カテゴリー別アーカイブ: 新宿校

彫刻科 近況

彫刻科 昼間部講師の氷室です。
いよいよ1学期も折り返し地点を過ぎました。
明日は、新美彫刻科 無料公開コンクールが開催されます。
この時期に6時間でデッサンを完成させるのは難しいかもしれませんが
現段階の力を試すチャンス
これからの課題を明快にするチャンス
ですね!
参加者の皆さんの健闘を祈ります!

そして彫刻科で新たに『岩野 勇三』さんの画集を購入しました!!みなさん、是非実技の参考にしてみてください!

そしてそして、いよいよ6月14日から国立新美術館で、『ジャコメッティ』展が開催されます!!!

いつでも 成功よりも失敗のほうが一層大きい
あるいは 私の成功は 失敗に等しいかもしれない
私は 何かを作るために仕事をしているのか
それとも 作りたいと思ったものを 何故、私は作り得ないかを知るために 仕事をしているのか
どちらだか 私には分かりません

ジャコメッティの言葉より

この展示は、彫刻科の生徒には必ず見てもらいたい展示です◎◎
これを見逃すと、次に出会える機会はいつになるのでしょうか。。。
彫刻家の大きな展示は、日本では貴重かもしれません!


☆展覧会ホームページ:http://www.tbs.co.jp/giacometti2017/

さて、ここからは最近の秀作をご紹介します。


素描は全てに通じます。視点、置いてある状況、空気、質感、パース、光 全てを考えながら描けています。


首から上に固さはありますが、体の方は粘り強く迫れています。この、しつこい観察としかし、行き過ぎず全体を意識するバランスが良いです。


やや形の彫り起こし方が均一になっています。黒さの質感が形に沿って変化してくるともっと魅力的になりますが、良いきりの強さは抜群です!ジョルジョの表情は捉えることが、なかなか難しいですが、顔も似ています。


やや首から顎へのつながりが惜しいですが、視点からの奥行きやスケール感があり、周りの空気までも感じます。炭の発色が綺麗で引きつけられるデッサンです。


投げ出さずに、形をしっかり追っています。作者がジョルジョと言う形を、どの様に捉えたのかが絵から伝わってきます。言葉を持ったオリジナル性の高いデッサンです。


ガッタメラータの強い表情、胸のレリーフの表情、胸や髪の毛の表情、それぞれにきちんと反応出来ており、作者の丁寧な観察と繊細なテクニックが感じられます。必要な要素全てを拾ってそれらをまとめていく、バランス感覚が光っています!


こちらは夜間部現役生のデッサンです。
伸び縮みのしなやかな動きを見ると、やや固さが残りますが、グイグイと形に迫って行く勢いが、円盤らしい筋肉美への表現へとつながっています。彫刻科らしい素直な追究が好印象です。この調子です!

今回は以上の紹介です。
まだまだ、これからさらに伸びて行くことは間違いありません。
描き方もありますが、全ては見方を鍛えていくことが、大学に入ってからも繋がります。
厳しく言われることもあるかもしれませんが、コツコツと目の前の課題に向かって、へこたれないことが大事だと思います!
いかに新鮮な気持ちで挑めるかが課題でもありますね。
1学期中に、しっかりと実力を伸ばして走りきりましょう!

氷室

次回の担当は小川原先生です!

映像科:映像インスタレーション制作ワークショップ

こんにちは。映像科の森田です。
一学期の授業も早いもので折り返しですね。そろそろ授業にも慣れてきましたか?
映像科の木金日コースは、先週まで感覚テスト対策の課題を中心に制作していました。

さて今週の授業では、3日間で「映像インスタレーション制作ワークショップ」を行います。

美術の用語としてのインスタレーションは「空間に設置する」形式の作品のことですが、その中でも特にプロジェクターの投影を主な要素とした作品のことを、「映像インスタレーション」「ビデオインスタレーション」と言ったりします。
「何を映すのか?」「何に映すのか?」「大きさは?」「時間の長さは?」など様々なことを考えることで、映画館やディスプレイで観るのとは違った映像の体験を作り出すことができます。

画像は過去に行った映像インスタレーションのワークショップの記録です。
今年はどんな作品が生まれるでしょうか・・・? 楽しみです。

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木金日コースの映像科の授業も体験入学を随時募集しています。
映像系の学科・専攻に興味がある人は、お気軽にお問い合わせください。

芸大デザイン・工芸科

こんにちは。芸大デザイン総合コースです。

通常授業に加え、5月はイベント目白押しです。

 

 

先日は、芸大デザイン・工芸科昼間部で、大作週間がありました。

生徒たちが自らモチーフを選んで組み、4日間かけて普段より大きい画面サイズで描き上げます。

 

 

夜間部の時間に新美講師による、芸大、私立美大大学説明会が行われました。

スライド投影し、それぞれの科のカリキュラム、入試作品、学生作品、OBの活躍、科の雰囲気など特徴をプレゼンテーションし、志望大学のイメージをつかめるきっかけになればと思います。3時間かなりのボリュームでしたが、充実した内容でした。

 

 

油画科講師による石膏デッサン講座も開かれました。

生徒も熱心に聞いています。パースや形のとらえかたなど、新しい気づきや、おさらいなど出来たのではないでしょうか。

 

 

6/11(日)は、トートバック制作、ワークショップがあります。

キャンバス地のトートバックに布用絵の具で、グラフィックを制作します。

あなたの日常のもの、ことをデザインし、厚紙にカッターで形を切り、型紙としてステンシルの要領で絵具で塗ります。完成品はそのままお持ち帰り頂けます。

バベルの塔

こんにちは。油絵科の関口です。
陽射しが眩しく、汗ばむ様な気候になりましたね。

さて、皆さんは東京都美術館で行われているボイマンス美術館所蔵、ブリューゲル「バベルの塔」展はご覧になりましたか? 僕はつい先日、何とか時間を作って行ってきました。

この「バベルの塔」は実に24年ぶりの来日という事ですが、僕は前回の展覧会も見に行った記憶があります。その当時、池袋の西武百貨店に「セゾン美術館」という美術館があり、ブリューゲルのバベルの塔が来ているというので、それを目当てに見に行ったのです。当時はそんなに混雑しておらず、間近でじっくりと見る事が出来ました。


実はウィーン美術史美術館に、もう一点ブリューゲルの描いた有名なバベルの塔があり、当時こちらの方は図版で見た事があったのですが、ボイマンス美術館の方は知りませんでした。

本物を見た当時の印象は「かなり小さい作品なのにスケール感がすごくて、もの凄く緻密な作品だなぁ」という感じでした。
僕の中ではブリューゲルというと、風刺画や寓意画の様なイメージが強く、形もモコモコした印象が強かったので、余計に「かなりキッチリ描いている」という印象が残ったのかもしれませんね。

さて今回の展覧会、雑誌やネットなど様々なメディアで紹介されているせいか、場内はかなりの混雑でした。展覧会としては、ボッシュの油彩2点と、ブリューゲルのバベルの塔が目玉で、正直その他はオマケ的な感じでしたが、3DのCGを使った映像や、場内に設置された大きな曲面に貼られたバベルの塔の複製、東京藝術大学COI拠点による300%拡大の複製など、バベルの塔のプレゼンとしては興味深いものがありました。

あと、以前から個人的にこの絵の中でちょっと疑問に思っていた点がありました。「塔の左側にある赤っぽい部分と、白っぽい部分は何なんだろう?」「光の設定かな?」とか漠然と思っていましたが、実際は絵の中でレンガを運んでいる時、粉末になってあちこちに付いているところが赤く描かれ、漆喰を運んで袋から溢れているいる所が白く描かれているのだとか。う?ん、芸が細い!確かによく見ると、滑車の様な道具を使って何やら運んでいる様子が伺えます。白っぽく描かれた人は漆喰の粉を被っているんだそうです。その辺が場内の映像の中で解説されていて、長年の謎が解けてスッキリしました。

それから今回の展覧会に合わせて、漫画家の大友克洋さんがバベルの塔の内部を想像して描いたINSIDE BABEL(インサイドバベル)という作品を手掛けています。4月位にネットでその動画を見たのですが、「童夢」や「AKIRA」をリアルタイムで読んでいた世代として、大友克洋さんの動いている姿を見る事が出来て、それだけでちょっと感動してしまいました(笑)。気になる人はインサイドバベルで検索してみて下さいね。

 


あと、前回も少し触れましたが、6/5(月)から新美ギャラリーがオープンします。新美生は毎日そこを通って、暫くのあいだ僕の作品を見る事になると思います。…そう思うと、さすがにちょっと緊張しますね(笑)。大学生になって既に新美を卒業した人や、外部の方もご覧になれますので、興味のある方は気軽にお越し下さい。
あと6/18(日)の11:00よりギャラリートークも予定しております。どうかお楽しみに。

彫刻科 近況&お知らせ

こんにちは!彫刻科講師の稲田です。5月も終わりに近づいてきましたね。彫刻科では新学期はじめからの基礎課題も一段落しました。それぞれに自分の課題が明確になってきたのではないかと思います。停滞気味な気分になる季節ですが彫刻科は夏まで全力で走り抜けましょう!!

今回紹介する授業作品は「頭蓋骨の模刻&自刻像」です。
自刻像やモデル首像でよく指摘される問題点として骨格感の欠如や歪みがあります。生徒のみなさんも指摘された心当たりがあるのではないでしょうか?表面の下にある骨や筋肉を想像しろと言葉で言われても実際は中々難しいものです。人体彫刻では形を構成する重要なポイントである骨格感は絶対に外せません。なので今回の課題では、まず頭蓋骨の模刻を行い、それをとなりに並べながら骨格、筋肉を肉付けするように進め自刻像を制作しました。

Hさんの頭蓋骨模刻と自刻像

Sさんの頭蓋骨模刻と自刻像

H君の頭蓋骨模刻と自刻像

3人ともこれまでの自刻像よりも自然な佇まいの魅力が増していますね!土台のしっかりした骨格感から魅力のある表情にまで到達しています。表情の豊かさは表面的な形の作り込みだけでは現れません。大部分は骨格感とパーツのバランスです。この感覚を大切にさらに磨きあげましょう!!

僕は学生時代よく首像の参考に舟越保武、シャルル・デスピオの作品をみていました。2人の作品に共通するのは見る人を安心させる骨格のバランスを作品に取り入れているところではないかなと感じます。2人の作家の首像からみなさんは何を感じるでしょうか?作品集でもいいですが実際に作品をみる機会があるといいですね。シャルル・デスピオは箱根彫刻の森美術館に作品が収蔵されています。舟越保武は岩手県立美術館に多くの作品が収蔵されています。

 

最後に彫刻科から2つのイベントのお知らせです!!
過去のブログでも告知していますが再度お伝えします。

彫刻科では6/4(日)に1学期全国公石膏デッサンコンクールがあります!
*参加費は無料。本番用木炭紙は支給。当日はカルトン、木炭デッサン用具を持参してください。
停滞しがちな1学期中盤に夏までの課題発見、目標設定に学外生の方も大歓迎なので気軽にご参加ください。

6/11(日)はワークショップ「手を型取りして描いてみよう!」を開催します!
*こちらも参加費無料。鉛筆デッサン用具を持参してください。

どちらのイベントも詳細は過去ブログ記事「彫刻科イベント」を参照お願いします。
イベント参加予約は過去のブログ記事内の予約フォームか新美ホームページ内の予約フォームからお申し込みください!!