カテゴリー別アーカイブ: 先端芸術表現科

油画×先端=∞ ③

こんにちは。油絵科の関口です。
今日は油絵科と先端科合同のスペシャルバージョンのプレ夏期講習を行いました。新美初の試みでしたが、非常に盛り上がり、楽しいイベントになりました。IMG_4852

今回学生に与えたのは小包セット。
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課題文は『人体をキーワードに与えらた素材で作品を作りなさい』というもの。

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1日のイベントなので、受講した人は大変だったと思いますが、講評の時には色んな作品が並んで、本当に面白かったです。

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ところで、芸大油画専攻でも2004年には二次試験の最終日に封筒が与えられ「封筒に自由に表現しなさい」という課題が出題されました。
2010年には箱が二次試験の一日目に箱が与えられ「自分の部屋」をテーマに表現しなさい。という課題が出題されました。何れの年も全く予告なしにこういう課題が出題され、素描用紙が立体物!という設定に戸惑った受験生も多かった様です。どのタイミングでこういう課題が出題されてもおかしくないのが芸大油画専攻。

今回のイベントでの講評やアドバイスが、今後の作品作りに役立つことがあるかもしれませんね。
僕らの仕事は、皆の意識に種を蒔き、水を与えること。夏の間にグングン育って、入試の時には大きな花を咲かせたり、実を結んでもらえるように祈っています。

油画×先端=∞ ②

こんにちは。油絵科の関口です。
さて、いよいよ来週7/10(日)に油絵科と先端科合同のプレ夏期講習会が行われます。
学生から「どんな事をやるんですか?」と聞かれる事が多いので、今日はイメージしてもらいやすい様に参考の作品をお見せしたいと思います。

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これは2000年代前半に行った※特殊表現課題(新美油絵科命名の既成の課題に属さない課題の総称)コンクールの作品で「一マスの楽園」という課題。

 

ダンボール、マッチ軸
与えたのは床一マス分の大きさの段ボール、マッチ棒の木軸(多量)です。描画材は自由(油性以外)。他にも提出用のベニヤ板を与え、床のマスに合わせて置く事を条件にしました。

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楽園と言っても、人によって様々なイメージがあるようですね(笑)。

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ちなみにこれらは当時の上位作品ですが、この中から後に何人も芸大合格者が出ています!!

 

芸大では、毎年どんな課題が出題されるのか、全く想像がつきません。いきなり石膏像が出題されたり、極端に現代美術的な出題がされたり、年によって全然違う内容が出題されています。あまりにも振り幅が大きいため、受験生の中には戸惑ってしまう人も多いでしょう。

しかし、芸大油画専攻や先端科を受験する以上、色んな人と関わって多様な視点を学んでいく事は不可欠です。油絵科と先端科が触れ合うのは、お互いに未知の領域に足を踏み入れる様な感覚ですよね。一緒にやる事で、一体どんな化学反応が起こるでしょうか?

可能性は正しく無限大。こちらの期待感もMAXです!

映像科:課外授業のレポート

こんにちは、映像科講師の森田です。
少し前になりますが先週の日曜日の授業は、先端芸術表現科と合同の課外授業で東京都現代美術館に見学に行ってきました。

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オープン前に美術館前に集合。企画展『キセイノセイキ』と常設展『オンゴーイング』を見学しました。『キセイノセイキ』に関しては、学芸員さんの詳しい解説をしてもらいながらの鑑賞。

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展覧会タイトルの『キセイノセイキ』は「キセイ」だけを取り出しても「規制」「既成」など色々な意味に捉えることができますが、出品されている作品もそのことを意識してみると、社会における、美術における、様々な「規制」や「既成」をテーマとしているように見えてきます。展示されている作品も一応映像や写真が多いですが、単純に「映像作品や写真作品を鑑賞する」という経験というよりも「なぜ、これがここにあるのか?」という疑問を持ちつつ、作品を読み解いていくような体験になった気がします。

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鑑賞後は木場公園の芝生エリアでお昼ご飯を食べながら、一人ずつ作品の感想や思ったことなど話してみます。自分の作りたい作品や興味の方向と絡めつつ、あるいは「単に驚いた」という感想でも、それを元に他の人と意見を交換してみます。GW中の晴れた日曜日なので、横目にピクニックをしているファミリーなど見ながらの青空教室でした。

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ちなみに両展覧会は5/29まで開催されています。機会があればぜひ!また現在、東京都現代美術館では『ピクサー展』も同時開催。こちらは土日・休日は1時間待ちだったりもする模様。この日も青空教室は大幅に時間を延長してしまいましたが、その後急いでピクサー展に駆け込んだ人もいるとかいないとか。こちらもチャンスがある人はぜひ足を運んでみてください!

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映像科:春期講習会レポート

こんにちは。映像科講師の森田です。
今年度も映像科の授業は「木金日コース」となっていて、4月14日の木曜日から始まります。
ちなみにブログの方も去年と同様、隔週の火曜日になります。よろしくお願いします。

今回は3月末の春期講習の様子を紹介します。
例年以上に受講生も多く、活気ある5日間でした。

映像科の実技課題のメインとも言える感覚テスト対策。

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色鉛筆やパステルといった映像科でよく使う画材のレクチャーなども交えながら。

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春期講習では先端芸術表現科との合同ワークショップも行いました。1日目は写真を使ったワークショップ。「セルフ・ポートレート写真」を撮影して、その写真から発想したシナリオを書きました。最終的にはその写真とともに発表を行います。

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次回からも一学期の教室の様子や、オススメ展覧会情報など、色々発信していきますのでよろしくお願いします!

先端科です

こんにちは、先端科の冨樫です。

2学期スタートしました。今年の9月はなんだか涼しく、過ごしやすい毎日ですね。制作の秋、ギアチャンジのタイミングです。

さて、じつはわたくし先月ベネチアビエンナーレに行ってまいりましたので、今回はちょっとそのときの様子をレポートしたいと思います。といっても、ここでひとつひとつの作品について解説する体力はありませんので、旅ブログほどの情報量しかございませんが、16GBのiPhoneの容量をはるかに超えた(ありがとうグーグルフォト…)写真フォルダの中から、いくつかアップさせて頂きます!

ところはイタリア、水の都ベネチアでございます。

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ベネチアビエンナーレというのは、世界で最も歴史のある現代美術の国際展です。「ビエンナーレ」いうのは2年に一度という意味ですから、開催は隔年です。今年は第56回目にあたります。ベネチアビエンナーレはしばしば、「現代美術のオリンピック」と形容されることがあります。そのわけは、ベネチアビエンナーレ特有の展示形式にあります。メインの展示は主に2部構成になっていて、ひとつはその年のテーマにそって世界各国から選ばれた作家が参加する企画展。そしてもうひとつが、「パヴィリオン」とよばれるものです。これはビエンナーレのメイン会場に各国がそれぞれもっている自分の国専用の展示会場(これが「パヴィリオン」です)で行われる、各国代表のアーティストたちによる展示です。これが、「現代美術のオリンピック」と呼ばれる所以になっています。とまあ教科書的な説明はこのくらいにして、さっそく今年の展覧会の様子をすこしですがのぞいてみましょう。

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なにはともあれまずは日本館から(笑)今年の日本代表は、糸を巧みに使った作品で知られる塩田千春です。糸の先には無数の鍵が結ばれています。

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お次ぎは現代美術の本場、アメリカ館です。ベテランの映像作家ジョーン・ジョナスのソロショウです。(言い訳ではなく、写真で伝えるのがめちゃくちゃ難しい作品です。。。)映像とパフォーマンスが何層にも交錯して、かなり多層的な画面になっています。個人的には、彼女の作品を前に東京のギャラリーで観て以来のファンなのですが、これだけの規模の個展を観ることが出来て感動です!ベテラン作家の気合いの入った素晴らしいインスタレーションでした。

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続いてヨーロッパから、まずはイギリス館。サラルーカスのソロショウです。ダミアン・ハーストの同級生、いわゆるYBA(ヤング・ブリティッシュ・アーティスト)のひとりです。ヤングと言っても、彼らもすでに大御所ですが。。彫刻に合わせて壁もイエローです。後を引いて印象に残る、なんとも言えないかたちをしております。

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続きましてこちらドイツ館。ドイツ館はグループショーでしたが、なかでも今年のベネチアの注目株のひとり、ヒト・シュタイエルの映像インスタレーション。会場全体に青いレーザーの格子が走っていて、さながら3Dキャプチャのラボみたいな雰囲気。映像も、架空のゲームをモチーフにしていて、夢か現実かわからなくなる仕掛けが徹底しています。なんじゃこりゃ!!

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こちらは芸術の都、フランス館です。こいつら、動きます。外にもいます。(以上)

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これも写真だとわかりずらいんですが、これ、要は巨大な貯金箱です。コインを入れるとなが?いレールを通って反対側の壁に貯金されます。そういえば、小学生の時の夏休みの工作の宿題が貯金箱で、さらにいかに創意工夫をこらした貯金箱コンクールなんてのがあったなあ、それにしてもなぜ貯金箱だったんだろう・・、夏のベニスで一瞬遠い目になったのでした。あ、ちなみにカナダ館です。

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これはハンガリー館(だったはず。。)ときどき空気圧で、ビニールのチューブの中を玉が動きます。なんかちょっと禅の庭っぽくもある・・!?

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一枚目の写真でわかるかな。ダリのソファーに座って、ダリのインタビューなんかが見れます。ですね。ということはスペイン館です。下のは、作家の名前を忘れてしまった。こいつ、回転してます。マイクが引きずられて、ゴッゴゴゴっゴゴッて鳴ってます。なんだそのアイデア・・なんかかっこいいじゃないか。。

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これはベルギー館からジェームス・ベケットの作品。若手です。これまた写真じゃ分からないですが、後ろの棚に整然と並んでるのは、石です。地名や番号が刻まれてるので、石版みたいなやつです。これがなんと、全自動石版順番に並べるマシーンによって、手前のテーブルに並べられては片付けられていきます。なんだこのハイクオリティは。、

 

さて、ここからは企画展です。

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まずは実験映像の大御所、昨年惜しくも亡くなったハルーン・ファロッキの映像インスタレーション。あらゆる職種の労働者の営みをワンシーンワンカットで記録するという、たしかこれ彼の晩年のプロジェクトだったと思うんですが、そのインスタレーションバージョンです。映像そのものはすべてvimeoにアップされてたはず(?)しかしこのインスタレーションがよくできていてびっくり。同じ時間に映る映像の関係がよく練られている。vimeoでひとつひとつ観た時よりも断然良かったです。

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あとで出てくるこれまた実験映像の巨星クリス・マルケルとともに、ファロッキは今回の企画展でかなり大きく取り上げられてました。これは、彼の全作品のアーカイブ展示。

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こっちがマルケルなんですが、う?ん、写真じゃぜんぜんわかんない・・・

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これは中国の作家。名前を失念してしまいました。。よーく細部をみると、中国の伝統的なモチーフや意匠が、ユーモラスティックな造形でひねられていて、見飽きない作品

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アースワークの巨匠、ロバート・スミッソンのドローイング!ほんものはじめて観ました

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取るに足らない素材からパワフルなインスタレーションをつくってしまうこの作家は、トマス・ヒルシュホルン

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ドイツのコンセプチュアル・アーティスト、ハンス・ハーケの部屋

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これはゲルハルト・リヒターの奥さん、イザ・ゲンツケンの代表作ですね。文句なしにかっこいい・・・

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実はゲンツケンと同じ部屋の壁にかけられているのは、以外にもアメリカの写真家ウォーカー・エバンス。この部屋は個人的にぐっときました。IMG_3051

外に出ると、インドの現代アート集団ラックス・メディア・コレクティブによる、メタモニュメントとでも言うべき彫刻群。

 

今回は余裕がなくてかなり大雑把な紹介になってしまいました。。(ごめんなさい)

まだまだ見せたい写真はたくさんあるし、もう少しちゃんと紹介しないとなあという気持ちもありますので、先端科以外の生徒でも、お昼休みなんかに新美内で見かけたときに声かけてもらえれば、どんどん紹介する所存です。ではでは芸術の秋、エンジン全開でいきましょう!