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彫刻科 1学期後半戦!

こんにちは!彫刻科の小川原です。
暑い日の連続の到来とともに1学期の終わりを意識し始める今日この頃。1学期スタート時は頼りなかった学生も実力を上げてきてかなり頼もしくなってきました!夏期講習前に実力の土台をしっかり整えてこの夏一気に実力を上げていきましょう!

今年の夏期講習カリキュラムは1期〜6期まであり、2期〜6期は毎期末にコンクールを設定しています。連続的に課題をこなし、実力を検証し、力に変えていってほしいです!そういう意味ではコンクールで例え失敗があっても良いのです。なぜ上手くいかなかったのか、考えるだけの時間も課題数もコンクールのチャンスもあるのでそれを生かしてください!

それではここ最近の優秀作品を紹介します。

まずは昼間部生から。



シンプルな構成ですが、二つのモチーフの関係性を明確に意識した作品を目指したいです。特に「手」はただの物体ではなく、感情を込められるモチーフなので、その点も考えていけると良いです。





奴隷をはじめとしたトルソーは「物としてよく見比べて合わせていく」だけだと相当上手くないとできないモチーフです。体(腰)まで連動した肉体の印象を、あくまで人体デッサンとして確認をしていけると良いです。


ジョルジョの模刻。難しいですよね。作れる人をあまり見ないです。ひとつ一つ動きや構造の理解を確認していく項目はありますが、ほとんどの人はそれらを外していないか確認するだけで精一杯になってしまいます(それだけでも良い方かも)それを上回って「印象」でやりとりすることができるよう特訓したいです。(そういう意味ではわかってしまえば簡単なんですけど)



マルスは横位置であれば比較的捉えやすい像と言えると思います。だからこそマルスで横位置であれば精度も完成度も欲張りたいところ。マルスの体正面位置は難しいです。3次元的に空間、立体をイメージできないとなかなか描けないと思います。


自分の靴の素描です。靴の形ってかなり構造がわかってないと描けないところが良い勉強になります。あとはどこまでリアリティを出していけるか挑戦したいですね。

次に夜間部の優秀作品を紹介します。

ゲタはサイズも手頃で動きも穏やかなので基礎的な首像の練習には適したモチーフだと思います。ただ意外と首に対する頭部の3次元的な動き(傾き)が同時に成立させられなくて混乱してしまう人は多いです。




ジョセフは特徴が明確で、割と見た目でどんどん描いていけるのでいいデッサンが出やすいイメージのモチーフです。外しやすい点と言ったら頭部と体の比率と頭部の動きくらいな物なので物おじせずにガンガン進めていきたいです。



ジョルジョは難しい!なかなかこれはいいね!っていうデッサンを翔人は少ないんじゃないかなと思います。特に体正面はマルス同様に3次元的にイメージできてないとハマらないですね。胸像はジョルジョ。トルソーは円盤がラスボスって感じです。

以上です!昼間部はもちろん夜間部も相当力をつけてきましたね!今後の成長が楽しみです!

彫刻科 1学期中盤戦!

こんにちは、彫刻科講師の佐宗です。今年度からena美術で講師をすることになりました。みなさんよろしくお願いします!4月からは試験で出るデッサンや塑像の他にも、基礎的な課題を多くこなし、底力がついてきましたね!大きく作品を空間的に捉えることがとても大事です。

それでは、ここ最近の秀作を見ていきましょう。まずは昼間部から!

大型石膏のデッサンです。普段あまり描かない石膏像ですが、食らいついて制作できました。しっかりと空間が出ていますね。

ヴェロッキオのマスクとレンガの構成です。
ピシッとした工業製品の煉瓦と彫刻の差をしっかり出しつつ、空間の中で動きを出したい、なかなか難易度の高い課題です。芯棒から計画性を持って制作することが大切です。

フォーンは顔のないトルソーなので大きく捉える訓練には最適な課題です。紙の上から下まで大きく炭を動かし、スケール感や量を掴んでいくことができました。

ゲタの模刻です。動きの激しい像ではないので量は合わせやすいですが、顔の印象を捉えるのが難しい像です。しっかりと似せることができました。

続いては夜間部です。

ガッタメラータのデッサン、力作揃いです。序盤から確実に仕事を重ねていきました。途中、ガッタメラータの特徴的な顔の印象に苦戦していましたが、最終的には自然に似せることができたと思います。夜間部は今ぐんぐん伸びているので、次のデッサンにも大きく期待を寄せています!

基礎科は今年度初めての塑像課題です。




自刻像は一番身近な自分がモチーフです。触覚的にも形を捉えやすいので、これからもたくさん作ってほしいです。
時間をかけ、作り切ることができました!

憂鬱になりがちな5月も終わり、これから夏に向けてガンガン進んでいきましょう!!

 

《彫刻科》1学期 中盤戦へ

彫刻科の臼田です。早いものでGWも終わり5月の後半に差し掛かっています。学生みんないい集中力を保持したまま自分の課題に向き合えていると思います。6月以降中弛みしがちですがこの集中力を切らさず、頑張っていきましょう!

それでは最近の預かり作品を昼間部から紹介します。

モチーフのらしさを捉える観察眼やニュアンスを捉える力を養うために、素描課題をしています。ガラスコップのコントラストが激しい表情をよく捉えられています。床に対する意識はもう少し丁寧に観察していけるとなお良いです。

続いてアリアスのデッサンです。とても魅力的な一枚になりました。印象、空間表現ともに高いレベルで出力できています。頭部周りの細部と両感表現がもう一つ絡んでくると最高でした。

こちらの作品も内容が良いです。課題である硬さや、印象の最後の詰めかたなど高いレベルで網羅できたのではないでしょうか。上がり調子ですが、さらなる高みを目指して頑張っていきましょう!

手前奥の表現が綺麗で全体も丁寧に抑えられていて好感が持てます。色と形の関係性についても少しずつ掴んできてるように思います。ここからさらに実在感を感じられるレベルまで上げていきたいです。

全体に余すことなく手が周り、やり切れたことで強い作品に仕上げる事ができました。軽くなりがちでしたが、かっちり止めて表現できるポイントが増えてきていて良いです。色幅については白よりのグレーの幅をもう一段階研究していきたいです。

日々のクロッキーの積み重ねにより全体を掴んで見渡せるようになってきました。それに伴い形の精度も上がってきています!まだ見方も、フニッシュ感も大味なところがあるのでさらに研鑽を深めていきましょう!

続いて手の塑像です。手らしい肉感や、ラインを拾えています。指先に関してはもう一発形を絞めていきたいのと、指らしいラインをもう少し追っていけると良いです。

この課題は指導なしで行いました。みんな力がついてきていますが、出だしでの方向性はまだ良くないです。象らしさの認識レベルをもう一段階高めていきたいです。この作品は途中で気づき直していけた事が良かったですが、まだ硬さあったりや顔の印象が似切っていません。さらにがんがりましょう!

続いて夜間部の作品です。

夜間部でも同じく素描課題を取り入れています。こちらの作品は現象をとても綺麗に捉えられています。素晴らしいです。コップの色味が少しだけ濃い気がするので透明感をもう一つ表現できるとなお良かったと思います。

こちらの作品も素晴らしいです。現象の表現がとても綺麗です。床に入っている光の屈折で生じる光が効いています!コップの持つ硬さや、面の抵抗感をもう少し出せると完璧でした。キワの処理ももうちょいピリッとしたいです。

続いてヘルメスです。隅々まで手が行き届いた重厚な作品に仕上げられました。形を絵の中からはっきりと感じます。やや二次元的な見方に頼ってしまったり、全体で絵を見通せていない時間帯があるように思います。そこを意識しながら取り組んでいけるとさらに精度が高まると思います。

この位置から見たヘルメスらしい印象や、動きをよく表現できています。若干硬さは残ります。全体のしなやかな繋がり、位置関係、形の持つラインの曲線などをさらに密に観察して表現してみてください!

色味や空間生がとても綺麗に表現できました!全体を常に包括してみれる反面やや形が丸くなってしまったり、絵がふわっとしてしまう事がありました。この作品ではその弱点に対して積極的に向かっていけていました。この調子で頑張ってください!

アバタの模刻課題です。本当に夜間部みんなとても高い次元でできていて感心しました!何点かピックアップして紹介します!印象が良いです!素晴らしいです!中盤以降の作業で形や特徴に反応しすぎて形が強くなりがちです。そこの出力のコントロールと陰影で印象を確認することを取り入れて行ってください!

自分でしっかりと考え、構築的なプロセスで作り上げられました。狂いの感じも自分で気づいて対処できていました。あとは思い切りよく、自信を持ってやり切ることができると良いと思います。形の深さに対しての反応ももうちょいだけ見れると良いです!

最後に基礎科生の作品を紹介します。

自刻像を作りました!素晴らしい出来栄えです!今回学べた人体的な形の特徴、繋がり、髪の毛の表現など次に活かしてどんどん上手くなっていきましょう!

長くなりましたが、以上になります!

彫刻科 2024スタート!

こんにちは!彫刻科の小川原です。
新年度がスタートし、昼間部、夜間部、基礎科共にスタートダッシュを決めています!
昼間部では特別に理解してほしい考え方、捉え方を問題提起し、基礎的な石膏像で集中的にトレーニングをしました。
年初に意識を高めるような話をしたり、課題をこなしたりしましたがこれを持続させる、というよりむしろ高めていってほしいです!何となくやってる時の作品ほど無意味な物はありません。自分自身で考え、取り組み、壁をぶち破っていくつもりで向かっていってください!その意識さえあれば講師のアドバイスががより強い意味を持ってくるはずです!

夜間部は実力者揃いで最初の課題から魅力的な作品が続出しています!とても良いライバル関係ですね。今の時点での力は申し分ないです。うまくいくときもあればもちろん失敗するときもあるでしょう。1課題1課題で一喜一憂せずに大きな流れで自分の課題と向き合ってください!


基礎科も高2生の最初の作品とは思えない完成度で仕上げてきています!基礎科のみんなはまだ受験までたっぷり時間があります。とはいえのんびりやっている余裕はありません。早くスタートできたアドバンテージを最大限に活かすために受験生になるまでの間に一気に実力を上げておきたいところです。一つひとつ理解してもらって着実に身につけていってください!

以上です。日々課題をこなしているうちに「慣れ」で取り組むようにだけはならないでください!そういう気持ちは美術において一番いらない要素です。常に研究を深め、理想を高めていくこと。成果を追求し、成長していくことに喜びを感じてほしいです。
表現することの意味を理解して大学生になって欲しいと心から思っています!

彫刻科 入試再現・春季講習スタート

彫刻科の臼田です。東京藝術大学彫刻科に合格した入試再現が出来上がったので一気に紹介していこうと思います。一次試験はブルータスのデッサンでした。(3枚目は現役生)

三人と当たり前ですがとにかく上手いです。印象はもちろん、空間性、密度、色味全てにおいて高い精度で描き上げられています。見ていた印象としては三人とも毎回コンスタントに良い作品を出せ、かつ自分の癖やウィークポイントと向き合い対策がしっかりとできていたように思います。

続いて二次試験です。任意でテーマを設定し自刻像を作りかつその制作意図を文章に起こし提出する課題でした。作品とテーマ・制作意図をまとめて紹介します。(3作品目は現役生)

テーマ

「夢からさめるとき」

制作意図

夢からさめる時、自分の存在がその世界から消えていくように感じる。それと同時に夢の中の人や出来事も、砂の城がさらさらと風に吹かれていくように形がわからなくなって忘れてしまう。彫刻は現実に存在させることができる。夢からさめる瞬間の、現実に戻っていくと同時に夢の記憶が消えていく寂しさのような名残惜しさのような感情を形にして残したいと考えた。

テーマ

「熱」

制作意図

集中している自分を直接見ることはできない。鏡などで集中している自分を見ても、自分を認識した瞬間に集中は途切れてしまうからだ。しかし自刻像ならば、今自分が感じているリアルな感情が自分自身から粘土を通じて像へと移り、集中している自分がリアルタイムに眼の前に現れるのではないかと考え制作した。

テーマ

「消滅」

制作意図

 何かを得るために、何かを手放さなければならないことがある。 私は5才の頃までタイに住んでいた。タイでは友達とタイ語で話していたが、日本語は苦手で両親とあまり上手く会話することが出来なかった。 日本に帰って日本語を話すために、タイ語の記憶は消えてしまった。

テーマを設定しつつ制作意図も考え自刻像もとやることが多く大変だったと思いますが三人とも高い完成度です。造形力に合わせてその人の持つ作家性や人間性を見られる課題が続いています。実技を鍛えていきながらいろんな作品鑑賞をしたり、自分の興味のある分野などの探求などしていくことがより重要になってきている気がします。

さてここからは春季講習の秀作を紹介していきます。

現役生の作品です。反射光の表現や色味がとても美しいです。形を起こす力が強いあまりに逆に色がバチバチしたり、黒くなったりということがありましたが今回は最後までモチーフに寄り添えたと思います。この感覚を忘れずさらに上達していきましょう。

こちらも現役生の作品です。シンプルな構成ですがそれぞれの物のクオリティ、空間へのアプローチ、陰影の見せ方どれも素晴らしいです。欲を言うとリンゴの形はもっといけると思います。張りの形、断面の形などもう一歩観察できると良いです。

こちらも現役生です。この時期にここまで精度の高さで上げてこられることに驚きます。人間らしさが表現できています。密度も素晴らしいのですが、細部の形と周りの形のつなぎのカタチをもう一歩観察できるとさらに高い次元にいけると思います。

長くなりましたが以上になります。