カテゴリー別アーカイブ: 彫刻科

彫刻科 夏のレベルアップを定着させよう

こんにちは。彫刻科講師の佐宗です。

秋深まって欲しい今日この頃、最近の秀作を紹介します。

何回描いても良い自画像。自分の姿を詳細に観察し、見つめ、しっかりと描写していますね。素描力の向上をひしひしと感じます。

自画像は藝大の卒業制作でも描きます。受験期の自画像は是非大切に保管して、大人になった時に見て欲しいです!私はほとんど捨ててしまって後悔しています。。

マスクの模刻に任意の要素を一つ足して塑造しました。このような課題は、前提として模刻の精度が必要になり、さらに空間的なアプローチも重要です。
塑造版の上の空間を大きく使ったり、どの方向から見てもかっこいい形、空間を作れると良いと思います。

パジャントは秀作が沢山出ました。

パジャントは動きがなく、十字の構成が強い像です。
横から見上げた時のパースの付け方をよく気にして欲しいです。斜めの位置は肩と首の付け根をしっかり意識しないと服で丸くなってしまうので気を付けましょう。
みんな直してきましたが、顔の前後が短くなってしまう人が多かったです。首の付け根、顎の付け根、額の位置を合わせましょう。

これだけしっかり描写が進むと印象も合いますし、かっこいいですね!

ジョルジョのデッサンは顔の印象をしっかり似せたいです。動きや構造はそこまで難しくはないですが、顔が似てないと一気に印象が悪くなってしまいます。

また、体正面位置は厚みの表現が難しいのですが、こちらのデッサンはしっかりと描けていますね。

続いては夜間部の作品です。

グデアの模刻、どちらもパチっっとグデアらしくできています。


こちらはまだ経験の浅い学生ですが、かなり形態感強く形を描けるようになってきました。この調子!


マルスの背面は正面に比べて形が柔くつながっていて魅了的ですよね。よく描けています。


最後は基礎科の学生のジョセフです。描写にはまた拙さがありますが、形、印象をとてもよく捉えています。このような、離れて見た時にこそ形が強く、かっこいいデッサンを目指したいですね!

作品紹介は以上になります。

夏の勢いでみんな休日も自主練をしたり、ぐいぐい力をつけています。講師の目から見ると本当にみんな上手くなりました。焦ったり迷ったときは2、3ヶ月前の自分の作品を振り返ってみるのもいいかもしれません。デッサンや模刻はとにかく訓練を重ねることが大切です。毎回新しいカタチを発見してください。

来週からは気温が20度台になるとか、ならないとか。本格的な芸術の秋がやってきますね。いい展覧会もたくさんやっています。休みの日にはいい作品を見て、インプットも大事ですよ。

秋もこの調子で頑張っていきましょう!

 

 

二学期に突入!彫刻科

こんにちは。彫刻科の佐宗です。

今回は夏期講習終盤から二学期に突入した今の、夏の終わりと早秋の秀作を紹介します。気温も作品もまだまだ暑く、熱く制作しています!

夏期講習は特に現役生の伸びが素晴らしかったです。初の受験に向けて、スポンジのように吸収していく姿がとても頼もしく、これからにも期待です!

こちらは夏期講習最後のコンクールでの秀作です。

かっこいい描写も、バシッと合わせた形に乗らなければ意味がありません。

こちらは自画像の秀作です。今年度は鉛筆デッサンを強化してきました。芸大受験では素描の課題は無くなりましたが、ものを観察し描き起こすというのはとても大切な訓練になります。鉛筆は木炭と比べて描いた痕跡が残りやすく、積み重ねが見えてきやすいので自分としても上手くなった実感が得られやすいと思います。みんなかなり鉛筆の使い方にも慣れて、良い作品がたくさん出るようになりました。


とても印象が良い2枚です。ブルータスはここから描写が進んでいけばかなりカッコ良くなりそうです!

二学期に突入して初のデッサンは円盤投げの背面です。筋肉隆々でラインが多い正面から見るよりも筋肉の柔らかいつながりや大きな形が見えやすい背面、かっこいい!
空間を含めて良く描けています。

熱く、暑すぎた夏が終わり(まだまだ暑い。。)少しずつ秋に向かっていきます。ぐんぐん伸びた夏の力を、しっかりと身につける秋にしていきましょう!

彫刻科夏期講習終盤戦!

こんにちは!彫刻科の小川原です。
夏期講習ももう終盤戦に突入しています。思えばこのひと月で素晴らしい成長を見せている生徒が本当に多いです!制作について以前よりずっとよく考えて取り組んでいるなということが伝わってきます。良い感じで2学期にバトンタッチできそうです!ラストスパート頑張りましょう!

それれではここ最近の預かり作品を紹介していきます。
まずは受験科から。
ジョルジョは胸像の中では難易度の高い像ですが印象よく完成に持って来れました。

モデル首像はまさに彫刻の基礎だと思います。人物を知ることで多くのことに応用していけます。表面的に形を観察するよりも内部構造(筋骨)について考えていく必要があります。さらに人物の「意識」や「精神」についてまで表現を模索していく可能性について考えていきたいところです。

静物素描では客観的状況やものの質感、性質の差について表現を高めていきたいです。普段使い慣れない鉛筆も苦手意識を持たずに工夫研究していきたいです。

ジョセフは大きな像ですが印象は捉えやすいのでガンガン描き進めていきたいです。空間に関しても魅力的に表現できるよう考えられると良いです。

模刻は塑像力を鍛えるのにもってこいの課題です。考えたいのは輪郭の変化や表面の起伏ではなくて、空間上にどのように量や構造、軸を捉えていくかです。部分を見ていてはどんなに直す作業を加えても捉えきれません。

自刻像は作家としての永遠のテーマであると同時に基礎基本であると思います。内面まで踏み込んで作品として表現したいです。

円盤投げ、およびトルソーは鏡像に比べて圧倒的に難しいです。というのは動きの関係性がより複雑かつ、より「人体」としての理解が求められるので誤魔化しが効きません。クロッキー力を鍛えて全体を軽く把握できるようにしておきたいです。

構成塑像ではモチーフを空間上に美しく効果的に配置していくことが重要になります。ちょっとした向きや角度の違い、接し方の違いでも全く印象が変わってきます。制作に取り掛かる前にじっくりエスキースを重ねておきたいです。さらには完成度をがっちり上げていくことも重要です。完成度を上げることが素材の質感に差をつける事に直結します。

ガッタメラータは特徴的な印象を持った像ですが比較的描きやすい像です。カッコよく描きやすいということでもあるのでテンションを上げて挑んでいきたいです。鎧含め描写部分も多いですがしっかりベースと空間についても考えていきましょう。

最後に彫刻科基礎コースの生徒作品を紹介します。この夏期講習でかなり実力を上げてきました!

受験の一年ももうすぐで半分終了です!とはいえ大事なことは一つひとつ弱点を克服すること!焦っても何もいいことはありません。自分もそうでしたが受験生はあくまで受験の世界しか体験していないのでどんなに経験を積んだつもりでも井の中の蛙である事には変わりありません。要するに分かったようで実はそんなに分かってない。結構雰囲気でやってる部分が大きいんじゃないかなと思います。まあそれはある意味仕方ないというか、それが普通なのでそんなものだと思うのですが、少なくとも雰囲気でやる中で「確かな実感」みたいなものを掴んでほしいなと思います。言葉で説明できるほど頭の中で整理できてなくても感覚的に正しいことがわかっていればかなり強みになると思います。そのためにはひたすらやり込むしかないです。中にはまだ頑張りきれてない人もいるかと思いますが、入試は人生がかかっているので無理をするとしたら今なんじゃないかなと思います。無理なく取り組むくらいの感じで勝てるほど簡単ではないです。「仕方ないよね」となるのは嫌なのでぜひみんなに頑張ってほしいと思ってます!

彫刻科:夏期講習中盤戦

こんにちは、講師の新妻です。いやはや暑いですね。

夏期講習も折り返しを過ぎました。前半はデッサン塑像とも基本を再確認しつつ、それぞれの課題が浮き彫りになってきました。そこから一人一人が自分の課題と向き合いながらの後半戦、良い熱量を感じています。

夏期講習は1期ごとにラストがコンクールで終わります。順位やランクも大事な判断基準ではありますが、自力でどこまで今の時期に理解できているのか、コントロールできるのかを確認することが大事だと思います。レベルや得意不得意が様々な受講生で賑わっています。お互いに良い影響を受け合いながらみんなで上達していきましょう!

では作品紹介にうつります

 

素直な観察で描き上げられました。頭頂部や肩など、一見捉えどころがないように見えるゆったりとした部分も、細かい細工が集中してるところと同じように味わって描いていきたいですね。

出だしの探りの仕事がグッと成長したおかげで得意な中間作業がはまってきました。いい調子です。本物よりも簡単に形を処理してしまっているところがないか描き込みながら判断していけるといいですね。

鉛筆の扱いが上手で表現に幅があり魅力的です。手前の白布や台の辺あたりはもう一押し説得力が欲しいところ

見やすく清潔感があります。やや鉛筆が浮いて見えるところもあるのでモチーフや距離感を考慮しながら色を詰めていく仕事が要所で入ってくるとさらに良くなりそうです。

夏期講習1回目のデッサンコンクール首位の作品です。主体的な作品へのこだわりと客観的なまとめ方のバランスがとれていますね。明るい場所の立体感や全体の持つ空間の印象をより表現するために色々研究していきましょう!

白菜と手の構成塑像です。誰でも日常的に目にするモチーフ同士の構成なので、より感覚的なリアリティがある構成だと干渉した時に作品にライドしやすいかと思います。その点でもいいチョイスができたと思います。

台上の空間への配慮が効いていてスッキリ見えてきます。シンプルな構成なだけにクオリティはガンガン高めたいですね!

白菜への素直な観察が魅力的です。手の構造などは作りながら理解を深めていきましょう。

3期塑像コンクール1位の作品です。台上の空間への気配り、モチーフの印象と造形の説得力で目が引き寄せられました。マスクの精度はもっとあげられます!

基礎科生も盛り上がっています!

細かな細工と全体のニュアンスが難しい像ですが、とても自然に描き上げられました。

じわじわと粘って印象を近づけてきました。色幅がとても豊富で魅力的です。

初めての自刻像だそうです。上手!アドバイスをどんどん吸収していました!

木炭の調子で立体感や空間を作っていくやりとりが、一枚の制作の中で内容濃く体験できました。自分は高校1年生でこんなに大人な見方で描けなかったなぁ。期待大です。

一見単純に見えて、いざ作ると奥が深い椰子の実。床との接点、形の張り、締まりなどしっかり追求できましたね。

今回は以上です。ではまた

彫刻科 夏期講習に突入!!

こんにちは!講師の佐宗です。
いよいよ夏期講習が始まりました!気温以上に熱い制作が行われています!
一期は7時間という受験に近い制作時間でデッサンと塑像をするチームと、長い時間をかけて大型作品を制作するチームで分かれていました。
まずは大型作品の秀作を紹介します!

自刻像をバストアップで制作しました。この大きさ、激しいポーズ、かなり難しかったとは思いますが、大きな破綻なく完成しました!腕を上げた時の肩や肩甲骨の動きなど、よく観察できたと思います。カットの仕方や髪の毛など、自由度が高い部分でさらに動きや形をカッコ良くできると良いですね!

ヘルメスの模刻、3日間で完成させました。なんと現役生の作品です。少しだけ動きが弱くなったものの、かなりの完成度です。最近デッサンもぐいぐい伸びている学生ですが、こうして時間をかけて模刻することでさらに彫刻作品への理解度が上がり、デッサンにも良い影響が出ていると感じます。次の作品も期待しています!

こちらのヘルメスも完成度高いです。動きをとても意識して制作できました。

7時間で制作したマルスです。短い制作時間の中では序盤中盤の仕事が特に重要になってきます。描写の完成度ももちろん大切ですが、大きな動きや形が合っていなければ意味がありません。途中段階でも印象を合わせていきましょう!

現役生の自刻像です。作り初めから明確な作品イメージがあり、力強く制作できました。柔らかな動きがとても魅力的です!

トルソーは胸像に比べると上から下までの響き合いを意識しなくてはならず難易度が高いですが、よく描けています。
動きも激しい像ですので最後まで体の構造を観察してほしいです。

グデアの模刻です。少しバサバサとした表面の仕上がりですが、量や形の精度はかなり高いです。ここからグデアのピタッとした魅力を出していけたら最高です。
模刻はとにかくフォームよく、たくさん動いていきましょう!

夏期講習は特に現役生にとってジャンプアップのチャンスです!熱く熱く制作していきましょう!(熱中症に注意!)