カテゴリー別アーカイブ: 新宿校

石膏デッサン考 Part 4

こんにちは、全科総合部です。

いよいよ「スペシャル・サマー・セミナー」が次の日曜・月曜祝日と迫ってまいりました。
とりあえず、こちらの”石膏デッサン考”シリーズも最終回を迎えます。

今回は、デザイン科主任の増田先生と日本画主任の名雪先生に語っていただきました。
それぞれの立場から共通部分もありますし、相違もあり興味深い対談になっています。

進行(阿部):単純に受験業界では、~科はこういう傾向とか科別の方向性が語られますが、いかがなものでしょうか?

増田先生:そうですね、芸大のデザイン科の石膏デッサンで他科と比べてよく言われているのは、パッと見の良さが大事だと言われています。
多少、手数が少なくても像の持っている雰囲気だとか、トーンの印象がパッと見の良さになってきます。

名雪先生:日本画においても、像そのももの印象は大切にしています。その上で他科とちがうのは、制作時間が長いというところです。なので、それに見合った完成度が求められるのではないでしょうか?石膏の白さや、質感、繊細な描写力など様々な表現が可能となります。
石膏像のありのままの姿を、正直に描く、決して嘘をついたりしない方向で、ある意味、主観や個性とは縁遠いと言えます。

増田先生:デザイン科でも素直さは必要ですが、完璧な正確さよりもそれらしくするほうが優先されています。時間的な制限があるからかもしれません。でもごまかすと技巧的になるし、演出過多も嫌われるでしょう。

進行:なるほど、そうなのですね。
また話しは変わりますが、どちらの科も構図に関しては、オーソドックスですよね。

名雪先生:像が小さくなっても大きくても、左右によっても、本物の像の印象が変わらなければいいのですが、大抵の場合は不自然になるのでほとんどがオーソドックス構図になります。

増田先生:デザイン科も同じく、デッサンしている状況を素直に写生するので、オーソドックスな構図のほうが決まりやすいですから。絵的に追いすぎると、これも過多になる。

進行:やはり入試に限らず、石膏デッサンは将来的に必要なのでしょうか?

増田先生:デザインの世界と石膏デッサンを描くということとは、共通点があると思います。1日中座って像と向き合い描く、制限時間があり、いきなり評価される。デザインの仕事の中で、時間、努力、精神、バランスなどのキーワードが盛り込まれていると考えてます。

名雪先生:日本画の世界では、陰影法を用いない表現が多いです。立体表現の陰影を削り落として平面にしても、立体を感じさせる力をつけるには、現実の立体をありのまま再現する技術は必須です。アウトラインだけで、立体を表すために。

進行:またまたいいところで、この続きは「スペシャル・サマー・セミナー」石膏デッサン強化ゼミで!

最後に名雪先生から、なかなか石膏デッサンがうまくいかない人へのメッセージです!

名雪先生:最初からうまく描けません。技術は頑張れば後からついてきます。「その像にしよう!」としている意志が重要です!やり方ばかり学んでいてもダメ。

ありがとうございました。

みなさん熱い石膏デッサン談義を交わそうじゃせんか!
待っています!

お申し込みはこちらから。
15日の日曜日は、書き出しの強化をはかります。各科の先生より理論だけでなく、実践しながら解説していきます。と同時にみなさんにも実践して実感してもらい、じぶんに合った書き出しを見つけましょう!
16日はコンクールです。石膏デッサンの歴史から意義までの解説もあります。科ごとの講評もありますので、学んだことをより具体的の入試に還元していく方法も見つけられるのではないでしょうか!

頑張りましょう!!

芸大デザインコース

こんにちは。先日工芸科と合同課題、石膏模刻を行ないました。

2?3人一組でチームを組み、クロッキーからそれぞれの石膏を構造を考え、垂木とシュロ縄で組み、粘土をあらづけ、模刻しました。それぞれ話し合いながら、様々な視点から観察し、立体的に合わせて作る難しさと楽しさを経験出来たのではないでしょうか。

7/15(日)&7/16(月・祝)
スペシャル・サマー・セミナー(有料特別講習)

『描き出しの極意!石膏デッサン強化ゼミ! 』

が開催されます。

1日目に石膏デッサンの捉え方の基本であり、
全てと言っても過言ではないクロッキーから描き出しまでを
解説やデモンストレーション、実技制作を通して学んでいきます。
2日目はコンクールを行います。
1日目に学んだ事を実戦的に試してみたり、日頃の特訓の成果を客観的に検証することが出来ます。 参加お待ちしております。

 

 

彫刻科です

彫刻科講師の氷室です。
梅雨があけ、いよいよ夏の到来を感じる暑さが続いていますね。
1学期も終盤です!
彫刻科では学期末コンクールがあります。まずは1学期の成果を自分で冷静に見つめる機会にしたいですね。そして夏期講習に備えてください!

話は変わりますが、最近、ヘンク・フィシュと言うオランダの作家さんの展示を見にいきじんわりと感動しています。
(ワコウ・ワークス・オブ・アートにて14日まで開催されています)
人体彫刻をその固体だけでなく、空間を必然的に巻き込んで表現し、発する何か”をその場で感じられる、そんな作品を作る事ができたらいいなと感じました。
久しぶりにアメリカのジョージ・シーガルやイギリスのアントニー・ゴームリーが改めて気になってきました。

ある本に、アーティストの可能性のひとつに、触覚・視覚・思考をユニークな形で全部つなぎあわせていく
と書いてありました。
私の中で色々なことがつながって、納得のいく作品に辿りつけるといいなと思う今日このごろです。

さて、話を戻しまして、最近の優秀作品を3点紹介させてもらいます!

もうとにかく、奴隷をこの様にしっかり作れることが、どんなに凄いことか…と感じます!
大きいですし、ミケランジェロの作品に迫ることの難しさと言ったら、単に写すだけの領域を越えて行かねばなりません!レベルの高い模刻です!


首から上がやや押さえられていますが、円盤の特徴を素直に良く感じ、描けています!
そして、形と色味にも反応出来ており、その強さゆえつい絵を眺めてしまいます。


本人の勢いを感じる1枚ですね。逆光ですが、貪欲に形を追っていく姿勢が強くて魅力があります。円盤を持っている動きが想像できる彫刻科らしい視点がいいです!

今回は以上です。

これからが、1番伸び時です!
これだけ目標がはっきりしている中で、集中して勉強が出来る環境は本当に貴重だと
振り返っていつも感じます。
インプットしてアウトプットする!!
充実の夏期講習を迎えましょう!!
夏期講習までの休みの期間にも、是非積極的に、展示や美術館にも足を運んでみてください!

石膏デッサン考 Part3

?今日は、全科総合部です。今回は、工芸科主任の高澤先生をお迎えしました。

?進行(阿部):東京芸術大学工芸科の実技一次試験では、石膏デッサンが課せられますが、
他の科と違った何か特徴みたいなものはあるのでしょうか?

?高澤先生:そうですね、基本的には他の科と同じ“形”“動き”“構造”というのはもちろ
ん求められています。工芸科に特化したのものでよく言われるのが“抵抗感”
です。像に触れる感覚で、できれば質感が感じられるぐらいの完成度は、欲
しいところです。

また、描く紙も他の科とは少しちがう紙を使用するのも工芸科の特徴かもしれ
ません。ハクゾウ紙と思われる紙は、目が細かく和紙っぽい繊細な紙で描くの
で、その紙に反応し、合う鉛筆の調子を見出さなければなりません。素材を大
切に扱う工芸の世界とも似ているところがあります。それともう一つは、構図
に関しても他の科よりも厳しいかもしれません、ベーシックな意味で。

?進行(阿部):昨年、全科全学年対象の石膏デッサンコンクールを新美で開催しましたが、
1番が工芸科の方でした。

?高澤先生:どの科でも、わりと基本的なところで共通していたと、いう結果ではないでし
ょうか。“形”や“動き”“構造”は、はずせない石膏デッサンの要ということです。
最近の芸大工芸科での傾向としては、少しデザイン科よりになってきた印象が
あります。というか、そういう受験生が増えてきたようですね。

?進行(阿部):確かに、その感じわかります。

?高澤先生:しかしデザイン科とどうしても違うのは、光線の具合ですね。芸大工芸科では、
試験を実地する教室の環境がデザイン科とは違うのですよ。自然光というより、
いろいろな光のあたり方をする場合が多く、光を追っていくと迷うようなこと
もあります。なので、光がどうであろうと絶対的な形を追っていく必要があり、
むしろ光は自分でコントロールできないと厳しいと思います。

?進行(阿部):それが工芸科の特徴の1つになるわけですね。

?海老澤先生:そういえば、日本全国の高等学校教育では、光(調子)より形のほうを優先する傾向があることを思い出します。

?進行(阿部):という、いいところですが、続きはスペシャル・サマー・セミナーにてお願
いします。ありがとうございました、お疲れ様です。

引き続き、スペシャル・サマー・セミナーでお楽しみください。

お申し込みは、こちらから!!

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絵画のテクニック

こんにちは。油絵科の関口です。東京は梅雨も明けたせいか、凄く暑くなってきましたね。
さて、7/15(日)と7/16(祝・月)の二日間、新宿校ではスペシャルサマーセミナー(=略してスペサマ)を開催致します。
油絵科のスペサマは、素描と油絵のテクニックに特化したコースを設置しました。テクニックに特化したコースなので、スゴく楽しいと思いますよ。1990年代に新美で発明された奇想天外なテクニックも披露しますので、是非申し込んでみて下さい。絶対に損はさせません!

油絵科 マル秘テクニック講座 ↓
http://www.art-shinbi.com/event/2018/SSS/event002.html
7/15 素描
7/16 油彩

皆さんも絵を勉強して行く中で、テクニックというのは本当に気になりますよね。「この絵はどんな技法や材料で描かれたんだろう?」僕も高校生の時、そんな事ばかり考えていました。技法書も手当たり次第読み漁って「なるほど、この人はこんな風に描いていたのか!」なんて事を知ると、図書館や美術室の中で一人で盛り上がって興奮していたわけです(笑)。

マックス・デルナー著、佐藤一郎訳「絵画技術体系」(左)は古典絵画の巨匠の技法が書かれており、難解な言葉遣いも相まって(笑)非常に想像力が掻き立てられました。日本語で書かれているのに「この本の翻訳が必要」とまで言われる迷著です。

講習会で上京した時、美術館やギャラリーで絵を見る時も、舐めるように近くで観察して「この絵具の下にはこんな色が置いてありそうだぞ」とか、ああでも無いこうでも無い…と思考を張り巡らせていました。本物を近くで観察すると、色んなところが見えてきて、結構楽しいんですよね?。


フランシス・ベーコン 当時フジテレビのギャラリーで展示があり、近くで本物を見ました。顔を抽象的に解釈して、崩したタッチと背景のポップな色彩との対比が印象的でした。


ボリス・ザボロフ 大学を卒業してから、とあるデパートで偶然本物を見ました。モデリングペーストをボコボコに盛り上げて、その上にアクリル絵具とデッサン的な素材で描いています。色は渋いですが、美味さは伝わってくると思います。


ジム・ダイン その辺にある何の変哲も無い工具をカッコよく描いています。まさしくテクニックで絵にしている感じですね。


レオナルド・クレモニーニ この絵ではデッサンでいう「稜線と反射光」の原理が分かりやすく使われています。色相と彩度のコントロール、グレーの使い方が上手です。


ハンズ・ホーク 淡いグレーの色調の中に、軽やかなドローイングが施されています。チラッと覗く黄色や赤が効いています。


エゴン・シーレ 何とも言えない泥臭さと退廃的な雰囲気をまとい、見る人を魅了するシーレ。「現代芸術なんてありはしない。あるのは原初から続く芸術だけだ」彼が22歳の時の発言だそうです。


レンツォ・ベスピニャーニ 絵具を飛び散らせながら、都会のビル群をカッコよく描いています。結構渋めの色ですが、こんな色の組み合わせも綺麗ですね。

絵を勉強する上で「テクニックを磨きたい」という欲求は、素直な気持ちだと思います。そういう思いを持っている人は、是非サマスペを申し込んでみて下さい。秘密兵器を用意して待ってます!