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彫刻科 いよいよ明日からが本番です!!

長い様で短い1年
短い様で長い1年だったと思います。
限られている空間の中、自分たちで日々より良い制作環境を築き
物を作る喜びや苦しみに、1年間真摯に向き合った結果を、いよいよ発揮する待ち詫びていた1日ですね!!

各講師から生徒の皆さんへ
メッセージを頂いたので、掲載させてもらいます。

小川原主任:
『僕はこの一年、何としてでも皆を上達させたいとの思いで全力で指導してきました。その内容には絶対の自信があります!迷ったら何を教わってきたのかもう一度振り返ってみて下さい。必ず答えが見えてくるはずです!「ちゃんと出来るように」教えてきたので、当然出来ます。
僕たち講師が後ろについていると思って胸を張って臨んで下さい!応援しています!』

稲田先生:
『デッサンで大切なのは最後まで諦めないこと。
少しでも違和感を感じたら積極的に直していくこと。その結果よりも姿勢が絵にあらわれます。
自分らしい責任を持った作品を描いてきて下さい!! 』

野村先生:
『試験当日、普段より綺麗なモチーフ、美しい光、ピリッとした緊張感のある試験会場の雰囲気を、ぜひぜひ味わって描いて来てください。
一年間必死にやってきた自分に自信を持って、楽しんで制作できる事を願っています。』

臼田先生:
『今までたくさんの実技をこなしてきた事で、みんな、かなりの力をつけたと思います。その力を信じて、冷静に、かつ楽しんで、そしてモチーフに対しての感動を忘れずに実技ができれば すんっっばらしい作品が出来ること間違いなしです!!!
心の底からみんなのこと応援しています!!!
本番楽しんできてください!!!!』

氷室:
『映画監督の大林宣彦さんが、マティス、セザンヌ、ゴッホ、モネは喧嘩しない。それは、ナンバーワンではなく、オンリーワンを目指すからだ
と話をされていました。
最後の1枚になるかもしれない石膏デッサン、芸大に置いてきたくないな…このデッサンは持って帰りたいなと思うくらい、自分にしか描けないオンリーワンな1枚が描けます様に!!応援しています!!』

☆この2週間で、たくさんの預かり作品がでました。ほんの1部の実技ですが、紹介させてもらいます。

今の時期にしか描けない絵があります。
今の時期にしか作れない作品があります。
自信を持って、楽しんで来て下さい!!

彫刻科 入試間近。

こんにちは!彫刻科講師の稲田です。もう2月も折り返しですね。彫刻科でも私立美大の試験が終わり合格発表を待つ受験生も多いでしょう。芸大一次まであと2週間ほど、一つ一つの課題に対し今までやってきたことが発揮出来るよう常に全力で向かい合いましょう!!

今回は先週の課題から2点紹介します。


非常に肉感豊かにヴィーナスが描けています。実際には石膏像をみて描いているわけですが本物を前にして描いているような視線がとても魅力的ですね。


構造、動き、量感、表情、完成度すべてを兼ね備えていると思います。短い一日制作でこの領域まで持って来れる作者の力量を感じさせます。

デッサンにしても塑造にしてもなかなかこの時期みんなの気合いが空回りして、硬く消極的な方向に向いて行きがちです。しかし、それでは人には何も伝わりません。今回紹介した2作品は技術的にも高いレベルの作品ですがそれ以上に作者の視点や感性を感じさせる作品です。個性とは変わったことをして現れる物ではなく、皆同じモチーフを描いても出てくるものです。彫刻家の舟越保武氏も著書の中で何の変哲もないものの中に独自の視点を見出すことの大切さについて触れられています。石膏デッサンなんて時代遅れだと言われて久しいですが、それでも彫刻科で変わらず出題される意味も汲み取れるといいですね。

今週は最期のコンクール、そして来週には試験と最期まで息つく暇がありませんね。風邪に気をつけて最期までやりきりましょう!!

入試直前コンクール1回目。

こんにちは!彫刻科の小川原です。先週芸大入試に向けたコンクールを行いました!これまで積み重ねて来たものがしっかり出せた人、出せなかった人、そしてこれからの課題など、入試まであと1ヵ月というところで見えてきたものが多いのではないでしょうか。
本当に揺るぎない実力があって合格を確信できている人なんていません。本番はギリギリの戦いです。紙一重の勝負に勝つために、今やるべきことをしかり見据えて全力で取り組んでいきましょう!

コンクールデッサン1位。

手前の抵抗感を上げていきたいところですが、無理なく自然に印象が捕まえられています。

デッサン2位。

アゴ下がやや長いことで印象を崩してしまっているところがありますが、力強い炭使いが魅力的です。

デッサン3位。

頭部の構造に歪みがありますが、高い実力を感じさせる炭使いです。素直で丁寧な観察に好感が持てます。

塑造1位。

360°どこから見ても不十分な点がなく、それでいて正確なことが素晴らしいです。普通にやって毎回このレベルに到達できる安定感が素晴らしいです。

塑造2位。

アゴ周りに少し量が足りず、印象的には惜しい所ですが、ブルータスの方向性がしっかり捉えられているので全体によく見えてきます。この調子!

塑造3位。

全体に印象が良いです。何も外していないので、もう少し密に緊張感を出していっても良いと思います。

皆実力を出してきています!例年より入試に向けてのペースが早いのではないかなと思っています。この調子であと1ヶ月、さらに安定して高いレベルの作品が出せるようになってくれれば、かなりいい勝負ができそうです!頑張りましょう!

番外編。
基礎科彫刻コース(高校2年生)の生徒もグイグイ伸びてきました!
デッサン。奴隷。

粘り強い探りが素晴らしいです!顔も似ていますね!今年受験しても合格できる実力です!

塑造。アバタ。

印象いいですね!単純に上手いです。アバタは小さい像ですが動きにねじれがあって難しいです。でもそれもよく捉えられています。

高校2年生の時点でこんなに上手いのだから、来年は恐ろしいくらい上達することでしょう!楽しみです。今はどんどん上手くなっていくことを楽しんで下さい!

新しく始める僕の制作です。1メートルくらいの大きさで作ります。ブロンズにします。
この間まで作っていた翼のある作品は今型になって窯で数日かけて焼成中です。700°ほどに温度を上げて、型の中の方まで水分を抜きます。分子レベルまで飛ばさないと1200度の溶けたブロンズを流した時に沸騰してしまい、ボロボロの作品になってしまいます。

彫刻科 近況

昼間部講師の氷室です。
センター試験が終わり、いよいよ実技へ集中できる時期に突入しました。
ここで守りに入らず、足りない部分や苦手な部分へ向き合い、どんどん改造するべく挑戦して行って下さい!
どんな時にも心折れずに、楽観主義でいく気持ちも大切です。
それには体力も大いに関係していますから、睡眠・栄養もしっかり取って体調管理にも気をつけて下さい!
※稲田先生のブログにもありましたが、実技中であっても、こまめに水分補給してくださいね!

さてここからは、最近の実技の紹介です。

完成度が高いデッサンですね!作者の意気込みを感じます!!量感を大切にかつ空間へのアプローチも考えられており、丁寧にかつ勢いを抱えながら奴隷が捉えられています。


動きへのアプローチを作者が考えながら、奴隷に迫っています。写すだけでなく、この動きに至るまでの流れが見えてくる様です。炭の色幅も綺麗です。かっこ良い1枚です!


伸びの感じはやや弱いですが、どっしりした奴隷の重さと密度を感じさせてもらえる1枚です。しっかり、しっかり形に木炭を這わせ描き込んであります。
丁寧な仕事と空間がしっかり見えてくる奥行きのある視点の持って行き方が上手いです!


顔はもう一歩ですが、腕を手前に引き上半身が傾いて来る様が感じられるデッサンです。
言葉にするのは難しいですが、ゆっくりと円盤の中にある量とねじれを感じ取ることが出来る魅力のある1枚です。


高校2年生のデッサンです。
私が高校生の時には、この様な領域でデッサンは描けませんでした… 彫刻科にとって大切な形の起伏への表現がマルスに迫れています!

今回はここまでです。
ここまで、どれだけ実技に真摯に向き合ってきたか、どれだけしっかり環境を作ってきたか、私はみんなが1番頑張って来たと確信を持って言えます!
目標が目の前にあるので、あとは一日一日を大切に実技に向き合っていくしか、もやもやを解決する術はありません!
残り2ヶ月弱、体調管理をしながら自信を持っていきましょう!!

私事ではありますが、27日の土曜日まで、世田谷代田駅南口から徒歩1分の小さな小さなギャラリーにて、彫刻科同級生3人展を開催しています。
受験期ではありますが、息抜きにでも、またご都合が良ければ足を運んで頂けると嬉しいです。どうぞよろしくお願い致します。

彫刻科 冬期講習会締めくくり!

明けましておめでとうございます。彫刻科講師の稲田です。
昨年末から続く講習会も今日で一区切りですね。来週末にはセンター試験も控えていますが講習会の疲れや寒さからか体調を崩す生徒がちらほら見受けられます。基本ですが手洗い、うがいは効果があるので必ず家に帰った時には実践しましょう!余談ですが診察中お医者さんは30分おきに少量の水を飲むことで喉についたウイルスを流して風邪予防をしているそうです。なかなか制作中に頻繁に飲む訳にもいきませんがこまめに水分をとりましょう。

さて、講習会中で成果が上がってきた作品を数点紹介します。


フォルムと量感がうまく組み合わさって奴隷らしさに迫れています。短い制作時間を感じさせない模刻のお手本のような観察眼がいいですね。

 


形態と表面の形のバランスに苦戦することが多かった作者ですがこの作品ではみごとに克服していますね。ラオコーンの良さを引き出せています。この意識を忘れてはいけません!

 


強引な画面作りが気になった作者ですが光の方向、色幅の展開にまで意識が広がってきました。バランスよくすべての事象を取り込めるセンスはさすがです。

 


最近めきめきレベルを上げてきました!細かいことは言いません。投げださなければどこまでも良く出来るということが実感出来ているのではないでしょうか。

 

紹介したミロのビーナスのデッサン中に生徒から顔と体で作風が違い過ぎ!という意見が出ました。とても鋭い指摘です。大体の人はそういうものだと慣れてしまって余り気にしていませんがミロのビーナスは作風が混ざっています。

古代ギリシャの美術はアルカイック、クラシック、ヘレニズムの3期に様式が分類されます。ミロのビーナスはヘレニズム期に制作された像ですが、クラシック期風の頭部にヘレニズム期の表情豊かな体という若干違和感のある様式です。今風にいうと仏像風の頭部に写実的な体でしょうか,、、微妙ですね。懐古趣味と言ってしまえばそれまでですが、今も昔も流行や受けるスタイルというのがあったんだな?と思うと少し石膏像を身近に感じれるのではないでしょうか。

 

では今回はこのあたりで!ここから2ヶ月が勝負です、よく寝て、よく食べて最後まで突っ走りましょう!!