カテゴリー別アーカイブ: 彫刻科

彫刻科 夏の終わりダイジェスト

彫刻科講師の氷室です。
夏期講習も残す所、あとコンクールのみになりました!!
長い夏期講習、鍛えの夏になったでしょうか

みなさんが真剣なので、指導にもつい熱が入ります。
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さて、最近の優秀作品を一部抜粋して、紹介します!

こちらは、現役生のジョルジョデッサン
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光の方向が綺麗に表現できています。逆光側の形も逃げずにしっかりと描いてあり、きちんと本人の視点を感じる1枚です。顔の描き込みも粘りがあって良いですね!

今回の塑像作品は、外国人モデル首像です。

優秀な作品が出ました!
F君の作品
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とてもモデルさんに似ています。一番表現するのが難しい眼差しにもハッとさせられました。エクセレント!!

Iさんの作品
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最後の仕上げのポイントがあと一歩でしたが、良く捉えられています。観察が生きていますね。とても良い丁寧な仕事です。

Mさんの作品
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最強に似ています!!骨格的にも表現的にも、文句無しの作品です。現役生とは思えないレベルの高い作品です!!こんな作品がつくれるなんて、凄い集中力です!!

今年は、現役生がグングン追い上げてくる、夏期講習らしい盛り上がりを見せ、新美に来るのが楽しくなる夏でした!!
現役生も浪人生も刺激になる講習でしたね!!

いよいよ今日から夏期最後のコンクールが始まります。各講師も全員、中期のコンクールに引き続き参加します。真剣勝負!
講師の参加にひるまず、力を出しきって下さいね
(中期のデッサンコンクールで私が描いたブルータスです。下が予備校時代に描いたもの。比べてみました。見え方は増えたものの、やっぱり、自分らしさは変わらずだなと感じました。とすると、デッサンはやっぱり自分が表れますね)
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2学期は、ラストスパートへ向けての助走段階に入ります。
じっくり考えてきた事が、実り始める時です。
ここで踏ん張り、受かりたいと言う強い意志を日々へぶつけて行きましょう!

今日の、目の前の頑張りしか、当日の背中を押してくれません!!

宿題はあるのかな…

しっかり夏期講習の疲れを癒して下さいね。また2学期に会えるのを楽しみにしています。

彫刻科 夏期講習中期!!

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こんにちは!彫刻科講師の稲田です。夏真っ盛りで暑い日が続いていますね。彫刻科の夏期講習も毎日、緊張感を持って課題に取り組むみんなの姿勢が熱くていいですね!
内部生も講習会に参加している外部生のみんなもお互いに良い刺激になっていると見ていて感じます。
まだまだ、夏は長いです。最後まで全力で楽しみながら課題に取り組みましょう。

では、さっそく夏期講習の課題から今回も作品を紹介していきましょう!!

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ミロのヴィーナスの大きさと量感が良く捉えられています。ここから1つ1つの形にもっとリアリティが備わって行くとぐっと魅力が増すと感じます。

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首像としてモデルさんの印象を大切にしながら丁寧に作り上げた作品だと思います。少し離れて見ると人間性を醸し出す緊張感のある作品になりました。この作者は時々、作品がかたくなることがありますが、かたさが良い方向に出た作品になりました。
ここからは、僕が実際に浪人時代制作した模刻を少し見ていきたいと思います。
みんなの塑造の模刻を見ていて感じるのがスピードとパワー不足です。限られた時間の中で作り上げていくには、どんどん量をつけて粘土をコントロールする力が不可欠です。全体から部分、部分から全体と絶え間なく切り替えて進めていく事に慣れていってほしいです。下の塑造は、あばたのヴィーナス、シーザーの模刻です。制作時間は6時間です。

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自分で今振り返ってみると足りない部分も見えてきますが、模刻をする際の密度は最低でもこのくらいしっかりと作れるようになっていきましょう。
みんなにも本物よりも本物らしい模刻をつくり出せる力を付けさせる事を目標に指導しています!!どんな条件下でも怯まず作り上げる力を身につけるように一緒に頑張って行きましょう!!

今回はこの辺で。次回のブログ更新は講習会も佳境です!みんなの力を発揮した作品を紹介出来るように期待しています。

彫刻科夏期講習前期

こんにちは!彫刻科の小川原です。夏期講習が始まりました!前期は塑造とデッサンの集中特訓課題です。がっちり力をつけていきましょう!
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1課題目は動物(うさぎ)の塑造でした。動物はあまり頻繁にある課題ではないので、こうした機会に構造を勉強しておきたいです。
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ずっと伏せているうさぎでしたが、どこから見ても変化が感じられる動きのあるポーズが自然につくれました。動きの自然さも動物としてのリアリティーを表現するためには重要な事ですね!

夜間のデッサンでは奴隷を描きました。いつもより短い時間でしたが、なかなかいい作品が出てきたと思います。
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細部に関しては単調さがあり、具体性に欠けますが奴隷の持つ量感の表現が見事です!

1学期終わりから夏期講習までの間に自主的に自画像を描いてきました。
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夏って感じがしていいですね!髪の毛も含めて表情が繊細に描けています。首や体にもう一つリアリティが出るといいでしょう。

さて、僕の制作は前回に続いて木を荒取りしていきます。大型のエンジンチェーンソーを使ってザックリ落とします。
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とりあえず横から見た時の要らない量はおおまかに落とせました。
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次に正面から見た量も落としていきます。
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次回からどんどん削りこんでいく作業に入ります!
夏は暑いけど、汗かきながら体動かすのは悪く無いです 笑

さ、次回のブログ更新の時は講習会も中期に入っていますね!夏期講習は受験の1年の中でも基礎力を高めるには特に重要な期間なので頑張りましょう!

1学期末ラスト 大型石膏頭部模刻。

学科はしっかりやってますかー!?
こんにちは。彫刻科の小川原です。彫刻科昼間部で1学期末に3日かけて大型石膏像の頭部模刻を行いました。実際試験では出ませんが、そこを突き抜けてこういった課題に体当りしていくことで視野も広がるし、意識も高まっていくことだと思います。
ジョセフ。
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出だしでは量の大きさに翻弄される部分もありましたが、最終的にはかなり印象を合わせてきました。慣れている像であっても、初めてつくる像であってもその魅力に反応していければ今持っている技術で充分な物が出来るでしょう。

ラオコーン。
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土付けは地味ですが、裏を返せば丁寧に対象を追えています。ここまで合わせてくると、むしろやるべきことがどんどん見えてきて、いくらやって終われない。ということに気付いてくれたと思います。それらをやり切るためには前半の見切りを限りなく正確にしていき、時間を短縮していく必要があります。繰り返しトレーニングを積んで的確な荒づけ作業が出来るようにしましょう。

さて、しばらく前に課題で行なった実在実習の木彫作品が完成しているのでそれも紹介したいと思います。

「動」をテーマにした手の木彫です。
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正直うまいなと思いました。大学生より上手いんじゃないかな 笑。粘土でつくったり、デッサンを描いてみれば分かる通り、手はとても難しいんです。これだけ複雑なものを木の塊から彫り上げるというのは半端なデッサン力や、形体を見切る力では出来ません。その上道具の使い方も慣れが必要です。彼は初めて木彫を行いましたがこの1作品の中でそれらの能力を伸ばしながら同時に完成へと向かって行くことが出来ました。彫刻の制作においては作る形によって常に新たなスキルを身に付けていかないといけないので、こうした経験が出来たことは彼にとって非常に有益なものであったと思います。

今回は最後に今制作している本制作の作品を紹介します。「夜」をテーマにした作品。もう大分進んでいますが、少しずつ順を追って解説していきたいと思います。
僕は制作前に必ずデッサンを描きます。デッサン、塑造、木彫の順に段階を経て実際の形にしていくのですが、これはすぐ直せる順ということです。特にデッサンはすぐ印象が確認できるし、直すのも楽なのでイメージ作りにはとても重要です。
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次は塑造です。塑造したものをパーツごとに分解、中空にくり抜いて窯で焼成、再度組立ててそれをマケット(実制作の模型)とします。この段階では実際に立体として像を確認できるので、デッサンでは想定できない部分を補っていくことが出来ます。粘土なので形の変形が瞬時に感覚的に行えるのが良い所です。
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そして木彫へ。これまでにイメージを深めてきたことを木にぶつけていきます。まずはいらない部分を大きく落としていくためにザックリとしたデッサンを入れるところからです。ここでミスすると作品としてのダメージが大きいので何度も確認します。
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続きはまた次回。

僕は大学で木彫をやらなかったですが、卒業後しばらくたってからいきなり始めていつの間にか5年くらい経ちました。大分慣れてきた感じがします。

20日から夏期講習が始まりますね!僕の目標は夏期講習中に現役生も含め、全員を実際の試験で戦えるレベルに限りなく近づけていくことです。
もう勝負は始まっています!頑張りましょう!

彫刻科1学期のまとめ

こんにちは。彫刻科の小川原です。彫刻科ではそれぞれに足りない力を明確にし、1学期のうちに出来るだけそれらが埋まるよう指導を重ねてきました。受験ではオールマイティな力が求められるので、学科を含め実技全般にバランスを取っていくことがとても重要なのです。
得意、不得意だったり、物の捉え方の傾向は個々によって異なるので、その人個人に合わせた指導が求められます。特に夜間部生など、今年初めてスタートを切る学生は、1学期のうちに基礎力を徹底的に吸収してもらうことを目標に指導してきました。さて、その結果はどうだったかな?
1学期後半の成果を紹介します。
まずは昼間部生の作品。
ギリシャヴィーナス。
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普段作りなれないモチーフであっても、形を正確に作っていくという目標や方法論は変わらないわけですからなんでも作れて当たり前という気持ちでいてくれたらなと思います。もう少し顔の印象を合わせたかったですが、完成度が高く、よくまとめられています。

ベルベデーレ。
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腰から下の描写(特に手前に迫る脚)はやや浅く感じられますが光源設定が上手く、美しい光で豊かな量感が表現できています。デッサンではとにかくモチーフとの対話(モチーフらしさが出ているか)と画面との対話(自分の理想とする作品の方向性)を忘れないようにしましょう。

夜間部生の作品です。
ブルータス。
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試験時間を意識した課題でした。この時期現役生で短時間でここまで描ける力があることは素晴らしいことだと思います。何より自然に像に迫っていく作者の取り組みに好感が持てます。後頭部の描き込みはまだまだですが、全体にとても良くバランスが取れています。この調子で頑張ってください。

アバタのヴィーナス。
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こちらも試験時間を意識した課題でした。とても良く印象が取れていると思います。表面はやや撫でてしまっている感じが強いですが、顔が似ているので説得力はあります。同じ時間でもう少し髪も作り込めるよう研究を深めましょう。

さて、紹介したのは一部の作品でしたが、全体的にかなりレベルは上がってきました。この調子で一人も欠けること無く、皆で盛り上がっていきましょう!

さて前回僕の趣味の頭骨の彫刻作品を紹介しましたが、今回はその続きです。僕は作品を売らない方向で制作をしていますが、頭骨の彫刻作品は売るための作品です。
今回はツキノワグマの頭骨を使いました。
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パテを盛り、削りこんでいきます。
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仕上げのペーパーがけをして彩色して完成。
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彫刻はなかなかお金にイメージが湧かないらしく、これから始めようとしている人たちにはよく就職できるんですか?と聞かれます。彫刻の技能を活かした就職というものはゴマンとあるので、就職したいのであれば出来るというのが結論です(専門職で言うとクレイモデラー、CGモデラーなどは特に彫刻出身の人達が活躍しています)。但しその時点でしっかりとした技能を修得し、魅力的な作品を作れることが前提です。まあそれはどの科も同じだし、普通大学を出た人の就活だって、良い企業に入りたいと思うのであれば自分を磨かないといけないのと同じといえるでしょう。
逆に自分の作品を作り続けたいという人で、作品を売りながら生活している人も実際にいます。漠然と将来の不安を感じて一歩を踏み出せずに迷っていても何も始まりませんが、案外一歩踏み出したら全てが解決してしまったりするんですよね。努力したら努力した分の将来がある。努力を裏切らないのが彫刻のいいところかなと思います。