カテゴリー別アーカイブ: 新宿校

映像科:二学期はじまってます&メディア芸術祭が来た

こんにちは、映像科の森田です。
しばらく間が空いてしまいました。
9月に入り、教室のムードも少しずつ受験に近づいてきています。

二学期は前半は、特に武蔵美映像学科の公募推薦入試の対策が本番。
ディレクション資質重視型、クリエーション資質重視型の特訓もこれから始まります!
そして一般入試の人は、来月はじめに公開コンクールも迫っていますね。

こんなに忙しいと上映や展示を見に行ったりする時間がない…!と思っていたら、
なんと「文化庁メディア芸術祭」が、向こうから初台に来てくれました。
アート部門、エンターテイメント部門、アニメーション部門、マンガ部門の作品が、初台駅オペラギャラリーとICCで見られます。

早速行ってきました。

新美から徒歩2?3分。授業の行き帰りにも行けるのでオススメです。
9/28(金)までやっています。

ダ・ヴィンチのデッサンに思う事

こんにちは。油絵科の関口です。台風の影響でこの連休は生憎なお天気になってしまいましたね。気温が一気に急降下して、僕も風邪をひいてしまいました。

さて、皆さんは三菱一号美術館で開催されているレオナルド×ミケランジェロ展をご覧になりましたか?僕も先日…と言いたいところですが、今回は色々と訳あって、まだ見に行けていません。ダ・ヴィンチとミケランジェロのデッサンが同時に見られる機会は滅多にありませんし、会期も9月24日迄なので、かなり混んでいると思いますが「まだ見ていない」という人は是非見に行ってくださいね。
これが今回の目玉作品「少女の頭部/〈岩窟の聖母〉天使のための習作」


「岩窟の聖母」(ルーブル美術館所蔵作品)この右側にいる天使の顔を描くために制作された、と言われています。今回来ているデッサンとは大分雰囲気が異なりますね。

 

僕がダ・ヴィンチのデッサンの本物を初めて見たのは、大学3年の春に友達と二人でイタリア旅行に出かけた時です。旅の後半にヴェネツィアを訪れたのですが、偶然にもそこでダ・ヴィンチのデッサン展が開催されていることが分かりました。「折角なので見ていこう」ということで、即決で美術館に直行。そこで見たのは、言葉を失うほどの見事なデッサンの数々…。ダ・ヴィンチの展覧会としては、かなりの作品数があったと記憶しています。そこでは、まさしく神の領域とも言える圧倒的な技量と、数百年経っても人の心を揺さぶり続ける巨匠の息遣いを目の当たりにし『自分は今まで一体何をやってきたのだろう?』と大きなショックを受けた事を今でも鮮明に覚えています。

ところで、当時のデッサンには様々な素材が使われていますが、時々金属尖筆(せんぴつ)と書かれているものを見かけます。英語ではmetal pointと表記し、イタリア語ではpunta metallica(尖った金属の意味)と表記します。
punta metallica↑ 画像はフィレンツェの老舗画材店Zecchi社のHPより。紙も特製らしいです。

ダ・ヴィンチのデッサンには、銀を使った銀筆(シルバーポイント)というものをよく見かけますが、この銀筆も金属尖筆の一つです。この頃はまだ鉛筆が発明される前の時代です。
金属の棒で紙に描く事をちょっと想像してみて下さい。例えば鉄の棒を使って紙に描いても凹むだけですよね。白い塗料が塗ってある壁に金属が当たって擦れると、そこに跡がつくのを見たことがありませんか?金属尖筆を描画材として使う原理は正にそれです。
普通の紙だと金属よりも柔らかいので金属が削れず、描くことができません。シルバーポイントを使うには、紙に白亜地などの下地塗料を予め塗っておく必要があります。
あとシルバーポイントは銀を用いているので、描いた直後と数ヶ月後では色が変わるそうです。僕は使ったことがないのですが、シルバーポイントを使用したことのある絵描きさんによると、いわゆる燻し銀のような、赤味がかった黒色になるそうです。

そしてこのシルバーポイントは、一度描いたら消すことができません。

デッサン(dissin)のことをイタリア語でディゼーニョ(disegno)と言いますが「印をつける、刻印する」という意味もあるそうです。「神が刻印した自然なるもの」を感じ取り、それを「紙に刻印する」という行為がデッサンというものの本質なのかもしれません。

先端科 既製品のワークショップ

先端科です。

夏期講習会も終わり、2学期がはじまりました。

明日9月10日(日)は《既製品のワークショップ》を行います。

現代美術では既製品を使った作品を多く見ることができます。
授業のはじめに、巨匠たちによる既製品を使った作品をスライドで鑑賞します。
その後、実際に既製品を使った作品を作ります。

9:00-9:30 ? ?作品鑑賞
9:30-14:30 ? ?作品制作+展示
14:30-16:00 作品講評会

この時期、自分の興味に没頭し作品を作ることは大事ですが、
展覧会も多く開催していますので、制作のヒントを得るためにも沢山観てください。
以下、まだ観てないひとにはお勧めです。

サンシャワー:東南アジアの現代美術展 1980年代から現在まで (会期:10月23日まで)
http://www.nact.jp/exhibition_special/2017/sunshower/

ヨコハマトリエンナーレ2017「島と星座とガラパゴス」 (会期:11月5日まで)
http://www.yokohamatriennale.jp/2017/

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見学や体験の申し込みは以下のリンクからできます。
http://www.art-shinbi.com/event/muryoutaiken/

当日突然の参加も申し込み可能です。

授業時間
火・水 17:30-20:30
日   9:00-16:00

 

 

『絵を描き続ける』という人生

こんにちは。油絵科の関口です。ここ数日は肌寒いくらいの陽気が続き、そうかと思うとまた暑さが戻って来たり…これでは身体がついて行けませんよね。皆さんも体調管理には十分気をつけましょうね。

さて、高校生は既に二学期がスタートしているところが殆どですよね。夏期講習は丸一日絵だけを描いていた人も多かったと思いますので、高校生活に戻って「ああ、そう言えば、こういうのが日常だったんだ…」と感じているのではないでしょうか?『絵を描く』という行為が、非日常的な行為であった事に気付かされる瞬間ですね。

そのうち皆さんも『絵を描く』ということが日常になって行きます。現時点では不安な事もあると思いますが、自分が『絵を描き続ける』という人生をイメージしてみて下さい。数十年後に振り返った時、今はそのスタート地点にいる状態なのです。

 

最近ふと「もし自分が『絵を描かない人生』を選んでいたら、どんな人生だったのだろう?」と思い、不安になる事があります。「一体自分には何が出来たのだろう?」と。…今の皆さんとは逆ですね(笑)。
僕は高校を卒業するまで、瞬間的には何かに興味を持つ事ができても、絵以外で何かに没頭できるものには出会えませんでした。当時は自分に才能があるかどうか?など、全く考えた事もなく、ただひたすら好きな『絵を描く』事に没頭し、上手くなりたい一心で、心配する親を説得し上京して来たのです。

自分が新美生だった頃、先生はこう言いました。「絵描きというのは職業の名称ではない。生き方なんだ!」と。

人生を歩んで行く中で、国籍、性別、年齢、立場も越えて色んな作家さんと出会い、美術に携わる人の純粋さや直向きさを目の当たりにして来ました。時には影響を受け、意見を交わし合い、楽しい想いも、辛くて苦しい想いも、沢山重ねてきました。そしてこれからも、それは続いていきます。
いろんな方から届くDMの数々。これは9月前半のものの一部。1週間で10枚以上来ることもあります。全てに足を運ぶのは難しいですが、なるべく見に行くようにしています。

自分が『絵を描き続ける』という人生を選択した事に、一切後悔はありません。それが自分の生き方なのですから。

無差別級石膏デッサン?!

こんにちは。油絵科の関口です。
夏期講習会も残すところあと一週間になりましたが、アトリエを回っていると、この夏で成長した人が多く見受けられます。この勢いを2学期に継続してもらいたいと思います。

さて、油絵科では年間を通して石膏デッサンをやる機会は、他の科と比べるとそんなに多くはありません。それは石膏デッサンが苦手な子が多いから(笑)…という訳ではなく、芸大入試においても静物、手渡し、イメージ…色んな課題が出題される可能性があるからです。

ところで、日本の石膏デッサンは、元を正せば18世紀からフランスのアカデミーで導入されていたものが基盤となっています。そこではギリシャ・ローマ時代の彫刻から模った石膏像をモチーフとしてデッサンを行うことがあったようです。そこに当時留学していた日本の画家達が「西洋的なものの見方」として導入したのが最初と言われています。しかし、当時のヨーロッパで行われていた石膏像のデッサンは、現在日本で行われている石膏デッサンとは大きく異なります。
以前このブログでもピカソがわずか11歳の頃に描いた石膏デッサン↓を紹介しましたが、今の受験生のものとは見た感じからかなり違いますよね。

19世紀中頃、フランスでは画学生が石膏像を描くための教本というものが存在し、それが次第にヨーロッパ中に広まっていったようです。当時の人はその教本をある程度マスターしてから実際の石膏像を描いていた様です。著者はシャルル・バルグという人で、石膏デッサンに興味のある人なら、名前を聞いた事があるかもしれませんね。実は今年の4月にこの教本の復刻版「シャルル・バルグのドローイングコース」が出版されたばかりです。値段は6,200円とちょっと高めですが「日本の受験生の描く石膏デッサンとは違うものを見たい」「受験とは関係なく自分もこんな風に描きたい」という人は、手に入れてみては如何でしょうか?
実は上のピカソのデッサンもこの教本の模写なんですよ。どおりでうまく描けているわけです。しかし…模写とはいえ、このクオリティーは小学生のものとは思えませんね。

※この教本の図版を見たらわかりますが、向こうでは石膏デッサンでも線を使うのが当たり前のように行われています。

日本における石膏デッサンは、戦後の混乱を乗り越え、1950年代には芸大受験で毎年のように出題されるようになります。そして受験者数の増加に伴い、過酷な受験戦争が繰り広げられた1970年代にかけて独自の進化を遂げていきます。線という概念を排し、調子と面によるデッサンが主流になっていくのです。バルール、フォルム、マッス、ムーブマンなど、今の油絵科の学生には殆ど死語になってしまい(笑)意味の通じない(では困るんですが…)キーワードが重要視されていた時代です。
年配の絵描きさんに聞くと、昔は年齢不詳の石膏デッサンの神様みたいな人もいたそうで、そういう人は同じ受験生の間でも尊敬の眼差しを向けられていたそうです。

独自の進化を遂げた石膏デッサンも、時代とともに少しずつ変化していきます。

最後になりましたが、新宿校では9月17日(日)~18日(月・祝)に全国石膏デッサンコンクールが行われます。このコンクールは浪人生、現役生(もちろん高校1~2年生も可です)の年齢を問わず、科の枠も取り払い、内部生、外部生も含め、全ての科の人が受講できる無料のイベントです。
皆さんがどんな石膏デッサンを描いてくるのか、今から楽しみにしています。上位の人には賞品も出ますので「我こそは・・・」と思う人は是非参加してみてください。詳しくはこちらから↓
http://www.art-shinbi.com/event/2017/drawing/