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彫刻科 入試直前講座に向けて一休み。

こんにちは!彫刻科講師の稲田です。
新年に入りましたが冬期講習後期に参加した受験生のみんなは、ゆっくりする時間も無いまま実技の腕を磨く日々だったことでしょう。まずは、冬期講習会おつかれさまでした。
連日課題をこなす中で疲労も溜まってきている頃でしょう。自分の体調は自分にしかわかりません。センター試験も迫ってきて焦る気持ちの人もいるかもしれませんが一日で出来る事には限りがあります。休める時には無理をせず、体調を整えて集中出来るコンディション作りをしていきましょう。

今回は、昼間部生の木炭デッサンを紹介します。
「アムール」木炭デッサン
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非常にクールな木炭デッサンになりました。正確に丁寧に描かれた好感の持てる作品です。色調も美しいです。頭部の印象は非常にアムールらしさを捉えることに成功しています。
ただ、まだ物足りません。体は物として捉えているように形同士の繋がりが希薄でギクシャクしたかたい印象が強く今ひとつ滑らかなアムールのフォルムに迫れていません。
デッサンには、その作者の物の見方、捉え方がはっきりと現れます。これが正しいという物の見方は存在しません。どんな見方でも良いと思います。しかし、静かに客観的にそこにある像を捉えたデッサンの中にも構造、量、動きによる形の緊張感が内包されていなくてはいけません!!それが真にクールなデッサンでしょう。
更に高いレベルのデッサンへ挑戦し続けてください。

話は変わりますが最近、みんなのデッサンや塑造を見ていて頻繁に思う事ですが守りに入り過ぎです。
4月からするとそれぞれに上達しています。ただ、上達すればするほど失敗したくない気持ちが強くなりこれぐらい描けていればいいかなと無意識に安心するようなところまで来たら像の観察をやめてしまったりしています。自分に出来る範囲で無難に描いて絵を完成させようという姿勢は間違っています!!
これは全員が通る道ですから上達すればするほど自分を守りたくなるものですが、実際の試験で守ったデッサンや塑造で合格するほどの実力者はそうそういません。
芸大の教授が試験で見ているのは、この作品の作者は「がんばるやつか?」どうかです。それには常に積極的な姿勢で制作することが大切です。極端な話、前日まで失敗続きであろうと本番成功すればいいのです。そこそこの絵を描いて変わらない評価でいつも同じことを講評で指摘される。これは守りに入っている証拠です。自分ではやりすぎているかもしれないというぐらい変えていかないと自分で自分を変えていくことはできません。練習で失敗しないでいつ失敗するつもりなのか?まさか試験本番ですか?そうじゃないのなら、一枚のデッサンや1つの塑造を大切に制作していきましょう!!

試験本番までは、あっという間なようですがここからがこの一年の努力を積み上げる時期です。講師陣も一押し二押しみんなを引き上げることを念頭に指導していきます!!厳しい事を言われることもあるでしょうがその言葉を原動力に最後まで走り切りましょう!!

最後に初詣に行った京都伏見稲荷で合格祈願の絵馬を書いてきました。ぼくも博士課程を受験する時に書いたのでご利益があるかもしれません。

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みなさんは、デッサンを!粘土を!真摯に取り組む事を心がけて制作しましょう。神様に祈るのは周りにまかせましょう!!では、このあたりで失礼します。

彫刻科 冬期講習 制作への意識の高まり!

こんにちは。彫刻科の小川原です。冬期講習も中期後半を迎え、入試への緊張感も増してきました。取り組む姿勢や制作に対する意識の高まりによって、ここ最近レベルがグッと上がってきたように思います。冬期講習で何か一つ、手応えのようなものを得てもらえたらと思います。頑張りましょう!

さて、前期から試験時間に合わせてデッサンも塑造も6時間制作となっています。そんな中で完成度が特に上げられた2点を紹介します。
昼間部生の作品。 グデア。
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グデアはシンプルな像ですが、四角い構造の中に豊かな人体的要素が盛り込まれていて、実は非常に難しいモチーフです。何となく出来たように思えても実際の印象にはなかなか近づいていかないものですが、この作品は彫刻的に緊張感とは何かがしっかりと考えられ、モチーフの印象に素直に迫れています。このように、理解を深めた上で、かつそれを分かった風でなく真摯にモチーフに向き合う姿勢はとても重要です。

夜間部生の作品。 奴隷。
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この時期現役生で6時間でここまで描けたら素晴らしいと思います。実際自分が現役生の時はこんなに描けませんでした。奴隷の動き、量感、印象がよく引き出せています。安定してこのレベルで作品をコントロールできるようになる事が出来れば入試も自信を持って乗り越えられると思います!この調子で頑張りましょう!

デモンストレーション。ジョセフ。
全体感を大事に仕上げていきましょう!
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ラオコーン2時間描き。
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出だしで形の狂いが無くなったり、完成のビジョンがもてるだけでこんなに早く描けます。

最後に僕の今制作中の作品状況を紹介。
前回お見せしたものから一気に進んでしまっていますが、荒彫りは大体終わっています。
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それぞれこの1年やってきた事がこの時期やっと形になり始める頃だと思います。大事なのは最後まで「魅力的な作品」を追い求めていく気持ちです。受験に受かりたい!受かりたい!ということばかり考えてしまってる人はいませんか?。今の自分の状態に焦りを感じて制作に集中できていない人はいませんか?そうした気持ちのブレは必ず作品に出てしまうし、一年で一番伸びる重要な時期に伸びなくなってしまいます。心に余裕を持てと言っても難しいかもしれませんが美術の原点は表現を楽しむ気持ちそのものだと思います。今だからこそいい緊張感の中、日々の制作を楽しんで実力を伸ばし切って欲しいです!応援しています!頑張りましょう!

彫刻科 2学期もラスト3日

彫刻科の氷室です。いよいよ師走に突入!あとは、冬期講習と直前講習を残すのみとなりました。

最近首像を作る課題がありました。
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人体それ自体が自然の産物であり、そこに動き呼吸をし見えている量と輪郭。それをどの様に探しに行くのか。
簡単には答えが見つからず、じっくり形を観察し自分の頭を通して手に伝える。時間をかけることが許されている彫刻という分野。瞬発力が要求される受験。その中で皆さんはどの様に受け止め、目の前の課題に取り組んでいるのでしょうか。

ロダンはー 彫刻では、面の肝腎な線を求めながら肉付けをして行く。一つの体の中にある箇所に抑揚をつけて他を顧みないようではいけません。おのおのが比例を保ちながら存在しています。つねに全体と関連して強めていくべきものです。その度合い、律度は各芸術家によって違います。それに依って彫刻家の気質が翻訳されるのです。
言語も、どの様な日本語に訳するかで、雰囲気が変わってきますからね。どの様に皆さんが、観察したものを翻訳していくのか。もちろんある程度のルールがあってこそですが、最後は自分の決断です!
最後は、自信が必要です。それには、どれだけ自分の目で観察し、目の前の自分に向き合ったか。その事実が背中を押してくれると思います。やはり苦手で克服したい箇所は誰にでもあります!まだ時間はあるので、最後の1日までしっかり向き合っていきたいですね。

さてさて、前置きが長くなってしまいましたが、最近の作品を紹介します。
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塑像板上で与えられた空間の中へ、両手の構造を使った流れを意識し、綺麗に表現できています。作り込みもある程度のレベルまで持って来れているので、離れて見ても、近くで見ても魅力が感じられます。

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こちらは自主的にモチーフを選び、時間を見つけて描いた1枚です。空間を簡単に出すために、ついつい逃げやすい細部や奥の形へ突っ込みながら、かつ手前も描き空間を感じさせる、そんな、こちらも近目と遠目に絶えうる作品になりました。なにより描く楽しさが伝わってくる1枚です。

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まづは、モチーフの持っている印象を大切に!それが大事なんだと言うことを感じる1枚です。ジョセフの頭部のズーンと迫ってくる迫力や表情の、にまっと笑っているかの様な印象が上手く表現出来ています。

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自刻像課題です。単体では良く出来ている作品をも追い越し、並んでみると、不思議と生命感が見えてくる魅力的な作品です。本人の持っている、人体への素描力が粘土へ伝わっています!何においても、素描力は物を言いますね!大切に自信をもっていきたいです。

余談ですが、塑像で使う水粘土は、原型から、ブロンズや石膏、焼き物、ポリなどに置き換えないと存在が持続させられない素材です。残念ながら受験においてが前提である予備校では、課題として作り上げられた作品達は、解体される事が常です。

こんなに大作で、しかも時間と体力と頭脳を駆使し作り上げられたものが壊されて行くことが、寂しくもあり、それは私が歳を経て来たからなのか…。以外にも軽快に?現実を受け止め、解体していく生徒たち。そこには未来があるからこそのエネルギーを感じました!!

解体の模様
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そんなこんなで冬期講習も、まずは描くことが楽しい! 作ることが楽しい!と思えるそんなアトリエの空間を作っていきたいすね! 体調にはくれぐれも気をつけて、頑張っていきましょう!!

次回は小川原主任にバトンタッチです。

彫刻科 いよいよ2学期も残り僅か!!

こんにちは!彫刻科講師の稲田です。 新美の公開コンクールが終わったと思っていたら、もう2学期も下旬に差し掛かっています。
各予備校で開催される公開コンクールに参加して結果が出た人、出なかった人いると思いますが正直ここでの結果は、参考ということを忘れないで下さい。もちろん現時点での実力は見ることが出来ますが、ここから残りの2学期、冬期講習、直前講習で自分のデッサンと塑像を積み上げていくことが重要です。積み上げることが出来た人は必ず結果に繋がります。

要するに、年明け前の今の時期は上手くいかなくても粘り続けることが必要なつらい時期ということです。
良く描けた!!と思う日もあれば、自分の絵が良くなっているのか?このままじゃダメなんじゃないか…と落ち込んだりすることもあると思いますが、今が一番の頑張りどころです!!講師の目から見ていると、確実に各自の課題を克服する方向に向かっています。
この調子で残りの2学期を乗り切りましょう!!

では、今回はデッサンの作品を紹介していきましょう。

昼間部「アムール」木炭デッサン
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臨場感の溢れるデッサンになりました。作者は、いつもいいところまで持ってくるのにあと一歩迫り切ることが出来ないデッサンが多かったですが、今回のアムールはその壁を超えることが出来た作品になりました。素晴らしい石膏デッサンには、この場所から見たらこうだよねという共感(客観的な形の正確さ)+本人の主観(本人が主観で感じた魅力)の組み合わせが必要不可欠です!かっこいいアムールの見上げの印象が見る側にも伝わってくる作品です。デッサンはこうじゃないといけないですね!!

 

 

夜間部「ジョセフ」木炭デッサン
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この作者は現役生ですが、最終的に高いレベルのデッサンが描けるようになってきました。これは作者だけではなく全員に言えることですが少しでも形が狂うと評価は天と地の差程開きます!それぐらいシビアなものです。このことを絶対に忘れないように!!課題であった形がボヤケるというクセもこのデッサンでは克服出来ています。もう一歩ジョセフの形のリアリティに迫れると更にレベルの高いデッサンになると思います。

 

氷室先生が教室でも告知されていましたが、11月9日?12月5日までギャラリー長谷川で山本正道先生が個展を開催されています。日本の彫刻家の中でも最後の巨匠と言わせる彫刻家です。みんなも忙しいとは思いますが時間を作って、彫刻を志す人は必ず見るように!!

一昨日から、東京芸術大学彫刻科主催の「第10回アトリエの末裔あるいは未来展」がはじまりました。会場は、東京芸術大学大学美術館陳列館と旧平櫛田中邸で開催しています。木彫作品をたくさん見るいい機会なので休日に出掛けて見て下さい。【期間】2015年11月20日(金)?29日(日)  ※24日(火)休館  【時間】10:00?17:00 ※入場は16:30

11月29日はプレ冬期!!1日模刻ゼミがあります。模刻に苦手意識のある人やもっと経験を積みたいという人は是非参加してみてください。当日は、彫刻科主任の小川原先生がデモンストレーションとして一緒に制作します!学外生や未経験だけど興味があるという方はこの機会に体験してみてください!!何か新しい発見もあるかもしれません。参加費用は無料です。詳細は、ホームページをご覧になるか新宿美術学院に直接ご連絡下さい。では、今回はこの辺で。

彫刻科 2学期後半!伸び盛り!

こんにちは!彫刻科の小川原です。2学期も後半戦です。入試の足音も大分近づいてきましたね。僕は入試を勝ち抜いていくためには2学期が勝負だと思っています。冬期、入直はもちろん緊張感も高まるし、実力もグーンと上がっていく時期ですが、落ち着いて研究を深められるのは今しかないと思います。

さて、公開コンクールでは学内生、学外生問わず「模刻」のレベルが問題点として浮彫になりましたが、ここを鍛えないことには厳しい受験争いになることは必死です。いや、そもそも戦えるのでしょうか?全体のレベルが高くないなら、このタイミングでしっかり頑張っておけば入試の時点ではかなり差がついてくるのだと思います。入試で模刻が出るとは限らないですが、模刻が出来ないと彫刻そのものが出来ないので、しっかり模刻を修めてから大学に入って下さい!

それでは10月の優秀作品の一部を紹介します。模刻の話が出たので昼間部生の模刻から見てもらいたいです。
ジョルジョ。
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これまで模刻がどうにも上手くいかなくて苦手意識が強かったですが、ちょっとしたアドバイスだけで自力でここまでつくれました。完成度自体は十分とはいえませんが、量感、動き、印象。どれをとっても良い内容となっています。この調子で頑張って!

カッパのヴィーナス。
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こちらも最近グッと力をつけてきた学生の作品です。髪の毛の表現はもう少し印象を出していきたいところですが、全体の構築感はとても良いです。
髪の毛の表現に関しては荒づけ、中付けをしていく過程でベースを作りながら同時に雰囲気を作っていくようにして、時間を効率よく使っていきたいです。今は時間が足りていない事が伝わってしまいます。

それでは夜間部生の作品です。夜間部はデッサンがかなり上達してきました。浪人生に比べて制作時間が少ないので、1課題を大事にこなしていきましょう!
ブルータス。
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現役生としては素晴らしい内容です。これまで炭のコントロールが上手く出来ずにフワフワしてしまうのが問題でしたが、今回はかなりしっかり形にすることが出来ました。全体を意識してやりきっている事に魅力を感じます。今回は9時間描きでしたが、6時間でもこのレベルのものを描けることを意識して下さい。

ジョルジョ。
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ドラマチックに撮った写真のように不思議な魅力のある作品です。細部を徹底して描き込んでいますが、ベースの形もしっかりつくっているので表情が浮いていないです。彫刻科のデッサンとしてはかなり独特な作品ですが、逆に個性があってよいです。あくまで対象に素直に向き合って、嫌なクセっぽさが出ないように気をつけましょう。

最近は僕も学生に混じって描いたりつくったりしています。今回はマルスを描きました。
描き出し。「全体感」ということに焦点を当てています。
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全体に同時に描き進めていきます。顔も出だしからしっかり似せていきます。
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統一感を損なわないように気をつけながら完成度を上げていきます。今回は少し時間をかけて5時間くらい描きました。みんな出だしから崩れてしまって、崩れたまま6時間過ごしてしまうパターンがほとんどです。視野を広くして画面全体を把握しながら進めましょう!1 2
ラオコーン。描き出し1時間半。
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角度を変えて40分。
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それを受けての昼間部生作品。3

氷室先生からも告知があったと思いますが、11/29にプレ冬期講習があります。彫刻科は今回模刻の特別授業を行います。初心者の方はもちろん、浪人生もこの1日で学べることは多いと思います。参加無料なので、芸大受験をする人は是非申し込んで下さい!