カテゴリー別アーカイブ: 彫刻科

1学期の総決算コンクール!!

こんにちは!彫刻科講師の稲田です。
雨や曇りが続いた、6月もあとわずかになってきました。梅雨明けが待ち遠しいですね。
新美での課題制作、普段の生活の中でも思い描いたようには、なかなか行かないこともあるでしょう。そこには、個人個人いろんな理由もあるでしょう。しかし、時間は待ってはくれません。
何度も繰り返しますが、一日一日を大切に自分なりに誠実に課題に取り組みましょう!!この言葉の大切さが本当に理解出来るようになってほしいですね。

そんなこんなで、彫刻科ではもうコンクール(実技模試)の時期になって参りました。昼間部は来週から、夜間部は今週から始まっています!!今の自分の実力を発揮出来るよう、気持ちを整えて望みましょう。

では、今回は最近の課題の中から自刻像作品をピックアップして、みんなにも見ておいてほしい魅力がある作品を紹介していきましょう!!

昼間部学生作品「自刻像」
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作者自身の内面をより作品に反映させるために手を組み合わせての自刻像です。少し動きがかたい部分もありますが、より深い部分へ積極的にアプローチしていく姿勢は何よりも重要です。少し内証的な仕草と表情には作者の等身大のリアリティが垣間みれます。

昼間部学生作品「自刻像」
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こちらの作品も昼間部の生徒作品です。首周りや髪の毛の追求に物足りなさがあるものの、それを補って余りある魅力的な表情をつくり出しました。受験課題に留まらず、その先を感じさせるセンスが内包された作品です。

夜間部学生作品「自刻像」
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この作品は夜間部の現役生の作品です。素直な観察と丁寧な作り込みがかみ合わさって、作者自身の意志を感じさせる作品に仕上がりました。現在の表現に満足する事無く、さらに深く追求する姿勢を持ちましょう!!

 

 

今回「自刻像」を選んで紹介したのは、自分を表すことは最も身近であると同時にものを作る事の根幹にも通じることだからです。そして、作品を通して自分の中にある漠然とした気持ちや考えに形を与えていくことが彫刻の醍醐味です!!人間の姿を表す具象的な像に限定しても表現は、スーパーリアリズムからデフォルメのきいた表し方まで際限なくあります。下の画像は、僕が学生の1、2年生の時に制作した自刻像です。当時の僕は、スーパーリアリズムに影響を受けて生々しい人体を作っていました。この画像は原型なので髪がないだけで当時坊主だったわけではないですよ(笑)型取り後に人工の髪をつける予定でした。

学生時代の作品「自刻像」
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今となっては、何してるんだか…と自分で思う作品ですが当時は大真面目に作っていました。自分の求めている人間像はなんだろう?と日々追求していました。そんな中から生まれてきた作品は、ダメダメな部分も多々ありますが次に進む大切な過程でもあります。とことんやって失敗して駄目だと痛感するまでやりましょう!!追求することもなく未消化なところばかりでは何事も前には進みません。

そんなところで、今回は「自刻像」を見ていきました。
折しも、7月12日(日)から「舟越保武彫刻展 まなざしの向こうに」が練馬区立美術館で開催されます。人間像の形を通して、自分を追求する姿勢を先人に学びましょう!!
次回は、小川原先生にバトンタッチです!よろしくお願いします!!

彫刻科 秀作のかげには

こんにちは 彫刻科、今回のブログ担当は氷室です。
さてさて6月は、祝日もなく梅雨時期と言うこともあり、なんとなくもの静かに淡々と日々が過ぎて行く様に感じますね。
みなさんはどの事を感じている日々なのでしょうか。

最近の秀作を何点か絞り、紹介したいと思います!

前回のブログで紹介しました実在実習、石膏取りをした首像が完成しました!
普段の受験を意識した制作から、一歩先を見て彫刻の作品が出来る楽しさや大変さを感じられる貴重な体験になったのではないでしょうか。
この作品、なんと紅茶で着色してあります。何とも柔らい表情が出ており、とても魅力のある作品ができましたね!
初めて手がけた手元に残る本格的な立体作品の制作、いかがでしたか?感想が気になります。 ぜひ大切にして欲しいです。
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こちらは珍しい課題ですね。ヘルメスに白い布をシュロ縄で巻いてあります。
細かい表情に捕われ過ぎずに、彫刻を勉強していく上で重要とされる、量感や構造への理解を少し突っ込んで意識してもらうための課題でした。
ですが、実は、構図に悩み量感に苦戦し、さらにそれぞれの質感表現が難しい、時間のかかる課題でしたね。
このデッサンは、そのどれを取っても均等にこなしてあり中々の良い切りがある1枚です!
Y君のデッサン
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こちらは夜間部生、Kさんのデッサンです。
デッサンの行程が、きちんと形を掘り起こす作業につながっており、全体を見ても細部を見ても形がしっかり見えてきます!光の印象やジョセフの表情も良く捉えてあり、とても良いデッサンだと思います。
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こちらも夜間部、Mさんの素描です。
子割りと白いテープを使った造形素描の課題ですね。面白い構成にセンスを感じます!自分で構成を考える課題ですので、やはり責任を持って描き切る事が求められます。この素描は、こう描きたい!と言うMさんの強い意志を感じます。空間もスッキリ、質感も感じられる上手い1枚です。
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今回の作品紹介は以上です!

引き続き、去年イタリアのバチカン美術館で見て来た、こんな作品も展示されているの!?と言う私が個人的にユーモアを感じた作品達を紹介したいと思います。

こちらは彫刻コーナー あまりの数の多さに唖然としてしまします
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これは、ここから髭を作るために残されている部分なのでしょうか… なんとも表情がユニークに感じました。

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この台座は!!?

顔が…この模刻がでたら嫌だ…
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この並べ方は狙っているのか…?
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こんな片隅に、適当に置いてある!!!!
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こんな置き方で大丈夫なんですか!?
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ギャランドゥーが…
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いかがでしたか?
秀作とされる作品の影には、名も残き人が作った、たくさんの模刻や習作があったことを痛感したのでした。

お約束なベルベデーレにラオコーン
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アポロンもありました。

次回は6月27日にアップ予定です!稲田先生へバトンタッチです。

新美の「雰囲気」

こんにちは学生課です。
今日は新美を紹介します。

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正面玄関。
エレベーターで各アトリエとつながっています。

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スロープを挟んでもう一つ入り口があります。
こちらは総合受付で、申込みなどの窓口です。

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エレベーターで2階にあがると学生課と基礎科のアトリエがあります。
各美術館のチラシや割引券、招待券もあったりするので気軽に来てください。

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自習室や学科の教室

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5階には画材店のtoolsがあります。
画材だけでなく、お菓子にも力を入れてくれています!

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新美の油絵科には大量の書籍があり
授業後は学生たちが日々研究をしています。

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デザイン、工芸、日本画アトリエ

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彫刻科の道具たち。

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ざっくりですが紹介してみました。
これからも新美の「雰囲気」を紹介していきます!
では。

実在実習 石膏取りグループ。

こんにちは。彫刻科の小川原です。木彫に加えて石膏取り組も雌型、雄型作りを終え、仕上げに入っています。
今回は自刻像の石膏取りを行いました。首像だけで結構大変ですよね。大学に入ったら等身大の人体や、それ以上のサイズのもので型取りをすることもあるかと思います。今のうちに型取りの技法の理屈を知っておくと良いと思います。?IMG_3444

さて、それではこれまでの優秀作品から僕が選んだ作品を紹介します。
昼間部生の作品です。
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カッパーヴィーナスの顔はもう少し美しく描きたかったのと、ミケランジェロの台座の形の狂いが気になるところですが、全体に自然な空間が表現できていてよいです。色幅豊かな印象が魅力的です。

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続いてチャボの塑造です。自然な動きと形の魅力が出せていると思います。動物は動くモチーフなので、ただその場その場で見て直す。ではなくて、チャボそのもののイメージを情報としてしっかり頭に入れて、それを再現するように土に置き換えるのが重要です。

夜間部生の作品。

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非常に立体的に描けていてよいです。モチーフの隅々までしっかり観察し、粘り強く画面に表現していこうという意識の高さに好感が持てます。クロッキー力を磨いて上達の速度を加速させていきましょう。

現役生も浪人生に引けをとらない作品を打ち出してきていますね。まだ制作時間が長いとはいえ、着実に実力をつけてきています。夜間部生にはどんどん昼間部生を脅かす作品を出していってもらいたいです。逆に昼間部生には流石うまいなぁと目標とされるような作品や、制作に対する姿勢を見せてもらえたらうれしいです。

話は変わって基礎のデッサンの参考ということで生徒に混じってデッサンのデモンストレーションを行う機会がありました。今回はメディチを描きました。基礎のデッサンなので彫刻っぽい(笑)デッサンにならないようあくまでベーシックな進め方になるよう心掛けました。とにかく印象と調子をしっかりと追っていく。これに徹しています。

アタリからしっかり印象を拾っていくことが大切です。構図、比率、動き、構造、これらも同時に確認しながら進めます。
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光源を設定し、調子を乗せていきます。とにかく調子の流れが外れてしまわないように隣同士で、もちろん全体でも自然に色の変化をつなげていきます。この段階で顔がしっかり似せられると良いです。
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ガーゼを使って空間や質感に変化を作っていきます。基本的に奥行き面や下面はおさえて鈍い色にしています。ただ全体では完成のイメージを見越して感覚的にもう少し複雑な捉え方をしています。
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ここまでで作り上げてきたベースを活かして更に具体的に形を引き出していきます。最終段階で少し炭をおさえながら(落としながら)進めていくことを見越して、日なたの部分以外はやや濃い目の炭をのせています。但しそれでも調子の流れは自然でないといけません。
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最終段階でも常に全体の調子の自然さと、形の変化(フォルム感)に気をつけながらギリギリまで色幅を増やしながら探っていきます。キワや回り込みは擦筆でしっかり決めて行ってぼんやりした感じにならないように気をつけます。
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今回も指導しながらだったので3時間も描いてないくらいですが、この描き方だと進める流れさえ外さなければどんどん決まって行くため、3時間が6時間になってもそんなに印象は変わらないかもしれません(やることがなくなってしまう)。とにかく出だしから慎重に「外さないこと」「画面全体をコントロールすること」「常に一手前の作業を活かすこと」を考えて行うので、クロッキー力さえ身につければ失敗は限りなく少ない進め方と言えるのかもしれません。逆に勢いや感情、(情熱的な作業)に任せて進める部分がないので面白いデッサンにはなりにくいですね。
みなさんも自分でデッサンの進め方を振り返ってみて、どこに問題点があるのか客観的に見直して見ると良いです。弱点を補強すると上達も早いですよ。
さて、次回は氷室先生のアップです。お楽しみに!

彫刻科 実材実習!!

こんにちは!彫刻科の新任講師の稲田です。よろしくお願いします!!
4月からの緊張感も少し緩んで来た頃ではないでしょうか。彫刻科はこの時期、実材実習に突入しています!木彫や石膏取りなど普段はなかなか縁のない素材に触れる事で新鮮な経験となると思います。
ということで、今回は生徒の作品&実材実習のレポートです。おまけで新任講師の自己紹介がてら制作している作品の紹介もしていきます。
では!さっそくデッサン&塑造の作品から紹介して行きましょう!!

円盤投げ(木炭デッサン)
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円盤の動きに反応して実直な観察が好感が持てるデッサンです。構造的にもう一歩踏み込んで行けるとさらによくなるでしょう。

ミロのヴィーナス頭部(模刻)
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良い観察から生まれた模刻です。像の持っている張りやたるみにまで神経が行き届くようになるとヴィーナスらしさにもっと迫れるでしょう。

 

 

ここからは、実材実習の様子を紹介します!!今回紹介するのは、木彫です。各自「手」をテーマに取り組んでいます。

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まずは、木に作りたい形をデッサンしていきます。

 

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次に、大きくのこぎりや鑿で形を彫り出していきます。

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鑿とハンマーで彫り進めます。

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鑿の扱いにも慣れてきました。

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みんな、だいぶ手の形が出てきましたね!あと1週間完成に向けてファイト!!
実在実習は木彫組と首像の石膏取り組と分かれて行いました。石膏取りは次回紹介します。

 

 

最後になりましたが、簡単に僕の自己紹介がてら、過去の作品を紹介して締めくくります。
僕は大学に学部、大学院の修士過程、博士過程と9年間いたのですが、その間何をしていたかというと、、、ただひたすら制作していました。大学の思い出は、夏に蒸し風呂みたいな木彫室で木を彫っていた記憶と冬の極寒の中、外で石を彫っていたことです。それでも、その経験があるからこそ自分を信じて制作を続ける道を選んだと思います。
生徒のみんなも大学生として生活する日が来ますが、今日やっておけばよかったとか明日やればいいやという気持ちでは自分が納得出来る作品は絶対に作れません!!今日することは今日のうちに!!新美での1年を実りあるものに一緒にしていきましょう。言いたいことは言いましたので過去の作品を紹介して終わりにします(笑)

修士過程で制作した作品「かわきの肖像」

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修士過程で制作した作品「きえさるひと」

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博士過程で制作した作品「ある日の肖像」

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博士過程で制作した作品「静かな立像」部分

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博士過程で制作した作品「ひとりとふたり」

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こんな感じで僕は人の形をテーマに作品を作ってきました。話し出すと切りがないので作品を紹介するだけにしましょう。ちょうど実材実習で木彫を彫っているところです気になることがあったらどんな質問でもどんどんしてください!!

次回は一巡して小川原先生です。よろしくお願いします!!