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人物特訓 美術解剖学特別講習

こんにちは、油絵科の阿部です。
12月4日、日曜日に行われました
『人物特訓 美術解剖学特別講習』。
美術解剖学の専門の先生である、阿久津裕彦先生をお迎えして行われました。(ちょっと草薙似?)
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参加されたみなさん!
お疲れ様でした!
その講習で体験したことは、一生の中で本当に貴重な経験の1つではなかったでしょうか!

なにせ、みなさんの多くが目指されている、東京芸術大学の学生が、
1ヶ月ぐらいかけて制作する模型を、部位を限定したとはいえ1日で作ってしまうのですから。そしてまさにっ!大変だったと思います。

朝に軽く講義を受けてから、制作に入りました。

みなさんご存知でしたか?
「頭蓋骨の形は、なんでこんな形をしているのか?」
それはすべて、脳や目玉などを収めるうつわになっているのですね?。
実際頭蓋骨を逆さまにして、石膏などを流し込んで成形すると、脳の形ができるそうです。

みたいなことからはじまり
「頭蓋骨は、背骨の上に乗っています」
と1つひとつ丁寧に説明を受けながら、頭像芯棒に油土をつけていきます。
彫刻科の受講生は、さすがに慣れたものです。その一方
油絵科の受講生たちもなかなか・・・すでに、素晴らしい個性を発揮しておられました。

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こんな調子で、どんどん「人体頭部解剖模型」ができていきました。
後半、頭蓋骨の上に顔半分筋肉をつけていきます。せっかくつくった骨の形が筋肉で埋められていきます。「さようなら?」と言いながら先生は埋めていらっしゃいました。

そして終了!
どうにかこうにか、とうとう完成を見ることができました。

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先生も、多人数でこんな短い時間でつくってもらったのは、初めての経験だったそうで感動されていました。
後半、ちょっと、とばしぎみでしたが、みなさんついてきてくれて嬉しかったとおっしゃっていました。

終わった直後は、みんなひと山越えたような達成感?からか、気持ちが高鳴っていた感じを受けました。途中から違う山に行っちゃった人もいたようでしたが、それもやってみなければ 見えない新しい山でしょうから、良かったのでは ないかと思います。

おかげさまで総勢69人参加の大盛況でした。
阿久津先生 、そして受講していただいたみなさん!!
本当にありがとうございました!
また、ご協力いただいたスタッフの皆様にも御礼申し上げます

尚、自分のつくった模型に満足いかず引き続き制作したい受講生や、今回定員があり申込みたかったけど締め切られてしまった人も、このブログをみて興味の出た方も、今回講師を務めていただいた阿久津裕彦先生の出されている教本がありますので、参考にするとよいかと思います。

 

公開コンクール後の作品。秋のブロンズ鋳造見学。

こんにちは!彫刻科の小川原です。タイトルで秋の…と書きましたが先日雪も降り、めっきり寒くなりました。風邪をひいてしまっている人も多いのではないでしょうか?これから入試に向けて大事な時期なので、体調管理は万全にしていきましょう!

さて、各予備校の公開コンクールも一通り終わって、また落ち着いて課題に取り組む日々に戻りました。公開コンクールの時のレベルから、この1ヶ月で浪人生も現役生もかなり伸びてきたと思います。この調子で頑張っていきましょう!

先日行ったコンクールの1位の作品です。ラオコーン。img_3781
光線状態が難しい中、素晴らしい表現力を見せてくれました。やや首が細いのと、顔をもう少し明解に描きたい所ですが、それを補って余るくらい体の捉え方が魅力的です。6時間でこれだけ描けていたらもう自信を持って本番にも挑めるでしょう!この調子です!

同じく夜間部生の作品。ラオコーン。
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こちらはコンクールではなく少し時間をかけてじっくり仕上げました。僕は現役の時にデッサンは自信がありましたが、どれだけ時間をかけてもこんなに力強くて質の高いデッサンは描けなかったので正直感心してしまいます。段々と時間を短くしてもクオリティを損なわないようレベルを高めていけると良いですね!

昼間部生作品。自画像。
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木炭紙サイズで6時間で描きました。本番に向けてはこのサイズで3時間でイケるぞ!というくらいの勢いに乗れると良いです。今は6時間であっても中身がしっかりしていることが大切ですね!そういう意味でもこの作品はただ単純に自分の姿を見て描くということ以上に作者の内面に触れられそうな魅力が感じられます。作品からは強い自信と意欲が見て取れ、惹き付けられます。

さて、もう2学期も終盤ですね!皆ここまでよくついてきてくれたし、本当に頑張ってきました!努力が実力という形で見えてきていることを皆実感しているのではないでしょうか。それでもまだまだレベルは上げていけます!さらに上手くなって、さらに自信をつけて、堂々と試験に向かえるように今やれることは全てやろう!!

ここからは先日僕のアトリエで、一部を学生に手伝ってもらいながらブロンズ鋳造を行った様子を報告します。
僕が以前制作した作品のシリコン型からワックス原型→耐火石膏型→脱ロウ→型焼成まで事前に行っておいた物にブロンズを溶かして流し込みます。
使うのはインゴッド状のブロンズの塊を高速カッターでぶつ切りにした物です。
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コークス(燃料)で黒鉛るつぼ(ブロンズを溶かす壷)に入れたブロンズを加熱していくのですが、まず耐火石膏を組んでコークス炉をつくります。下からブロワーで風(酸素)を送って強制燃焼させるのですが、燃焼効率の良い形を設計します。
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一度火鋏(二人用)でるつぼを掴んで流し込む体勢の確認をします。
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炉はこんな感じ。るつぼと炉の壁の隙間にコークスを投入していきます。
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いきなりコークスに火はつきません。最初は木材にバーナーで点火します。
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ブロアーを始動し、次に木炭を入れていきます。
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木炭に十分火がついたらコークスをどんどん入れていきます。ブロアーの風量はMAXにします。
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後は溶けるごとにブロンズを追加しながら必要な量が整うのを待ちます。
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途中錫を追加しました。錫は低い温度で溶けるのであっという間に流れていきます。
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かなりの量が溶けて最後の塊が沈んでいきます。I’ll be back.

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そして鋳込み!
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残念ながら流し込む瞬間は写真取ってませんでした笑 流し込んでもしばらくは作品もるつぼも真っ赤。
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2つ目です。ここで貴重な瞬間は撮影できました。ちなみに夜になってしまいましたが、なぜかと言うと1回目の鋳込みで炉の空気の通り道に灰が溜まってしまい、空気を十分に送れず、るつぼの温度がなかなか上げられなかったからです。
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2つのうち一つは型に水分が残っていてブロンズが沸騰してしまい、失敗してしまいました。もう一つも穴とかバリとか難はありますが修正は可能な範囲。ちなみに穴は溶接して埋めました。
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ブランクーシの作品のように鏡面仕上げにします。最初のヤスリがけ。
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細かい穴は質感的にはあっても良いかなと思いましたが、この後大部分を溶接して埋めてしまいました。
鏡面になっていく過程はまた後日報告します!ブロンズ鋳造なんて滅多に見られないから面白かったんじゃないかな。

彫刻科 近況

彫刻科昼間部講師の氷室です。
寒くなってきましたね。いよいよ受験シーズンの到来だな!と言う感じがしてきました。
そんな中、まだまだ皆さんの実技が、グングン伸びてきています。
足下が揺らぐ時こそ、その足下をしっかり見つめて、最後まで自分を信じていきたいですね!

たまに気分転換が必要な時に、お勧めな本があります。
もう既に読んでいる人もいると思いますが、まず何から彫刻を知っていったら良いのだろうと思っている人にとって、なにかしらの発見があるかもしれません。
舟越保武さんの『巨岩と花びら』という画文集があります。
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ぜひ、一度、読んでみてください。

さて、ここからは実技の近況です。
今回は、模刻を2つご紹介します。
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ブルータスの模刻 顔を前に出し、左を向き、少し顎を引く。さらにまだ彫り途中の石の表情。この動きがもたらす首の形を表現することは難易度が高いですが、作者の気迫が感じられます。真摯に迫り、動き、量感、構造、印象、質感、全てに作者の意識が行き渡っています。

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ヘルメスの模刻  下を向いている像なので写真ではやや分かり辛いですが、心棒を考えに考え、その後は比較的スムーズに組み立てながら粘土付けが進んでいった印象があります。短時間ではありましたが、特徴的な頭部の形態を損なうことなく髪の毛の密度を上げられています。顔の印象も難しい部分ですが、冷静な観察が活きており、似ています。

ここからは、クロッキーをご紹介します。
4枚とも同じ生徒が描いた作品です。
クロッキーをひと言で表すのは難しいですが、なにより作者自身が表現を楽しんで、挑戦の場としていることが、ここ予備校だけでなく、さらにその先の人生の確実な糧になっていることは、間違いありません!!
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こちらは、また違う生徒のクロッキー帳の1ページです。
私には出来ません!思わず、おおっ となります。この様な表には出てこない努力も、実はひっそりと、たくさんあるのでしょうね。
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最後にお知らせです。
11月27日(日)に彫刻科では、プレ冬期、無料体験講習を行います。
今回は極!自刻像!と言うタイトルが付いています。
この講習を通して、知ったつもりでいた部分を、改めて確信へ変えてマスターするために、ぜひ参加してみて下さい!
自刻像は、模刻より比較的みんなの得意な分野だと思います。そうなると、よりレベルの高い戦いになって来ます。
何が決め手となるのか!
この講習会では、「プロポーション、動き、量感」「筋骨を意識した起伏」「骨格に一致する表情」の3つのポイントに重点を置いて、デモンストレーションを通して分かりやすく解説していきながら制作していきます。
予備校などに関係なく、どなたでも参加出来ます。
9時から17時まで解説を入れながらの制作。18時まで講評となります。

今回は以上です。
次回は、小川原主任にバトンタッチです!お楽しみに!

追伸ーーー
無事に個展が終了致しました。
作品を見に、直接足を運んでくださった皆様、本当にありがとうございました。
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彫刻科 最近の様子

こんにちは。彫刻科講師の稲田です。
新美彫刻科の公開コンクールは終わりましたが、まだまだ各予備校で行われるコンクールに参加する生徒も多いと思います。結果を気にすることは当然ですが、自分の実力が受験者全体のどの程度の位置なのか把握する客観的なチャンスです。真摯に受け止めて、次に繋げましょう!

さて、大学の推薦入試も出願がはじまり、慌ただしくなってきましたがここからが長丁場です。季節の変わり目なので体調を崩す生徒もちらほら見かけます。自分の体調は自分にしかわかりません。しっかりコントロールして乗り切りましょう。

僕は普段、昼間部を中心に授業をみているので夜間部の制作はあまりタッチしていませんが先日、教室の壁に貼り出された夜間部のデッサンがとても印象に残ったので紹介したいと思います。

木炭デッサン「ブルータス」

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魅力のあるデッサンですね!画像では色が飛んでしまって伝わりにくいですが、実際に石膏像に光が当たって出来る独特な溶け込んでいくような陰影の印象がよく表されています。空間や空気感というものを表すことは一番難しいですが、作者の目線を追える広がりのある作品です。体の布の折り返しが丸みが強い部分があるので気をつけたいです。

 

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このデッサンも画面に広がりがありますね。形の特徴をよく観察して反映出来ています。ブルータスのこの部分ってこうだよなとデッサンから感じさせるところがすごいですね!形の説得力はピカイチです。
細部だけでなく、全体の大きな形、光の陰影もバランスもよいですね。
もう一歩、首の角度と繋がり、形がしっかりすると万全です。

 

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作者の観察が伝わってくるデッサンで非常に好感が持てます。形になり切っていない部分や黒が溜まっていたりとまだまだ足りない点はありますが、対象を粘り強く追う姿勢は他の作品に負けない魅力となっています。

 

鉛筆デッサン「自画像」
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いい表情ですね!この透明感は作者のセンスを感じます。頭部に関しては文句なしの傑作です!後は、体への興味を広げていけるといいですね。体はギリギリ及第点です。

このように現役生は時間の限られた中でとても魅力的な作品を出してきています。伸び盛りは勢いがありますね!!今後が楽しみです。

では!今回はこの辺りで失礼します!コンクールファイトー!!

公開コンクールを終えて。

こんにちは。彫刻科の小川原です。先日新美で彫刻科公開コンクールが行われました。結果はデッサン、塑像共に新美の昼間部生で同じ人が1位をとる結果となりました。今回の結果は現段階での実力を計ったものなので、入試までに残りの期間をどう鍛えていくかが重要ですね。特に現役生は実際の入試での時間内で作品をしっかり仕上げていくのが難しいということが分かったと思います。普段の実力を本番で出しきるために、今やれることをしっかりやっておきましょう!

さて、1位だった作品ですが、デッサン、塑像ともに普段の実力からするともう少し出来ていてほしかったところですが、本番でこうして結果を出してくるところはさすがでした。
デッサン ジョルジョ
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塑像 自刻像
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さて、人物課題を強化していこうということで新美彫刻科では11/27日(日)のプレ冬期講習で「極!自刻像!」と銘打って特訓を行います。特に今回のコンクールで悔しい思いをした人や、コンクールに参加できなかった人は是非受講してみてください!内部生も学外生も無料です。
さらに冬期講習では人物課題克服のための芸大集中特訓コースにてモデル首像、自刻像、モデル素描を集中特訓します。なかなかまとまって取り組める課題ではないので興味のある方は是非チェックしてみてください!彫刻の基本は人体です!人体を極めて他の課題にも活かしていきましょう!

コンクール前後の優秀作品です。コンクール前、夜間部留学生の作品 ミケランジェロ。
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コンクール後、昼間部生の作品 奴隷
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それぞれ実力の高まりを感じます。1学期、夏期講習と培ってきたことを2学期でものにして欲しいですね。頑張りましょう!!