国・新潟県出身者として、10年ほど前に南魚沼にある富岡惣一郎さんの美術館「トミオカホワイト美術館」を訪れ、白銀の世界に感銘を受けた事があります。
皆さんも新潟県を訪れた際には、是非一度トミオカホワイト美術館へ行ってみて下さい。ちょっと不便な所にありますが、行ってみる価値はあると思いますよ。

トミオカホワイト美術館
〒949-7124 新潟県南魚沼市上薬師堂142
TEL/ 025-775-3646