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彫刻科。入試直前突入!

こんにちは!彫刻科の小川原です。1月に入りあっという間にセンター試験も終わりましたね。もうすぐ2月と思うと早すぎる時間の流れを恐ろしく思います。

冬期講習を経て学生のレベルもだいぶ高まってきました。預かり作品の出る数や頻度の多さがそれを物語っていると思います。
それでは直近の預かり作品の一部を紹介します。
浪人生の作品。フォーンのトルソ。
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フォーンは顔がないから割りと皆描けちゃうというのはそこそこのレベルの話であって、6時間でここまで全体をコントロールし、やりきった作品はなかなか出ないでしょう。作者は日増しに表現に磨きがかかってきています。頼もしい存在です。

浪人生の作品。ジョルジョ。
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何より印象が良いですね。この位置から描いて時間内にここまで顔を似せてこれる人はそういないと思います。ジョルジョとしてのモチーフの印象をしっかり理解して描けていることが伝わってきます。意識の高まりによってどの課題をこなしても外さなくなってきています。この調子で行きましょう!

現役生の作品。モリエール。
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課題への取り組み方として、慣れているものを慣れた感覚で漫然とこなしていって欲しくはなかったので普段あまり描かない像に挑戦してもらいました。安定したスタートは切れませんでしたが自力でグッといい内容まで持ってこれました。参作でもここまでかっこいい作品は珍しいと思います。このままの勢いで行きましょう!

浪人生の作品。牛骨ラップ巻き。
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とても難しい課題だったと思いますが、どう表現して行ったら良いか感じ取る嗅覚がうまく反応してくれています。ラップに巻かれた牛骨がそこにある状態そのものが丁寧に描けていると思います。もはや何でも描けるという自信とプライドを持って臨んでください!
浪人生の作品。アバタのヴィーナス。
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実直に、印象に寄り添うように力まずモチーフと向き合えていると思います。そうした姿勢は制作している姿を見なくても作品から見て取る事ができるのです。実際の試験でも、ただ形を合わせることだったり、ただ描き進めることに一生懸命になっている人はきっといい結果は出せないでしょう。4月から自分の責任で、自分の作品を作れる人。そういう人を見極める試験だと思ってください。やっていることが作業になってしまっては、それは作品を表現している事にはならないのです。

現役生の作品。手と電球。
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冬期講習で始めて塑像を経験した人とは思えない彫刻として優れた作品です。ポーズの選び方も、筋骨の観察も、素晴らしい出来だと思います。「いい作品を作りたい」ということに対する意欲の高さがこの作品を生み出したのだと思います。日々新しく覚えていくことがたくさんあると思いますが、驚くほど吸収しています。10教えたことに対して、自分でさらに工夫を加えて11にも12にもしてくる。これは受験生にとって最強の武器であると思います。

浪人生の作品。メディチ。
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敢えてこの時期短い時間で大きな像に挑戦してもらいました。今まではもっと時間を掛けて完成度が上がっても違和感あるところがどこかに残ったと思いますが、作品全体に対しての把握力が増したことで印象の良い終わり方ができたと思います。本番では何が出題されるか分からないので、慣れない課題であっても落ち着いてやるべき事を整理し、向き合って欲しいです。

さて、受験に対する緊張感も相当な高まりを見せつつ、力もググッと上がってきたことで、ある部分では不安を感じていることでしょうが、もう一方では自信も付いてきたと思います。試験ではこれまでやってきたこと以上のことはできないので、日々の取り組みを真摯に行い、学んだとこを次に生かしていく姿勢こそが合格へのカギだと思います。発表の日を胸を張って迎えられるかはそこまでの取り組みにかかっています。自信を持って取り組んで欲しいです。そのためにもやれることは全てやりきりましょう!!応援しています!!

続き。
最近始めたブロンズの作品が1つ完成しました。
ワックス原型です。型からロウでおこしています。
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鋳造。1300℃くらいでブロンズを溶かしています。
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形はできました。磨くと金色です。
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肌は薬品で化学反応を起こし、黒くしています。断面は鏡面仕上げです。台は大理石。
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彫刻科 2学期末の近況

こんにちは!彫刻科講師の稲田です。早いもので彫刻科では2学期を締めくくるコンクールが今日終わります。結果によっては落ち込むこともあるかもしれませんが、まだ大丈夫です!一時の調子の善し悪しなど試験本番には何の関係もありません。挫けずに自分が言われたことに真摯に向き合っていきましょう。

では、今回は素描を紹介します!

「手とビニール袋」(6h制作)
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魅力のある素描ですね!画面への構成も決まっています!もう少し手の質感に迫れるとなお良いでしょう。

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安定した構成力と描写力には毎回関心させられます。今回は奥のビニール袋ごしに手を握っているという描写が今ひとつ物足りないことが残念ですが、その他は非常に魅力のある描き方が出来ています。

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素描に苦戦の続いていた作者でしたが今回は粘ったかいもあり問題点だった薄っぺらくなることや構造的な問題を感じさせない作品になりました。自分の苦手とする見方を克服する足がかりになるといいですね。

「自刻像」(6h制作)
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この構築力!現役生とは思えませんね。以前の作者の作品はしっかりとはしていましたがポーズや表情に彫刻としての余韻を感じませんでしたがこの作品には形に深みが出てきました。この調子!

 

 

さて、彫刻科では何かと課題で首像を作る機会が多いですね。模刻にしてもほとんどが首像ですし、自刻像、友人像、モデル首像等は課題の常連ですね。彫刻科では人間の形への興味と理解は必須といえます。受験生の頃は目の前の形を追うことで精一杯というのが正直なところでしょうがそれではいけないと僕は考えています。一番大切なのは自分が人間に対してどのような目線を持って形を作るかです。僕はよく講評で「形に重みが無い」、「形に奥行きが無い」、「形に余韻がない」、「形に可能性が無い」などという言い方をしていると思いますが簡単に言えばただ形を目で追って作っただけのものを見せられても何もない空虚なものにしかならないということです。予備校の段階ではあまり突っ込んだことは言われませんがこの先に必要なのは自分の思想と意志です。小手先の方法論ではなくもっと情熱を持って彫刻に打ち込みましょう!!

最後に先日個展をしました。以下出展作品↓

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僕自身も道半ばですが試験まであと2ヶ月半一緒に彫刻を深く追求しましょう!!
では、今回はここまでで次回は氷室先生です。

人物特訓 美術解剖学特別講習

こんにちは、油絵科の阿部です。
12月4日、日曜日に行われました
『人物特訓 美術解剖学特別講習』。
美術解剖学の専門の先生である、阿久津裕彦先生をお迎えして行われました。(ちょっと草薙似?)
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参加されたみなさん!
お疲れ様でした!
その講習で体験したことは、一生の中で本当に貴重な経験の1つではなかったでしょうか!

なにせ、みなさんの多くが目指されている、東京芸術大学の学生が、
1ヶ月ぐらいかけて制作する模型を、部位を限定したとはいえ1日で作ってしまうのですから。そしてまさにっ!大変だったと思います。

朝に軽く講義を受けてから、制作に入りました。

みなさんご存知でしたか?
「頭蓋骨の形は、なんでこんな形をしているのか?」
それはすべて、脳や目玉などを収めるうつわになっているのですね?。
実際頭蓋骨を逆さまにして、石膏などを流し込んで成形すると、脳の形ができるそうです。

みたいなことからはじまり
「頭蓋骨は、背骨の上に乗っています」
と1つひとつ丁寧に説明を受けながら、頭像芯棒に油土をつけていきます。
彫刻科の受講生は、さすがに慣れたものです。その一方
油絵科の受講生たちもなかなか・・・すでに、素晴らしい個性を発揮しておられました。

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こんな調子で、どんどん「人体頭部解剖模型」ができていきました。
後半、頭蓋骨の上に顔半分筋肉をつけていきます。せっかくつくった骨の形が筋肉で埋められていきます。「さようなら?」と言いながら先生は埋めていらっしゃいました。

そして終了!
どうにかこうにか、とうとう完成を見ることができました。

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先生も、多人数でこんな短い時間でつくってもらったのは、初めての経験だったそうで感動されていました。
後半、ちょっと、とばしぎみでしたが、みなさんついてきてくれて嬉しかったとおっしゃっていました。

終わった直後は、みんなひと山越えたような達成感?からか、気持ちが高鳴っていた感じを受けました。途中から違う山に行っちゃった人もいたようでしたが、それもやってみなければ 見えない新しい山でしょうから、良かったのでは ないかと思います。

おかげさまで総勢69人参加の大盛況でした。
阿久津先生 、そして受講していただいたみなさん!!
本当にありがとうございました!
また、ご協力いただいたスタッフの皆様にも御礼申し上げます

尚、自分のつくった模型に満足いかず引き続き制作したい受講生や、今回定員があり申込みたかったけど締め切られてしまった人も、このブログをみて興味の出た方も、今回講師を務めていただいた阿久津裕彦先生の出されている教本がありますので、参考にするとよいかと思います。

 

公開コンクール後の作品。秋のブロンズ鋳造見学。

こんにちは!彫刻科の小川原です。タイトルで秋の…と書きましたが先日雪も降り、めっきり寒くなりました。風邪をひいてしまっている人も多いのではないでしょうか?これから入試に向けて大事な時期なので、体調管理は万全にしていきましょう!

さて、各予備校の公開コンクールも一通り終わって、また落ち着いて課題に取り組む日々に戻りました。公開コンクールの時のレベルから、この1ヶ月で浪人生も現役生もかなり伸びてきたと思います。この調子で頑張っていきましょう!

先日行ったコンクールの1位の作品です。ラオコーン。img_3781
光線状態が難しい中、素晴らしい表現力を見せてくれました。やや首が細いのと、顔をもう少し明解に描きたい所ですが、それを補って余るくらい体の捉え方が魅力的です。6時間でこれだけ描けていたらもう自信を持って本番にも挑めるでしょう!この調子です!

同じく夜間部生の作品。ラオコーン。
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こちらはコンクールではなく少し時間をかけてじっくり仕上げました。僕は現役の時にデッサンは自信がありましたが、どれだけ時間をかけてもこんなに力強くて質の高いデッサンは描けなかったので正直感心してしまいます。段々と時間を短くしてもクオリティを損なわないようレベルを高めていけると良いですね!

昼間部生作品。自画像。
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木炭紙サイズで6時間で描きました。本番に向けてはこのサイズで3時間でイケるぞ!というくらいの勢いに乗れると良いです。今は6時間であっても中身がしっかりしていることが大切ですね!そういう意味でもこの作品はただ単純に自分の姿を見て描くということ以上に作者の内面に触れられそうな魅力が感じられます。作品からは強い自信と意欲が見て取れ、惹き付けられます。

さて、もう2学期も終盤ですね!皆ここまでよくついてきてくれたし、本当に頑張ってきました!努力が実力という形で見えてきていることを皆実感しているのではないでしょうか。それでもまだまだレベルは上げていけます!さらに上手くなって、さらに自信をつけて、堂々と試験に向かえるように今やれることは全てやろう!!

ここからは先日僕のアトリエで、一部を学生に手伝ってもらいながらブロンズ鋳造を行った様子を報告します。
僕が以前制作した作品のシリコン型からワックス原型→耐火石膏型→脱ロウ→型焼成まで事前に行っておいた物にブロンズを溶かして流し込みます。
使うのはインゴッド状のブロンズの塊を高速カッターでぶつ切りにした物です。
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コークス(燃料)で黒鉛るつぼ(ブロンズを溶かす壷)に入れたブロンズを加熱していくのですが、まず耐火石膏を組んでコークス炉をつくります。下からブロワーで風(酸素)を送って強制燃焼させるのですが、燃焼効率の良い形を設計します。
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一度火鋏(二人用)でるつぼを掴んで流し込む体勢の確認をします。
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炉はこんな感じ。るつぼと炉の壁の隙間にコークスを投入していきます。
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いきなりコークスに火はつきません。最初は木材にバーナーで点火します。
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ブロアーを始動し、次に木炭を入れていきます。
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木炭に十分火がついたらコークスをどんどん入れていきます。ブロアーの風量はMAXにします。
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後は溶けるごとにブロンズを追加しながら必要な量が整うのを待ちます。
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途中錫を追加しました。錫は低い温度で溶けるのであっという間に流れていきます。
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かなりの量が溶けて最後の塊が沈んでいきます。I’ll be back.

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そして鋳込み!
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残念ながら流し込む瞬間は写真取ってませんでした笑 流し込んでもしばらくは作品もるつぼも真っ赤。
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2つ目です。ここで貴重な瞬間は撮影できました。ちなみに夜になってしまいましたが、なぜかと言うと1回目の鋳込みで炉の空気の通り道に灰が溜まってしまい、空気を十分に送れず、るつぼの温度がなかなか上げられなかったからです。
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2つのうち一つは型に水分が残っていてブロンズが沸騰してしまい、失敗してしまいました。もう一つも穴とかバリとか難はありますが修正は可能な範囲。ちなみに穴は溶接して埋めました。
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ブランクーシの作品のように鏡面仕上げにします。最初のヤスリがけ。
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細かい穴は質感的にはあっても良いかなと思いましたが、この後大部分を溶接して埋めてしまいました。
鏡面になっていく過程はまた後日報告します!ブロンズ鋳造なんて滅多に見られないから面白かったんじゃないかな。

彫刻科 近況

彫刻科昼間部講師の氷室です。
寒くなってきましたね。いよいよ受験シーズンの到来だな!と言う感じがしてきました。
そんな中、まだまだ皆さんの実技が、グングン伸びてきています。
足下が揺らぐ時こそ、その足下をしっかり見つめて、最後まで自分を信じていきたいですね!

たまに気分転換が必要な時に、お勧めな本があります。
もう既に読んでいる人もいると思いますが、まず何から彫刻を知っていったら良いのだろうと思っている人にとって、なにかしらの発見があるかもしれません。
舟越保武さんの『巨岩と花びら』という画文集があります。
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ぜひ、一度、読んでみてください。

さて、ここからは実技の近況です。
今回は、模刻を2つご紹介します。
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ブルータスの模刻 顔を前に出し、左を向き、少し顎を引く。さらにまだ彫り途中の石の表情。この動きがもたらす首の形を表現することは難易度が高いですが、作者の気迫が感じられます。真摯に迫り、動き、量感、構造、印象、質感、全てに作者の意識が行き渡っています。

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ヘルメスの模刻  下を向いている像なので写真ではやや分かり辛いですが、心棒を考えに考え、その後は比較的スムーズに組み立てながら粘土付けが進んでいった印象があります。短時間ではありましたが、特徴的な頭部の形態を損なうことなく髪の毛の密度を上げられています。顔の印象も難しい部分ですが、冷静な観察が活きており、似ています。

ここからは、クロッキーをご紹介します。
4枚とも同じ生徒が描いた作品です。
クロッキーをひと言で表すのは難しいですが、なにより作者自身が表現を楽しんで、挑戦の場としていることが、ここ予備校だけでなく、さらにその先の人生の確実な糧になっていることは、間違いありません!!
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こちらは、また違う生徒のクロッキー帳の1ページです。
私には出来ません!思わず、おおっ となります。この様な表には出てこない努力も、実はひっそりと、たくさんあるのでしょうね。
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最後にお知らせです。
11月27日(日)に彫刻科では、プレ冬期、無料体験講習を行います。
今回は極!自刻像!と言うタイトルが付いています。
この講習を通して、知ったつもりでいた部分を、改めて確信へ変えてマスターするために、ぜひ参加してみて下さい!
自刻像は、模刻より比較的みんなの得意な分野だと思います。そうなると、よりレベルの高い戦いになって来ます。
何が決め手となるのか!
この講習会では、「プロポーション、動き、量感」「筋骨を意識した起伏」「骨格に一致する表情」の3つのポイントに重点を置いて、デモンストレーションを通して分かりやすく解説していきながら制作していきます。
予備校などに関係なく、どなたでも参加出来ます。
9時から17時まで解説を入れながらの制作。18時まで講評となります。

今回は以上です。
次回は、小川原主任にバトンタッチです!お楽しみに!

追伸ーーー
無事に個展が終了致しました。
作品を見に、直接足を運んでくださった皆様、本当にありがとうございました。
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