カテゴリー別アーカイブ: 新宿校

『絵を描き続ける』という人生

こんにちは。油絵科の関口です。ここ数日は肌寒いくらいの陽気が続き、そうかと思うとまた暑さが戻って来たり…これでは身体がついて行けませんよね。皆さんも体調管理には十分気をつけましょうね。

さて、高校生は既に二学期がスタートしているところが殆どですよね。夏期講習は丸一日絵だけを描いていた人も多かったと思いますので、高校生活に戻って「ああ、そう言えば、こういうのが日常だったんだ…」と感じているのではないでしょうか?『絵を描く』という行為が、非日常的な行為であった事に気付かされる瞬間ですね。

そのうち皆さんも『絵を描く』ということが日常になって行きます。現時点では不安な事もあると思いますが、自分が『絵を描き続ける』という人生をイメージしてみて下さい。数十年後に振り返った時、今はそのスタート地点にいる状態なのです。

 

最近ふと「もし自分が『絵を描かない人生』を選んでいたら、どんな人生だったのだろう?」と思い、不安になる事があります。「一体自分には何が出来たのだろう?」と。…今の皆さんとは逆ですね(笑)。
僕は高校を卒業するまで、瞬間的には何かに興味を持つ事ができても、絵以外で何かに没頭できるものには出会えませんでした。当時は自分に才能があるかどうか?など、全く考えた事もなく、ただひたすら好きな『絵を描く』事に没頭し、上手くなりたい一心で、心配する親を説得し上京して来たのです。

自分が新美生だった頃、先生はこう言いました。「絵描きというのは職業の名称ではない。生き方なんだ!」と。

人生を歩んで行く中で、国籍、性別、年齢、立場も越えて色んな作家さんと出会い、美術に携わる人の純粋さや直向きさを目の当たりにして来ました。時には影響を受け、意見を交わし合い、楽しい想いも、辛くて苦しい想いも、沢山重ねてきました。そしてこれからも、それは続いていきます。
いろんな方から届くDMの数々。これは9月前半のものの一部。1週間で10枚以上来ることもあります。全てに足を運ぶのは難しいですが、なるべく見に行くようにしています。

自分が『絵を描き続ける』という人生を選択した事に、一切後悔はありません。それが自分の生き方なのですから。

無差別級石膏デッサン?!

こんにちは。油絵科の関口です。
夏期講習会も残すところあと一週間になりましたが、アトリエを回っていると、この夏で成長した人が多く見受けられます。この勢いを2学期に継続してもらいたいと思います。

さて、油絵科では年間を通して石膏デッサンをやる機会は、他の科と比べるとそんなに多くはありません。それは石膏デッサンが苦手な子が多いから(笑)…という訳ではなく、芸大入試においても静物、手渡し、イメージ…色んな課題が出題される可能性があるからです。

ところで、日本の石膏デッサンは、元を正せば18世紀からフランスのアカデミーで導入されていたものが基盤となっています。そこではギリシャ・ローマ時代の彫刻から模った石膏像をモチーフとしてデッサンを行うことがあったようです。そこに当時留学していた日本の画家達が「西洋的なものの見方」として導入したのが最初と言われています。しかし、当時のヨーロッパで行われていた石膏像のデッサンは、現在日本で行われている石膏デッサンとは大きく異なります。
以前このブログでもピカソがわずか11歳の頃に描いた石膏デッサン↓を紹介しましたが、今の受験生のものとは見た感じからかなり違いますよね。

19世紀中頃、フランスでは画学生が石膏像を描くための教本というものが存在し、それが次第にヨーロッパ中に広まっていったようです。当時の人はその教本をある程度マスターしてから実際の石膏像を描いていた様です。著者はシャルル・バルグという人で、石膏デッサンに興味のある人なら、名前を聞いた事があるかもしれませんね。実は今年の4月にこの教本の復刻版「シャルル・バルグのドローイングコース」が出版されたばかりです。値段は6,200円とちょっと高めですが「日本の受験生の描く石膏デッサンとは違うものを見たい」「受験とは関係なく自分もこんな風に描きたい」という人は、手に入れてみては如何でしょうか?
実は上のピカソのデッサンもこの教本の模写なんですよ。どおりでうまく描けているわけです。しかし…模写とはいえ、このクオリティーは小学生のものとは思えませんね。

※この教本の図版を見たらわかりますが、向こうでは石膏デッサンでも線を使うのが当たり前のように行われています。

日本における石膏デッサンは、戦後の混乱を乗り越え、1950年代には芸大受験で毎年のように出題されるようになります。そして受験者数の増加に伴い、過酷な受験戦争が繰り広げられた1970年代にかけて独自の進化を遂げていきます。線という概念を排し、調子と面によるデッサンが主流になっていくのです。バルール、フォルム、マッス、ムーブマンなど、今の油絵科の学生には殆ど死語になってしまい(笑)意味の通じない(では困るんですが…)キーワードが重要視されていた時代です。
年配の絵描きさんに聞くと、昔は年齢不詳の石膏デッサンの神様みたいな人もいたそうで、そういう人は同じ受験生の間でも尊敬の眼差しを向けられていたそうです。

独自の進化を遂げた石膏デッサンも、時代とともに少しずつ変化していきます。

最後になりましたが、新宿校では9月17日(日)~18日(月・祝)に全国石膏デッサンコンクールが行われます。このコンクールは浪人生、現役生(もちろん高校1~2年生も可です)の年齢を問わず、科の枠も取り払い、内部生、外部生も含め、全ての科の人が受講できる無料のイベントです。
皆さんがどんな石膏デッサンを描いてくるのか、今から楽しみにしています。上位の人には賞品も出ますので「我こそは・・・」と思う人は是非参加してみてください。詳しくはこちらから↓
http://www.art-shinbi.com/event/2017/drawing/

先端科 Ⅵ期 8/21-26 9:00-18:00 はじまります!

こんにちは、先端科です。

Ⅵ期の授業内容をお伝えします。

21(月)総合実技対策
持参道具:カッター、はさみ、のり、色鉛筆、60cm以内の直定規1本

22(火)メディア演習 身体
準備するもの:動きやすい格好、タオル

23(水)素描・小論
持参道具
素描:木炭紙サイズパネルまたはカルトン、木炭紙サイズのクロッキー帳、クリップまたは画鋲、鉛筆デッサン道具一式
小論:筆記用具

24(木)素描・小論

25(金)作品制作
準備するもの:制作に必要な道具と素材

26(土)作品展示+公開講評会 展示記録
持参するもの:カメラ ※展示作品を記録します。

Ⅵ期では、6月に出来たばかりの1階ギャラリースペースで、講習会中に作った作品を展示します。
26日の午後に、公開講評会を行います。
先端科に興味のある方は、のぞいてみてください。

 

 

映像科:夏期講習レポート&展示のお知らせ

こんにちは、映像科講師の土屋です。

東京のお盆は雨続きで、
真夏を追い越して秋に突入しちゃったみたいでちょっぴり淋しいです。

そんなお天気ですが、
新美ではしっかり夏期講習の真っ最中なのでした。
今回は7/31(月)?8/5(土)に行われた
映像科「推薦入試対策コース」の様子をご紹介します!

最終日の1階新美ギャラリーでの展示にむかっての制作をベースに、
日々いろいろなレクチャーを織り交ぜての講習会でした。
ICC(NTT Inter Communication Center)の見学や、中間発表、
映像編集ソフトの紹介、ポートフォリオ講座などなど。

なんだか一枚不思議な写真が紛れ込んでしまいましたが、
これも作品制作のうちです。

映像科だからといって映像や写真作品だけでなく、
サウンドや参加型の作品、現代美術…
など本当にバリエーションが多かったのが印象的です。

さて、いよいよ展示そして発表。

講評は、ゲストに推薦入試合格者 現在武蔵美映像学科の学生お二人を招いて
公開講評風に行われました。

それにしても、素敵なギャラリー空間。
透明なガラス壁を利用した作品が早速誕生しました。

1階だけでなく10階の教室も使って、サウンドインスタレーションの作品もありました。

そして最後には大学生のお二人による推薦入試についてのトークが繰り広げられました。

充実した夏ですね。
講師たちも夜10時までキャプションを切ったり準備していたのが良い思い出です。
(生徒の皆さんは思い出に終わらず、展示を存分に入試やポートフォリオに活かしてくださいね)

現在は
8/14(月)?19(土) 「一般入試特訓コース」を開講しています。

++++

さて、最後になりましたが、
講師から個人的なお知らせです。
私、土屋由貴も充実した夏にすべく作品発表を行っています。


「まぼろしレコードとホタルのテーブル / Good by Landscape 土屋由貴・野村叔子二人展」
会場:SYOKU-YABO農園(神奈川県横須賀市)
会期:2017年8月から9月末日まで

山の麓の農園レストランで、映像作品による二人展を開催しています。

*ギャラリーではなく、飲食店での展示となりますので、
 予約・食事代など注意事項がございます。
 詳しくはhttp://syoku-yabo.com/を必ずご確認ください。


このような映像プロジェクション作品などを展示しています。


「アートアイランズTOKYO2017 第7回国際現代美術展」
会場:伊豆大島 + 新島 各地
   旧波浮小学校(メイン会場)・旧甚ノ丸亭・旧港屋旅館 他
会期:大島会場 9/2(土)?17(日)
   新島会場 8/29(火)?9/15(金)
料金:入場無料

伊豆大島・新島で行われる国際現代美術展にて滞在制作します。

私は、旧波浮小学校の教室で
サウンドまたは映像インスタレーション作品を発表する予定です。

詳しくはhttp://www.art-islands-tokyo.com/をご覧ください。

①②どちらも、普通のギャラリーとは違った空間となりますが
「さまざまな場所に、ここではない何かを持ち込める映像という表現」
を意識して制作しています。
足をお運び頂ければ幸いです。

彫刻科 夏期講習中盤!!

こんにちは!彫刻科講師の稲田です。夏期講習会も8月に入って盛り上がってきましたね!実技の内容も充実してきているようにみえます。現役生には慣れない連日の長時間の制作に疲れもみえてきた今日この頃ですがここががんばりどころです!!最後までやり抜きましょう!!

ここ最近の課題からいいなと思った作品を紹介します。


頭部は全体に形が丸いのが気になりますが独特の炭の調子が上手くはまりました。陰影と形のバランスがよくなりました。この感覚を忘れないようにしましょう!!


作者は動きに対する観察が弱い傾向がありましたが、この作品ではよく観察し組み上げることに成功していると思います。さらに臨場感が増せば言うことなしです。


なかなか顔の印象が似切らない時期がありましたがこの作品を境にワンランク上に登れたようにみえます。どんな石膏像でもコンスタントに作って来れる実力が頼もしいです。


どこかに不安定に見える角度が出来てしまうことがこれまでありましたが360度回してしっかりとはまった頭部になってきました。元々持っていた細部の魅力がよく生きています。

今回は授業作品の紹介はこれくらいにしましょう。
彫刻家の名前を出しても知らないことが多いのでこの作家を知らないと大学で恥をかくよ!ということで過去の巨匠を紹介します。ただし、名前だけです。知りたい人は検索しましょう!
今回はシャルル・デスピオです!日本でも一時期絶大な人気があったはずなんですが…最近は名前すら聞かないですね。この機会に覚えておきましょう!